こどもの国
成人向要素は強くありません
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11 悪い?
滝が目前へと迫ってきた。 その手前にある岩場でアピタを降ろすウソップ。 衣服も眼鏡も何もかも、あの場所で剥ぎ取られたのだろう。 彼女は今、何も身につけていない状態に近かった。 何か着せてやらないと、このままではあんまりだ。 彼女が目を覚ましてからでは遅い。 ウソップは急いで自分のシャツを脱ぎ、彼女に着せた。 アピタが起きてくれないことには、ウソップには守るべき場所がわからない。 滝はここから丸見えの状態。 今のところ、特に不審な点は無い。 彼女が起きるまでここで待つことにしよう。 ウソップは少しだけ彼女から離れて、ボーっと滝を眺めていた。 「う・・・・・ん・・・・・・・・。」 しばらくして、アピタが目を覚ました。 ゴロンと横になっていたウソップも起き上がる。 「ウソップ・・・・・・これあなたの・・・・・?」 「・・・・・・・・・。」 なんと言えばいいのか。 ウソップは用意していたはずの言葉が全て吹っ飛んでしまった。 かわりに出てきたのは、しどろもどろの嘘。 「お、お前、どっかで足滑らしただろ? 頭打って気絶してたから、抱えて来てやったんだ! 服は・・・・・その・・・・・汚れ方が酷くて・・・・・・・・・・。」 ウソップの不自然な態度。 アピタは瞬時に、さっきの悪夢を思い出す。 でも、途中までしか思い出せない 思い出したくない どこまで乱暴されたのかも もうわからない 「助けてくれたのね。 ありがとう。」 「・・・・・・・礼なんか言うな。」 「ごめんね、ウソップ。 私、あなたに強情だって言われたのが悔しくて・・・・・・・・。」 「ごめんとか・・・・・・・言うな。」 自分が馬鹿だったんだ。 だからあんなことに。 ウソップに平気なそぶりで話しながらも、アピタの心は惨めさでいっぱいだった。 離れた場所にいるウソップにも、 気丈に振舞っているだけだということが、手に取るようにわかる。 「気にしないでね、全然平気よこんなの。 私、神経が図太い・・・・・・・。」 「気にしないでとか、そういうこと、もう言うんじゃねぇ!! 俺を責めろよ!!! なんで無理して笑うんだ!!!!!」 怒鳴りながらアピタに近付くウソップ。 アピタの脳裏に、さっきの大男たちのおぞましい感触が蘇る。 「来ないで!!!」 「・・・・・!」 「お願い、そばに来ないで・・・・・!! あなたを責めるつもりなんてない!!! でも、怖いの!!!!!」 誰しも、突如襲いかかる不運を予想できる者などいない。 ウソップも、アピタも。 取り返しのつかない、数分前の過ちを悔いる2人。 優しすぎる2人は、この時同時に自分自身を責めていた。 放っておけば、このまま時は過ぎたのかもしれない。 膨大かつ無駄な時間をかけることにより、傷が癒える可能性もあったのかもしれない。 男・ウソップに、そんな器用な逃げ方が出来るはずも無く-------------。 「怖がられて・・・・たまるかっ!!!!!!」 逃げようとするアピタをがしっと掴むウソップ。 後ろから羽交い絞めにされ、アピタは身動きが取れなくなってしまった。 「放してウソップ! お願いだから!!」 ブルブルと震えるアピタの肩。 どんなに嫌がられても、ウソップは絶対に放す気など無かった。 「何もしねぇからじっとしてろ!!!」 ウソップは両腕に満身の力を込める。 「あんな奴らばっかりじゃねぇんだ!!! もっとお前を大事にしてくれる、イイ奴もいっぱいいるんだぞ!? お前これから、世の中の男みんな避けて生きる気か!?」 そうじゃなくても ひとりぼっちだったんじゃねーのかよ? この上 そんなひどい思い込みまで引っさげちまったら もうこの先 お前が笑顔になれる日なんて 来ないような気がするんだ 「俺のせいだ、アピタ。 俺だけを責めて、憎んでくれればいいんだ! それで忘れられるんなら、思う存分恨んでくれ!!」 アピタの体を包み込むウソップの腕。 その腕のぬくもりは、 冷え切ったアピタの体を隅々まで温もらせていく。 この人 どうかしてる あなたは何も悪くないのに あなただけを責めろですって? なぜ そんな台詞が言えるの? なぜ? なぜ あなたはそんなに・・・・・・・・。 「なら・・・・忘れさせてよ。」 「 え? 」 「あなたを憎んだり・・・・・責めたり、 そんなこと私に出来るわけ無いじゃない。 忘れろって言うんなら、忘れさせてよウソップ。 今ここで、私を抱いて。」 「なっ・・・・・!!?」 うつむいた顔、昼間とは違う声。 始終震えている彼女の小さな背中は、あの時感じた恐怖の度合いを物語る。 もしそんなことをしたら、忘れさせるどころか、 更に深く傷つける結果になってしまうんじゃないだろうか? ウソップは彼女の自暴自棄な発言が理解できなかった。 「お前・・・・・・・俺のこと、もう怖くねぇのか?」 背を向けたまま、こくんと頷くアピタ。 ウソップはアピタの顔を自分の方へと向ける。 「 なんで? 」 顔を背け黙り続けていたアピタ。 しばらくして、少しふてくされた表情になり、潤んだ瞳でウソップを睨んだ。 「なんで?・・・・・・・ですって? 好きになっちゃったのよ、悪い!!? なによ、嫌なら嫌だって、そうハッキリ・・・・・・・!!!」 自分が射止めてしまった相手、ということなら話は別。 それを取り逃がすようでは、狙撃手の名が廃る。 ウソップは、それ以上彼女に恥はかかせなかった。 体の隅々まで、新しい感触が埋め込まれていく。 心の底から愛しいと思う男の肌に触れる。 その悦びは、彼女に全てを忘れさせた。 忘れるどころか、思考することすら不可能だった。 後に待ち受ける痛みを、更に増幅させるだけの行為だったのかもしれない。 それでも互いを求めずにはいられなかった、バカ正直な2人。 滝から降り注ぐ霧はただ静かに、そんな2人を包み込んでいく。
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