「……ほんとに、僕達だけになっちゃった、んだよね」
「そうだな」
その囁きは、どれ程の範囲にまで届いただろうか。
例えどんなに遠くまで届いたとしてももう誰にも届かないと解っているのに、ふとそんなことを考えていた。
一見いつもと変わらないように見える世界は、もうただの残骸でしかない。住むべき人間は最早必要とされていないし、存在すらしないのだから。
「これから、どうしようか」
「どうしようもないだろ、それともまだ戦うか?」
「……もう、戦う理由なんて残ってないよ」
朽ちゆくのを待つ他、することなどないのだけれど。
「痛っ」
何日か前に傷ついた腕が、今になって酷く疼いた。
「まだ治らないのか、その傷」
「治らないんじゃないかな、病院でも行かないと」
「病院か……この辺にあったか?」
「もう、ないと思うよ」
「そうか」
建物が残っていたとしても、機能などしていないだろう。しているはずがない。
「……ねえ、」
「何だ」
「どこで、間違えちゃったんだろうね?」
「……さあ、どこだろうな」
未来など確定しているというのに。
まだ心のどこかで不安になっている自分が、少し嫌になりながら。
「……今更、泣くのか」
「あはは、本当……今更だね」
涸れたはずの涙は、また止め処なく溢れ出して。
「ずっと、ひとりで居ればよかったのかな」
――寂しいけれど、滅びても何も変わらないでしょう?
「……あのね、ロック――本当言うとね、」
震えた声で紡がれかけた言葉の続きを、たぶん、君は正しく予測していた。
遮ってくれたとしても、それで救われるとは思えなかったけれど。
「もう、終わりにしたいんだ」
気付いていないわけがなかった。一人きりになるまで、あとほんの少しだと。
例の裏側世界を探索してたらこんなの出来ました。
ギリギリで二人だけ生き残ってるんですが、たぶん数日後には誰一人居なくなってるんじゃないかと思います。
2007/11/30