『……あの、炎山様』
書類の整理中、躊躇いがちに聴こえた呟きは。
「どうした、ブルース?」
急ぎの作業よりももっとずっと急ぎで、けれど何よりも優先度の低い、戸惑いの囁き。

『その……例の、新型PETのことなのですが』
「何か問題があったのか」
『いえ、そういうわけではなく……』
言っていいものなのか、言っていいとして本当に言ってしまうのか。
本当に言ってしまうとして、どんな言葉でこれを伝えればいいのか。

――呼んでしまうのを、早まったか?

なんでもありません、そう言ってしまえば、このまま言わないでいることも出来るのだけれど。
今更、そんなわけにもいかない、ような気はする。

脳裏に浮かんだ彼らも。
表に出さなくても、心のどこかでは、望んでいるのではないかと思えた。
――絶対あれは望んでいるだろうと見るからに思える奴も居たか。

「……」
くるくると思考が巡る間に、数分が過ぎていた。
言葉を待つ瞳と、躊躇いと戸惑いが残る思考回路の狭間で、立ち尽くしたまま。
「……早く言え」
『も、申し訳、』
「早く用件を言え」
多少いらついた声で、"用件"を強調して。
なんでもありませんなどと言ったら、きっと刺される。この視線に。


『……――その、ひとつ、提案があるのですが』






肩の上の小人さんにはこんな秘話が!
……とかどうでしょうか。

2007/09/29