
岩ぞうコーナー
MGB Mk-1 Tuning Bible
Contentsお知らせ:先日のバージョンでは、ルマンの成績について、一部誤りがありましたので、訂正追記致しました。
注:添付のイラスト、写真はイメージであり、直接記事の内容とは関係ないこともあります。ご注意下さい。
「MGB Mk-1のチューニング」

先代のMGAの面影を濃く残すエクイップメントを身にまとって、MGBは1962年に発表された。
MGAの車体を基本的に構成するラダー・フレームが廃止され、新たにMGBでは現代的なモノコック・シャシーを与えられたものの、エンジンは相変わらずの3メイン・ベアリングのBシリーズ・ユニットのボアを拡大したに過ぎない旧式であり、ギアボックスもまた1速にシンクロを持たない旧態然としたまま採用されている。ほかにもポジ側のアース極性、直流ダイナモ、3/4浮動式のリア・アクスルなど、後のMGBで改善発展した構造や部品は数多い。
言い替えれば、MGトゥアラーの過渡期に生まれた証でもあり、やがて訪れるMGB全盛期(69年〜73年頃)のパイオニア的な素性を持った Mk-1でもある。かかる前時代的なディティールのMGBを、では速く走らせようとするなら、どうすれば良いか・・・。
もう少し前置きを。競技に使うMGBなら、Mk-1よりも後の世代のMGBが相応しい。なぜなら先述の旧型の部品や構造は著しく改善され、耐久性は飛躍的に向上していて、さらには燃焼室形状までもが高効率化されているのだ。設計レベルで与えられた能力は、後で改造して得たそれよりも有利であることは言うまでもなく、故に、さらなるポテンシャルを引き出す素材としては排ガス規制を受ける直前のモデルが最も手っ取り早い。
しかしながら、Mk-1とて 65年のル・マンで距離部門(総合順位)11位でゴールした実績からすると、まんざら捨てたものでもない。もちろんバディ・ホプカークを筆頭にする名うてのレーサーと、BMCが企業ぐるみでバックアップした結果であるから、ちょっくらちょいと成せる技ではなく、やれば出来るという夢だ。
- #編集部追記。この1965ルマンでは、クラス別で4位である。完走は全部で14台/51台、MGBの平均速度は、158.12km/hであった。No.GHN3/59H27,DRX2556。
かくてMGBを改造するにあたり「なにを狙い目指すか?」という方向は、非常に重要なチューンナップ・コンセプトに相違ない。競技で一番時計を獲るのか、はたまた公の山坂道でブイブイと走るか・・・、それを明確に捉える必要が欠かせない。
当時のBMCが「ステージ・チュ−ニング」と称して、オウナーの意志による段階的な改造を応援していたのはつとに有名な話だ。現在でも英国の様々なMG屋で、当時と同じ、あるいはより洗練された部品を入手できる。上述のことを念頭に置いて、これらの中から、Mk-1のMGBを速くする術を考えてみる。
1.ハンドリング
- 速く走らせるためには、無論エンジン・パワーがモノを言う。けれども、直線だけブッ飛んでコーナーで突き刺さっては仕方がないので、すべからくチューニングは足周りの強化から始まる。走る、曲がる、止まる、その最も大切な要素だ。
- 速く曲がろうとしたときの障害はアンダーステアやオーバーステアの現象だろう。車体の荷重変動によるローリングと、ホイール・アライメント、それにタイヤのアドヒージョンが大きく関わる。部品メニューを挙げるなら、ブッシュ、スプリング、アンチ・ロール・バー、ショック・アブソーバー、ホイール、タイヤ、サスペンション・アームなどが該当する。
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- a)ブッシュ
- 手っ取り早いのはサス・アームや各ブラケットに挿入されている「ブッシュ」を、スタンダードのゴム製のモノから、ナイラトロンやネオプレーンなどの新素材で創られたモノに交換。これによって、サス・リンクの <よじれ>が無くなり、かなりシャープな車体の応答性が期待できる。
#編集部注:どちらにしろ、オリジナルの2ピース型のFサスブッシュは、耐久性上お薦めしない。せめてGT-V8用の金属スリーブ入りの物に交換しよう。
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- b)コイルスプリング&ショックアブソーバー
- 次にスプリング。単にバネ・レートを上げるだけでなく、車体の重心を下げてロールセンターを低くとるための「ショート・スプリング」の装着。併せてダンピングを確実にするために「ショック・アブソーバー」も交換。MGBのレバーアーム式ダンパーは戻り側に能力が乏しいので、アップレート・バルブで武装するより、コニーやスパックスのガス封入式ダンパーが好ましい。 スプリングはコンペ用のショート(550Lb/in)程度で非常にシビアな旋回反応が得られる。同時に「バンプ・ストップ」をショート・スプリング用に交換しなければ、サス・ストロークを失ってしまう。
