Back Number 2001.8


2001.08.01 FINAL DISTANCE / UTADA HIKARU

「宇多田ヒカルの新曲はチャート初登場1位を取れませんでしたね。」
「1位はモーニング娘の『ザ☆ピース』だったな。」
「先生にとってはどっちでもOKなのでは?」
「うーん、どっちかというと、アイドルであるモーニング娘より、
アーティストである宇多田ヒカルに1位を取って欲しかったな。」
「なるほど。」
「まあ、売上で評価するもんじゃないけどね。」

「でも、1位を取れなくても仕方ないのかな。」
「それはいったいどういうわけで?」
「今回の曲『FINAL DISTANCE』は、
アルバムに入っている『DISTANCE』という曲のリメイクなのだよ。
純然たる新曲というわけではないからね。」
「なるほど。そうでしたか。
アルバムを買った人は『もういいや』と思うかもしれませんね。」
「それに、世間の宇多田騒ぎもひと段落した感があるしな。」

「原曲は宇多田ヒカルには珍しくメジャーコード感が強くて、
ポップで爽やかな印象なのだけど、
ピアノとストリングス中心のスローバラードにアレンジされて
沁み入るような美しい仕上がりだぞ。」
「ずいぶんと壮大なストリングスですね。」
「ちょっとあざといかなという気もするけどね。」

「スローにして良くなるということは、
曲そのものが良いということなのでしょうか。」
「うむ。良いところに気が付いたね。
原曲はポップな感じではあるけれど、
よく聴くとすごく美しいメロディ・ラインなのだよ。
アルバムの中で一番好きな曲なので、
こういう形で光が当たるのは嬉しいことだねえ。」

「リミックス・バージョンが2曲入っていますが、
こちらはどうですか?」
「個人的にはNGだね。」
「あらら厳しい。」
「リズムのテンションが高すぎると、
メロディの美しさをじっくり味わえないよ。
宇多田ヒカルの声には生演奏が合うと思うんだけどなあ。」



2001.08.02 本の雪崩

お部屋でくつろいでいるときに、
積み上げた本の山が音もなく崩れて
顔面に降ってきたことがありますか?

いいかげんに処分しないとヤバい状況になってきた。

前回、本を処分して以来約4年。
ちゃんと数える気にもならないが、
ざっと800冊はあるとみた。
2日に1冊のペース。

狭いアパートの貴重なスペースを
W800mm×H1200mm×D800mmも占有している。
なんてもったいない...



2001.08.05 やめときゃよかったカップ麺

小腹がすいたので、カップ麺を食べたら、
妙な具合に腹が張って苦しい。
吐き気もする。
やめときゃよかった。
大後悔。



2001.08.06 会話の記憶

今週が終われば夏休み。
はっきりいって仕事なんてやる気ないよー!

とゆーわけで、今日は残業もそこそこにa24氏と飲む。

帰り道、
「今日、飲みながら何の話をしたっけ?」
「さあ?」
ってくらいに中身のない軽ーい会話だった模様。
笑った覚えはあるのだが...

そういう酒もまた良し!



2001.08.07 PET SOUNDS / The Beach Boys

「このアルバムは以前も紹介しませんでしたっけ?」
「したね。」
「健忘症ですか?」
「違うわ!」

「これは『ステレオ・バージョン』だ。
不覚にも存在を知らなかったのだが、
2年ほどまえに発売されていたらしい。
なんと1枚のCDに、
ステレオとモノラルの両バージョンが入った
超お買い得盤なのだよ。」
「というと、オリジナルはどちらで?」
「モノラル・バージョンがオリジナルだ。
ステレオ・バージョンは元々存在していなかったのだが、
1997年に発売されたボックスセットに、
リミックスとして収録されたものらしい。」
「てことは、ビートルズの『Yellow Submarine Songbook』と
同じようなものと考えてよいのでしょうか?」
「そういうことだな。
バッキングトラックまでさかのぼって
ミックスをやり直すという手法も同様だ。
但しビートルズよりこちらの方が先なので真似ではないぞ。」

