| (10月某日) 東大柔道部、本郷。「アエラ」誌から取材、武道の国際化について。稽古後にいろいろ喋る。そのあと主将ら三人を連れ、四川の栄児料理店へ。辛い麻婆豆腐に目を白黒させているのを面白がる。あまり学生にはうれしくない食事会だったかも。 ******** 付記。「アエラ」は中教審の「義務教育に武道を」という答申に対し、「危険性がある」という左翼的な視点からの記事となっていた。私は「競技化した柔道は武道の観点から問題だ」「日本柔道(講道館)の家元意識は問題だ」などといった発言をしたことになっている。 だがこれはあくまで一部にすぎず、文脈としては何を言っているのか分からないものになってしまっている。 私が述べたのは、「JUDO対日本柔道」という図式を作り日本の伝統文化の危機を煽る議論が横行しているが、それは柔道論からも武道論からもおかしい、という主張だ。先の世界柔道に見られたのは「日本柔道の伝統の崩壊」どころか、「日本柔道の伝統が世界に広がった」結果だ、というものである。 もともと戦前には寝技中心の高専柔道および別の帯を発行する武徳会柔道が隆盛を誇り、嘉納冶五郎や講道館はこれをにがにがしく思い、批判を重ねてきた。戦後に学制が変わり高専柔道は終息、ルールは七大戦に受け継がれた。高専柔道はブラジリアン柔術とも共通点をもちつつ海外に広がっている。岡明日香が対戦し敗北したアメリカ人選手は寝技で徹底して攻め、隅返しで技ありを取った。これは外国のJUDOであるかに評されたが、むしろ現在の七大戦のスタンダードな戦法である。 また武徳会はGHQがファシズムの温床として解体したが、講道館の傘下に入るのを拒否した柔道家は海外に雄飛し、道上伯などはフランスを柔道大国に育て上げ、ヘーシンクに金メダルを取らせた。フランス柔道も、JUDOというより武徳会などの日本人が普及させたものが現地の文化や身体能力と合体したものであろう。つまり、世界柔道選手権では、講道館vs高専柔道・武徳会柔道という戦前の国内での対立の図式が反復されたのだ。 さらに、鈴木桂治は「後で投げる方を優先すると日本柔道ではなくなる」と主張していたが、国際ルールではそれは以前から否定されていたことはおくとしても、日本武道で「先手こそ武道」と主張するのは少数派ではないか。空手は後手をよしとするし、キメても残心を重視する。後で攻められて投げられても構わないというのでは、護身にはならないからだ。最後に勝つべきだという発想は、護身を重んじる武道としても伝統に属するのではないか。とすると、柔道はすでに護身ではなくなっていることになる。 中教審にかんしては、この「武道とは何か」が問題になる。私は嘉納が述べた武道論が、重要だと思っている。嘉納は、武道にはスポーツ性と実戦性(護身)、修身性の三面が必要だとした。スポーツ性ということは、試合で技術が進化するということだから、机の上の武道論だけではやっていけないし、師範も常に道場で乱取りして新しい波についていかねばならなくなる。そうでない多くの武道は、師範の言葉が絶対であるし、そうした言葉でいろいろ武道を語る思想家などもいるが、私は批判・反論されることのない武道は進歩しないだけでなく先輩の言葉を絶対視し危険であると思う。もちろんそれ以外にも修身性があり、礼法なども重要なので、全日本柔道選手権での礼の乱れを 指摘してはおいた(これが「競技化した柔道は武道の観点から問題だ」という部分)。しかしスポーツ化しない武道も問題なのである。 嘉納によれば「えんえんと寝ていると蹴られたりするから高専柔道は実戦的ではない」と述べているが、ただそれでも「スポーツとしてのルールの外」は見るべきではないか。それが実戦性を考えることになるからだ。複数のルールが併存する状態が望ましいのではないか、と考えるゆえんだ。 「アエラ」誌は複数の論者の主張が並記されているが、私はそこに出ていた大半の人の意見に反対である。 そもそも、合気道なんぞは嘉納の定義からして武道ではないのだ。 技術には凄いものもあるに違いないが、乱取り・スパーで確認しなければ実験しない物理や化学のようなものだから。楽な場所にいて、口だけ出さないでほしい(試合や実戦の経験者を除いて)。 こうした意見は、雑誌からは読み取れないと思う。 |
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| (10月某日) 高木道場。怪我してからは、久しぶり。東大の女子部三人を連れて出稽古に行く。塩刈も熊王も、男性と互角にやっているので、互いに刺激になった模様。 終了後、三人と丸山さんとでかみやで歓談。楽しい。 |
| (10月某日) ビジネスマンクラス。いよいよ涼しくなってきた。今頃になってクーラーが快調だ。25人ほどで、寝技の週。女性だけで四人来ている。 ・ストレッチ |
| (10月某日) 休日だが、学生柔道に休みはない。駒場にて、稽古。やっと柔道着が届いた。胸に黒々と「東大」とある。部室においてもらうので、運ぶ必要もない。ラクチンだ。 柏崎師範のご指導により、「ヨコ返し・タテ返し・ズボン返し」の連携や、組み手争い。相変わらず目から鱗であるが、とくに奥を持たれての腕くぐりには驚嘆。どうして肘をはたいたただけではずれるのか謎だったが、はたかなくてもはずれるのだ。マジックである。 師範と渋谷にて食事。世界柔道選手権の講評など伺う。お見送りしたあと、監督の悩みなど聞く。面白し。 |
