表 3 - 内視鏡事故裁判例
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判決日
裁判所
結論
事故時期
被害者
医療機関
施術の種類
事案の概要 |
訴訟経過
判決内容等
備考 |
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昭和52年08月29日
東京地裁
棄却→確定
昭和38年9月
66歳女性
国立東京第二病院
直腸鏡検査
長期の下痢症状の原因究明のため、直腸鏡検査。4日後から身体各所の疼痛などが生じ、約20日後には両下肢麻痺。身体障害者2級。
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直腸鏡検査時に第12胸椎を圧迫し骨折及び検査時の恐怖感が原因で下肢麻痺が生じ、その後適切な処置がなされなかったために悪化したとして約1000万円の支払をも止めて提訴。
被告は、第12胸椎に直腸鏡が達することはあり得ず、麻痺は心因性のものであると反論。
直腸鏡が第12胸椎に達することはあり得ず、圧迫骨折は骨粗鬆症によって検査前から生じていた可能性があり、検査と骨折の因果関係を否定。
同圧迫骨折から本件のような両下肢麻痺が生じる可能性も極めて少ないとして、骨折と麻痺の因果関係も否定。
判時895・94 |
| 2 |
昭和55年05月28日
岐阜地裁
約2000万円認容→控訴
昭和47年5月
32歳男性
国立療養所岐阜病院
縦隔鏡検査
レントゲン撮影及び胸部断層写真により、縦隔が広く縦隔リンパ腺腫等の可能性があるとして、縦隔鏡検査受診。その後嗄声となり、左反回神経麻痺による声帯麻痺と診断。
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縦隔鏡検査によって反回神経損傷され嗄声となったとして約2000万円の賠償を求めて提訴。
被告は、検査時の剥離は反回神経まで及んでおらず、過失はないと反論。
具体的な不手際を確定することはできないものの、検査前には認められなかった嗄声が検査後に発症しており、本件検査でも反回神経に触れる可能性が否定できず、その他に声帯麻痺の原因とされる事由(サルコイドーシス、胸腺腫瘍、縦隔腫瘍、精神的原因)が認められない事を理由に、検査と嗄声の因果関係を認定。
縦隔鏡検査の合併症として反回神経損傷が報告されており、丁寧に操作すれば回避できるとされていることから過失も認定。
判時987・98 控訴審名古屋高裁昭和56年10月29日判決は、原審取消棄却。
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| 3 |
昭和56年10月29日
名古屋高裁
原審取消棄却→上告
昭和47年5月
32歳男性
国立岐阜病院
縦隔鏡検査
原審参照 |
原審被告は、検査後病院を退院したときに嗄声は認められておらず、不定愁訴の多い本件患者の嗄声はヒステリー性の可能性も高いと主張。
検査後、20日ほど経ってから初めて嗄声を訴えていること、本件検査では剥離範囲が狭く出血などの異常も生じなかった事などから、検査が原因であるとは認められないと認定。
反回神経麻痺は原因不明のものが少なくとも40%は存在するので、検査以外に原因が認められないとしても、それだけで検査が原因だとは認定できないと判断。
判時1040・61
原審岐阜地裁昭和55年5月28日判決は請求認容。 |
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昭和60年12月19日
大分地裁
一部認容約3億円→控訴
昭和54年4月
67歳男性
九州大学温泉治療学研究所
ERCP
人間ドック受診し、テレパーク法(造影剤経口投与)で胆嚢を造影できず、胆石症の疑いが生じ、DIC検査(造影剤点滴投与)を実施したが造影できなかった。
そこでERCP検査実施。しかし胆管には造影剤注入できず、膵臓のみ造影して検査中止(所要時間50分)。 検査後1時間ほどで腹痛が生じ、翌日腹膜炎の疑いで開腹手術がなされたところ、十二指腸に直径1cmの穿孔。その翌日急性腎不全などを発症し、1ヶ月半後に死亡。
患者は新聞社社長、国際ロータリークラブ南九州地区ガバナーで年収約7000万円 |
遺族が4億円超の賠償を求めて提訴。新聞社も社葬費700万余りの支払を請求。
