灰色の淡い闇がゆっくりと去っていく。撫でるような光と温度が辺りを包んだ。

瞬間、音がまるで消えたような、世界が静止したような、そんな感覚に巻き込まれて。


動き出した世界に散っていったのは、空を覆うほどの、無数の薄い紫の破片だった。

きらきらと上品な光を放ちながら、風を可視化して遠く遠く、舞い上がっていく。





風花。
すぐそばで、そんな言葉が、聴こえた。



よく知っている声で、けれどすぐには全てを思い出せないまま、意識はまたゆっくりと沈み始めた。
永いあいだ纏わりついていた泥濘はもうどこにもなく、ただ、透き通るように。







――そんな、とても美しい夢を見た。


(夢ではないと知るまで、まだ、もうすこし)






「幸せに暮らしました、めでたしめでたし」――っていうエンディングだったんだと思うのですけど
そこを! もう少し! 詳しく! とか やはり思うわけです。

2010/7/9