目が覚めた。
窓から射し込む光が、微かに聴こえる鳥の吟が、朝を告げている。
昨日の記憶はあまりない。
熱くて、痛くて、息が苦しかっただけ。
要は風邪をひいて、一日寝ていただけ、なんだけど。
ふと、醒める前に見ていた夢を思い返す。
どんな夢だったか、ほとんど憶えていないけれど。
――ただ、とても幸せだった。
この夢が叶ったら。この夢が現なら、どんなに幸せだろうと思った。
理解はしていた。叶うことはないと。現になるのは、矛盾だと。
――それが、ひどく哀しかった。
「起きたか」
いつもより近い、耳元で拡散する声。
「ん……」
声を出しても、昨日のような痛みはない。
「……何か、あったのか」
少しして、いつもより小さな声で呟かれた言葉。
普段の彼には似合わないその行動に、ほんの少し――戸惑った。
「え……なんの、こと……?」
「ずっと泣いてたぞ、お前」
「え、え?」
慌てて頬を拭うと、微かに涙の痕が残っている。
本当に泣いていたらしい。
「あれ……どうしちゃったんだろ」
ひらりと零れ落ちた涙を、もう一度拭った。
「今日はどうするんだ」
「ん……もうちょっと、休んどく」
「そうか」
呟くような返事を待って、もう一度眼を閉じた。
――今度は。ただ幸せな夢を見れることを、願って。
なんとなく書いてみた短文。
自分は切ない系で抽象的なのが得意なんだと再認識……。
2007/4/17