目 次(随時追加)
はじめに
ニュートン力学の3法則
回転運動と求心力
求心力を加えないとゴルフスイングにならない!
ゴルフスイングを易しくする決め手!
スイングプレーンの傾斜 b/a
スイングの回転に必要な複数の力
回転中心の固定


はじめに

Sir Isaac Newtonは万有引力とわずか3つの運動法則により,万物の運動が支配されることを発見しました。
一見複雑なゴルフスイングとボールの関係も例外ではありません。

Jack Nicklausは云っています。「理解すれば,ゴルフは思ったより易しいスポーツである。多くのゴルファーの問題は,基本に耐え続けられないことである!」

メガス技研はゴルフスイングをニュートン力学の3つの運動法則から見直しましたし。その結果,クラブフェースの傾きがないスイングが存在することを発見し,その有効性を提言してきました。
さらに,その見直しの過程で,ゴルファーが知っておくと大変役に立つ力学的事項が沢山ありました。これらは高等数学に属しますが,できるだけ易しく解説してゴルフスイングに役立つ力学としてまとめました。
この類の解説は存在しなかったのではないでしょうか?
従来の感覚に頼る練習法だけでは,問題が発生した時,迷路に入ってしまうことがあります。そんな時に,問題を合理的に解決する手助けになると思います。

ところで,Newtonの時代,ゴルフはどんな状況であったでしょうか?
ゴルフの歴史を少し調べてみました。ゴルフ発祥の歴史には三つの説があるそうです。
  1. スコットランド発祥説 :1400年頃, 羊飼いの牧童が木杖で小石を飛ばす遊びが発達し,ゴルフが生まれた。
  2. オランダ渡来説 :1300年代, オランダで行われていたホッケー風の球技がスコットランドに渡来し,ゴルフに発達した。
  3. ローマ渡来説:80年頃, ローマで行われていた, 羽根を詰めた革製ボールを木杖で転がす球技をローマ軍が伝えた。
ゴルフに関する最も古い公式記録は1457年3 月6 日, 国王がゴルフ禁止令を布告しています。兵隊がゴルフにのめり込み,武術,弓術の訓練を怠るためだったそうです。その後も度々禁止令が出ています。ゴルフは昔も今も人をとりこにする魅力があったのです!

Newtonの生涯は1643-1727年ですから,彼の時代,ゴルフは盛んに行われていたことになります。
彼はゴルフの研究に熱心であった形跡があります。何故なら,ボールを飛ばすのは力でなく,ヘッドの運動量であることを知っていましたし,反発係数の研究にも熱心でしたから。




ニュートン力学の3法則

第1法則:力が作用しない時,物体は静止,又は一定の速さで直線運動を続ける
第2法則:力が作用する時,物体の運動量Pは力 F の方向に変化を受ける
  • dP/dt = F ---------(1)
    • P = mV (=質量・速度)
第3法則:物体に力が作用する時,力の作用点に方向が反対で,同じ大きさの力が生ずる(作用・反作用の法則)

人工衛星も,ゴルフボールを飛ばすのもこの3つの法則で決まります!
理論式が一つしかないのも驚きです!


「ゴルフスイングに役立つ力学」に必要な補足解説をしておきます。

運動量の保存則
  • 力 F=0 の時,運動量 P は方向,大きさとも変化なく一定:これを運動量の保存則と言う
  • 力 F の特定の方向がゼロの時,その方向の運動量が保存される
  • 運動量の保存則は複数の物体の集合体についても成り立つ
トピック:ボールの飛び出し速度がヘッドの速度に比例するという結論がここから出る。

角運動量
  • 回転中心Oから r の位置にある物体が運動量Pで回転運動する時,
    L = r×P ----------(2)
    を物体の角運動量と言う
    • ×記号はP の r に垂直成分と r の積を意味する
角運動量と回転力 ---(1)式の回転運動への拡張
  • 回転中心Oから r の位置にある物体に力 F が作用する時,物体の角運動量 L は回転力 N の方向に(3)式に従う変化を受ける
    dL/dt = N ----------(3)
    • 回転力 N = r×F
    • ×記号は F の r に垂直成分と r の積を意味する
トピック:ゴルフスイングを支配するのは(3)式である。

角運動量の保存則
  • 回転力 N = 0 の時,角運度量 L は方向,大きさとも変化なく一定:これを角運動量の保存則と言う
  • 回転力 N の特定の方向がゼロの時,その方向の角運動量が保存される
  • 角運動量の保存則は複数の物体の集合体についても成り立つ
トピック:角運動量の保存則と言う自然の法則を利用すると,飛んで曲がらないスイングが生まれる。

ベクトル解説




回転運動には求心力が必要!

左図は質量 m の物体がOを中心に円運動をする例です。

物体 m に力が作用しない時,運動の第1法則に従い,物体はAからBへ直線運動をします。
第1法則に反し円軌道上のCにあるのは,BからCに移動させる力が作用しているからです。この力を求心力と云います。

求心力の性質
  1. 回転中心を向く
  2. 回転面内にある
  3. 大きさは左図のK
  4. 求心力に釣り合う力が遠心力
  5. 求心力(遠心力)にボールを加速する能力はないが,物体 m の回転を維持するに必要
トピック:回転と求心力の関係は第2法則を拡張した(3)式で決まる。
トピック:地球が太陽の回りに回転する求心力は万有引力。
トピック:求心力がゼロになった時,物体は遠心力の方向に飛び出すのではなく,A→Bの方向に飛び出す。




求心力を加えないとゴルフスイングにならない!