「そもそも、モノラルの曲を聴いたことがない人も多いのでは?」
「ああ、いまどきはそうかもしれないなあ。」
「先生の時代ですよね。」
「ちょっとまてっ!」
「あれ?先生の頃もステレオってあったのですか?」
「子供の頃からすでにステレオの時代だ馬鹿者!」

「モノラルとステレオの違いって、どんな感じなのですか?」
「当然のことだが、ステレオは音に広がりがある。
それに、各楽器の音が違う位置に配置されるのでクリアに聞こえるな。」
「なるほど。」
「それに対して、モノラルはざらついて割れたような音になる。
音質は良くないけれど、音がひとつのカタマリになるので、
ぶっとくて音圧の強い、迫力のあるサウンドになるのだ。」
「モノラルが必ずしも悪いということではないのですね。」
「ビートルズやストーンズの初期の曲なんかは
モノラル・バージョンの方がカッコ良かったりするぞ。」

「で、この『PET SOUNDS』については、
モノラルとステレオのどちらが気に入ったのですか?」
「うーん迷うなあ。素材が良いから当然どっちも良いのだが、
しいて言えば、モノラルバージョンかな。
美しさを堪能するにはステレオの方が良いのだけど、
ここはモノラルの『暗さ』に軍配を上げたい。」
「同じ音源でそんなに違いが出るものですか?」
「ステレオだと、各楽器の音の間に青空が見える気がする。
それに対してモノラルは深い闇が見えるのだよ。」
「うわ!詩人みたいなことを!似合いませんよ。」
「・・・・・」(これでも作詞をする人なんだけどな。しくしくしく)



2001.08.08 Comic:詩人ケン/業田良家

「詩人ですか。昨日のラストから上手くつなぎましたね。」
「いや、偶然なんだけどね。この本は今日買ったから。」

「この本、タイトルから中身が想像つかないんですけど。」
「妻子持ちの詩人ケンの日常を描いた漫画だよ。
なかなか深くて感動的な名作だぞ。」
「よくわかりませんが...」
「最初のうちは、旅に出ようとしたけど無銭飲食で捕まったり、
妻に良い言葉を吐かれてショックを受けたりと、
なかなか情けない詩人として描かれているのだけど、
社会の歪みを知るにつれて、だんだんカッコ良くなっていく。
詩の内容も、矛盾をはらんだ深いものになっていくのだ。」

「社会に適応すると詩は書けないのでしょうか?」
「世間的なイメージはそうだろうけど、
個人的にはそうは思いたくないね。
社会不適応者だったケンは、最後には定職につくのだが、
生活の中で作る詩は、かえって研ぎ澄まされたものになっていき、
ミュージシャンになった息子は逆に言葉をなくすところなんか
象徴的だと思うよ。」

「それともうひとつ。
詩人には理解者が必要だということ。」
「理解者ですか...」
「ケンの妻ルルがまた良いのだよ。
ケンを完全に理解して包んでくれるとこがね。
私にとっての理想の男女関係だったりするのだ。」
「おや、先生にもそういう理想があったのですか。」
「あー俺も理解者が欲しいよう!」


最後に、作品中で私が一番気に入った詩をご紹介。
ケンがルルと大納言あずきアイスを食べながら作った詩。

 初めて芽をふいたとき
 あずきは
 あずきの味だった
 神が創っている

 彼女は
 毎日少しずつ
 変わっていくけど
 彼女の味がする
 神が創っている


シンプルながら美しい。



2001.08.09 NAGASAKI

11:02
仕事が忙しかったので黙祷はできなかったけど、
祈る気持ちは忘れてはいない。



2001.08.10 夏休みの計画

いよいよ、明日から夏休みに突入。

何も予定を立てていないよー!

ま、なんかやることはあるでしょう。
たぶん。



2001.08.11 夏休み初日の過ごし方

就寝:2:00
起床:19:00

確かに先週は疲れていた。
だからといって17時間とは...

家族持ちにはまずできない休日の過ごし方。
うらやましい?



