Studio Life 「歓びの娘 鑑定医シャルル」
8月25日(日) 18:00 シアタードラマシティ
原作:藤本ひとみ(集英社刊行)
脚本、演出:倉田淳
出演(la joie):笠原浩夫、山崎康一、鶴田浩一、青木隆敏、及川健、寺岡哲、林勇輔、藤原啓児、河内喜一朗、石飛幸治、末松一仁、前田倫良、川角一郎、深山洋貴、牧島進一、萬代慶太、下井顕太郎、他
スタジオライフの新作は藤本ひとみの同名小説の舞台化。超越的な美貌と明晰な頭脳、そして冷徹な心を持つ精神科医シャルルは、研究のため少女娼婦アデルと会っていた。その頃鉱山でバラバラ死体が発見される。その死体はどうやらアデルの父親のものらしい。ロンドン警察のデュロンから依頼を受けたシャルルは、首だけ見つからないその死体と、アデルの家族の内側にある闇に切り込んでいく・・。
スタジオライフの舞台をもう何度も観ているので慣れてきたという部分はあるとおもうけど、今回は「舞台上にいるのは全員オトコなのだー」ということを抜きにしても充分に楽しめた。言い方を変えれば、舞台上が全員男優であることを観ているうちに忘れてしまうほど舞台に熱中してしまった、という感じだ。題材の妙でありキャスティングの妙であり、なのだろう。もちろん、カーテンコールの瞬間に思い出したけど・・。
今回は原作を読んでから観に行ったので、話の流れを見失うことはなかった。読んでいったら読んでいったなりに、省略されてしまった部分が気になったりやたらと説明的セリフが入るのが気になったりはするのだけど、それでも2時間ちょっとに全てを詰め込むのは無理なので悪くない感じにまとめられていたと思った。原作の方がこちらの想像力が入り込む余地がたくさんあり、また登場人物のセリフではなく状況が語られることが、登場人物の性格付けをより明確にしてくれてよいのだ。でも、舞台には舞台の楽しみがあって、今回それを堪能した感じだ。特にラストあたりのニノンの独白の迫力は絶対に舞台の方が面白い、と思った。さらに言えば、並の女優が演じたのでは生々しくて反感持ってしまいそうな役を、狂気を残したまま生々しさを押さえた演技で見せてもらって、これはすごいと感じた。
アデル役の子、12歳には見えないけど女の子には見えた。超ミニのスカートから見える脚がかなりきれいで、びっくり。顔も可愛いし。シャルル役の笠原さんがはじめて「すごくかっこよく」見えたし、デュロン役の石飛さん(←お気に入り)も女役ではなかったけど要所を決めててかっこよかったー。(あ、だんだんミーハー口調に・・)。客席はほぼ女性ばかり、そして関東からの遠征組がかなりいた模様。
スクエア 月組公演「宿題」
8月25日(日) 14:30 よしもとrise-1シアター
構成、演出、出演:スクエア(上田一軒、森澤匡晴、北村守、奈須崇)
月組公演とは、スクエアの4人だけで行なうコント形式の公演のことをさすらしい。今、関西でもっとも注目されているといっても過言ではないこの劇団がどのような笑いをみせてくれるのか、かなり強い期待をして観に行った。
ショートコントのオムニバス。4人の酔っ払いサラリーマンが免許取りたて係長の車で家を目指しさ迷う、ラジオドラマのような声と紙背景だけのスクエアサウンドシアター「のんき社員」が、それぞれのコントの間に連続ものとして挿入されるという構成。コントは(前記を除いて)4本。短いのかと思っていたけど、たっぷり2時間あった。
一番面白いと思ったのは「おばけ」。デフォルメはあっても決して行き過ぎではなく、実際にいそうな人達ばかりが繰り広げる世界。今思い出しても笑えるぐらいハマった・・。他のコントも外すことなく面白くて、幹の部分がしゃんとしてる感じ。だから「花火と火花」みたいにだらだら会話が続くようなものでもあまりだれた感じにならないし。勢いがあるっていうのはこういうことなのかなとも思った。「祭会議」がちょっと聞こえにくくてめちゃくちゃ残念だった(となりのひとが騒いでたの・・)。連続される「のんき社員」の暗転が長すぎてちょっと寝てしまいそうになったりとか、いくらなんでも「ハンバーガー」も言えない会社員はいないとは思うけどね(でも「スルー」は意味知らない人いそうだ)。
コントはまず観るべし、かな。客席における男性の割合が大きかったことも驚いた。
石原正一ショー 「渚・カタヒラ」
8月18日(日) 15:00 よしもとrise-1シアター
作、演出、振付:石原正一
