「稲取灯台」

お正月は初詣には行かなかったが、伊豆の稲取灯台には行った。
1/3の帰省ラッシュな日に、レンタカーのマーチに乗ってぐるぐると渋滞を避けていると、「稲取灯台はこちら」という矢印つきの看板を発見した。観光スポットの少ない地域だったので、我々はまんまとこの看板に導かれていった。だんだん山奥に入って行き、もう地面はアスファルトではなくなっている。葉っぱふみふみ車を進めると、稲取灯台の駐車場らしきところについた。極めて個人的な駐車場っぽかったので、本当にここに車を止めて良いのだろうかと躊躇したが、もう一度心の中で稲取灯台を見たいという自分の願望の高さを確認し、鋭くサイドブレーキを引いた。

白い平屋がある。人が住んでいるのかいないのかは見た目では分からなかったが、廃屋ではないようである。玄関を見ると、ここが稲取灯台の資料館であることが分かった。しかし極めて個人邸宅のかほりがする。土日祝休館(だったか?)とある。お正月三が日だから無論入館不可。不可であることにむしろほっとしながら、そこを通り過ぎて稲取灯台へと歩を進めた。

おお、これが稲取灯台だ!
灯台もとくらし


階段を登ってみると、こうだ。
高さ2.7m。水面から灯火まで128m。
なかなかいい。いいカタチだ。良質な六角形である。灯台にはあるまじき背の低さであるが、山の上に立っているので灯台としての役割はちゃんと果たせるようになっている。つまり、海のすぐ近くに断崖絶壁のような山々が連なっている伊豆独特の地形を利用し、人類の叡智を結集させた結果だ。その知的なたたずまいからこれはもう灯台の域を越え、東大と言ってもいい。しかもお洒落。波打ったお洒落な帽子を被っている。金田一耕介の帽子に酷似している。いまにもその帽子を取り、中から出てきたもじゃもじゃの頭を掻きだしそうである。このことはあまりお洒落ではない。
少し誉めすぎたが、私はなかなかこの灯台が気に入った。

しかしさっきからこの風車はなんなのだろう?
風は、上から下向かって吹くのだろうか?
ここで、これまでの写真も見返して欲しい。至るところに緑、黄色、まれに青、赤の風車が何か言いたげに立っている。これから分かることは、作った人は赤や青よりも緑と黄色、特に緑が好きなのだ、という事実ではなく、ただひたすら不気味であるということだけだ。テレビドラマの「TRICK」を思い出してしまった。TRICKごっこをするならここはおすすめ。しかしなんだろう。実際はここに来た人を少しでも歓迎したいという、年老いた老婆の健気な努力なのかもしれない。勝手に年老いた老婆と想定してしまったが、違っていたら誠にすみません。

そして眺めも素晴らしかった。
それもそのはず。海から見えるのが灯台だから、当然灯台から海が見えないといけないのである。見えるのはひたすら海・海・海。これが正しい状態である。

おわり

(2005/1/10)


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