2001.08.12 久々なれど悪条件

「大元帥だねえ。」
「はあ?!」
「おっといかん。変換ミスだ。やりなおし。」

「大減水だねえ。」
「関東地方は水不足ですからね。」
「昨日の雨程度じゃ回復はしなかったようだな。」
「湖底の岩が水面に顔を出していますよ。」
「すごいねえ。岩が多いポイントだとは思っていたが、
こんなにでかい岩がごろごろしていたとはねえ。」

「それにしても寒いですね。」
「寒いねえ。8月だというのに手がかじかむよ。」
「水がすごく濁っていますね。ゴミもたくさん浮いているし。」
「雨の後だからねえ。」
「向かい風が強くて大波が立っていますよ。」
「ほんとにねえ。ツイてないねえ。」

「素人目に見ても、これはかなりの悪条件なのでは?」
「うむ。かなりキビシイな。」
「でもどうせここで釣るんでしょ?」
「久しぶりの『いつものところ』だからな。
場所を変えると後悔しそうな気がするんだよ。」


<Fishing Deta>
●釣行 今年14回目
●釣果 バス4匹
●通算 バス28匹(平均2.00匹)
●場所 いつものところ
●天候 曇り
●風  強風
●水質 濁り強
●ヒットルアー
  常吉ワーム(Arkansus Shiner)/常吉リグ
  フラットヘッドミノー(Black/Purple)/常吉リグ×2
  ゲイリー・カットテールワーム(Black)/常吉リグ


平均2匹台復帰!おめでとうございます。」
「な?ここで正解だったろう。」
「今日のヒットルアーは初登場のが2つもありますが。」
「水の動きが強いので、あえてアクションの小さいワームを選んだのだ。
水の色も白っぽい濁りだったので、ワームを黒にしたのも正解だったね。」
「つまり、コンディションが悪いときは悪いなりの戦略があると...」
「そゆこと。釣りは自然を相手にする遊びだからな。
コンディションの悪さを言い訳にしてはならないのだ。」
「でも先生、過去にそういう言い訳をしていたような気が...」
「忘れろ!」




2001.08.13 Movie:テルミン

「君は『テルミン』を知っているかね?」
「・・・乗り物酔いの薬ですか?」
「それはトラベルミンだ。」
「あ、わかった。マッサージのお店。」
「それはてもみん。」

「テルミンとは、1920年代に発明された電子楽器だ。
ふぃーんって感じの不思議な音を出す。
アンテナから電波を発信していて、
そのアンテナに手を近付けると音が出る。
手の位置で音程と音量をコントロールするのだ。」
「えっ!楽器に手を触れずに演奏するのですか?」
「そう。演奏している姿はまるで舞いのよう。」
「弾きこなすのは難しそうですね。」
「空中に見えない鍵盤があるようなもんだからね。」

「一般によく知られた楽器なのですか?」
「いや、知っている人は少ないだろうね。
神秘的なイメージの音を出すので、
昔は怪奇映画のBGMに使われることが多かったらしい。」
「ロックやポップスではあまり使われないのですか?」
「The Beach Boysが、シングル『Good Vibration』や
アルバム『Pet Sounds』で使ったのが有名だな。
他にはLed Zeppelinがステージで使っていたり、
最近ではJon Spencer Blues Explosionが使っているぞ。」

「前置きが長くなってしまったが、この映画は
テルミンの発明者であるテルミン博士の生涯を、
当時の映像と関係者のインタビューで追ったものだ。」
「どうでした?」
「なんかNHKのスペシャル番組みたいだったな。」
「それだけですか?」
「あと、関係者がすでに高齢なので、
爺さん婆さんのアップが続くのは観ていてツラかったな。」

「どうも非常にマイナーでマニアックな映画のようですね。
いかにも客が入らなそうな。」
「私もそう思って、開演時間ぎりぎりに入館したら
ほぼ満席で最前列しか空いていなかったよ。
おかげで首が痛いったら。」
「なんと!」
「こんなマニアックな映画でも満席になるなんて、
東京ってホントに変な街だなあ。」



