2000年7月の観劇歴


TEAM発砲・B・ZIN vol.18 「パレット」
7月23日(日) PM2:00〜 近鉄アート館

作・演出:きだつよし
出演:きだつよし、森貞文則、平野くんじ、工藤順矢、菅野奈津子、小林愛、武藤陶子、西ノ園達大、吉田トモ、田口治、草野徹(ゲスト)、福田千亜紀、タケウチヤスコ

「大の大人が笑って泣けるヒーローもの」を作り続けると心に決めたとパンフレットにも書いてあったけど、これはまさにその通りの傑作。いっぱい笑えて、最後にちょっと泣ける気持ちのいいお芝居だった。
パシフィックレギオンという平和軍隊組織があって、そこでは怪獣災害や宇宙人侵略に対応している。そこはPLAC(攻撃部隊)やPLSM(科学班)などに細分化されているが、そのなかにPLET(通称パレット)という怪獣退治後の後始末や苦情の受け付けなどを専門にこなす部署が存在する。タイトルにあるとおり、お話はこのパレットたちの活躍(?)を中心に描かれる。まずこの設定がすごくおもしろい。確かに怪獣をやっつける攻撃部隊はかっこいいけど、壊れた家ややっつけられた後の怪獣は誰がどうやって片付けているのかすごく気になるし。パレットの隊員たちも実に個性豊かでいきいきしていた。PLACの隊長とパレット隊長の視点の違いとか、新しくパレットに配属になった新人の生真面目さとか、そういうのが上手に話を作り上げていった感じがした。ラスト近く、宇宙人が読み取った彼女の本当の気持ちを言わせようとする新人隊員と、そのことによって辛い現実を受け入れ救われる劇団員の男と、男の本当の感謝を受け取る宇宙人の3人が静かに向き合うシーンがすごくよくて、他のシーンとの対比もあって心に響く感じがした。
ギャグが満載で、特に彼女との結婚に悩んでいるらしい平野くんじさん演ずる平源氏朗はすごくおもしろくて、別の隊員と絡んですごく部隊を盛り上げていた。全体的に動きがシャープで、部隊全体を使って飽きさせない演出になっていた。宇宙人役をしていた小林愛さんもすごく可愛かったし。ちょっとした役でも全て考えてあって、宝探しをしていた謎の宇宙人(トラマン)とかバカバカしくて大笑いしてしまった。
舞台セットも凝っていて立体的だった。ただ、これが今回最大の難点だったと思ったのだけど、舞台上に死角が多くてみえにくい部分がいくつかあった。舞台が立体的であるがゆえに奥まった場所での動きははじっこの席から全く見えなかったりした。でも、文句を言いたいのはそこだけ。観てすごく得した気持ちになった、楽しい舞台だった。


GO!GO!マグネグFlowerモモンガ 「MG4」
7月22日(土) PM3:00〜 京都アートコンプレックス1928

作・演出:村田敦志
出演:羽賀友妃子、西山ヒナ、コリユリコ、池野久美子、ヴェルヴェット俊介

70年代に放送されていたTV番組をベースにGO!マグ風味付けを施した短編探偵モノ2本立て、という設定。まるで映画のように本編の前にCFが入ったりして雰囲気は抜群。女の子がばんばん活躍し、70年代風ファッションと音楽で盛り上げる。コンセプトメイキングはいつもかなりしっかりしていると思う。その雰囲気に浸るだけでも楽しいし、観ていてカラフルでとても可愛いと思った。
ただ、コンセプトにお芝居の設計が追い付いていないという感じは否めなかった。とにかく雰囲気のあるものを組み立てて使っているだけで、細かい部分に矛盾があってもお構いなしって感じがする。特に西山ヒナさんが演じるアメリカ人とのハーフの女の子。この人は全然演じていない感じがして、だからなのかもしれないけど、説明される人物像と目の前で動く女の子が全然かみ合っていない感じがした。ちょっとのことなら気にしないで観ているけど細かいことでもいっぱい積み重なるとやっぱり気になってきてしまった。
女優陣はほとんど一人で数役をうまくこなし、衣装の素早いチェンジは観ていて感心する程だった。ただ、そのせいなのかわからないけれど、対話しているシーンはどれも非常にテンポが悪く感じた。観ている側からすると不必要に間延びした感じがして、もどかしいというかイライラするような感じが何度もした。前作のときほどではないけれど、もうすこしコンパクトにまとめてもらえたらなあと思った。
ストーリーも、いくら70年代風だからといってちょっと古びた要素が多すぎる気がした。どちらも救いのない結末だったけど、それはちょっと意外で逆におもしろかった。


