中日新聞矢崎藍の「付けてみませんか」「矢崎藍の付けてみませんか」コラム 中日新聞(月)朝刊掲載です

                                       ★矢崎藍の連句わーるどへもどる→


中日新聞で1990年から始まった付け句コラムです。募集コラムのあと、読者の付け句を紹介します。基本的にコラムですので、入選順位、賞のようなものはありません。付け句は活字メディアでの募集ですのではがきご参加ください。(2001年10月から2008年3月まで、東京新聞にも掲載。)
過去のコラム1999年−2005年このコラムのそもそも   

前句   いそがしと師走の空に立ち出でて  芭蕉

「タクシーの列 」中日新聞11月19日(木)      発表1
 (いそがしと師走の空に立ち出でて 芭蕉) 
南天の赤一段と冴え        寺田やす子
顔見せにくる尉鶲あり         ひよこ

 去年とおなじにめぐる冬のなつかしさ。
 (いそがしと師走の空に立ち出でて)
黒いリムジンエアフォースワン     二太郎
オバマさん去りさて普天間は      パスタ

 盛大な拍手と笑顔と握手の裏に火花!
 (いそがしと師走の空に立ち出でて)
手袋咥え切符はどこだ          豊親

 せかせか。
明日も仕事だため息ひとつ        麻子
夜勤が明けた介護の仕事       木村正夫

 人手を増やせ! 時給はどんとアップを!
 (いそがしと師走の空に立ち出でて)
手洗いマスク新型インフル       奥村晋
ワクチン求め病院めぐり        ゆあな

 季節性のワクチンも足りないよー!
 (いそがしと師走の空に立ち出でて)
携帯電話忘れた不安         たんぽぽ

 「その名の通り携帯してないと心配で」少し前までなかった物に頼りきって。
文明のくれた安心と、そして新しい不安。かくてヒトはひ弱に?
ケータイもたぬ今日の自由よ      レイコ
 見えない網をたちきって、今日をゆくぞ!  
 (いそがしと師走の空に立ち出でて)
乗客を待つタクシーの列         利正

(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「しめきりですよ」中日新聞11月12日(木)      締切
 (いそがしと師走の空に立ち出でて 芭蕉) 
恋の巷にひとりぼっちで         藍
     
 付け句はお出しになりましたか。               
 今回出題の芭蕉の句は発句(いまでいう俳句)ではありません。歌仙(三十六句を連ねる連句)の中の付け句です。元禄元年芭蕉45歳のころ、深川の芭蕉庵に愛弟子の越人が訪れ、二人きりで巻いたこの歌仙。「深川の夜」という前書きをもつ、しみじみ懐かしい作品です。その途中に、
 医の多きこそ目ぐるほしけれ    越人
いそがしと師走の空に立ち出でて   芭蕉
ひとり世話やく寺の跡とり     越人

という続きがあるんです。当時の師走はお寺さんも忙しいし、医者も多かったような。ふたりは向き合い、付け合いながらどんな話をしてたのでしょうね。俳諧(連句)は市井の人々の目線をたいせつにした人生詩。そう、お互いこうして生きてる、生きているねえーと共に語る詩なんです。で、みなさんもどうぞお話を。
 (いそがしと師走の空に立ち出でて)
おっと忘れた買い物のメモ       あづさ   
猫の行方を交番で聞く        不用之介   

 付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネーム(なるべく五文字以内で)の方は本名も必ず。投句数制限なし。十一月十四日(土)までにご投かんを。今回は短句、七七句ですよー!
(やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)
「募集」中日新聞11月7日(木)      募集
 (じっと見つめる君の横顔   みさき) 
ショーケース並ぶタルトにモンブラン 高野凌輔
寝たきりの祖父の願いを叶えたい   ジョニー
動かないまだ温かい父の腕      すーさん

 今回は例年の高校付け句コンクール(桜花学園大学と豊田市主催)タイアップで、高校生の一万五千余句も参入。いかがでしたか。そうそう、
 (じっと見つめる君の横顔)
お母さん毎朝お弁当ありがとう     みんな

の同類句が頻出だったこと嬉しくご報告します。
多数御投句多謝。さて、つぎの宿題ですよー。
 いそがしと師走の空に立ち出でて  芭蕉
  ひとり世話やく寺の跡とり        越人
       
という付け合いがあります。私たちも芭蕉の句に付けてみませんか。ええ、現代風景でけっこう。
 (いそがしと師走の空に立ち出でて)
ひたすら数字見ては入力        めじろ
孫に連れられゲームセンター       ねこ

 この年末身近に眺める人の世のあれこれを。ご自分のことでも想像でも。時事句付きますねえ。
 (いそがしと師走の空に立ち出でて)
枯葉からころ駆ける校庭         藍

季語もつかって冬の自然はもちろん。恋句もぜひ。付け句は葉書で〒460-8511中日新聞文化部「付けてみませんか」係宛。住所、電話番号、ペンネームの方は本名も必ず。十一月十四日(土)までにご投かんを。七七句ですよー!

