『音海−夜明けの音盤ガイド−』湯浅学/BI PRESS
音盤のごく私的なベストテン、というのを誰もが持っているだろう。だがそれを活字にするとなると、芸がいる。「歌ったり楽器弾くだけが音楽ではない。その意味で勝新太郎も大仁田厚も輪島大士も村田兆治も水木しげる先生もミュージシャンである」という発想で、ロック・ブルース・フリージャズからディープな歌謡曲まで、浜の真砂ほどもある音盤から「幻の名盤解放同盟」専務の著者が「シャーマン」性の高さを基準に三百枚近くを選んだ本がこれ。
改行もない気合で文章の芸を見せる著者の気にはそぐわないかもしれないが、フランク・ザッパだけで十七ページも割いてあったりして、結構、貴重版を思いだすのに役に立ったりする。
ブルースにはジョン・メイオールからではなくジミヘンから入ったとか、「話芸のR&B」として昭和初期の上方漫才集を紹介するとか、眼の高さはさすが。ちなみに私はというと、九十九一の舞台のバックに砂川捨丸の漫才が使われているのを聞き、その凄まじいまでのスピードにぶっ飛んだことがある。
さりげなく故・篠田昌巳の「パンゴ」が紹介されたりして、泣ける。最近の日本のロックで選ばれたのがギター・ウルフなのも変でいい。
(月刊宝石)
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