窓の外に映る叶わぬ夢に、思わず目を疑った。
道化師ですら叶えられない夢であると確信していた。この刹那までは。

淡い寂しさの絡む羨望が込み上げる。それは道化師の居場所なのだと、魔術師の居場所ではないと思い知らされるようで。

瞳に焼き付く景色に違和感を感じたのは、瞬いた直後。




「また……取りの……」

聞き取れる声も見て取れる表情も、遠すぎる距離に霞んでいた。
道化師の瞳は、触れれば消滅する幻想のような柔らかさで素直な哀しみを映し出す。
僅かなズレのようだった違和感は雪のように積もり、違和感の正体に近づくほど鮮明な疑問だけが残された。

「……く、誰……て信じ……」
「……でも……だ。…………して……なんて……だろ」

――道化師は何故、笑顔を零さない?

「……に思い出……のか?」

――彼は何故、あんなに冷たい瞳をする?

「……だけで……い……思う?」

何もかもが理解できなかった。どこまでも想定外だった。
台本が与えられていないという感触を理解した気がして、どこか奇妙な感覚を覚えた。
やはり同一存在なのか。共有しない記憶も間違いなく存在するとはいえ。

道化師の求めた台本は世界のどこかに存在すると僅に確信する。
映し出されたこの奇妙な光景は、その台本どおりなのだろうか。このくるくると踊るように巡る思考さえも。

どこまでが台本に書かれたことなのか、自分には知り様もない。


魔術師はきっと、表舞台には上がらない。







「今日だけで何回借金取りって〜」の辺りのシーンをマギさんが見ていたら、という感じで。
先に原作読んでたせいか、マキシのあまりの冷たさにとてもびっくりでした。

2008/3/27