被告は、穿孔の発見されたところまでファイバーを入れていないので穿孔はファイバー操作によるものではなく、交通事故などの鈍的外傷によるもの、死因は腎不全であって、穿孔による腹膜炎とは無関係と反論。
同時に、患者が検査後医師の指示に反して帰宅しようとした、絶食の支持を無視したことなどを理由に過失相殺を主張。
スコープ操作と腸管の運動から穿孔が生じた具体的機序は不明としながらも、検査後まもなく腹痛が生じ、翌日比較的新鮮な穿孔創が発見されたこと、乳頭開口部から下十二指腸角付近までは数pしかなく、先端方向を確認しにくい側視鏡の先端が穿孔部付近に届くことは十分あり得たこと、他に穿孔の原因となる事由は全く見当たらないことなどから、スコープ操作による穿孔と認定。
患者は医師の指示に反して安静保持せず水分を摂取したと認定したが、右行為がなくとも腹膜炎発症・汎発化は回避できなかったと判断し、因果関係も肯定。急性腎不全が死因
判時1180・7 判タ579・26
控訴審福岡高裁平成2年4月17日判決は約1億4000万円に減額。 |
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平成02年04月17日
福岡高裁
約1億4000万円→上告
昭和54年4月
67歳男性
九州大学温泉治療学研究所
ERCP
原審参照 |
原審参照
過失・因果関係につき原審同様の判断。
年収約7000万円から年間約4200万円の税金などが控除されることを加味し、生活費を55%と認定。さらに稼働年数を6年として逸失利益を計算。
原審では、終生会社役員であったはずとして、稼働年数を平均余命と同じ12年(但し後半6年は収入半減)としていた。 過失相殺3割。
訟務月報37巻5号909頁
原審大分地裁昭和60年12月19日判決。 |
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平成03年07月25日
東京地裁
棄却→確定
昭和62年4月
52歳女性
国立病院医療センター
気管支鏡による肺生検
腎機能不全・重症呼吸不全のため別の病院に入院、グットパスチャー症候群の疑いでセンターへ転院。診断確定のため経気管支肺生検を実施。その際直径数oの隆起性小病変を発見し、予定外の肺生検を実施したところ、気管支動脈を破り出血、死亡。
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病変が動脈であることの予見義務、生検の必要性・相当性、生検実施のインフォームドコンセントを欠いたことを争点として、約4500万円の支払を求めて提訴。
被告は、極めて稀な奇形のため動脈予見は不可能、病変が悪性のものである可能性があり、患者が再度の検査に耐えられないおそれがあったので一度に生検を実施したことはやむを得ないと反論。
本件病変は先例も見当たらない奇形であって、血管である事を予見することは不可能として過失を否定。
生検は予定外であったが、緊急性があり、個別に生検実施の説明をせずに生検を実施したとしても説明義務には違反しないと判断。むしろ生検実施しなければ注意義務懈怠のそしりを受けるおそれがあったと言及。
判タ777・187
判時1426・94 |
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平成03年11月25日
東京地裁
棄却→控訴
昭和59年4月
男性
国立東京第二病院
胃内視鏡検査・胃生検
腹痛のため入院して原因解明のための検査と治療をうけることに。
入院中の5月9日午前11時ころ、胃内視鏡検査・胃生検実施。許可を得て一時帰宅したが、帰宅後の午後2時ころ及び午後4時30分頃下血し、午後7時に病院へ戻った。その後吐血と下血のため貧血となり、輸血を受け、6月16日退院したが、6月20日ころから倦怠感などを感じ、検査の結果、非A非B型肝炎に罹患したこと判明。平成2年に肝硬変と診断された。
被害者は消化器外科開業医。 内視鏡実施した医師は、日本消化器内視鏡学会認定指導医。 |
胃内視鏡誤操作(嘔吐反射にも関わらず検査続行・アングルを固定したまま内視鏡を引き抜き胃内壁損傷)又は胃生検(血管部から検体採取によって血管損傷)に因って出血し、その後の止血措置も懈怠したとして、東京地裁に4億円の賠償請求。
