(8月某日)

  さて二回戦に勝ち上がったので、次の試合を待つ。八王子大会の一般部は新人戦なので、大人も次々に出てくるし、女子部も混じる。それに小学部が三部、中学部もあってごちゃごちゃに入り交じっている。父兄も熱心で、観衆の半数はご家族ではないか。これは選手ばかりの地区大会などでは見られない光景だ。

 と、見知らぬ男の子がやってきて、「タケちゃん勝ったよ」と言う。なになに、と調べるとこの子は別ブロックで一回戦を勝っている。急に親しくなったようで、息子の息吹と背負いっこしたりしている。ところがこの子、次の試合が始まって驚いた。子供は極真ルールのローなしなのであるが、パンチしか打たないのである。それが連打連打でもの凄いスピード。相手が蹴る暇もないほどつっこんでいって殴りまくるのである。このポイントルールではいったいどのパンチを採れば良いのか分からなくて審判も右往左往している。それでも最後には相手を押し倒して、パンチ有効にさせてしまった。とんでもない少年ファイターの登場に、会場は沸きに沸いた。気迫とかわいらしさのブレンド具合が絶妙なのである。

 さて息子だが、すっかりトロフィーをもらえる気持ちになっている。「とりあえず蹴っていけ」と指示。なにしろガードは私が蹴って顔面を防ぐことだけをやらせてある。しかしそこから反撃がつながらないので、いったんガードすると防戦一方になってしまうのだ。

 試合開始。おおっ、この相手は技をつかってくるではないか。飛び込んで蹴り、息子が蹴返すとバックしてすかし、また飛び込んで蹴ってポイント。パンチからまた下がって飛び込み、蹴りでポイント。こりゃまったくかなわん。息子はただ前に出るだけの極真魂。ポイントルールとなるとやられっぱなしである。それでもなんとか1ポイントとりかえしたが、結局は4−1。試合終了とともにこちらを振り返り、「トロフィー、取った?」と聞くのが哀れである。

 「これから帰って稽古しなきゃもらえないってさ」。と言うものの、どうすればよいものやら。どうやら私とのみのスパーには限界がある。飯村さん、早く荻窪支部に少年部を作ってくれませんか。息子と友達を入れますので。なかなかに楽しい一日であった。