| 『日本問題』奥井智之/中公新書/700円 日本人ほど外国の評判を気にする国民はいない、といわれる。そう言うのも外国だから、ますます日本人は評判を気にする。しかも日本は「プロブレム」だといわれるのだが、何が問題かそもそも実感がないから、とまどうばかりだ。だが、日本はアリのように働く、と言って非難したクレッソン・フランス首相は、他方でアングロサクソン系にはホモが多い、と問題発言している。日本を問題視する人自身が、相当の問題児でもある。 だから、日本問題とは日本固有の問題ではなく、「日本の社会と外国とりわけ欧米の社会との関係において生ずる問題である」とする著者の立場が説得力をもつ。日本が問題であるとしても、それは外国との関係においてのことでしかない。 戦後の日本は外国の目には「奇跡」の六十年代、「大国」として復活した七十年代、「脅威」の八十年代、「衰退の兆し」の九十年代と映っているだろうことはおよそ察しがつく。本書はこうした自己理解がほぼ正しいことを、ベラーの『徳川時代の宗教』からロンドン・エコノミストの『 THE WORLD IN 1994』までこの三十年余のうちに欧米人の書いた膨大な日本論をひもとくことによって、裏づける。日本を問題視するのはキッチュ(まがいもの)商品しか作れぬ日本の「子供の資本主義」に欧米の「大人の資本主義」が苛立ったからだ、と著者はいう。ならば何故欧米はそんな商品を大量に輸入するのだろう?疑問は残るが、外国からの視点を確認したい向きには絶好のブックガイドだ。(月刊宝石) |