 (やざきあい 作家・桜花学園大学客員教授)

「矢崎藍の付けてみませんかコラムのそもそも」
このユニークなる(伝統と現代の衝突じゃぞ!)中日新聞の付け句コラムは1990年にはじまっています。最初は朝刊の「辛口診断」という時評コラムの中でした。矢崎藍担当コラムで、ある日、付け句の話題を紹介して、「あなたも付けてみませんか」と、(いわば言葉の綾で)文章をしめたところ、読者から付け句がきたのです! 掲載するとまたきた! やっほっほ、どーしよー! とうれしい悲鳴が続いて、とうとう「募集、しめきり、発表」という形をとるようになりました。ちなみに最初の記念すべき前句と付け句は
     恋なんてどうでもいいと古稀は言い  敏女
       それでも赤い薔薇が好きなの、  しげる

でした。くわしくは『連句恋々』(筑摩書房)に書いてあります。
1996年に「矢崎藍の付けてみませんか」として独立、日曜日の読者総合特集ページへ。
1998年に(金)夕刊に引っ越し、文化欄「矢崎藍付けてみませんか」
2003年6月から朝刊掲載となり現在に至っています。
(2001年10月から2008年3月まで東京新聞にも同時掲載。)

 募集10日後しめきりがふつうで、5、6回のコラムの中で発表となります。「今を、共に、語る!」という対話的付け句コラムの内容は終始変わっていません。
『平成付け句交差点』(筑摩書房)、『付け句恋々』(中日新聞社)はこの欄の精選付け句集です

◆過去のコラム1999−「あと一年で二千年なり」1/8−2/12) 「働きすぎてちょっと疲れて」(2/26−4/9「不覚にもまた恋をしそうな」(4/16−6/4)「むくむくと入道雲が立ち上がり」(6/11−8/6)「電子レンジがチンと鳴る夜」(8/13−9/24)「急がないのがうちのモットー」(10/1−11/5)「濃すぎるかしらけさの口紅(11/19−12/24)◆2000「 朝の光が透けるカー テン」1/7−2/18)「不況にもめげぬ男はつらいこと」( 2/25−4/14)「あなたを見てたずっと前から」(4/21−6/9)「ぼんやり見てる窓越しの雨」(6/16−7/28)「氷カランと麦茶の香り」8/4−9/22)「ふと目が合った恋のはじまり」(9/29−11/10)「信号がもうすぐ赤に変わります」(11/17−12/22)◆2001「2001年元旦の膳」(1/5−2/9)「振り返ったら妻がにっこり」( 2/16−3/30)「あなたが好きよ規格はずれで」(4/6−5/18)「土曜二時半雑踏の中」(5/25−7/6)「誰にも内緒そっと寄り道」7/13−9/7)「あなたにひとつ言いたいことが」(9/7-10/26)「秋深き隣は何をする人ぞ」(10/26-12/21)「ざぶりとつかる湯はあふれ出て」(12/28−2/8)「おおきくひとつ息をしてみる」( 2/15−4/12) 「さわさわとふたりの中を過ぎる風」(4/19-6/14)母さんに会ったら涙こぼれそう(6月21日-8 月6日)命あふれて好きな日盛り」(8/2-9/27)横顔の君にきょうこそプロポーズ  ななしげ(10/8-12/18)「恋情のただやるせなき雪ぐもり   聖子」(12月25日-2/25)「いち、にっ、さんしとつづく人生   おはぎ(2/26日ー4月23日)「ぜんぶ話すよ今までのこと  うさぎ(4月23日ー6/19)水 晶玉に未来尋ねる R(6/19ー8/21)「恋という熱じわりあがって おはぎ(8/21ー10/30)「体育館の窓の夕映え   ジュン」(10/30ー12/25)いやですいやだ絶対いやだ    ザリ(12/25-2/26)ふたりだと胸がつまって苦しいの  みのり(2/26-4/22)今ならいいわ誰も見てない 公仁子」4/22-6/17「月は涼しく中天にあり    霞6/17-8/5)「 父と子の言葉とぎれて蝉の声  麓天」8/5-9/23)「君が好きだと気づく瞬間    奏」9/23-11/11)ツ リーのてっぺん星が見ている 成富屋11/11-12/30)いつのまに雪はしずかに降りはじめ あづさ」12/30-2/25)「 さまざまの事おもひ出す桜かな 芭蕉」2/25-4/21)2005 魔法使いが杖をひと振り  ひわ(4/21- 6/2) アスファルトをうつ大粒の雨  聖子(6/2- 7/20)さあ今日も長い道のり一歩ずつ とろっぺ(7/20) 呼び出し音に胸が高鳴る 翠(9/15-11/3)金色の落ち葉かさこそ吹かれてく   洋(11/10-12/22)大根も煮えおでんふつふつ  健(12/22-2/23)愛してるって言ってちょうだい  藍(2/23-4/13)泣きながら一人生まれてきたんだよ かよねこ(4/13-6/1)ちょっと待ってと呼びとめる声 蘭月(6/8-7/20)今日をひたすら鳴いている蝉   京(7/27-9/7)思いがけない好きのスタート  さくら(9/14-11/2)足がもつれてもう踊れない    風(11/9-12/21)めでたさも中位なりおらが春  一茶(12/28-2/15)風に吹かれて胸がいっぱい   珠(2/22-4/5)まいどのことでおせわさまです たつみ(4/5-5/24)恋とは不意にやってくるもの   卓(5/24-7/19)市中は物のにほひや夏の月  凡兆(7/26-9/6)ばったり会った人ごみのなか   めじろ(9/13-11/1)いざいざと冬将軍を迎えうつ   葵(11/8-12/22)時間よ止まれいまこの場所で  のら(12/29-2/14)ものおもひけふは忘rれて休む日に   野水(2/21-4/7)おっとっとっとビールこぼれる  拓(4/14-6/2)星空見上げ話すケータイ   圭(6/2-8/4))あつしあつしと門々の声   芭蕉(8/4−9/15)今 こそチャンス君に告白    ミルキー(9/15-11/3)人生という遠い道のり  ひわ(11/10-1/8)予報はずれの雪がちらちら    けい(1/8-2/26)もう息もできぬくらいに散る桜 みのり(2/26-4/16)ぷるぷると震えて止まる洗濯機   あづさ(4/16-6/4)ここは落着けまずは一服   たつみ(6/4-7/23)容赦なく照る夏の太陽  ひわ(7/23-9/10)じっと見つめる君の横顔   みさき(9/10-11/7)