雨音が耳に痛いほど響く。
音しか存在しない世界でただ一人、ここにいる。

――いつものように眠りに落ちる。
目を閉じれば、世界には黒しか残らない。
目を開ければ、また白に染まる――白い世界は、あまり好きではないけれど。


いつもと変わらぬ、誰もいない"黒"の世界。
自分以外の何も存在しない場所――眠りに落ちると、大抵はここに辿り着く。
この黒の世界で、朝を待つ。
いつもと、変わらない。


――そう、いつもと変わらない……はずだった。


ふと、誰もいないはずの世界に――誰かが居ることに、気付いた。
少し遠くにいる"誰か"を、ここから捉えることは出来ない。
「だれ……?」
寂しさに埋もれそうな世界で、誰かが居るのは少なからず嬉しかった。
同時に、少し……不安もあったけれど。

"誰か"は近づいてくると、言った。
「オレか? オレは――……ヒカル」

「ヒカル……?」
名前を呼ぶと、彼は嬉しそうに笑った。


「……ヒカルは、どうしてここにいるの?」
「ん? なんでかな……」
ふとした疑問をヒカルにぶつけた。
二人で居るのは、一人で居るよりずっとよかった。
誰かの温もりがそこにあることに、ひどく安堵してしまったから。

ヒカルは少し考えて、答えた。
「ツカサが泣いてるから。哀しくて、壊れそうだったから」
そっと身体を抱く手は、優しくて暖かくて――触れたら、壊れてしまいそうだった。
「……じゃあ、」
微かな言葉が"黒"の世界に溶ける。
この温もりを失いたくないと、願ってしまった。

「――ずっと傍に、いてくれる……?」






二人の出会いとか。
「ずっと傍に〜」は二つ返事でokしたんじゃないかと思います。

2007/3/3