ヨーロッパ企画+シュガーフィールズpresents 「ヨーロッパフィールズフォーエバー」
5月28日(火) 19:00 扇町ミュージアムスクエア
企画、構成:ヨーロッパ企画
脚本:上田誠
音楽:シュガーフィールズ
出演:【ヨーロッパ企画】石田剛太、伊藤紘介、酒井善史、清水智子、諏訪雅、瀬戸中基良、玉田晋平、永野宗典、真野絵里【映像出演】松田暢子、本多力【シュガーフィールズ】原朋信(Vo、G)、三好基史(B)、山神智子(Dr)
京都の劇団ヨーロッパ企画と、3人組(?)シュガーフィールズのジョイント。構成としては、ライブ演奏とショート芝居が交互に入り、繋がっていないようで全てがなんとなく繋がっている、という感じだった。
前半は段取りも悪く流れも切れ切れで、正直なところ最後まで耐えられるかなと思うぐらいに辛かった。いかにも台本って感じの無理矢理なセリフや展開、せっかくの映像からの流れを途切れさせる演奏、ともうちょっとなんとかならんのかーと思ってしまったのです。
シュガーフィールズというバンドは全然知らなくて(妹が、彼らの曲が収録されてるオムニバスを持ってるといっていたが聴いてない)どんなんだろうと思っていたけど、なかなか悪くなかった。歌はちょっと・・(劇中にかかるCDと思われる音では結構うまかったのに)と思ったけど演奏はおもしろい。全体の雰囲気はゆるいのにビートはきっちり入ってたし。ヨーロッパ企画のお芝居も大統領がおたおたする話とか結構楽しかった。けど、ちょっと期待しすぎていたのかも・・。前回「12人の追い抜けないアキレス」はかなり楽しめたのだけど、ショートお笑いネタにしても世間知らずすぎというか、薄い気がした。
全体から受けたのはなんだか古臭い感じ。良い意味でも悪い意味でも。ヨーロッパ企画の演じるネタがそうだったからということと、演奏も含めてセカセカした感じがしなかったからかもしれない。ただ、観ているうちにいろんな話がしゅるしゅると(でもゆるーく)集約していって、それを観ているとちょっと切ないような感じになってきた。これまた郷愁を誘うような映像を使った話とかはめりはりが効いていい感じだったし、この古臭さは必然なのかな、と。全体に漂う空気は心地よく、ジョイント企画としては悪くないなと思った。
ラストはとてもよかった。演奏にタイトルロールをかぶせて、全体の雰囲気をうまくまとめたエンディングだったと思う。
全体の段取りがもう少しよければな・・と思った。あと、ちょっと長すぎ。ヨーロッパ企画は是非本公演を観てみたいです。
正直者の会 「黙れ」
5月24日(金)19:30 アートコンプレックス1928
作、演出:田中遊
出演:岡嶋秀昭、ファックジャパン、板橋薔薇之介(ニットキャップシアター)、大鹿展明(大鹿組)、中村麻弥、奥田ワレタ、黒木陽子、紙本明子、万事、岡正人、高橋良明、田中遊、北村成美
いきなり舞台上の出演者が全員「ごめんなさい!初日までに出来上がらなかったんです!でもそれには訳がありまして・・」と頭を下げるところから物語が始まる。お芝居が完成しなかった理由が、ほぼ現実と同じ設定で名前も実名の役者達によって語られる。アトリエ劇研で上演された「二人の愛がある限り世界は回り続けるか」で挿入されたエピソードと繋がっているということで、同じシーンがあったりそれぞれの公演の準備をしたりするシーンが相互にあった。
たった4枚ぽっちしか出来ていない脚本を目の前に途方に暮れながら、なんとか話を膨らませていこうと悪戦苦闘する。出演者の顔ぶれに合わせていろいろなバージョンを作ってみたり、逃げ出した脚本家が勝手にオファーしていた客演俳優がぞくぞく現れたり、他の予定とごっちゃになってしまったり。短いから力いっぱいなのかもしれないけど、脚本を膨らませて演じられる超絶バリエーションがどの役者も全力でバカなことをやっていて面白かった。ほんとにバカバカしいとしか言いようがないような感じだけど、テンションが異常に高くてくだらなくて、引きずられるように爆笑してしまった。