2001.08.14 髪を切る

今日は久しぶりに髪を切ることにした。
3ヶ月ぶりだ。社会人としていかんよね。

意外かもしれないが、オイラは床屋さんで髪を切る。
美容室の方が向いているスタイルではあるけれど、
女性客が多い美容室はどうも気恥ずかしくてねえ。

都心に出れば男性客の多い美容室もあるだろうけど、
わざわざ電車に乗って髪を切りに行くってのも抵抗がある。
なにより面倒臭い。

そんなわけで、いつも近所の床屋さんで切っているわけだが、
近頃、新しい床屋さんがオープンしたので、試しに行ってみた。

店名や内装は美容室のようで、
理容師も若く、カジュアルな服を着ている。
洗髪も仰向けである。
だけど入口には例の赤白青のやつが回っていて、
床屋であることをしっかりと主張している。

美容室のマインドとセンスを持った床屋さん。
オイラにとっては最も都合が良い形態である。

希望の髪形を説明すると、すぐにそれを理解して仕上げてくれた。
説明してもわかってくれない人って多いので満足。



2001.08.15 Movie:ザ・トレンチ

「トレンチとは『塹壕』のことである。
戦場に溝を掘って構築した陣地のことだな。」
「そうですか。私はてっきりコートのことだと。」
「間違いではないな。語源は同じだ。
トレンチコートは元々軍服だからね。」

「この映画は、第一次世界大戦の『ソンムの戦い』を
イギリス陸軍の側から描いたものだ。
塹壕はいわば第一次大戦の象徴ともいえる戦法でね。」
「第一次大戦の映画っていうのも珍しいですね。」
「日本やアメリカは第一次大戦への関与が小さいので
語られることが少ないし、その映画もほとんどないけれど、
ヨーロッパでは大きな出来事であって、映画化されることもあるのだよ。
『西部戦線異常なし』という名作もある(オススメ)。」

「戦争映画ではあるけれど、戦闘シーンはほとんどない。
大部分が、最前線の塹壕内における人間ドラマだ。
総攻撃を前にしておびえる姿や、
ちょっとしたことで起こる喧嘩など、
兵士といえども結局は弱い人間の姿を描き出している。
かなりシブい映画だよ。」
「いわゆる戦争アクションというか、
戦闘シーンの激しさを売りにする映画ではないわけですね。」
「戦闘シーンは最後にちょっと出てくる。
総攻撃が開始され、塹壕を出て敵の塹壕に突入するのだが、
銃を構えてゆっくりと歩いて進軍していくのだ。」
「ゆっくりと歩いてですか?走ったり匍匐前進じゃなくて?」
「当然ドイツ軍の一斉射撃にあって、
主要登場人物達が倒されていくところで映画は終わる。
戦闘シーンというよりは、一方的に倒されているだけだな。」
「なぜ歩いて突入するのかという疑問がわくのですが...」
「銃の射程距離が短かった時代の名残らしい。
歩兵戦術の常識が、銃や武器の進化に追いついていなかったので、
第一次大戦の塹壕戦は非常に多くの犠牲者を出したということだ。」
「はあ、そういうわけですか。」
「そういう知識がないと、このラストシーンは納得いかないかもね。
映画の中でそれを説明するのは難しいと思うけど。」
「そういった愚かな戦術の犠牲になった兵士たちを描くことで
戦争の愚かさを訴えようとしたのかもしれませんね。」



2001.08.16 迷信

「今日で夏休みも終わりですね。」
「なんかあっという間に終わった気がするよ。
特に退屈もせず過ごせたのが不思議だ。」

「もっと釣り三昧の日々になるかと思ったら、
結局1回しか行かなかったのですね。」
「お盆の期間中は釣りに行かないことにしているのだ。」
「ほう。それはなにゆえに?」
船幽霊が出るからな。」
「はあ?」
「お盆に漁に出ると、船幽霊が出るのだ。
まんが日本昔ばなしでやっていたのだ。」
「・・・・・」
「私の田舎では『地獄の釜の蓋が開く日』とされていて、
水中に引きずり込まれると言われている。
泳ぐことも禁止されているのだよ。」
「・・・迷信ですよね?」
「迷信だよ。」
「まさか本気で信じているってことはないですよね?」
「本気で信じているわけがなかろう。
元々、船幽霊の伝説が生まれた背景には、
みんなが仕事を休むお盆に抜け駆けされるのを防ぐという、
地域共同体の生活の知恵があったらしいな。」
「そこまでわかっていて守りますか。」
「わかっていても何となく破れないのが迷信ってやつよ。」