出演:西田政彦(遊気舎)、千田訓子(リリパットアーミー)、園本桂子、信平エステベス(遊気舎)、日詰千栄、岡嶋秀昭(劇団衛星)、稲田真理(遊気舎)、菊丸(遊気舎)、エル・ニンジャ、小笠原将人(劇団びっくり)、植田有紀(遊気舎)、石原正一(石原正一ショー)
渚にある謎のお店。ここには何かを捜し求める人達が集うという。店主とふとしたことで知り合った男(若松)は、ふたりの女からかかってきた謎の電話の意味と、思い出せない真実の愛を見つけるべく店にやってきた。そこで出会う不思議な人々。そしてふたりの女の正体は・・。
石原正一ショーはその名のとおり「ショー」であり、バラエティ豊かな役者達が普段とは全然違う(そしてばかばかしい)役をこなし、ばーっとおもしろく盛り上がるのがその持ち味であり楽しみである、ということは分かっていた。何度も観に行っていたし。でもここまでくるともうついていけない感が強い。世代的にはかぶっているけど「みゆき」なんて読んでないし(アニメも観てないし)衛星の岡嶋さんがやった役の元ネタもさっぱり分からないし。分からなくても楽しめる物語ならいいけど、今回はもう物語なんてありゃしないし。感動を呼ぶはずのシーンも単に貼り付けただけのように繋がりがないし。ふう。
確かに笑えるところはたくさんあった。人が真面目にばかなことをしているのだもん。頭を使わなくていい種類の笑いどころはたくさんあった。でも、出演してる役者のファンだったり元ネタを懐かしいと思えるひとでなければ、今回のような投げやりな物語には付き合えないんじゃないかなあ。
無論、こういう笑いが大好きな人もいるだろうとおもうし、なにより演じてる側はとても楽しそうだった(客席にも役者さんがとても多かった)。これは個人的な感想だけど、演じてる人が楽しそうに見えるほどには観ている私は楽しんだとは言えないかも。
出演する役者さんとパロディーのネタにされる題材(今回はタイトルから推察できなかったけど)が好みの場合のみ観に行くのが正解かな、と。岡嶋さんとか西田さんとかが目当てだったんですけどね。
ナイロン100℃「フローズン・ビーチ」
8月3日(土) 18:00 近鉄小劇場
作、演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:犬山犬子、峯村リエ、松永玲子、今江冬子、渡辺麻衣子
観終わって最初に「すごかったな」と思った。女優4人による3つの時間の物語で、上演時間が2時間半という長さだったのにずっと物語に惹きつけられたままあっという間に経ってしまった感じ。集中していた疲れが終わってからばーっと出てきたのだけど、これは観てよかったなと素直に思った。(br>
1987年、1995年、2003年と3つの時間に同じ場所に集められる女達。バカンスを楽しむはずだった1987年、女達の愛憎は奇妙にねじれ、殺そうとし殺されそうになった挙げ句最後に自然死の死体が一つだけ。1995年、殺してしまったと思い込んだ方が恨みを晴らすためお菓子に毒を盛る。毒を盛られた方が盛った方を刺したが、奇蹟の指が動き流れたのは多量の血だけ。2003年、地盤沈下で沈みゆく島に三度集まる女達、蟹バビロンの言葉、死ぬために用意した銃は暴発し4人は窓の外の海に飛び出す。
それぞれの時代の時事ネタがちりばめられ、笑いどころもたくさんあって、面白かった。物語は奇妙に飛躍し、現実にはありえない収束を見せた。でも、これが「リアル」でないとは言えないと感じたのはどうしてだったのだろう。ストーリーを話しても多分観てない人に気持ちは通じない。支離滅裂な部分が多い話だし。うまく言えないけど、心の波立ち具合がリアルなのだろうか。女と女の繋がり、という奇妙なモノを描くのは女には意外と難しい。もちろん普通の男にはもっと難しいことだろう。すべての面から光を当てたような、そしてそれをねじれた物語にのせて描いたところが、私が「すごかったな」と思ったことの一番の理由だと思う。
もちろん、これは演じる4人の女優への信頼から生まれたのだろうと思う。可愛らしさも気持ち悪さも、まるで演じているのではなくそのままのように思わせられた。時代も2003年を過ぎてしまえばこのまま再演されることはなくなってしまうだろう。やっぱり、観られてよかった。
ひとつ残念だったこと。舞台のつくり上、死角が多かった気がする。双子のひとりが眠っているというベッドルームの中が全く見えず、何がある部屋なのか途中までつかめなかった。割と真ん中よりの席だったのに・・。