| (10月某日) スネークピット。サンドバッグを蹴る。腿の肉離れが引きつって痛い。少しずつ戻すようにする。 一分間連打では、プロに混ぜてもらう。望月選手は全日本の70kgトーナメント、歌川選手はSBのグラウンド・ゼロ興業に出場が決まっていて、きつくやっている。 スパーは見送っていたが、むずむずしてきてやりたくなる。最終回の4ラウンドのみ、入れていただく。後ろ蹴りでまた太もも痛くなるが、やはり爽快。 |
| (10月某日) ビジネスマンクラス。蹴り中心の週。 ・基本 無差別に出る佐藤君の特訓。かなり追い込む。 終了後、東大楠監督が本田主将を連れてきてくれる。指導ビデオの後半を撮る。低い背負い、棟田の高い背負い、寝技など。 懇親会にはご両者とも参加。 |
| (10月某日) GONKAKUのゲラ直しをしていて月曜は稽古に行けなくなる。この日は高木道場。 腿がきついが、動くことでなんとか誤魔化す。T字からの背負いを実践。5人ほどと乱取りする。 |
| (10月某日) 9/9大会のDVD、チャプターも付けて完成。監督柔道DVDも完成。 ************************* ビジネスマンクラス。最初は15人ほどだったが、最終的に20人を超えた。組み技の週。 これまで柔道の組み技を研究してきたので、そのうちから空道に使えるものを抽出してみた。自分の話を長々とする。北斗旗などでも使われたことのない技術ばかりだ。 ・ストレッチ ・道衣をもったら、煽って相手を動かすこと。止まると肘・膝が飛んでくるが、煽ればクリーンヒットしない。 ・組みスパー3本 |
| (10月某日) 七徳堂にて、東大柔道部。行くと柏崎師範の指導のもと、すでに寝技の研究が始まっている。主に縦返し。脇の差し方について、詳細を伺う。女子のKが、亀バックから十字に回転するのをやっている。参考になる。 組手乱取り、自由乱取り。女子などとやる。 初対面のOBが来られる。30年ぶりにやってきたとのことだが、何か指導らしきことを仰っていた。30年ぶりに始めても現役に向けて指導が可能ということなのだろか。現役が進歩していないか、もしくは進歩が見えておられないかいずれかなのだろう。学問などではありえないことだ。不思議である。 部長である私にも挨拶などなかったので、お名前も分からず仕舞い。私には出稽古して管理者に挨拶しないなど考えられない。これも不思議だ。東大柔道部には、謎が多い。 |
| (10月某日) スネークピットのプロ練。ようやく太ももも使えるようになったので、フルに参加。 サンドバッグ200、サンドバッグで5ラウンド連打、スパー四人で9ラウンド、いつもの補強。なぜか調子良い。 歌川・望月両プロは試合が近かったり決まったりしていて、緊張がぴーんと伝わってくる。パンチに絶えず蹴りを合わせるのと、片腕を出しての防御を試す。 |
| (10月某日)
最初は10人弱でしたが、次第に増えて20名で稽古。パンチ中心の週。 終了後、11/4の予選に出る中野君、宮崎さんにミット稽古。 技研で、「奥襟をもって膝蹴りのフェイントで踏み込み、大外」。 |
| (10月某日) 東大柔道部、一橋大柔道部との定期戦。国立の一橋大学に行くのは始めてだ。前日は台風のような天気だったが、一転して快晴。試合日和である。 試合は14人勝ち抜き制。試合前のルール・ミーティングで引き込みについてかなり揉めたようだ。国際ルールでは引き込みが反則になるから、普通の審判には慣れないルールではある。 しかし、試合は雰囲気が最低だった。一橋の監督が、ずっとかん高い声を出し続け、たえず品のないクレームを審判につけているのである。「あれーっ、指をつかんでいるよー」といった具合。反則かどうかは審判が決めることであるから、粛々と受けるしかなかろう。判定を批判していることになるのだが、これだけ汚いヤジは、プロの試合でも滅多にない。半世紀の歴史を持つという定期戦であるから、さすがに一橋のOBからたしなめる声が出るかと期待したら、これが輪をかけて、ひどい。引き込まれると、「この子は柔道を知らんのだなー」と嘲笑したりしている。いや、引き込みを認めるルールがあることを知らんのは、あんたでしょ。 非常に感じが悪かった。柔道には人間教育的な価値があるということになっているが、嘘だということになってしまうではないか。全柔連はプロ興業を否定しているが、足下の現実 はこんなものだ。 試合は、途中で五人もの大差がついた。最終的には二人残しで東大の勝ち。そのあとの選手たちによる親善試合も、6−2。 |
| (10月某日) 東大柔道部。駒場での稽古。一橋戦について、粛々と普段の稽古通りに戦うことの重要性について、講話しておく。 打ち込みは20分、寝技の帯取り返しなどもやって、充実した稽古ができた。 組み手乱取り、自由乱取り。内股などへの返しをムエタイの首相撲風にやっているが、今のところ成功している。 終了後、三年生を五人つけて渋谷の焼き肉食べ放題へ。「武道を生きる」を読んだ学生から礼法の重要性は何か、との質問があり、真面目な話になった。たしかに面白い論点ではある。拙著をよく読んでくれていて、ありがたい。 |
| (10月某日) スネークピットのプロ練。熊久保氏が望月選手の練習の取材に来ておられる。 サンドバッグでミドル200、スパーは大江先生、三連勝中の歌川選手、ヨースケ選手と五人で12ラウンド。もう、へろへろである。望月選手は調子悪いとのことだったが、ぼこぼこにやられた。技の鋭さが増している。みな、足払いで投げられていた。それだけはさすがに食わなかったが。 首相撲3ラウンド。シュラッグの防御が使えるようになった。前後ステップ10セット、重りで連打6セット。サンドバッグ、腹筋でしめる。 疲れたが、足は完全に復調した。 |