物語そのものは、どうもよく分からなかった。話の大筋は分かるにしても、なぜ脚本家は逃げ出したのか、劇団の女優ミナコと何があったのか、ミナコと高橋の関係はどうなってるのか、劇団の解散はいつ決まったのか、などなど謎だらけ。実名で登場する役者同士が、話をしていても皆まで言わずすぐに「ああ、それねー」って感じで受けるところが多くあって、「??何が?」ってなってしまった。演劇やってる人とか劇団関係者とかならすぐ分かるのかもしれないけど、観ていてちょっとつっかかる感じがした。ラストは単純にちょっとしんみりしてしまったけど、あまり前の話と繋がらないと感じた。
途中の部分では大爆笑してしまったし、役者さん達のはじけ具合が観ていて楽しかったので、観終わっての感じはそれほど悪くなかった。
それにしても、脚本家や役者が本番前に逃げ出して残された劇団員が困るというのは結構ありふれている(これとかこれとか)設定なのかなあ。フィクションなのは分かっていて敢えて書くけど、どれも結末が甘い気がする。そういうものなのかなー。
アトリエ劇研演劇祭 Program 2
石原正一ショー #9 「フラッシュダンさん」
5月12日(日)13:00 アトリエ劇研
作、演出、振付:石原正一
出演:希ノボリコ(劇団☆世界一団)、上田友子(”NEXT”)、岸本奈津枝(立身出世劇場)、バカボン(遊気舎)、日詰千栄、田所草子(TANTRYTHM)、金田典子(劇団太陽族)、小笠原将人(劇団びっくり)、稲田真理(遊気舎)、信平エステベス(遊気舎)、エル・ニンジャ、石原正一、斉藤明子
ナンバー1ダンサーを決める大会「マリオネットパラダイス(通称マリパラ)」に出場すべく集まってきた、一癖ありそうなダンサー達。踊ることが大好きな白いドレスの少女壇レイコもその一人。主催者エカチェリーナ藤田と彼女が擁する真っ赤なダンサー野々村崑による出来レースの噂が飛び交う中、優勝の栄冠は誰の頭上に・・?
70〜80年代のドラマやアニメのパロディーと、いろんな劇団の役者さんたちがどっさり集まって繰り広げられるベタなストーリー。年末には「こんなに集めて舞台に上がりきれるのか・・」と余計なことを考えてしまうほど沢山の(それぞれの劇団等でで活躍されている)役者が集まってそれはそれですごいのだけど、今回のように出演者が少な目だとひとりひとりがよく見えるし、そのはじけっぷりが強烈に思えた。
ダンスもの、ということでダンスシーンがたくさんあった。失礼ながら想像していたよりみんなちゃんと踊っていてびっくりしてしまった。しろいひらひら衣装を着てバレエを踊るノボリコさんと上下真っ赤な服を着て腕を振り回しながら踊る石原さんを見ていて「これって・・」と思っていたらほんとにあのオチでびっくり。まあまあ最近リメイク版も放映されていたし、元のドラマを観たことなくても問題ないでしょう。パロディーが多い作品なので元ネタを知っていた方がより楽しめる(というか懐かしがれる?)かもしれないけど、今回の舞台では知らなくてもそれほど問題なかったと思った。
物語はベタで古典的なパターンをきっちり踏襲している。これこそが石原正一ショーの「ショー」を際立たせるための重要な背景なんだと思う。こういうベタなパターンが見えてるから、役者のはじけっぷりが際立つんだと思うのだ。みんな神経切れちゃったのではー?と思うほどぶっ飛んでいたし、観ているこっちも「そこまでやるか?!」と。みんな自分に入り込んで酔いしれてる感じがばんばん伝わってくる。これがまさしく古い劇画のテイスト。客席から観ている人を舞台に引っ張り上げて一緒に踊ったり、演劇?というよりショーという方がやっぱりぴったりくる気がする。
川下大洋劇改めゴーゴーハリケーン #2 「ソフトマシーン」
5月10日(金)19:30 よしもとrise-1シアター
作:川下大洋
演出:山崎総司
出演:川下大洋(Piper)、原尚子(立身出世劇場)、北村守(スクエア)、奈須崇(スクエア)、高木稟(転球劇場)、三浦綾乃(立身出世劇場)
電送機を研究している秋葉は、まだ人間の電送に成功のめどをたてられずにいた。そんなある日、秋葉は誤って恋人の美樹を電送してしまう・・。それから30年、秋葉は電送機の研究と並行してアンドロイドを作っていた。電送の途中でハードディスクにため込まれた美樹の情報を植え付けた、限りなく人間に人間=美樹に近いアンドロイド。一緒に暮らしはじめた二人の家に、家庭用ロボットを回収・破壊するという科学省ロボット規制法の調査官や逃げ出して来たお手伝いロボットCQがやってくる・・。
