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蝉しぐれ


【Introduction】
原作は藤沢周平の同名小説。
下級藩士の波乱に満ちた半生を、秘めた恋、変わらぬ友情などを織り交ぜて描いた秀作です。

小説を読んだことはないんですが(たぶん ^^;)、以前宝塚で上演されたことがあり、私は劇場で見てはいないんですが、後にテレビで放映されたのを見たことがあります。
宝塚版は「若き日の唄は忘れじ」というタイトルで、牧文四郎=紫苑ゆう、おふく=白城あやか、小和田逸平=麻路さき、島崎与之助=稔幸というキャストでした。

宝塚はミュージカルですから、もちろん歌や踊りがあるんですが、この作品は何より物語の筋立てがおもしろくて惹きつけられました。
ビデオに録画して何回か見たんですが、見れば見るほど味が出てきて心に残る作品です。

この作品をじっくりテレビドラマで見られるということで(しかも主役が内野さんだなんて素敵 *^^*)、非常に楽しみです。[8/27]

【8/22放送分(第1回)】
海坂藩主・牧助左衛門(文四郎)のもとへ、前藩主の側室・お福が訪ねて来る。
二人は、波乱に満ちた昔を思い出す。
25年前。牧家の養子・文四郎は、血が繋がらないながらも父・助左衛門を尊敬し、家を継ぐべく励んでいた。
親友の小和田逸平、島崎与之助らと道場に通い、隣家の小柳ふくと淡い恋を育んでいた文四郎だが、ある時、助左衛門が世継ぎ争いに加担したという罪で捕らえられてしまう――


25年前を演じた子役(?)の皆さんが素晴らしい!
文四郎役の森脇史登くん。凛として、口数は多くないけど強さと優しさを併せ持った“古き良き武士”の卵という雰囲気をよく出してます。
ふく役の伊藤未希ちゃん、水野真紀に似てていいキャスティング! 控え目な感じが好印象です(^-^)
道場でやられっぱなし、美しい横顔が女の子みたいと思った与之助役は、「ちゅらさん」で早世した和也を演じた遠藤雄弥くんでした。

下級ながらも落ち着いた毎日を送っていた牧家。
父・助左衛門が捕らえられ、波乱の幕開けです―― [8/27]

【8/29放送分(第2回)】
父・助左衛門は「わしを恥じてはならぬ」と文四郎に言い残し、切腹する。
翌日、遺骸を引き取りに行った文四郎は途中にある坂で立ち往生してしまうが、ふくが文四郎と共に荷車を引く。
長屋に移り住んだ文四郎たちの元へ小和田逸平が訪れ、助左衛門を死に追いやった里村左内について知らせる。
ふくが江戸へ奉公に行くことになり、ふくは文四郎を訪れるが二人はすれ違ってしまう。
ふくが江戸へ行って1年半後、文四郎は里村左内の屋敷へ呼ばれ――


荷車のシーンがよかったです。
うだるような暑さの中、父の遺骸を乗せて荷車を引く文四郎。
“謀反人”と呼ばれ、市中の冷たい視線と嘲りを受けながら、それでも「恥じてはならぬ」という父の言葉を胸に歩む文四郎。
内野さんの耐える演技が素晴らしかった!
そして、坂を上りきれずに悪戦苦闘する文四郎に寄り添って共に荷車を引くふく。
「蝉しぐれ」名シーンの一つです。
ほのかに想い合っていた二人ですが、ふくは江戸へ奉公へ―― [8/30]

【9/5放送分(第3回)】
牧家は処分を解かれ、家禄も元に戻される。
文四郎は小柳の家に報告に行くが、江戸に奉公に赴いたふくに殿の手がつき、小柳家は出世して越したことを知る。
江戸で学問を修める島崎与之助が帰国し、ふくが流産したことを知らせる。
文四郎は、道場主・石栗弥左衛門から、奉納試合に勝てば秘剣村雨を伝授すると言われ――


文四郎の兄弟子で、助左衛門と同じく切腹させられた矢田作之丞。
その寡婦・矢田淑江が不義の行いをしていると、弟の鶴之助が長屋を訪れます。
宝塚版では描かれていない(と思う)ので、文四郎とどう関わってくるのかは気になるところ。
作之丞役が村上弘明で、楽しみにしてたのに登場は初回のみでガックリ。
淑江は鈴木杏樹で、艶っぽく演じておられます(^-^)
どうやら弟の鶴之助の方が今後、文四郎と関わってくるみたいです。 [9/6]

