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劇団赤鬼 「ラスト・ラン!」 8月26日(土) PM2:00〜 神戸アートヴィレッジセンター 作・演出:吉村シュークリーム 出演:小野弓、副島新五、山口貴史、みききさを、市川晃次、山口弘美、宮地亜也、長尾譲二、土性正照、川浪ナミヲ、葉里桐子、下村和寿、吉田英子、竹内晶子、田村研人、行澤孝、吉村シュークリーム
真夏の夜に人間界に降り立った魔法使い見習いペロ。彼は魔法学校の卒業試験でやってきたのだ。卒業の条件は二つ。30日間魔法を使わないことと魔法使いだと人間にバレないこと。ペロは小さな劇団に入団した。その劇団では次の公演に向けての練習が進んでいた・・。 役者さんたちの息がとても合っていて、ダンスにしてもセリフ回しにしてもしゃきしゃきと進んでいくので観ていてとても気持ちがいい。劇団で起こるさまざまな出来事が話の中心になっているのでほとんどの部分が劇中劇になっていて、そのせいで物語はまるで夢のように進んでいく。現実味のない物語を息のあった動きで観せてくれるのでその部分だけ取り出してもなかなか上質のエンターテインメントだと思った。 物語に関してはあまり入り込めなかった・・。メッセージがストレートなのはこの劇団の持ち味でいいところだと思うのだけど、なんだかあまりにも強引なんじゃないかなあとも思う部分が多くあった気がしたからだろう。ペロが最初に魔法を使ってしまったときに先生がそれを見なかったことにしてしまうのも納得がいかないし、劇団の作家モチヅキの悩みも分からないではないけど甘いという気がしたい。ラストもちょっと分かりにくい感じがして、あれで劇団員たちはほんとうによかったのかなあ、と気になって仕方がなかった。完全に好みの問題なのだけど、わたしはもう少しストーリー性があるのが(前回作「Silent Knight」のように)好みかもしれない。 ラストシーン、照明とスモークと過去のセリフを繋ぐことで魔法をあらわしていたのが圧巻だった。 化石オートバイ 「ガールフレンドとマグマ」 8月3日(水) PM7:00〜 カラビンカ 作・演出:山浦徹 出演:高須浩明、縄飛ぴょん、山浦徹、銀河哲朗
夢のように、いくつかのエピソードが絡まりあいながら進んでいく。ストーリーをうまく説明することが出来ないのがもどかしいぐらいなのだけど、この劇団が持つ雰囲気が強く伝わってきてとてもいい舞台だった。短いエピソードが繋がるところやSFのようでそうでない感じがする独特の世界観は、初期のヴォネガットから毒を抜いたような感じだなあと思った。 メデューサの末の妹ゴルゴン。愛し見つめた男を石にしてしまう。不死身の体を持つ彼女は人生に絶望しつつも、愛する人と見つめあうというささやかすぎる夢を持っている。両親が同じ病気で死んでしまった男の子。死体はいつまでも眠っているように変わらず、その世界では死体はほとんどがマネキンにされてしまう。火山噴火予知所に勤めている男。彫刻が趣味の彼は、ひとりで狛犬を見にやってくる。そして、人を殺し続ける男。本能のように沸き上がる衝動によって殺し続ける男は、実は自分の強さを憎み死ぬ場所を探そうとしていた。 ゴルゴンと噴火予知連の男が同じ時代で出会い、その未来に男の子と殺し続ける男が出会う。瞳を握りつぶしてしまうゴルゴン、殺し続ける男、この二人は「消えてなくなること」への憧れを象徴しているように思えた。ゴルゴンの力を嫌がらず、その瞳を見つめようとする噴火予知連の男が言う「君は僕のガールフレンドなんだ」という言葉は優しくてあまりにも悲しかった。火山噴火により噴き出すマグマを止めようとして力を暴走させてしまい愛する男ごと世界を呪いでおおいつくしてしまった彼女はそれでも死ぬことが出来ない。彼女の呪が全ての時間を石に変え、死んだ人達はそのままになってしまうのだ。ハエを探す旅に出る男の子が最後にゴルゴンと巡り会い、そしてハエの羽音を聞くシーンはあっさりしていたのに余韻があって涙が出てしまった。 かなり深くて哲学的なテーマも含んでいるような意味深な舞台だったのだけれど、これを真正面からやってしまうと多分とてもツマラナイだろうと思う。この劇団がおもしろいのはそのギャグのセンスにも要因があると思う。ずっと笑える部分が続いているのだ。特に劇中にあった人間とサイボーグのコンビ漫才は最高で、そこらの漫才師のネタよりよっぽどよくできていて面白かった。 追記。いわももさんの日記によると、作者の山浦さんはヴォネガットのファンということらしい。さもありなん。 劇団☆世界一団 「世界一団の動物園」 8月6日(日) PM5:00〜 扇町ミュージアムスクエア 作・演出:ウォーリー木下 出演:赤星正徳、小松利昌、年清由香、平林之英、吉岡晶子、希ノボリコ、工藤丈徳、椎原小百合、井田武志(ナレーション)
98年に初演された作品の再演。初演を観ているのでどうしても比較したくなるのだけど、初演に劣らない出来だったと思う。 まず舞台がすごかった。真ん中に部室のセット、そのまわりを囲うように動物たちが走り回るためのセット。反対側で物語が進行している間は声も聞き取りにくくなるし(後ろ向いている訳ですから)見えにくくもなるのだけど、それが物語を進める上で致命的な欠陥とはなっていなかったと思った。初演のときは舞台は普通に前だけでかなりせりだした状態になっていたけれど、今回のほうが学生と動物の舞台が違うおかげで話の切り替わりが分かりやすかった。役者さんたちの動きはその分激しくなる訳で、アクションの派手さや激しさは今回のほうが上回っていた気がした。これに関してはどちらがいいとは言い難いのだけど、話がわかりやすくなったのは今回の方がありがたかったかな。 とにかく脚本が素晴しく良くできていて、逃げる動物たちと動物園襲撃を狙うドーナツ研究会の学生たちという2つの物語がらせんのようにからまっていくつくりはすごいとしかいいようがない。物語もとても練ってあって、ふたつの物語が最後に重なりあっていくところがとてもおもしろかった。ただし少々考えながら観ていないといけないところもあって、わたしは初演を観て脚本を読んでいたからはっきり分かったけど、それが初めて観た人全ての理解出来る範囲かどうかということは微妙なところだと思う。 いじめられっこの自分探し、自分を受け入れてくれる場所を探す、みたいなストーリーはどれもだいたい嘘臭いお定まりのエンディングになってしまうから大嫌いなのだけど、この物語はそんなテーマをしごく真っ当にかつリアルに扱っているとおもう。設定や登場人物がやっていることは現実からかけはなれたものであるにも関わらず、だ。最後のシーンでは今回もあの学生たちをすごいと思い、そして羨ましいと思った。 「小さい頃から電流の流れ続ける毎日だった。無条件で自分を受け入れてくれる人は誰もいなかった。誰も自分のことを理解してくれなかった。それでは自分は誰かを100%理解することが出来るだろうか。」 ぜひ、また再演してほしい作品だと思う。 |