「でも先生、バックナンバーを読み返してみると、
去年は8月15日に南部手賀沼に釣りに行っていますが...」
「うっ!」
「どういうことですか?一貫していないじゃないですか。」
「うう、去年はガマンできなかったんだよう。」



2001.08.17

■似非ハードボイルド小説「朝の疾走」


俺は目覚めた。
東向きの窓から明るい光が射し込み、
俺は今日も晴天であることを知った。
ベッド・サイドに置いてある時計を見た。
家を出るべき時刻を、すでに5分過ぎていた。

「ジーザス!なんてこった...」
昨日までのヴァカンスで、体内時計に狂いが生じたようだ。

「間に合わないか...」
いったんはあきらめかけて、しかし、俺はもういちど考えた。
俺の脳は即座に覚醒し、計算を始めた。

普段の通勤時間は約45分。
現在の時刻は、始業時刻の45分前だ。
これから5分で支度を済ませて、
駅からオフィスまで走れば間に合うかもしれない。

「午後から出社することにして、もう一度寝てしまえよ。」
「急いでも間に合わないさ。疲れるだけだぜ。」
俺の頭の中で悪魔が囁いた。

しかし俺はベッドから飛び起きた。
可能性がある限りあきらめない。
それが俺の信条だ。

顔を洗い、リステリン・フレッシュミントで口を濯いだ。
そしてコンタクトレンズを装着し、
ヘインズのTシャツとストライプのシャツを身に着けた。
瞬時の判断で、タイはネイビー・ベースのドット・パターンを選択した。
(これは少々選択を誤ったようだ...)

一分一秒を争う状況ではあるが、
PortugalのEau de Cologneは忘れない。
いついかなるときも伊達に決める。それが俺の信条だ。

チャコール・グレイのスーツに身を包み、俺は家を出た。
大丈夫。まだ可能性は残っている。
金曜日は生ゴミの日だ。
俺はゴミを出すのも忘れなかった。

駅のホームに到着すると同時に、電車が入ってきた。
素晴らしいタイミングだ。
ここでロスタイムがあれば、間に合うことは困難になる。
俺は神に感謝した。

電車は時間通りに、オフィスのある駅に到着した。
時間に正確であることは、この国の交通機関の最大の長所だ。
時には疎ましくもなる実直な国民性だが、
今日ばかりは感謝した。

そして俺は走った。
列ができている自動改札を避け、有人改札を駆け抜けた。
レザー・ソールのローファーは、走るのには向いていない。
アスファルトの固さが俺の身体に響いた。

おそらくは俺と同じバカンス明けだろう、
けだるそうに歩くビジネスマンたちをすりぬけ、
俺は走った。風のように。
ネイビーのタイが宙に舞った。

タイム・レコーダーにカードが吸いこまれ、
黒いインクで現在の時刻が刻印された。
始業1分前。
まるで007のようじゃないか?

俺はやりとげたのだ。
心地よい汗と疲労。そして息切れ。
10分間は仕事にならなかった。
(↑ダメじゃん!)

- The End -



2001.08.18 新規開拓が急務である

「先週に引き続き、いつもの場所ですが...」
「また今週も強風・大波だねえ。」
「ここでやるんでしょ?」
「いや無理だよ。」
「だって先週『条件が悪いときは悪いなりの戦略がある』
なんてことを豪語していたではありませんか。」
「程度によるよ。今日はひどすぎる。
東映のマークが出そうな高波だもの。」

「というわけで、場所を移動して、
ここは霞ヶ浦の『和田ワンド』です。
よくガイドブックに載っている有名な場所ですね。」
「・・・・」
「おや、浮かない顔ですね。」
「オレ嫌いなんだよな、ここ。」
「釣れないんですか?」
「釣れないわけではないけれど、ボウズ率が高いんだよ。」


<Fishing Deta>
●釣行 今年15回目
●釣果 ぼーずっ!
●通算 バス28匹(平均1.87匹)
●場所 霞ヶ浦・和田ワンド
●天候 曇り
●風  強風
●水質 普通


