こどもの国
成人向要素は強くありません
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8 無敵
アピタの父、ハピネ・ファンティールが アピタと共にベスボル島へ越してきたのは12年前。 わずか5歳にして母を病気で亡くしてしまった我が子を 何とか元気付けてやりたいと、ハピネは環境抜群のこの島へ移住することを決断した。 環境は確かに申し分ないが、 売り出し中の作家にとって、地の利の悪さは致命的。 それまで僅かではあるが継続的に依頼のあったはずの仕事は一気に消えた。 当然ながら貧しい日々。 アピタにだけはひもじい思いをさせたくなかったハピネは、 新しい町で新しい職につき、無理を重ねていく。 本業とかけ離れた肉体作業。 日に日に物書きとしての感性を失いつつある自分。 どんなに払拭しようと努力しても、ハピネは無意識に葛藤していた。 彼は休みの日になるといつも森の奥の滝を見に行った。 滝が飛ばす水飛沫がうっすらと虹を作る。 娘を肩車して、その光景を眺めるのが好きだった。 ある日、彼は職場で重大なミスを犯してしまった。 考え事をしていたせいだったのだが、その日のうちにクビにされた。 このまま家に帰るのも気が引ける。 ハピネはそのまままっすぐ滝へと向かった。 そこで、自分の運命を変える ”あるもの ”と出会ったのである。 ウソップとアピタは真っ暗な山道を走り続けた。 それを狙う者がこの島に来ている。 奴らが先に辿り着いたらお終いだ。 アピタはあの後、自分が知っている全てのことをウソップに話した。 信じてくれると期待していなかったのに、 案外あっさりとウソップはそれを信じた。 それどころか、話を最後まで聞き終わる以前に真っ青な顔になり アピタに懇願し始めた。 「頼む!!! そこに連れてってくれ!!!」 「 え? 」 「そのシンって奴に俺もついさっき会った、俺の仲間に決闘を申し込んできたんだ。 おかしなガキだとは思ってたんだけどよ、そんなこと企んでやがったのか・・・! このままじゃルフィが・・・・・・・俺たちの船長が危ねぇ!!!」 「 !!! 」 「奴に “ 無敵 ”になられちゃ困るんだよ、アピタ!!!」 アピタは家の戸締りをするのも忘れ、ウソップと共に走り出した。 拭い去れない不安は数限りなくある。 その中でも最もアピタの心を悩ませているもの。 「行っても・・・・・・・無駄かもしれないよ。」 「 へ? 」 走りながらアピタが呟いた言葉に、少し驚くウソップ。 「私達が行ったところで、そこの入口すら見つけられないかもしれないの。 子供にしか見えない、そういうところらしいから。」 「・・・・・・・・。」 ウソップはピタッと立ち止まる。 「お前よー、何でもすぐに決めつけるの、悪い癖だぞ。 現にお前の父ちゃんは見つけたんだろ? なら大人にだって見えるってことなんじゃねーのか?」 「そうだけど・・・・・! 町の人達は、いくら探しても何も見つけられなかったって言ってたもの!」 「なら、そいつらにはたまたま見えなかっただけだろ? 俺達にも見つけられないなんて、何で言い切れんだよ? 少しはミラクルってもんを信じろ、この強情娘。」 「ごっ・・・・・・・!?」 ( カチーン ) 「お前がそんなんじゃ、あの世の父ちゃんも泣いてるぞ? とにかく、余計なこと考えるのは後だ、あと! 行くぞ!」 今、強情娘って言ったわ、この人。 今日会ったばかりなのに。 やっぱり・・・・・・・・・・・・大っ嫌い!!! 前を走るウソップは気付かない。 彼女が今どんな顔をしているか。 山道の途中で彼女が違う道へ進んでしまったことにも、 ウソップはしばらく気付かなかった。
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