目 次
5.1始めに
5.2第1段階:ボールに当たらない
5.3第2段階:方向が定まらない
5.4クラブフェースの傾きとミスショット
5.5ゴルフスイングと角運動量の保存則
5.6インパクトで左脚が伸び切ってしまう現象
5.7ダフリ


5.1始めに
この章では初心者・中級者のミスショットを考えます。
ゴルフは止まっているボールを打つのですから,高速で変化する野球のボールを打つのに比べれば断然易しい筈です。
ゴルフスイングを難しくするのはゴルフクラブのヘッドに方向性を有するフェースが存在するからです。
Jack Nicklausは云っています。「理解すれば,ゴルフは思ったより易しいスポーツである。多くのゴルファーの問題は,基本に耐え続けられないことである!」
ゴルフスイング「超」習得革命が提案する基本は,下記3項目の概念とスイングへの適用です。
  1. 回転運動が安定する条件
  2. 角運動量の保存則
  3. クラブフェースの方向のコントロール
この基本はボールを正確に飛ばすだけでなく,より大きい飛距離を出す基本と一致します!

5.2 第1段階:ボールに当たらない
物体を回転させるに必要な複数の力(表5.1)
力の種類 体の対応
1.回転中心を固定する力 1.下半身の安定
2.頭を動かさない
3.体重移動
2.回転中心に向かう求心力 左脇を閉める
3.加速する回転力(トルク) クラブを振る
物体を回転するには左表の3つの力が必要です。どの1つが欠けても安定した回転運動は実現されません。

第1は回転中心を固定する力です。扇風機の羽根は何気なく回転しているように見えますが,土台を重くして回転中心を固定しています。

第2は物体を中心に引き付ける力,即ち回転中心に向かう求心力です。物体は直線的に移動する性質を持っています。(第1法則)
求心力を加えないと,物体は真っ直ぐ飛び去ってしまいます。飛び去る力が遠心力です。
つまり,遠心力に見合う求心力を加えた時,物体は回転を続けます。

第3は物体を回転加速する回転力(学術用語でトルク)です。
回転中心を固定する力(図5.1)
第1の回転中心を固定することは意外に難しいものです。
図5.1に要点を図解しました。
スイングらしくなるのは下記動作を意識できるようになってからです。
  1. テークバックで右膝を固定する努力
  2. ダウンスイングで左膝が左に流れない努力
”体重移動”は体重を移動するだけでなく,左図の如く,回転を作り出し,且つ維持するに必要な力も加える必要があります。
  • テークバックの体重移動:
    1. 体重R
    2. 体の水平ヒズミを作るS
  • ダウンスイングの体重移動:
    1. 体重と遠心力U
    2. 左膝の流れを防ぐV
これらの力の中で,体重が一番大きく,他の力は一桁小さい大きさですが,スイングを形成する不可欠な力です。この小さい力を早い時期に意識すると,スイングの上達も早くなります。

参考までに:練習熱心なゴルファーは図5.1の右足の緑の丸の個所(親指の裏)に”マメ”が出来ます!ここが体重移動のタイミングをとる支点と考えられます!
三つの力がバランス良く作用する力の加え方
回転中心を動かすことなく,物体を回転させるに必要な下記二つの力を加える動作も易しくありません。
  1. 回転中心に向かう求心力
  2. 物体を回転加速する回転力(トルク)
左図はダウンスイングの動作を示します。
クラブを振ろうとすると,グリップにシャフトの軸の延長する方向にFなる力を加えがちです。力Fは回転中心Oを移動しようとするする成分を含んでいます。
アドバイス
お勧めの方法は左腕 Lを赤い円弧Gで示すように脇を閉じる動作でクラブを回転させることです。
この時,前記3つの力がバランス良く作用します!
ヘッドにも求心力が働きます。これがコックです。

脚注:物体を回転加速するには力Fを加えるのでなく,回転中心OにトルクGL×Fという物理量を加えます。Gをトルクと呼びます。このホームページの中で「回転力」という言葉を使っていますが,学術的には「トルク」,又は「力のモーメント」が正しい言葉です。
この脚注を意識的に設けたのは大事な意味があります。

回転動作であるゴルフスイングは”力”ではなく,”トルク”でスイングする意識を持つとことをお勧めします!
  • ”力”はスイングを壊す!
  • ”トルク”はスイングを回転する!