APPLICOT PLAY 「熱闘!!飛龍小学校☆パワード」
7月20日(木) PM6:00〜 新神戸オリエンタル劇場

作・演出:西田シャトナー
出演:保村大和、宇田尚純、末満健一、川田陽子、伊藤えん魔、坂口修一、山浦徹、黒澤なるみ、大和美智子、角ひろみ、西田シャトナー

惑星ピスタチオ時代に何度も上演していたものを、解散後初めての大きなホール公演にもってきたということで、この「飛龍小学校」に対する西田シャトナー氏のこだわりが伺えるような気がした。同じ作品を上演すれば、「ピスタチオ時代と変わってない」と言われてしまう可能性が高くなるのにもかかわらず、なのだから・・。
97年(多分そうだとおもうけど、当時のフライヤーにもパンフにも年が書いてない)の公演と比べてストーリーは断然分かりやすくなっていた。ピスタチオの頃劇団を特徴づけていたパワーマイムは、ピスタチオを初めて観る人にとってストーリーを追いにくくなるという部分もあったように思う。今回はそれがない分ストーリーがはっきり見えたような気がした。キャストも、ジョー役の保村大和さん以外は一新されていて、キャラクターに新しい魅力を発見できる部分もあった。このあたりは前回のキャストといちいち比較してもイミがないとおもうし、観ていて比較したいと思える部分もなかった。ただエピソードとしては、真面目口と不知火が実は双子だったという部分は前回のように同じ人が両方を演じてこそ生きるものだったと思ったけれど。
フライヤーに「冒険エロティック子供活劇」とあって、女優陣のコスチュームがかなりセクシー路線だったようだ。動き回る女優陣がとても魅力的だったにもかかわらず、女生徒の描き方は明らかに底が浅いと思った。女の不可解さ、というよりただの行き当たりばったり的で。そのせいなのかは分からないけれど男優陣は濃くて個性的でとてもおもしろかった。キャラクターの違いがはっきりしていたからかもしれない。特にファントマの伊藤えん魔氏はまさに本領発揮という感じで転校生を熱演していた。
上演時間が2時間40分強。特に長くてしんどいという感じはしなかった、個人的にはもうすこし短くしてもいい気がしたけれど。おもしろくてファンタジックで、力作だった。


ランニングシアターダッシュ 「FLAG」
7月17日(月) PM7:30〜 伊丹アイホール

作・演出:大塚雅史
出演:宮腰健司、上瀧昇一郎、岡田達也(演劇集団キャラメルボックス)、平本光司、田中裕介、徳本憲治、岡部尚子、札葉映子、佐藤太一郎、中島奈津子、板淵陽子、葉山聖、佐久間京子

今回のテーマスポーツはサッカー。高校のサッカー部監督にかかってきた脅迫電話。人質は彼の息子、代償は試合で負けること。人質となった少年と公園で知り合った人の過去を見ることが出来る超能力を持つ新聞記者のハタとサッカー部の補欠3人組が、誘拐犯人を追って町を駆け抜ける。残された手がかりは黄色いハンカチに残された「FLAG」の文字だけ・・。
とにかく、オモシロイお芝居ではあった。いつもよりギャグも念入りだし、アクションも冴え渡っている。キャラメルボックスから客演の岡田達也さんもすごくいい雰囲気で馴染んでいて、補欠3人組+1のキャラクターはかなり笑わせてくれた。もともと動きのいい劇団だけれど、今回は特にハチャメチャでマンガのようなギャグが多く、またそれがハマっていておもしろかった。それぞれがキーワードでキレるところなんて「トミーとマツ」をちょっと思い出してしまったよ。
ただ、ストーリーとしてはどうだろう・・確かにメッセージはとてもストレートだし、伝わってくるものもあった。でもあまりにも「そのまんま」って感じが(わたしには)してしまった。結末にしてもほとんど最初から見えていたし、いくら補欠だからってあんなに誰にでも分かりやすい「辛い過去」に感情流入するのは(わたしには)難しかった。まあ、そういうストレートさがダッシュのいいところなのだろうけれど。
ここの役者さんは全員背筋がピンとしていて観ていて気持ちのいい感じがする。今回もそれはとても感じた。特に岡部尚子さんがよかったなあ。いつも豪快な役どころでとてもかっこいいのだけど、今回はカントク役で重要なセリフがあったのだけどそれがとても決まっていた。


立身出世劇場+未来探偵社 「サマー・タイム・ブルース」
7月15日(土) PM2:00〜 近鉄小劇場

作:隅本晃俊
構成・演出:関英人
出演:関英人、原尚子、みなみさゆり、岸本奈津枝、今仲ひろし、彼方サトミ、中谷克宏、山本禎顕、広重島典、後藤勇、仮屋裕一、松橋英祐、若島佐登里、北村幸代、葉月カノ、濱田慎一、和田光生、村井千恵(以上立身出世劇場)、隅本晃俊、わかいのぶこ、佐野恵美、山本英輝、一色大輔、城泰基、堀川進、太田浩司、碧宣皓也、湯浅崇、上野真紀夫、本橋建哉(以上未来探偵社)

警察もなく他所者を受け入れないとある島で、台風と祭とともに起こる出来事。かつて青春の真っただ中で辛い選択をした男ふたりの再会と、ライフセーバーを目指して合宿をする若者の希望と挫折が話の軸になっていた。
観終わってストーリーをおってみるとなんだかとてもシリアスで重いテーマに貫かれていたように思う。夢のために大切なものを捨てた過去を正当化しようとする様や、自分の弱さを後悔しながらまだ足がすくんでしまうことへのどうしようもない辛さなどなど、振り返ってみると思い当たることがあるようなそんなもどかしくうずくような感じがした。話そのものは陳腐と言っていいぐらいだったし、それはムリだろうと思えるような強引な部分があったけど(特に最後のほう、あれじゃ全員死ぬって。やる気だけでスーパーマンになれたら苦労いらないでしょう・・)、全体的には悪くなかった。
ギャグというか、笑いの部分がかなり力が入れてあってかなり笑える部分がたくさんあった。全体の印象がシリアスなのに不思議なぐらいだ。未来探偵社は今まで観たことがなかったのだけど、本公演もこんな感じだったら一度観てみたいなと思った。あとこれは構成の妙だとおもうけど、海パン姿のライフセーバー見習い生たちが「青い珊瑚礁」にあわせて踊るあたりはかなり笑わせてもらった。L・O・V・E!はなかなか決まってたし、いいタイミングだったなあ。
ライフセーバー隊の教官役をしていたわかいのぶこさんが特に印象に残った。すごくかっこよかった。




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