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 最終更新日
 2007.04.10

  工房徒然  
今回は継手(ツギテ)と仕口(シクチ)の話をしたいと思います。そうは言っても、継手も仕口も何のことかわからない人もいらっしゃることでしょうから、まずは言葉の説明から。簡単ですよ。

 継手というのは、木と木を組み手で足して長くする接合のことです。(例ー1)
(例ー1)

 仕口とは、直交または斜交する材の接合です。(例ー2)
(例ー2)

種類はたくさんあるのですが、挙げていくときりがないので興味のある方は図書館やインターネット等で探してみてください。細かく分ければ何百種類以上もありますから。大工さんたちはこの星の数ほどある方法の中から、その現場で一番よいと思うものを選んで、あるいは新しく考案して建物を建てていくんです。ちょっとかっこいいでしょ。

家具などを作る人を、家を建てる「大工」に対して「細工(サイク)」と言うそうですが、こちらのほうはあまり一般的ではありませんね。「家具屋さん」とは呼ばれても「細工さん」ってよばれたことないですからねぇ。細かい仕事をすることを細工するとは言いますけどね。ちなみに、家具の場合は物が小さいので、長さを継ぐ継手は少なくて、ほとんどが仕口になります。

昔から大工さんたちは釘や金物をあんまり使わないで、こういうふうに木と木を組んで家や社寺仏閣を建ててきました。指物師も同じように釘を使わず、組み手を使って作ります。それにはいろいろ理由がありまして、よい接着剤がなかったということや、金物を使うと建物が長持ちしないということ等が挙げられます。こう言うと金物や釘が悪者のようですが、決してそうではありません。

愛媛の鍛冶師、白鷹幸伯さんは、今は亡き法隆寺の宮大工の西岡常一さんに出会い、千年もつ釘をとがんばっていらっしゃいます。白鷹さんは薬師寺の和釘7000本を一人で打たれたそうですが、この釘というのが今の釘と違い、表面は錆びても中まではなかなか錆びないそうです。鉄なのに錆びないというのは不思議ですよね。以前TVで、「千年もつ釘は男のロマン」とおっしゃる白鷹さんに対し、「明日の食費にも困ってるのに何がロマンなの」とおっしゃる奥さんが印象に残っています。

話がそれてしまいましたが、こういった継手や仕口を見ていると実に興味深く、見た目に美しいだけでなく、木の特性をよくつかんでいて、先人の知恵を感じます。組み手の中が複雑でも見た目にはすっきりしているというのも特徴のひとつで、「これが江戸っ子の粋だ」なんて言ってる人もいましたね。

また、これらの継手や仕口が机上で生まれたものでなく、現場で長い時間をかけて少しずつ改良されて今の形に進化してきたことに驚きを禁じ得ません。実証のあとから科学がついてきていて、いまだに超えることができずにいるのです。伝統とか経験とか…あてにならないようでもまだまだ科学なんぞに負けません。まず現場ありき…です。



下の絵は知る人ぞ知る大阪城大手門控柱の継手です。


正面と奥の面は同じ蟻型(注)、見えてない左側面は右側面と同じ∧形になっています。
(注)日本では蟻に似ているところからこう呼びますが、欧米ではダブテイル(鳩の尾)と呼ばれています。蟻のどこに似ているのか私にはわかりませんが…

大正12年の改修工事の際にこのような継手がされ、昭和に入ってから新聞で「?の柱」として報じられ、当時話題を呼びました。この種の継手は強度的な意味合いだけでなく、一種の遊び心というか、大工の腕自慢的な感じがして面白いですね。ついでに面白い継手と仕口を2つ紹介しておきます。皆さんもパズル感覚で楽しんでみてください。




(参考)左右とも2本の角材を加工して組み合わせたものです。左側のほうは四方カマ継(シホウカマツギ)と言って四面とも同じようにカマ型が見えています。右側は二枚ホゾなんですが、普通に考えたら有り得ないですよね。


答えは…秘密です。謎は謎のままでもいいじゃないですか。

それではまたお会いしましょう。

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第2回 継手と仕口の話     2002/04/01



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