被告は、吐血下血は嘔吐反射によるマロリーワイス症候群が原因、慢性肝炎は元々罹患していたB型肝炎・アルコール性肝炎の悪化か、被告病院退院後の別病院における胆のう摘出開腹手術やその際のフローセン麻酔が原因、と反論。
被告病院の輸血によって肝炎に感染し、慢性肝炎となったとの因果関係を肯定。
しかし、吐血、下血はマロリーワイス症候群が原因と推定し、検査時の胃内壁損傷によるものであることを否定。 医師の内視鏡・生検の手技に不適切な点はなく、止血が不適切とも言えないとして、請求棄却。
判時1417・83
判タ777・168" |
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平成05年03月05日
東京地裁
棄却→控訴
昭和62年12月
59歳男性
東京女子医大附属成人医学センター
胃内視鏡前投薬
定期健康診断で食道穿孔ヘルニアと診断され、内視鏡検査を受診
キシロカイン4%溶液20ccでうがいをし、その20分後にキシロカインビスカス5ccを服用して横臥し、検査を始めようとしたところ、開口して鼾をかき始め呼名に応答せず、蘇生が試みられたが心停止、呼吸停止に陥り、救急車で救急センターへ搬送された先で死亡確認。
患者は前年同じ医療機関で同様に検査を受けたが、その際にはキシロカインに対して異常な反応はなかった。 |
キシロカインを過剰投与し局所麻酔中毒で死亡したとして提訴。
被告は、局所麻酔中毒の典型的な経過とは異なる症状を示しており、キシロカインとは関係ないと反論。
キシロカインを基準量より多量に投与したことは認められるが、うがいのため吐き出した量も多いこと、口腔や咽頭からの吸収は遅いこと、経過が典型症状と異なること等を理由に因果関係を否定。
なお、前年の検査で異常がなかったこと、当該医療機関において同様のキシロカイン使用によって他に事故が生じていないことから、過失についても否定。
判タ883・238(参考)
控訴審では、東京高裁平成06年10月20日判決が原審取消一部認容判決。 |
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平成06年10月20日
東京高裁
約2900万円認容→上告
昭和62年12月
59歳男性
東京女子医大附属成人医学センター
食道内視鏡前投薬
原審参照 |
原審同様 新たに鑑定がなされた模様
時間経過等からキシロカイン投与が最も疑わしく、他の原因による可能性が少ないことから、投与と死亡の因果関係を認定
キシロカインが基準量以上に投与されたことから、局所麻酔中毒発症の可能性を予期して対応すべき義務があったのにこれを怠ったと認定
気管支喘息などの素因が関与したことを理由に過失相殺を類推して50%減額。
判タ883・231
判時1534・42 原審(東京地裁平成05年03月05日判決)は請求棄却。 |
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平成07年01月26日
仙台地裁
約4800万円認容
昭和63年3月
57歳男性
東北労災病院
ERCP
病院でERCPを実施したが、検査直後から痛みや吐き気。別の病院に転送されて手術を受けたが、2ヶ月後、急性心不全で死亡。
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6840万円の賠償を求めて提訴。
担当医師はERCP検査後に予想されるすい炎発症に備え、患者の状態を注意深く観察する義務があったのにこれを怠った、と認定。
そのためすい炎が悪化して死亡したとして因果関係を肯定。
平成7年1月27日朝日新聞の報道による。
公刊物未登載。 |
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平成08年12月13日
福島地裁
4200万円
平成2年10月
60歳女性
福島県立会津総合病院
ERCP
食欲不振のため、同病院を受診し、精密検査のため入院。ERCP実施直後腹痛などの症状。重症型急性すい炎、敗血症のため、多臓器不全で死亡。
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検査に手間取り、患者に多大な負担をかけたため急性すい炎を起こす蓋然性が高かったが、精密な予防措置をとらずに食事を与えたことがすい炎の重要な原因となった、と判断。
