「とりあえず、人間になるのはやめておいたほうがいいと思うぞ」
――意識を取り戻して、一言目だった。
暢気というか、能天気というか。
自分が生と死の狭間に居るという状況を、果たして理解しているのだろうか、こいつは。
「……願っていない、そんなことは」
本当のところはどうだったのか、今となってはよくわからない。
自覚がなかっただけで、願っていたのだろうか。
「人間なんてな、面倒なだけだ。愛だの存在理由だの正義だの悪だの……」
「だから願っていないと、」
「まあ、なってしまえば悪くはないんだけどな。勧めはしないでおくよ」
「…………」
理解しながら言っているのだろう、こいつは。
今更こんな言葉を交わしたところで、消えてしまうまでもう秒読みだと言うのに。
メテオサーバーから感じ取れる、あの少年の反応も消えかけている。
この反応が消えれば、地球は終焉る。
「……疲れたときには、甘いものがいいらしいんだけど」
「ほう」
「スバルは、甘いの好きかな?」
「どうだろうな」
こいつ――暁シドウは、そうして、そっと立ち上がった。
「まあ、今はお菓子なんて持ってないんだけどさ」
暫くアシッドを頼むよ、と、それだけ言って。
彼の気配は、メテオGへと向かった。
あの時、持ち歩いてたお菓子はアジトに落としてきちゃっただろうな、とか。
あのあと二人はノイズの狭間に落ちてて、そこからノイズウェーブ経由でメテオサーバーに行けちゃったりしたのかな、とか。
ジョーカーさんは自爆しちゃったからやっぱり助からなかったのかな、とか。あえて助かろうとしなかったかも、とか。
姉弟がフジヤマクリームパフェに二人がかりで挑むところを見ていたジョーカーが甘いものは逆に疲れると思い込んでたりしないかな、とか。
アシッドはシドウさんを助ける為に頑張りすぎちゃって大きくダメージ受けてたりしそうだよね、とか。
シドウさんとアシッドはアジトの機械から密かに探してたねえちゃんに発見されたのかな、とか。
そんな感じのことをぼんやりと考えてたらこんなのができました。
2008/11/30