「な?」
「な?って言われても...」
「だから嫌だったんだよここ。」
「そうはいっても、いつものところが荒れたときに、
風の影響がない場所って
近くではここしか知らないんでしょ?」
「そうなんだよねえ。」

「それにしても先生はどうして
有名なポイントでは釣れないんでしょうか?
無名なところではそこそこ釣るのに。」
「それがわかっていれば、もっと釣果が上がっているよ。」

「というわけで、今後の課題は、
いつもの場所の近くでの新規開拓だな。」
「ガイドブックで調べてみては?」
「いや、だから、私は有名ポイントでは釣れないんだよ。
テキトーにクルマで走ってみて、
勘を頼りに竿を出してみるしかないのだ。」
「そりゃまたずいぶん気の長い話で。」
「しかし、いつもの場所もそうやって見つけたんだし、
良い釣りライフを過ごすためにはそういう努力も必要なのだよ。」



2001.08.19 Movie:さびしんぼう

「私はキーボードで、
ショパンのエチュード『別れの曲』を練習しているわけだが、
この曲を好きになったきっかけが、この映画
大林宣彦監督作品『さびしんぼう』だ。」
「大林宣彦映画が好きなのですか?」
「大好きだねえ。
叙情豊かな映像と青春の甘酸っぱさ。」
「中年男のノスタルジーですか?」
「嫌な言い方するねえ。
まあ、確かに汚れっちまった私だけどな。」
「10代の頃は遠くなりにけり ですねえ。」

「さて、この『さびしんぼう』だが、
大林宣彦映画のなかで私が一番好きな作品なのだ。」
「主演は尾美としのりと富田靖子ですね。」
「富田靖子が良いのだ。健気で可愛くて。
ただでさえ胸がきゅんとする大林宣彦映画なのに
富田靖子で胸きゅん度がさらにアップだ。」
「・・・30男が胸きゅんって・・・」
「まあ、そんなミーハーな楽しみ方だけでなくて、
恋心の輪廻転生というか、
哲学的に深く考えさせられるとこもあるのだよ。」

「で、やっと最近この映画のDVDが発売されたのだ。」
「おや、なんともタイミングが良いことで。」
「映画では最後のタイトルバックで、
富田靖子が主題歌(『別れの歌』に歌詞を付けて
ポップにアレンジしたもの)を歌って、
しみじみとした感動をぶち壊してくれるのだが、
DVDでは、当初のアイデアだった尾道の夕景で、
余韻が残る感動的な仕上がりですぞ。」



2001.08.20 シンクロニシティ

今日の通勤MUSICは「無罪モラトリウム/椎名林檎」。
「夕焼け」という歌詞のところで、
ちょうど電車の窓から目に入ったのは、
「ゆうやけ」という飲食店の看板。

まあ!なんて偶然!

それだけ。
オチはありません。



2001.08.23 靴がえらいことに

昨日の哀しい出来事。

台風が直撃するかもしれないとのことで、
いつもの革底ローファーじゃ水がしみて
大変なことになるだろうと思ったオイラは、
安全靴を履いて出勤した。
ウォーター・プルーフだから安心さ。

この安全靴は、底が2層構造になっている。
ウレタンのような素材を、ゴムでくるんだ形だ。

もうこの靴も履き古しているため、
ゴムが劣化して底が剥がれてきた。
かかとから土踏まずにかけて。しかも両足。

大雨の中、靴底をぱこぱこさせながら歩く男。
なんて間抜けな姿であることよ。

会社に到着。
ボンドでくっつけようとしたがうまくつかず、
ビニールテープで巻いて固定した。
苦肉の策。

かっこわりい。
けど底ぱこぱこよりはマシだろう。
台風の中、誰も他人の足元なんか気にしちゃいないさ。
と、自分をなんとか納得させたりして。


帰り道、
今度はつま先から剥がれてきた。
ジーザス!なんてこった。
ぱこぱこ。



2001.08.25 携帯電話

「携帯電話を新調したのだ。」
「ほお。」
「ずっと旧い通話オンリーの機種を使っていたのだが、
メールができる機種にして欲しいという要望が
いろんな人から出ていてね。」
「いまどきはそうかもしれませんね。」
「で、おくればせながら、iモード機種に変えたわけよ。」