5.3 第2段階:方向が定まらない
ボールを飛球線方向に飛ばすには,クラブフェースを飛球線に垂直に通過させることが必要です。これを高い確率で実行するにはテークバックでクラブフェースを傾けないことです。
不幸にも,人間の手や腕は遺伝的にクラブフェースを開き易い構造に出来ています。
すべての動物は脳と筋肉が学習した動作のみを実行し,学習していない動作は実行出来ません。
最初にクラブフェースの傾きが少ないテークバック動作の訓練(脳と筋肉の)しておくと,その後の高いレベルのスイング学習が極めて効率良く実行されます。

脚注:クラブフェースが傾くプロは沢山にいますが,そのプロのスイングは少なくともインパクトゾーンではクラブフェースの傾きのない高度なスイングになっている点をお見逃しなく。
運動の筋肉システムがプロとアマでは全く違うことを認識することが必要です。
多くのスポーツの中で,ゴルフほどプロとアマの差があるスポーツはなと言われています!
方向を安定させるには2つの方法がある
  1. インパクトゾーンではクラブフェースが傾かない
  2. スイング全過程にわたってクラブフェースが傾かない
前者は多くのゴルファーのスイングで,体各部の運動の複雑な合成で実行されます。
後者はゴルフスイング『超』習得革命が提案するもので,地球上の重力によるタテと水平の次元空間に生活する人間に適合した”タテと水平の回転の合成”という単純な動作で実行され,人間はこの動作を記憶します!

アドレスでできるアームとクラブが作る三角形の面の角運動量でボールを打つ!
伝統的なスイング論では
  1. ボールをより飛ばすのはヘッドスピードである
  2. 方向はクラブの面で決まる
と分けて考えます。勿論これは正しいのですが,欠点は初心者がクラブを思い切り振り回すことに全力をつくすことです。この時,脳と筋肉はクラブフェースを傾ける悪い動作を学習し,その後のゴルフの上達を妨げます。

そこでゴルフスイング『超』習得革命の提案です。2つの意識を1つにまとめると
  • アドレスでできるアームとクラブが作る三角形の角運動量でボールを打つ!
となります。
これはテニスと同じです。ゴルフではボールが止まっていますからテニスより易しい筈です。にもかかわらずゴルフが大変難しいスポーツになってしまうのは,クラブフェースをコントロールする意識を軽視するからです。
テニスはスイングの”形”から学習します。ゴルフもそうあるべきです!
フェースの傾きがないスイング」の基本を身に付けると第3段階:アプローチ,バンカー,斜面,飛距離アップの技術は練習に比例して上達します!


5.4 クラブフェースの傾きとミスショット
アドレスでできるアームとクラブが作る三角形の面の角運動量でボールを打つ!と理解すると,ゴルフのミスショットの原因はクラブフェースの傾きのコントロール問題に至ります。
下図 5.2はダウンスイングの側面図です。
アームとゴルフクラブが作る三角形の面がクラブフェースです。
  • 上段:スイング全過程にわたってクラブフェースが傾かないスイング
  • 下段:クラブフェースの傾きをインパクト迄に修正する必要のあるスイング
クラブフェースの傾くスイングの構造(図 5.2)
- E F



フェ






フェースの傾かないスイング フェースの傾かないスイング フェースの傾かないスイング フェースの傾かないスイング



フェ




フェースの傾くスイング フェースの傾くスイング フェースの傾くスイング フェースの傾くスイング

クラブフェースの傾くスイングはこんなに複雑!
両者のスイング動作を分解すると,表5.2のように「フェースの傾かないスイング」は2種類の動作からなるのに対して,クラブフェースの傾くスイングでは4種類にもなります。
  • 単純な動作の2つの組合わせと,複雑な動作の4つの組合わせでは後者が100倍以上複雑になる
  • 当然ミスショットの確率は大きくなる
クラブフェースの傾きとスイングの構造(表5.2)
ダウンスイング
クラブフェースの傾き 肩(体)
水平回転 タテ回転 - -
水平回転 タテ回転 水平回転 ロール