ゴルフスイングの求心力に触れた解説は少ないようです。
左図はゴルフスイングの求心力の様子です。
ゴルフスイングは回転運動ですから当然求心力が必要です。
コックと左脇の締めの動作が求心力に大きく係わっています。
特に重要なのはヘッドの回転と腕の回転の求心力です。

ヘッド回転の求心力 K1
ゴルフスイングは巧妙に力学の仕組みを利用しています。
ダウンスイングのグリップに加える力 F は,ヘッドに二つの力を加えます。
  1. ヘッドを回転加速する力 J
  2. ヘッドが回転軌道を描くための求心力 K1
トピック:ダウンスイング,インパクト,フォローにわたって求心力K1が回転中心Pを向く時,理想のスイングになります。

腕の回転の求心力 K2
  • 大きさは2-4kg程度で,回転力中心 O を向く
  • 腕の重さと同程度なので,意識しにくい
  • 回転力中心 O を固定し,腕で体の真正面に円盤を描く意識が役立つ

求心力 K1 の大きさの程度を知っておくのも役にたちます。
トピック:
  • ダウンスイングの初期のコック時には2-3Kg
  • インパクト時には10Kg以上
    この力は左脇の締めを通じて,左軸脚に掛かる




ゴルフスイングを易しくする決め手!

ニュートン力学の第2法則はゴルフスイングが煩雑になり易いことを示唆しています。少し覗いてみます。
角運動量を思い出して下さい。
回転中心から r の位置にある質量 m の物体が回転速度 V で回転する時,角運動量 L は次式です。
  • 角運動量 L = r×P
    • P = mV (質量・速度)
    • V = r×ω (ωは回転速度)
ゴルフスイングはクラブヘッド,シャフト,腕,胴体の回転から成り立っており,それぞれの角運度量で回転しています。合計の角運動量を L として,これを3次元直交座標に分解して表示します。

結果は下表になります。
途中の数学手続きは大学の物理学科程度の知識が必要です。しかしそれを深く学習してもゴルフはうまくなりません。
しかし,結果を少し眺めるだけで大変な学習をします。
トピック:表1の3次元の直交3軸回転の式群はゴルファーに極めて重要なアドバイスをしています。
  • 或る軸に関する角運動量成分はその軸の回転状態(形状,回転速度)だけで決まらず,他の軸の回転状態の影響を受ける!
  • 従って,スイングが煩雑になり易い!
ゴルフは錯覚のスポーツと言われる原因がここにあります。
練習の終わり頃,毎回新しい「判った!」となる原因も同じです。

ところが,X軸の回りの回転を禁止し,Y軸とZ軸の3次元の直交2軸回転では,表2の式群になります。
トピック:表2は更に重要なアドバイスを与えてくれます。
  • 直交2軸回転では軸間の複雑な状態は発生しない!
  • 従って,スイングがシンプルになることが期待できる!
トピック:ゴルフ・スイングナビがナビゲートするスイング(「スクエア/スイング」)は,まさにこの3次元・直交2軸回転の動作です。
これがゴルフスイング『超』習得革命の原理の理論根拠です!




直交2軸回転のスイングプレーンの傾斜b /a

スイングを決定するのは角運動量 Lです。直交2軸回転のスイングでは 表2の式群が適用されます。
式群が簡単なので,スイングプレーンの傾斜を理論的に計算できます。
以下の解説はスイングプレーンの傾斜を理論的に求める手順を示したものです。
この詳細を学習してもゴルフはうまくなりません。
知って頂きたいことは
  1. 直交2軸回転のスイング
    -----クラブフェースの傾きがないスイング
    -----ゴルフ・スイングナビの振子の先端とリングが一致するスイング
    のスイングプレーンの傾斜 は人間の幾何学的形状とクラブの長さで決まる。
  2. 市販のクラブでは,スイングプレーンの傾斜 b /a は必ず2より大きい
即ち,直交2軸回転のスイングでは,私はアップライトが好き,或いはフラットが好きという自由度はありません!
自由度がないからこそ,体は一度学習したスイングを忘れないとも言えます。



表5.1 スイングの回転に係わる複数の力
力の種類 体の対応 物体を回転するには左表の3つの力が必要です。どの1つが欠けても
安定したスイングは実現されません。

第1は回転中心を固定する力です。扇風機の羽根は何気なく回転して
いるように見えますが,土台を重くして回転中心を固定しています。

第2は物体を中心に引き付ける力,即ち回転中心に向かう求心力です。
物体は直線的に移動する性質を持っています。(第1法則)
求心力を加えないと,物体は真っ直ぐ飛び去ってしまいます。
飛び去る力が遠心力です。大きさは,コックを保持できなく程度の大きさです。
つまり,遠心力に見合う求心力を加えた時,物体は回転を続けます。

第3は物体を回転加速する回転力(学術用語でトルク)です。
1)回転中心を固定する力 1.下半身の安定
2.頭を動かさない
3.体重移動
2)遠心力に釣り合う,回転中心に向かう求心力 左脇を閉める
3)スイングを加速する回転力(トルク) クラブを振る


回転中心の固定
第1の回転中心を固定することは意外に難しいものです。
下図に要点を図解しました。
スイングらしくなるのは下記動作を意識できるようになってからです。
  1. テークバックで右膝を固定する努力
  2. ダウンスイングで左膝が左に流れない努力
”体重移動”は体重を移動するだけでなく,左図の如く,回転を作り出し,且つ維持するに必要な力も加える必要があります。
  • テークバックの体重移動:
    1. 体重R
    2. 体の水平ヒズミを作るS
  • ダウンスイングの体重移動:
    1. 体重と遠心力U
    2. 左膝の流れを防ぐV
これらの力の中で,体重が一番大きく,他の力は一桁小さい大きさですが,スイングを形成する不可欠な力です。この小さい力を早い時期に意識すると,スイングの上達も早くなります。


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