アップルパイ

生のりんごを使っているので、10月から4月くらいまでの間


 タイミングが良いと(^_^;)、焼き立てのアツアツが買えます。

 というのは、出来るだけ焼き立てを差し上げたいので、売行きを見ながら少しづつ、焼いているからです。
 たくさんお買上下さる方は、電話をくださると、時間に合わせてご用意します。


パイは冷蔵庫には入れてはいけません。

 パイというのは、薄い生地とバターの層で出来ています。
 バターがあるから生地がくっ付かずに、生地から出た水蒸気で、はがれて膨らむ、これがパイの仕組みです。

 そのバターが、焼きあがった薄い生地に残っているわけですが、これが固まってしまうと美味しくないのです。

 フライドポテトの揚げたての熱々と、冷めた、あるいは冷蔵庫で冷えたのとの差を思い出してみてください。液体の油ではなく、冷えると固まる油脂を使っています。
 溶けた油と、蝋のように固まった脂で被われたものと、違いをイメージしてみてください。

 ミルフィーユの場合は、クリームを常温においておくわけにいかないので、冷蔵庫ショーケースに入れます。

 仕方ないこととはいえ、あれではパイの本当の美味しさを味わうことはできません。
 本来は、食べる時間に合わせて焼き上げ、冷めたところでクリームをはさんで、すぐ食べる、そうすべきです。
 ケーキ屋さんで作るべき筋合いのものではないのですね。


 シーズン初めは「あかね」を使います。
 早生種ですが、収穫はじっくり待ったほうが良いということで、10月に入ってからの開始となります。


 毎年、9月になると「アップルパイはまだ?」という、気の早いお客様がいらっしゃいます。
 早く出荷したほうが高値がつくので、色がついたら出荷する農家さんは多い。売るほうも、「いち早く」旬のフルーツを並べたがる。
 「そろそろ」という気がしてくるのも仕方ないかなと思います。

 けれど、『旬』には早すぎます。
 もう少し木の上で味をのせたほうが、美味しくなります。

 お客の顔が見える商売(直売)をしている農家さんは、早獲りせずに、完熟したりんごを出します。説明して理解してもらえるし、「美味しいから来年も」となるから。
 農協から市場に出す農家さんは、早く収穫したほうが人気が高く、高値で売れる。
 どちらも正しいですね。

 「あかね」が無くなると、「ジョナゴールド」に変わります。

 そして「ジョナゴールド」も無くなると、アップルパイはお休み。
 代りに、チェリーパイとブルベリーパイが始まります。


 お菓子やさんでは、ふつう、缶詰のりんごを使います。
 だから、アップルパイが一年中あるのです。

 でも、缶詰りんごは香りがない。美味しくない。
 水を加えているから、美味しさが水に出てしまって、味の薄くなった果肉が残ります。
 使われるりんごの品質も、そもそも期待できないし。

 夏でも生のりんごは売っていますが、「フジ」「むつ」といった、果肉の固い、繊維質の強いりんごばかりです。
 最近は冷蔵保存の「ジョナゴールド」なども出てきました。
 しかし、傷みがこないよう、早獲りしているのだそうです。言われてみれば、すじっぽいだけでなく、渋みがあって、美味しいものではない。

 繊維が強いからこそ、ボケずに保存に耐えるのですが、火を通すと、美味しい果汁分はみんな抜け落ちてしまうのですね。
 じゃりじゃりした繊維だけが残り、美味しいものではありません。(と、私は思う)

 そこまでして一年中アップルパイを食べることもないと思うので、春から夏にかけて、アップルパイはお休みです。

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