「で、機種は?」
「F209iだ。」
「・・・それはすでに旧い機種では?」
「いいんだよ。メールができれば。安かったしな。
いろんな機能がついていたって、どうせ使わないし。」
「ミュージシャンとしては着メロにもこだわるべきでは?」
「いや、それでも和音は4つあれば十分。
なんで64和音も必要なのか、理解に苦しむよ。」
「iアプリでゲームをするとかは?」
「よく電車の中でやっている人を見るけれど、
私はやだね。子供っぽくてダサイと思うよ。」

「先生の携帯電話使用頻度はかなり低そうですね。」
「低いよー。一週間で一回も鳴らないことだってざらだもの。」
「寂しい人ですね...」
「いやいや、むしろ携帯やメールを使いまくっている人のほうが、
寂しい人なんじゃないかと思うぞ。
常に人と繋がっていたいという、
コミュニケーションに対する飢餓感があるんじゃないかな。」
「先生にはそれがないと?」
「うん。結構ひとりでも大丈夫。」

※事務的連絡
 新しい電話番号とメールアドレスは、
 友人関係・会社関係へ近日中に連絡します。




2001.08.26 センコー大成功

<Fishing Deta>
●釣行 今年16回目
●釣果 バス5匹
●通算 バス33匹(平均2.06匹)
●場所 いつものところ
●天候 曇り
●風  やや強
●水質 やや濁り
●ヒットルアー
  フレンチフライ(Natural Shell)/常吉リグ
  センコー(Black)/ノーシンカーリグ×3
  エコギア・ストレート(Grow)/常吉リグ

「いえーい!平均2匹台復帰!
「一進一退を繰り返していますねえ。」

「ところで、今回初登場のリグとワームがありますが?」
「解説しよう。
まず『ノーシンカーリグ』だが、これは読んで字のごとく、
シンカー(オモリ)を使わないリグだ。
漂うようにゆっくりと沈んでいくので、非常にナチュラル。
スレたバスには効果的だよ。」
「シンカーを使わないと投げにくいのではないですか?」
「うむ。そこで『センコー』の登場だ。
このワームは重い素材で出来ていて、
ボリュームもあるのでよく飛ぶのだ。
ベイトリールでもばびゅーんと飛んでいくぞ。」

「でも、なぜ急にノーシンカーリグを?」
「嫌いだったのだけど、近頃流行っているようで、
今、一番よく釣れるリグだといわれているから、
ちょっとやってみようかなと。」
「釣り方にも流行りがあるのですか。」
「それは、この『センコー』の発売によるところが大きいのだ。
センコーのノーシンカーが良く釣れるから流行して、
他のメーカーも追随してノーシンカー用ワームを発売する。
そしてそれがますます流行する といったサイクルだな。」

「で、センコーで3匹ですか。釣れましたね。」
「うむ。センコーの実力しかと見極めたぞ。」
「でも、最後はやっぱり常吉リグに戻っていますね。」
「ノーシンカーは飽きるんだよ。手応えがあまりないし、タルくて。
やっぱり私は常吉リグが一番好きだなあ。」



2001.08.27 Movie:NO FUTURE - a sex pistols film -

「パンクバンド『Sex Pistols』のドキュメンタリー映画である。
昨年公開されたもので、最近DVDが発売されたのだ。」
「あのう、先生、恥ずかしながら、
私はパンクって何なのかがよくわからないんですよ。
ハードロックやヘヴィメタとどう違うのか...」
「恥ずかしがることはないぞ。
実はそういう人は多くて、私もよく質問されるのだよ。」

「簡単に解説すると、
高度なテクニックを駆使するのがハードロックやヘヴィメタで、
技術よりイキオイを優先するのがパンク ってとこだな。」
「よくわかりません。」
「ハードロックも最初はイキオイ優先であって、
高いテンションを表現するための手段だった『テクニック』が、
いつのまにか目的になってしまったのだよ。」
「はあ。」
「いくらハードな音を出していたとしても、
技を芸として披露するような演奏じゃあ、
衝動は沸き起こってはこないだろう?」
「ああ、わかる気はします。
上手いなあと感心しても、感動とは違いますものね。」

