こどもの国
成人向要素は強くありません
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13 優しい嘘
ウソップの抱擁は、アピタに全てを忘れさせた。 ついさっきのむごい記憶も、 肩肘張った半生の、その代償に植え付けられたものも、 全て溶けて流れていった。 この腕を手放すことなど、もうアピタには出来そうに無かった。 行ってしまう-----------------。 ウソップは、偶然この島へ寄っただけの海に生きる男。 わかってる・・・・・。 わかってるけど・・・・・! アピタはウソップをぎゅうっと抱きしめる。 「・・・・・・・。」 今は何を言っても、彼女を壊してしまうだろう。 ウソップはそう思った。 ずっと一緒に居てやれるなら、それが1番いいに決まってる。 でも、それは出来ない。 あのヘンテコな、麦わら印のジョリーロジャー。 俺は奴の呼ぶ声に逆らえない。 他の何を犠牲にしようとも。 壊れやすいものは いっそ1度壊してしまった方がいい その方が 強く生まれ変わることが出来るはずだ ウソップは立ち上がる。 「いつまでもくっつくな。 俺はお前の男じゃねぇ、たまたまムラムラしてたからやったまでだ。」 服を着るウソップ。 背中を向けたまま、アピタのほうを一切見ようとしない。 「行かないで・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・。」 「ここにいて・・・・・・ウソップ。 お願・・・・・・・。」 「お前もさっさと服着ろ。 風邪ひくぞ。」 背中が言ってるよ ウソップ 言いたくないこと言ってるって あなたの背中 ずっと叫んでる ウソップの罪な優しさは、アピタをがんじがらめに縛り付ける。 「俺は嘘つきだって言ったろ? お前のことなんか何とも思ってねぇ。 それでもやるこたやるんだ、男ってのはそーいう・・・・・。」 「嘘でもいいから・・・・・・・! ・・・・私のことなんて、何とも思ってなくていいから・・・・! そばにいてウソップ、もうどこにも行かないで!!!」 「ふざけたこと言うな!!! お前、俺が海賊だってわかってて言ってんのか!?」 振り向いたウソップの目に映ったのは、アピタの涙。 自分に惚れてしまったらしき女の、 すがるような濡れた瞳。 バカだ お前 どうすることも出来ず、向かい合う2人。 アピタは一瞬たりともウソップから瞳を逸らさず、無言で語りかける。 別れを避けられないことくらい 知ってるわ あなたを引き止められないことくらい だから 最後くらい ワガママを言わせて 強情な私が 納得するくらいの 優しい嘘を 私に聞かせて 滝の音。 カサカサ揺れる木の葉の音。 もう過去には戻れないのだと、全ての音が2人に告げる。 「・・・・・・・迎えに・・・・・・・来るから。」 ウソップは、自分のシャツを彼女に着せてやる。 「俺が本当に、勇敢な海の戦士になったら・・・・・。 そん時はお前を・・・・・かっさらいに来るから。」 「・・・・・・・・・。」 「それまで大人しく待っとけ!!! わかったか、この石頭!!!!!」 「・・・・・・・・・うん。」 遂に『 強情娘 』から『 石頭 』に昇格してしまったアピタ。 彼女はもう泣かなかった。 ウソップが迎えに来てくれる日など、訪れないとわかっていても。 あなたの言葉を信じて、私は生きる。 あなたの勇姿を想い描くことが、私の生きる糧になる。 それは、私の中の真実。 2人はやっと、笑顔になった。
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