|
學友コンサ翌日、まゆりとKりん先生、Mくん、Jくんの四人は夕食を済ませた後、午後9時半ごろ、香港のカラオケチェーン店RedBoxのKL支店に乗り込んだ。
まゆりは約半年前にKLを訪れたとき、Gの粋な計らい(?)のおかげでMJコンビとカラオケの機会をもつことができた。 「歌声が學友そっくりな友達を紹介してあげるよ」とG。 しかし、そんな話を信じられるはずもなかった。あの歌の神さまにそっくりだと?! 「本当だって!われも初めてMくんのカラオケ聞いたとき、てっきり「伴唱」モード(注1)かと思って、『あ〜伴唱、消して!』って命令しちゃったくらいさよ。」 これはもはやわれわれの間では伝説と化しているエピソードである。
JくんというのはMくんの幼馴染で、やはりカラオケが大好き(いや、もしかしたら、いつもわれらにつきあってくれているだけなのかもしれないが・・・)。彼もなかなかの歌唱力を持っていて、ちょっとハスキーボイスなことから、Beyond(黄家駒)やイーソンの歌がぴったりくる。時にウィリアム・ソーを歌い上げるチャレンジャーさんでもある。Kりん先生は海外在住歴が長く、中華ポップスをこよなく愛する日本語教師。中華系の生徒と一緒にカラオケにいっている間に耳で覚えた(!)というつわもの。共通の友人Gからたびたびウワサは聞いていたそうだが、MJコンビとは初対面。
さて、カラオケの受付ではMくんがなにやらしきりに交渉している。(もちろん広東語。KL華人社会は本当にまゆりの想像以上に広東語文化がはびこっている。)どうも「もっと大きな部屋にしてくれ!」と受付のおねえちゃんに食い下がっているようだ。Jくん曰く: 「Mはコンサートみたいに立って歌ったりしたいらしい」 なんと、本当に「ぼくたちの演唱会」を開く気だった!(笑)
ちなみにKLのRedBoxの中華カラオケ環境は、香港のそれと基本的に変わらない。しかし、やはり土地はあまっているようで(笑)、廊下も部屋も広々しているし、清潔な気がする。なかなか気持ちがいい。おまけに料金も安め。
「演唱会」を開く気満々だからといって、部屋に入るなりMくんがどんどん曲を入れてしまうかといったら、そういうわけでもない。「好きな曲をたくさん入れてねー」とリモコンをまゆりとKりん先生に勧めると、Jくんと一緒に飲み物を注文したり、マイクの音を確認したりと、裏方に徹してくれる。華人(特に男の子)のこうした気遣いにはいつもながらちょっぴり感動。
まずはまゆりやKりん先生(やはり歌がうまい!)、Jくんがそれぞれ歌ったあと、「演唱会」の主役Mくんに順番がまわってきた。もちろん學友、曲は『應該』。これは學友の曲の中でもそれほどメジャーではないが、毎回まゆりが選曲してしまう名曲ではないか!!! 「ねいがんごいてゅっりゅうしっちょーい・・・」 Mくんが歌いだすと、わ〜〜〜ぱちぱち〜〜〜〜!と歓声が巻き起こる。ライブ・バージョンのカラオケだったので、もともと歓声と拍手が入っていたのだ。 「すご〜〜〜い、きれ〜〜〜い」 ん?日本語の歓声?と思ったら、隣のKりん先生が思わずこうつぶやいてしまっていた。 「いや、本当にじょうず〜!きゃ〜あ・・・」 ところどころ合いの手のように賛美を送るKりん先生。それもそのはず、Mくんは時にはまるで學友本人がそこにいるような錯覚に陥ってしまうほどの歌唱力の持ち主なのだ。かつては歌手を目指して訓練を受けたことがあるから、ただたんに「似ている」というだけでなく、まさにプロの歌手として十分に上手いのだ。それが「超級學友迷」であるから、學友がのりうつったような歌声になるというわけ。Mくん自身も自覚しているのか、まゆりが 「この曲は昨日のコンサではやらなかったねえ。いい曲なのに、残念・・・」 とこぼすと 「だから、今日ぼくが歌ったじゃないか!ははは!」 といって照れ隠しのように笑いをそえる。しかしそこにはかなりの自負心がうかがえる。
そして完唱後は、「超級迷」としての分析が入る。 「これは99年の、前回のコンサのカラオケだね!」 は〜い、その通り!(笑) ライブ・バージョンは曲間のMCも収録されていることが多い。この曲のあとにもちょっとした學友のおしゃべりが入っていた。香港朋友とカラオケに行くとこうしたMCはムゲにも「ぶっちっ」とキャンセルされてしまうのだが(涙)、マレーシアン・スタイルのカラオケではちゃんと最後までじっくり鑑賞する(のかどうか定かではない)。 「・・・ひょんゆーめいやむげいーしー、じーげいどーむちー・・・」 四人ともなんとはなしに(本物の)學友のMCをじっくり聞き入る。 「・・・けいさっ、ぜっんはい・・・ひょ〜んめい・・・ひょ〜んめい・・・」 黄色部分はMくんの声。そう、學友が話し出すより先回りしていっちゃったりする(爆)!MCも暗記している、さすがは「超級迷」!!!
