進化論?

はじめに
 テンカラに
付いての考え方などは、人それぞれによって異なるだろう。 ましてや、幾多の条件下で構築された釣法であるならば、生まれ育った環境によって様々な形態を取る事もうなずける。 そこに個人の手が加わって、一人一派が完成すると言うことだろう。
 市販のテンカラ竿には満足がいかず、ハヤ竿の握りに手を加えいる私も・・・また、その部類なのだろう。

(初心者の気持ち)
 もう何年か前の話になるのだが、とあるサイトの掲示版を見た折だった。 そこに書き込まれた内容は、次のようなものだったと記憶している? 
 「テンカラ竿を一日中振り続けると手が痛くなり、豆まで作ってしまう。」と、初心者の質問だった。
これに対して答えられたのが・・・同じポイントに打ち込むのは2〜3度で十分であり、時には1回目で釣れることもあるし、貴方は無闇に打ち込み過ぎているのでしょう。 私達はそうしているので、手が痛くなるようなことはありませんが?
 これを目にした私は、腹立たしい思いで・・・・。 「こいつ等、バカか?。」 何処をどのように流せば良いのかも解らないからず、手探りなのが初心者だ。 それ故に、何度も同じポイントに打ち込んで、一日続ける内には手も痛くなるのだと・・・。

(テンカラは難しい)
 渓で出会った方達と話す機会があると、「テンカラですか」と、聞かれることがある。 だが、話を聞いていると・・・「以前私もやったのですが、全然釣れずにあきらめました。」とか、「やって見たいと思うのですが、難しいでしょう。」と、残念な答えが殆どだ。 確かに・・・私も初めの内は苦労したが、ハヤ竿テンカラを使うようになって、一新したのは事実だ。 何時だったか、市販のテンカラセットを使う初心者に出会った時のことだ。 そのセットを御借りして、一振り・・・その印象はこうだ。 硬く重い上に太目の穂先、その先に取り付けられたのは、太めのテーパーライン。 「確かに飛ぶけれど・・・こりゃ〜棒だ。」と、そう言う印象だった。 代わりに、私の竿を手渡して感想を聞いた。 「これもテンカラですか?」「軽いし、柔らかいですね。」「なんか簡単に飛ぶようですが・・・。」と、質問が続いた。 この時、私に出来る説明はしたのだが、今頃如何しているんだろうか・・・?そう思うこの頃だ。

(テンカラの限界)
 (はじめに)で簡単な説明をしたが、テンカラの発達は日本の風土に即した形態であり、主には職漁師の駆使した釣法だったように思える。 彼らには、限られた数の魚を調達することが不可欠な要素であり、羽虫(蜉蝣)が飛び交う季節を迎えて魚達の興味が水面に移ると、餌釣りよりも効率よく釣果を得るための手段として毛鉤を用いた。 だが、ここで気づいてもらいたいのがテンカラの時期であり、この釣法特性だろう。
そうなのだ・・・もうお気づきの様に、テンカラは季節限定でつちかわれたと言う点だ。 それ故、テンカラで用いる仕掛けも然り、伝承毛鉤もこの域を超えるものでは有り得ない。
ところが、同じ毛鉤を用いる釣りとして、フライフィッシングがあるのは御存知だろう。 テンカラに比べると一目両全のラインシステムは、多種多様の毛鉤を使いたオールラウンドと言える。 テンカラと相違点は、その発想による違いといえないだろうか? 限られた時期に目標を絞ったテンカラと年間を通した観点から生み出されたフライ。 そう考えた時に、自ずと限界が見えるのではないだろうか?

(ハヤ竿テンカラ)
 私がテンカラ釣りをする場合に好んで用いるのが、ハヤ竿の握り部分に手を加え、テンカラ使用に改良したものだ。 勿論、市販のテンカラ竿も何本か所持しているし、幾多のメーカー品も使った結果だ。 どのメーカーの竿でも、一貫して共通しているのが強度の点だ。 テンカラの特性と言えるアワセ時の衝撃は、破損を生じる重大な要因となるだろう。 そのため、肉厚を増やした重い作りとなり、太い穂先が定番となる。 メーカーの作る竿であるなら、簡単に破損する可能性があるとすれば、世に出すことは出来ないだろう。 どのメーカーのテンカラ竿もこの点を考慮し、尺上ばかりを釣り上げたとしても、破損を生じることのない強度が保たれている筈だ。 適正ハリスの設定も、殆どのタイプは1・5号位は使えるように設計が成される。 そうして、重く硬い竿が誕生する訳だ。
 だが、ここで考えて欲しい事が幾つかある。 シーズンを通して、尺上に出会うことがどれ程あるのだろうか? 普段の相手は・・・? おそらくは、尺に満たない相手だろう。 そんな魚を相手にする為だけに、重い竿を振り続けるのか?・・・私の答えは・・・NO(イヤ)だ。 魚の引きも楽しめないし、4・5mあたりのテンカラ竿に至っては、1日振り続けると腕がだるい。 その点に置いても、ハヤ竿ならば格段に軽くて疲れない。
 しかし、「破損の問題をどのように解決するのか?」と、疑問を御持ちの方々が在るだろう。 その点に付いての保障は出来ないが、私の場合は、尺上に対しても破損は生じていないのが現状であり、管理釣り場に於けるテストでも同様だ。 これについては、(管理釣り場にて)を御覧頂いて・・・考慮して頂きたい。

(ハヤ竿の利点)
 ここまでいろいろと説明はしたのだが、ハヤ竿テンカラを実践した場合の特徴を挙げる事にしよう。

1) 軽く疲れず、長手の竿でも1日中振れる。(短い竿に長いラインを使う場合、流心を跨いだポイントに毛鉤を振り込むと、ラインは流れに引かれてしまい不自然な動きとなる。 その結果、魚は出なくなる。 その点から言えば、長竿でも軽く振れるハヤ竿と同長のラインを用いれば、ラインが流心に引かれることも軽減する。)

2) 穂先の軟らかさを生かして食い込みを容易にし、テンションを軽減することによって針掛かりの確率を引き上げる。(魚が毛鉤を放すのは、食いついた際のテンションを感じて違和感を覚えるからだ。)

3) 通常のテンカラ竿ではアワセ切れとなる、細いハリスが使用可能。(熟れは必要だろうが、20番以下の毛鉤にも自然な動作を演出させる、0・3号程度が使える)

(総論)
 私が考えるテンカラとは・・・季節限定のそれではない。 フライに対抗しうるテンカラであり、ユリスカのハッチを捕食している魚でも狙えるシステムだ。 水温の低下時に、ニンフを捕食する相手であっても・・・。小さな毛鉤と細ハリスが使える竿であれば、多様な釣り人(フライ・ルアー・餌・テンカラ)が入り混じるスレた渓においても、期待が持てるのではないだろうか?
そして、もしも・・・テンカラを断念された方々に興味があるあらば、御試しになれば如何だろうか?
釣り具の発達が日々進化している近年、テンカラ竿は如何なのだろうか?
視点を変えて考えるならば、私のような発想のコンセプトも有り得るだろうし・・・。 釣具メーカーの検討を望むのは、私だけだろうか?