こどもの国
成人向要素は強くありません
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5 誘拐犯
「ヤケに遅かったな。 何かあったのかと思ったぞ。」 待ちくたびれた様子で腰を上げるゾロとチョッパー。 ウソップは2人にさっきの話を言うかどうかためらっている。 「悪ィ悪ィ! 決闘の申し込み受けてきたんだ、今。」 「ふーん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハァッ!?」 船に帰ろうと歩き出したゾロとチョッパーは、 ルフィの発した言葉に、目を点にして振り返る。 いきなり大胆な説明だな、オイ ルフィの行き過ぎた単刀直入さに呆れつつ、フォローするウソップ。 「心配しなくていーんだ、別に大したことじゃねぇ。 隣に大きな船泊まってたろ? あれにちょっと変わった奴が乗ってて・・・・・。」 「で、・・・・・・なんで決闘??? 誰だよ相手は?」 「んーーーー、何ちゅーか、 フガイ達と似てるようで似てねぇチビだ。」 「なんだ、子供か。 あまり人を脅かすな。」 ゾロとチョッパーは、真に受けて損した、という表情で去って行く。 その後ろ姿にウソップは心の中で呟いた。 ( 子供っつても、十人十色だけどな・・・・・・・。) 「さてと。 “ 魔王 ”とかってのが来ねぇようにしっかり見張らねーとな。」 「お、おう! このウソップ様がいれば安心だ!!!」 と、張り切る口調とは裏腹に、 座った途端イビキをかきはじめるルフィ。 「・・・・・・・・そーいう奴だよ、オメーは。」 あてにはしていなかったものの、 こんなに早々と夢の世界へ行ってしまわれるとも思っていなかった。 心細さを隠せないまま、ウソップは暗闇に目を凝らす。 遠くから聞こえてくるゴウゴウという滝の音。 時折吹く風が木々を揺する際の、あのサワーっとした音。 怖っ!!!!! 隣でグーグー眠っているルフィを叩き起こそうかどうしようか、 ウソップはひたすらそれだけを悩み続けた。 無駄な時間を何分間か過ごしていると、 ルフィのいびきに混じって、何やら妙な音が聞こえてくる。 タッタッタッタッタッタ・・・・・・・・ 何者かの足音。 それは徐々にこちらへ近づいてくる。 「ヒィィーーーーーーーっ!!! 起゛き゛ろ゛ルフィーーーーーーー!!!!! 頼むーー、起きてくれ!!!!!!」 「うー・・・・ん。 もう喰えねぇ・・・・・・・・。」 「ちがーーーーーう!!! 俺達のほうが喰われそうなんだ!!!!!」 ウソップがいくら揺さぶっても、ルフィは起きない。 遂に足音はすぐ目の前まで近付いて、ピタッと止まった。 「・・・・・・・・?」 近くから聞こえてくるのは、ハッハッハというケモノの息継ぎ。 まだぼんやりとシルエットが見えるだけだが、とても大きな何かがそこにいる。 「ワンッ!」 「あれ? お前昼間の・・・・・・・・。」 近付いてきたのは犬だった。 昼間嬉しくない歓迎を受けた、あの本屋で飼われているリキという犬。 大きな体をくねらせながら、 ルフィを完全に無視して、ウソップのほうへと向かうリキ。 この犬は、図体こそ大きいがちっとも怖くない。 ウソップはホッと一安心した。 「なんだ? 俺に用でも・・・・・・・。」 ガブッ 「のォゥっ・・・・・・・・!!?」 何を思ったか、リキはいきなりウソップの腕に噛み付いた。 あまり強くは噛んでいないが、 リキが引っ張ってくる力に抵抗しようとすれば、引き千切られかねない勢い。 「( ルーーーフィーーー!!! 助けてくれ〜〜〜!!! )」 リキを刺激しないよう、ウソップは小声で一生懸命ルフィを呼ぶが、 ルフィは爆睡していて起きる気配すら無い。 そのままズルズルとリキに引っ張られるウソップ。 リキはウソップをどこかに連れて行きたいらしい。 「やーめーろぉぉぉーーーー! 俺なんか喰っても美味くねぇって!!! この鼻がイヤだってんなら、なんとなくホラ、謝るからっ!!! ごめんなさい。」 ウソップがいくら頼んでも、リキは噛み付いた部分を離そうとしない。 モップのような毛で完全に覆われているリキの瞳。 たとえウソップには伝わらなくとも、 そこには1つの確固たる意思だけが存在した。 『 アピタをよろしく頼むよ リキ 』 リキはぐいぐいとウソップを森の外へ引っ張る。 ウソップも半泣きになりながらそれに従う。 腕が痛いからじゃない。 リキの必死な様子に、どうも本気で抵抗する気になれなかった。 『 物書きに夢中になりすぎて 私はあの子に 1番大切なことを教えてやれなかったのかもしれない 』 リキの頭を優しく撫でながら、 そう呟いたっきり、閉じた瞼を2度と上げなかった最愛の主。 賢いリキには主の言葉が伝わっていた。 だが、アピタに教えてやれなかったという、 大切なことの内容までは推し量れない。 昼間ウソップを見た時、リキは彼に主と同じ匂いを感じた。 同時に、 なぜだかわからないけど、無性にウソップに対して腹が立った。 ( なんかこいつ・・・・・気に食わん ) なのになぜか、 アピタの危機に際して真っ先に頭に浮かんだのは、彼の長っ鼻だけだった ファンティール家を愛し、支え続けたリキが ウソップを気に入らないのも無理はない。 それは当然とも言える ” 嫉妬 ” なのだから。
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