SFとして観ているとつっこみたい部分がたくさーんあった(例えば、実現しているものよりはるかに高性能のロボットをなぜ電送機研究している主人公が作れるのか、作れるとしてなぜ科学省の人が「ロボットの入手経路が不明で・・」とかとぼけたことを言うのか、等)のだけど、この物語はSF的設定を使用したロマンティックコメディなんだと思うとそんなことは全然気にならなくなった。前記のような部分はともかく脚本がよく出来ていると感じたし、どんどん引き込まれた。意図的に「いつの時代の話か(実験に失敗してから30年後となっているけれど、実験に失敗したのがそもそもいつなのかは語られなかったように思う)」をぼかしてあったんだと思うけど、うまいなっと思った。SFというのはロマンティックなものだけど、この作品は最近観た中で最もロマンティックなお芝居だったと感じた。「記憶することは愛すること(愛とは無意識に選別された記憶のこと、だとあたしは思うよ)」ということを、限りなく人間に近く作られ人間だった頃の記憶を移植された女性型アンドロイドが言うところで特にそう感じた。
役者はみんな個性的で、当て書きかもしれないけどみんな役にきっちりはまっていた。高木さんが演じる科学省の特別組織で隊長が務まるとはとても思えない間抜けっぷりや奈須さんの量産ロボットボケも面白かった。けど、個人的には北村さんに注目。制服似合い過ぎだし、それなのに妙に情けないし、ラストシーンの隊長との掛け合いはかなり笑った。
アトリエ劇研演劇祭 Program5 A-Pack
劇団衛星 「二人の愛がある限り世界は回り続けるか」
作、演出:田中遊
出演:岡嶋秀昭、田中遊
北村成美 「アイノジカン」
振付、演出:北村成美
出演:北村成美、ファックジャパン(劇団衛星)
5月2日(木)19:00 アトリエ劇研
アトリエ劇研演劇祭Package5のA-Pack。Package5では、二人芝居+ダンスのコラボレーションが4Pack上演される。二人芝居とダンスが連続して上演されるのを想像していたのだけど、A-Packではふたつの作品はそれぞれに成り立っていたり重なり合ったりしていて、ずっと飽きずに舞台に惹きつけられてしまった。
「二人の愛がある限り世界は回り続けるか」ふたりの男がそれぞれの恋人に婚約指輪を渡してプロポーズする、という物語が同時間軸で並行に表現される二人芝居。微笑ましかったり、バカっぽかったりのふたりの表情を見ているだけでも楽しかったけど、別の場所で同時に起きるハプニングが微妙に重なったり台詞の掛け合いになったりして、うまいなと思った。最初にふたりが「たとえ核戦争が起こったとしても、たとえ君が宇宙人だったとしても」二人の愛は変わらない、と独白する部分が見事にラストにつながって、その意外さをとても楽しめた。演技もよかったけど、脚本が上手かったと思った。
「アイノジカン」ダンサーである北村成美(関西コンテンポラリーダンス界のバカ娘、っていうキャッチフレーズ?がフライヤーに書いてあった)と劇団衛星の超個性派俳優のカップリング。ふたりが舞台に立っただけで、なんかただならぬ気配が漂ってくる感じだった。コトバでの表現がある演劇と違って体の動きで表現するダンスは、なんとなく敷居が高いというか分かり難いという印象があった。コトバがあれば「分からない」と判断することも出来るけど、ダンスの場合は「何で分からないのか」さえ分からない状態になってしまうことがあるからだ。この二人のダンスとてもは楽しめた。決して「コトバ」的な分かりやすさを打ち出しているダンスではないけれど、観ていてとても惹かれたし「分かる」かどうかなんてことこそどうでもいい気持ちにさせられた。下世話、というのはよい表現ではないけれど、心の奥をナマのまま「コトバ」で加工せずに取り出してみたような感じ、かな。
後は衛星のふたりの短いコント芝居があったり、4人でダンスをしたりパフォーマンスしりとりで笑わせてくれたり、「アイノジカン」のリプライズがあったり。4人はそれぞれに個性的で、特に田中遊さんは気弱なんだか怖いんだか観ていてつかめない人だと思った(笑いのセンスはありそうだ)。これを観て、「正直者の会」に俄然興味がわいてしまった。