| 『リアルロック−日本語ロック小事典−』近藤康太郎/三一書房
今、ポップな音楽の最先端は、どこにあるのか。それは実は、日本の大都会の地下の薄汚れたライブハウスにあるのだ、と本書はいう。仕事場でレコードを聞くだけではロックの現在は分からないと、日々聴衆に押し合いへし合いされながらライブハウスに通い詰める著者の言である。
「最先端」というと、小室哲哉の次に百万枚を売るのは誰か、という意味にとられるかもしれない。ここに紹介される七〇余のバンドは、少なくとも日本では、百万枚を売ることはなかろう。彼らは自分たちに納得のいく形で、新しい音や演奏法、コンセプトを生み出そうとしている。その結果、轟音ギターによるノイズ・ミュージック(灰野敬二)、限界までのスピードをめざすハードコア・パンク(S・O・B)など、日本が世界に誇る独創的な音世界を切り開いてきた。少年ナイフのように、小室以上に世界で知られるミュージシャンもいる。
筆者はこれまで、限界まで激しく早くユーモラスな音楽を好んでフリージャズを聴いてきたが、それはどうやら「リアルロック」と重なるらしい。友人がバンマスをしている「渋さ知らズ」がここに取り上げられているのだから。日本のロックの輪郭がコンパクトに描かれて、貴重な一冊だ。
(月刊宝石)
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