【9/12放送分(第4回)】
奉納試合に勝った文四郎は、秘剣村雨を伝授される。
郷方組屋敷に転居し、村廻りの仕事に励む文四郎だったが、先輩の役人・青木から、助左衛門が代官の不正を正そうとして切腹させられたことを知り、父の敵・里村派と対立する横山派に組せよと進められる。
与之助が藩校の助教となって帰国し、ふくの近況を知らせる。
かつて殿の子を流産させられたふくは密かに国に帰ってきており、再び身篭って欅御殿で暮らしていた。
里村派がふくの命までも狙っていると気が気でない文四郎だったが、青木が里村派の犬飼に暗殺される――


牧家だけがなぜ処分を解かれたのか、真相が明らかになりました。
昔、洪水があったときに助左衛門の発言で稲田を救われた農民が恩を感じて、助命嘆願書を役人に届けていたのでした。
父の善行が、文四郎と母に巡りかえってきたのです。
ますます父を尊敬する文四郎でしたが、処分の行き過ぎを咎められた里村は、ふくを追い詰めた殿の側室とつながっており、ふくの命を巡って文四郎は里村派と対立していくことになります。 [9/15]

【9/19放送分(第5回)】
里村左内に呼ばれた文四郎は、ふくが産んだ殿の子をさらってこいと命じられる。
ふくの子と自分を消そうと企む罠だと勘付いた文四郎は、逸平と布施鶴之助の力を借り、ふくの子を横山又助に預けようと作戦を練る。
久しぶりにふくと対面した文四郎らは昔を懐かしむが、屋敷に里村派の犬飼らが乱入してくる――


生涯の友との友情を描くのもこの作品の見所なんですが、与之助は剣にかけては力になれないし、妻子ある逸平にも迷惑はかけたくないという文四郎。
じゃあ、なんで二人に相談したんだろう(^^;)、という疑問はさておき、命をかけたやりとりが始まりました。 [9/23]

【9/26放送分(第6回)】
宿敵・犬飼兵馬を“秘剣村雨”で倒した文四郎は、ふくの後を追う。
村役人の住居に逃れていたふくとその子を横山又助の屋敷に預けるため、文四郎が付き添って舟で城下に入る。
ふくを送り届けた文四郎は里村の屋敷に赴き、激しい怒りをぶつけるのだった。
逸平の母の世話で、文四郎はせつという娘と祝言を挙げる――


追っ手から逃れる緊迫した場面あり、文四郎とふくの切ない場面あり、文四郎の怒り爆発場面あり、と見応えのある回でした。
舟の中に縮こまる文四郎とふく。
台詞は一つもないんですが、“見つからずに逃げたいんだけど、このままずっと二人でいたい”というような二人の想いが痛いほど伝わってきました。
手を取り合い、頬寄せ合いながら、運命に流されていく二人です。 [10/1]

【10/3放送分(最終回)】
文四郎の妻となったせつは、文四郎にも母・登世にもよく尽くしてくれ、文四郎はつつがない家庭を築いていく。
逸平が訪れ、失脚した里村が文四郎に対して刺客を放ったとの報せを届ける。
里村追放の報奨が文四郎、逸平、布施鶴之助に与えられ、文四郎は襲ってきた刺客も秘剣村雨によって退治する。
それから20年。郡奉行となり、牧助左衛門と名を改めた文四郎の元にふくからの文が届く。
再会する二人。昔を思い語りしながら、文四郎もふくも共に生きる道はなかったのかと思うのだった――


しみじみと語らう二人。
静かな情景ながら、胸にたぎる熱い思いは文四郎もふくも同じなのです。
ジリジリと唸る蝉の声が代弁するようで。
「文四郎さんの子が私の子で、私の子が文四郎さんの子であるような道はなかったのでしょうか」
「牧文四郎、それを生涯の悔いとしております」
淡々と語るところがまた何とも胸を打ちます。

文四郎を演じた内野さん、真っ直ぐで真面目で正義感溢れる文四郎を凛々しく演じられていてよかったです。
耐える役どころなんですが、内に秘めた思いもうまく表現しておられました。
ふくを演じた水野真紀、前半は“小柳ふく”の健気でひたむきな感じを、後半は“お福様”のしっとりとした感じを出していて、好演でした。 [10/5]

NHK金曜時代劇 2003年8月より全7回

原作  藤沢周平「蝉しぐれ」
脚本  黒土三男
音楽  小室 等
語り   草笛光子

CAST
牧 文四郎 ------ 内野聖陽
お福 ------------ 水野真紀

牧 助左衛門 ---- 勝野 洋
牧 登世 -------- 竹下景子
小和田逸平 ------ 石橋 保
島崎与之助 ------ 宮藤官九郎
矢田作之丞 ------ 村上弘明
矢田淑江 -------- 鈴木杏樹

布施鶴之助 ------ 海部剛史
犬飼兵馬 -------- 荒井紀人
石栗弥左衛門 ---- 石橋蓮司
横山又助 -------- 柄本 明
里村左内 -------- 平 幹二郎


「蝉しぐれ」公式サイトは こちら

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