「そうしてロックがイキオイを失ってしまったときに
登場したのがSex Pistolsだったのだ。
技よりイキオイと暴力性を前面に出した、
単純明快轟音ロックンロールがウケたわけだね。」
「なるほど。Sex Pistolsはパンクの創始者なのですね。」
「もう少し前からニューヨーク・パンクってのがあったので、
厳密にいうと創始者ってわけではないのだが、
NYパンクをさらに暴力的にして、
ロンドン・パンクのムーブメントを起こしたという点で、
伝説のバンドとなっているのだよ。」

「前置きが長くなりましたが、この映画はどうですか?」
「Pistolsそのものを見せるというよりは、
社会現象としてのPistolsを描くドキュメンタリーとしての作りなので、
演奏シーンが細切れで短いのがちょっと不満。
Pistols初心者には勉強になって良いかもしれないが...」
「お気に召さなかったようですね。」
「あ、でも当時いかにPistolsが良識ある人々から嫌われていたか、
予想以上だったことがわかって面白かったな。」

「もうひとつ重大な不満点があるのだよ。」
「それは?」
「ライブ演奏シーンでも、スタジオ盤の音が使われているのだ。
しかも、観客の声をオーバーダビングしてライブふうに見せかけている。
その芸の細かさがかえってムカツクぞう。」
「ライブ音源は音質が悪いとか、演奏がめちゃめちゃだったとか、
そういった理由があるのではないですか?」
「うん。たぶんそんなとこだろうけど、
ちゃんとライブ音源を使ってほしかったな。残念。」




2001.08.29 新トンデモ超常現象56の真相

「君は『マリー・セレスト号事件』というのを知っているかね?」
「子供の頃、『世界の謎・不思議』とかいう本で読んだことがあります。
航海中の船から、乗組員全員の姿が忽然と消えていた という、
不思議な出来事ですよね。
UFOにさらわれたとか、四次元世界に入ってしまったとか、
そういう推測がなされているが、謎は解明されていないという...」
「ほう。よく憶えているね。」
「すごく不気味な感じで印象が強かったですから。」
「だけどな、当時(19世紀)この事件を調査した
海事裁判や保険会社の資料によると、
乗組員以外に、あるものが船から消えていたそうだ。」
「あるもの? それはいったい...」
救命ボートだよ。」
「おやあ?! ってことは...」
「船で何か事故が起こって、救命ボートで逃れようとしたが、
結局船は大丈夫で、逆に救命ボートが遭難した ってことだろうな。」
「・・・全然不思議でもなんでもないじゃないですか。」

「とまあ、こういうふうに、
超常現象のなかには事実が解明されているのに、
いまだに謎であるかのように扱われているものも多いわけだ。」
「・・・・・・」
「特にテレビの特番などでは、視聴者の興味を引くために
意図的に事実を隠したり歪曲したりといったケースも多いのだよ。」
「・・・・・・」
「おや、どうしたのだ? ショックだったか?」
「信じてたのに信じてたのにしくしくしく...」
「(放っといて)そういう謎の真相を暴くのがこの本である。
4年前に出版された『トンデモ超常現象99の謎』の続編だ。」
「夢を打ち砕いて楽しいですか?」
「楽しいねえ。」

「先生は超常現象が嫌いなのですか?
まったく信じていないんですか?」
「逆だよ。超常現象は大好きだし、信じていたい。
だけどね、嘘にだまされるのは大嫌いなのだ。
この本の作者たちも同様で、
超常現象が好きだからこそ徹底的に調べる、
チンケな嘘は許さない、
という考え方が根本にあるのだという。」
「なるほど。」
「ちなみに、この本の作者達は『と学会』というグループで、
超常現象やヘンな学説などの本にツッコミを入れまくる
『トンデモ本』シリーズという本も出している。
なかなか笑えて面白いぞ。」

「物事を単純に信じ込んではいけないということですか。」
「いや別にそんな教訓にすることもないんだけどね。
単に面白く読めば良いんだよ。
推理小説のような楽しみ方ができるぞ。」



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