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2002年11月4日
東京品川区 きゅりあん小ホールにて開催
第一部「よい病院を作るために、実際にやっていること」
3名の医療関係者から、それぞれの立場で報告がありました。
最初に報告なさったのは、聖隷三方原病院で看護部次長を務める吉村浩美さんです。聖隷三方原病院は、10年前から「患者の権利宣言」を院内に掲示し、セカンドオピニオンやカルテ開示に積極的で、「患者さんが主役の医療」を推進しています。医療事故予防に関しては、医療安全対策室の下で「患者取り違え予防マニュアル」や「人工呼吸器確認リスト」を作成するなど、活動を継続しています。
院内感染予防については、専属ナースを養成したり、安全な器材に入れ替えるのに数千万円かけるなど、安全への投資も積極的です。さらに整形外科における医療事故事例を紹介して下さいました。そのようなケースでも「過ちを謝れる病院」という院長の方針の下、訴訟に至った事例は皆無とのことでした。
2番目に報告なさったのは、新葛飾病院院長の清水陽一さんです。清水さんは新任の医師に、病院の理念が「嘘をつかない医療」であることを紙面で伝えます。「よい医療を行えば患者さんに理解され、よい経営につながる」「情報を公開するので診療記録をきちんと書く」といったことを徹底しているのです。
そして患者さん対しても、「十分に説明します。何でも尋ねてください」「ご希望や必要に応じ、他の病院でも診療が受けられるようご協力致します」「カルテやフィルムなどはいつでもお見せします」「診療に疑問や不満がありましたら、お申し出ください」という病院の姿勢を示すパンフレットを手渡しています。
さらに「医療事故がおこった場合」、最善の治療や経過説明だけでなく、被害の補償にも言及する徹底ぶりです。
最後に報告なさったのは、大和成和病院心臓病センター長の南淵明宏さんです。南淵さんは心臓手術を「ロシアンルーレット」にたとえます。大きな危険と隣り合わせという緊張感の下で手術を施行しているのです。極稀ではありますが不都合の起きた場合、患者や遺族に対して、手術のビデオや死亡分析報告書を渡して、説明するそうです。このように患者に誠実に接することが、患者から信頼されるノウハウなのです。
今年4月から心臓手術が年間 100例に満たない病院は、診療報酬が30%カットされるようになりました。100例未満の病院は、全体の66%に達するそうです。
これは症例の少ない病院を淘汰し、難しい手術を少数精鋭の医師に集約することで安全性を向上させる施策なのですが、医療界の反発は大きいようです。南淵さんは、「勝ち残る病院を選別するのは一般社会の厳しい目」であり、「患者の視点を失い、医師側の利益しか考えない医師社会に頼ってはいけない」と警告してくれました。
3名の報告者に共通するのが、「患者に嘘をつかない」ということです。これが「よい病院の条件」の 1つであることに疑いはありません。しかし、こんな基本的なことが、大半の病院で守られていない現実に、殺伐とした思いを持ったのは私だけでしょうか。(阿部康一)
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