つづいてもMくん、學友の『我真的受傷了』。歌いだしの前にもやはり「昨日(コンサで學友が)歌ってくれてたね」との分析が入る(笑)。アカペラではじまる難度の高い歌だが、そこはMくんだ。 「きゃ〜」とKりん先生が思わず小さくもらしてしまうのもうなずける。 「おなかがいっぱいだと声も出にくくて・・・」 といいながら、じりじりと立ち上がるMくん。そんな口実設けなくてもいいのに(笑)。 特に低音の伸びがお得意なMくんなので、まさに本領発揮を発揮できる格好の歌! 「でぃえんふぉあしゃんち〜ら〜・・・(電話が鳴った)♪」 うっとり聞き入っていると トゥゥゥゥ、トゥゥゥゥ! 電話が鳴って〜♪のフレーズに効果音が?と思うも、実は本当にMくんの携帯が鳴っていた・・・。歌を中断を余儀なくされてご不満な様子。 「この間もそうだったんだ。その時は、カラオケの機械が壊れていて、全部歌えなかった。今回は・・・トゥゥゥゥゥ!あー!くやしい!」 かといって、もう一度歌いなおさないところがまた「超級」としてのこだわりである(?)。
低音がきいている學友の歌はどれだろう?まゆりがこの基準で選んだのが『如初』。前日のコンサではやらなかったし、おそらくこの目の前の學友は歌ってくれるだろうと入れてみた。イントロのところで振ってみる。 「歌ってー、歌ってー!」 「一緒に歌おう!」 といいながら、まゆりが歌わなくてもちゃんと一人でどんどん歌っちゃうMくん(笑)。まゆりはオンチだから「一緒」なつもりで歌っても知らず知らずハモってたりするのだ・・・。聴き専門に徹するほうが、みんなのためでもある(自虐)。 「すごいうまいよねぇ。これだからわざわざ學友のコンサに行く必要なんてないんだよー。」 とJくん。たしかに、身近にこんな友達いたら、高いお金出してコンサに行こうとは思わないかも、なんて 一瞬思えてしまうほどだ。
お次は『譲イ尓愉快』!これは學友の歌の中でまゆりの一番のお気に入りだ。前日のコンサ会場入りのときに話して聞かせたので、Mくんも覚えているだろう。ぜひMくんに歌ってほしい!じーっと見つめていると(爆)思いは通じたらしく、こういってくれた。 「この歌は特別に君に送るね!」 サンキュー!うれしー!どーしよー・・・つい日本語で連発してしまうまゆり。しかし、どうしようって・・・まゆりは完全になにか勘違いをしているようだ(アホや・・・)。 「ちょっとマジになって、コンサートみたいに歌っちゃおうかな〜、えへへ〜」 といって、おもむろに立ち上がるMくん。意外とのりやすいらしい(笑)。 これもライブ・バージョンだったが、ライブ特有の「ため」の部分もズレずに歌い上げるのが「超級」!うっとりと「ああ、まゆりのために歌ってくれているんだわー、念願かなって〜(注2)」と誤解交じりに(笑)聞きほれながらふと気がついたこと。それは・・・ ?!あら?!この歌って「離婚ソング」ぢゃ?!・・・ 「忙しい日々に流され、きみのことを思いやることができず、そしてこれが最後の晩〜♪」 あいや〜、えらくイタイ曲を送られてしまった(苦笑)。そしてちなみにこれが・・・
↓Mくん@立ち上がって熱唱だっ!
 ネットで顔をさらすのも 可哀想なのでこのくらいまで・・・。 マイクのもち方に「超級」さを感じませんか?(笑)
さらに『分手總要在雨天』。これもまゆりが好きだというだけで勝手に選んで歌ってもらった(歌わせた?)ものだが、低音がきく〜っという特徴はMくんの本領発揮にぴったりだ。 「いやいや、すごい情緒的だね!」 完唱後に自らそういうMくん。もちろんメロディーや歌詞がという意味だろうが、彼自身もかなり情緒的に歌ってくれた。こういうセリフがでたということは本人も自分の歌に納得いったのだろう。実は彼、完唱後に自分の歌に不満があると、必ず、 「だめだ・・・いかん・・・」 ともらすのだ。 『天下第一流』で一番のお気に入りだといっていた『地下情』(よく考えると、これは「不倫ソング」 だ(笑)。さきの「離婚ソング」といい・・・(苦笑))を歌ってもらったときがそうだった。『李香蘭』にいたっては(まゆりが聴く限りでは十分うまいだと思ったが)納得いかなかったらしく、歌を中断してしまったほどだ。さすがこだわりも「超級」さんである。
もちろんこの他にも、四人それぞれ、閉店となる午前3時まで(!)がんがんと歌いまくった。JayつながりのKりん先生とまゆりはカラオケ屋の大画面と大音量で『開不了口』『安静』『雙截棍』が見れて大満足。しかし『雙截棍』は難しくて歌えないよねえ、といいあっていると、Mくん、 「うちの弟は『雙截棍』全部歌えるんだよ!」 なんですって?!?!聞き捨てならない!そんな逸材、なんで隠していたのーっ?!(そうじゃないって) まゆりの心にまた新たな野望が芽生えた、それは・・・ Mくんの弟の『雙截棍』を聴きに三度(みたび)KLを訪れること(爆)
別れ際、「またKLに遊びに来てね〜」とMJコンビがいってくれる。挨拶代わりの言葉とはわかっていても、やはりうれしい。 「いやあ、香港に遊びに来てよー。絶対だよ!まゆりは待ってるからね!」 「わかった。じゃあ、香港で演唱会を開くからな、待ってろよ!わはは!」 この「演唱会」とはこの日のようなカラオケではなく、実はホンハムなどで開く本物の「演唱会」のことなのかもしれない。歌手志望、Mくんの心に秘められた真の野望をここにはっきりと見た気がした。【完】
(注1)香港のカラオケでは大抵ついているボタン。これをセレクトするとバックミュージックだけでなく歌手本人の声も流れる。これではもはや「カラオケ」ではないのだが・・・。 (注2)プロローグ参照のこと。
エピローグへ戻る
|