ミスショットと動作の関係はやや大雑把ですが表5.3如くなります。
  • 単純な動作で構成されるフェースの傾かないスイングは,ミスショットの要因がはるかに少ない
  • クラブフェースが傾くスイングでは腕のロールの過不足がすべてのミスショットの要因となる
ミスショットと動作(表5.3)
ダウンスイング
- 肩(体)
ミスの種類 水平回転 タテ回転 水平回転 ロール
スライス - - 過剰 不足
ダフリ 不足 - - 不足
シャンク 不足 - - 不足
フック - - - 過剰


5.5 ゴルフスイングと角運動量の保存則
ミスショットはインパクト以前の動作に原因がある
ボーリングの玉は手を放れる時の力学量の状態を保存して転がり,ピンを倒すまで,下記の力学法則に従がって転がります。我々が日常使う”慣性”とはこれらの法則のことです。
運度量の保存則
  1. 玉の重心の速さの大きさは変化しない
  2. 玉の重心の速さの方向も変化しない
角運動量の保存則
  1. 玉の重心の回りの回転の速さは変化しない
  2. 玉の重心の回りの回転の方向も変化しない
ピンが倒れる結果は,玉が手を離れた時にすでに決まるということです。

ゴルフスイングと角運動量の保存則:
クラブと体各部の複合体の回転運動であるゴルフのダウンスイングも角運動量の保存則に支配されます。
  • ダウンスイグの前半(インパクトゾーン直前まで)に加えられた回転力(トルク)によりスイングに蓄えられた角運動量は回転力(トルク)をゼロにしてもそのまま保存されて回転する!
  • インパクトゾーンでは,保存された角運動量の一部がヘッドに移行してヘッドが加速される。
  • スイングに蓄えられた角運動量の回転方向は保存される!
この法則によりインパクトの現象は
  1. トップオブスイングの”形”も関係する
  2. ダウンスイングの”形”も関係する
  3. 議論を推し進めると,テークバックの”最初の30cm問題”に至る
テークバックの最初の30cmがうまくいけば,スイングの90%ができあがるという先輩の言葉があります。
突然「運動量」,「角運動量」なる言葉が出てきました。こちらをご覧下さい。
フェースの傾かないスイング」はミスショットが少ない!
角運動量の保存則が支配するゴルフスイングで問題になるのは,特にクラブフェースに傾きがあるスイングの場合です。

左図はクラブフェースに傾きのあるダウンスイングのワンカットです。
インパクトでクラブフェースの傾きをゼロにするには,時々刻々の回転力(トルク)の力成分Fの方向は精密にコントロールされねばなりません。方向が不適切である時,
  • クラブフェースの傾きの修正の過不足が発生,そのままインパクトに残る(角運動量の保存則)
  • 結果として表5.3の腕のロールに係わるすべてのミスショットに至る
例えば
ここ一番の”リキミ”がスライス,或いはフックのOB
恐怖のシャンク
  • クラブフェースの傾きが大きいほどスイング動作は複雑で,ミスショットが多い!
  • フェースの傾かないスイングでは,ミスショットの確率は原理的に小さい!


5.6 インパクトで左脚が伸び切ってしまう現象
100前後でラウンドするゴルファーの典型的スイングは,本人の意思と関係なくインパクトで左サイドが伸びきってしまことです。
先輩に”インパクトで腰をおとして!”と注意されますが,本人にはどうしても矯正できません。これも角運動量の保存則が原因です。
  1. フラット
  2. クラブフェースが傾いている
  3. 手甲を斜めに構えてボールを打ちに行く
のダウンスイングを想定して下さい。
角運動量の保存則が作用し,インパクトでヘッドはボールの上を通過します。
この状態に”左脇を閉める動作”を加えると,ヘッドはボールに当たりますが,左脇を上に突き上げる力が発生し,左サイドが伸びるスイングになってしまいます。
フェースの傾かないスイング」ではむしろ体が沈みます。



5.7 ダフリ
ミスショットと動作(表5.3)にあるように,一般にダフリはダウンスイングにおける水平回転と左腕のロールの不足が原因です。いわゆる振り遅れです。
クラブフェースの傾くスイングの構造(図 5.2)をご覧下さい。
下段の”クラブフェースが傾く”スイングはいかにも振り遅れを起こし易い形をしています。実際にはクラブフェースの傾くスイングのダフリの原因はは表5.3に示すほど単純ではありません。
一方,上段の「フェースの傾かないスイング」では,振り遅れが発生し難い形をしています!
ダフりは”水平回転の不足”が原因です。
ダフリ解消はこちらの提言で


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