平成8年12月13日共同通信による。
公刊物未登載。" |
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平成10年02月23日
大阪地裁
一部認容約8000万円→控訴
平成5年9月
63歳男性
大学附属病院
腹腔鏡下S状結腸切除術
検査入院し、S状結腸にがん発見。開腹手術ではなく、腹部に開けた穴から腹腔鏡を入れて切除する手術を実施。術後、腹部に膿がたまるなどし、2度開腹手術がなされたが、多臓器不全、術後縫合不全で死亡。
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手術技法が未確立であることの説明義務違反、開腹手術を選択すべきだった、手術中の手技の過誤、術後管理の過誤等を主張して、大阪地裁に1億0300万円の賠償を求めて提訴。
被告側は、十二指腸の傷は手術ミスではなく、ウィルスや他の原因でできたと反論。 大阪地裁平成10年2月23日判決は8000万円の賠償を命令。
穿孔に至る機序が十分に明らかではないとしても、当時腹腔鏡下胆嚢摘出術に関して電気メス使用時意外なところに通電して遅発性の損傷が生じる危険が指摘されていたこと、穿孔部位と電気メスによる焼灼部位の一致、他に電気メス以外に穿孔の生じる特段の原因が認められないこと等から、本件手術でも意外なところに電流が飛んで穿孔が生じた可能性が高い、と認定し、手技の過誤を肯定。
判タ974・187
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平成10年03月23日
神戸地裁
1億0700万円認容
平成2年3月
9ヶ月男児
神戸大学病院
腎臓狭窄部を内視鏡で切開
腎臓の狭窄部分を内視鏡で切開する手術に際し、内視鏡の視野を確保するためにかん流液6リットルを使用したが、かん流液が体内にあふれて呼吸困難に陥り、術後、脳障害や手足の麻痺などの後遺症残存。
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国は、かん流液は腎臓の組織全体から浸透して徐々に体内に吸収されたので手術中に発見することは困難だった、と反論。
乳児の手術で液が流出することを予測できたのに、腹部やわき腹を触るなど丁寧な確認を怠った、適切な処置をしていれば脳障害を回避できた可能性は強い、と認定。
平成10年03月23日共同通信の報道による。
公刊物未登載。" |
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平成10年07月16日
千葉地裁
2750万円認容
平成6年6月
71歳男性
船橋市内個人病院
内視鏡による大腸ポリープ切除
内視鏡を用いた大腸ポリープ切除手術の際に、結腸が傷つき、胸や肺に空気がたまる状態となって、まもなく脈拍停止。手術を中断し別の病院に転送したが意識戻らず、1週間後に死亡。
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千葉地裁に6100万円の賠償を求めて提訴。
手術を行った医師は患者に対する適切な監視をするという注意義務を怠った、と認定。
平成10年7月16日読売新聞の報道による。
公刊物未登載。 |
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平成10年08月07日
札幌高裁
7009万円認容
昭和63年4月
41歳男性
北海道社会保険中央病院
食道内視鏡検査
のどに異物感を感じ、食道内視鏡検査を受けた。
翌日呼吸困難となり緊急入院し、喉の切開手術を受けたが、気管支成敗炎で死亡。食道に穴が開き炎症・化膿。 |
8600万円の賠償を求めて提訴。
切開手術までに、X線で胸を検査していれば食道の炎症を予測できたのに早期に適切な検査、診断を怠った、と判断。
平成10年8月7日、毎日新聞の報道による。
公刊物未登載。 原審札幌地裁平成6年4月、棄却判決(公刊物未登載)。 内視鏡検査は、熟練した医師が細心の注意を払っても数%の確率で穴を開けてしまう、その後の治療も医学的にやむを得ないものであって過失なし、と判断。
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