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- c)アンチ・ロール・バー
- 「アンチ・ロール・バー」は文字通り車体のローリングを抑えるトーションバー型スプリングで、コイルバネやタイヤ、ダンピング特性と深く関係し、これらを無意味にするほどバネレートの高いモノでは能力が発揮できない。一概に特定できないけれど、3/4"コンペ(170Lb/in)くらいなら守備範囲が広い。
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- d)アライメント
- 「サス・アーム」は前軸のウイッシュボーン・ロア・アームを長く伸ばすことによってネガティブ・キャンバーを成すための部品で、旋回性能は著しく向上する。トゥイン設定が広過ぎると、直進性が劣り、同時にアウターベアリングにかかる負担が増す。狭すぎては強烈なオーバーステアが発生し曲がれない。タイヤの幅などにもよって適正は変わるので、試行錯誤を繰り返しベストを狙う。
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- e)タイヤ
- 「ホイール」と「タイヤ」は、バネ下重量の軽減のほかドライバーの好みにもより、サスの総合的なマッチングに貢献する。一般的に、サス性能を上回るハイグリップ・タイヤは、リンケージや車体の負担を増し、危険なコーナーリングを体験することもあるので、ほどほどのアドヒージョンを期待するが良策のようだ。
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- f)リア・アクスル
- 以上は主に前軸についてを挙げた。
- Mk-1の後軸はリーフ+リジット・アクスル、しかも 3/4浮動のアクスル・ケースだから、車高を下げ、バネレ−トを上げる程度でしかない。アクスル自体の横方向の動きを抑える「ラテラル・ロッド」や「アクスル・テンショナー」も効果を期待できるし、「アンチ・ロール・バー」の装着も考えられるが、いずれもブラケットの加工が必須。ただし、後軸のローリングを <無し>にすると、クルマは簡単にスピンする。
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- g)ボディ剛性
- どんなクルマでもホイール・アライメントを顕著に設定すれば、直進性だけは比較的安易に確保できる。しかし、旋回性と制動時の姿勢安定を併せたら、なかなかに難しい。サスペンション調整と密接に関連するこれらの症状は、ボディ剛性を上げることによって、ある程度の向上が期待できるだろう。
- とくに 30年も経たモノコック・シャシーには、やむを得ない構造的なヤレが各部に見られる。代表的な症状が <スカットル・シェイク>と呼ぶ車体底に発生する振動=バタツキで、激しいときにはシャシーに亀裂が見られる。いわんやロード・ホールド面では不利に働く。もうひとつは、旋回時に見られる車体のねじれ。これもサスペンション性能を完全に引き出すことができなくなる。
- こうした脆弱なシャシーを補強するためには、各部に筋交いに相当する「テンション・バー」を追加するが、これもマウントやブラケット部の加工をしなくてはならない。
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- h)ステアリング
- MGBのハンドルロック・トゥ・ロック 2.9回転が標準。サス調整で反応をシビアにすれば不満のないギア比だといえるが、同 2.1回転のクイック・ステアリング・ギアも入手できる。
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- i)そのほか
- MGBのフロントには、コイル・オーバー式のサスペンション・コンバージョンも用意されているが、レースの表彰台を狙わないのなら、費用がかかりすぎるだろう。
2.ブレーキ
- クルマのストッピング・パワーは侮れない要素だ。なにしろサーボ・アシストを持たないブレーキなので、コーナーの手前では、踏むというより蹴り込む感じのペダル操作を強いられる。とりわけ前輪の制動にかかる負担は想像を絶する出来事で、一にも二にも放熱性がモノを言い、シューやパッドのヒート・レンジも軽んじられない。
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- a)フリクション材
- その気になれば、ロッキード製のディスク・ブレーキ・ユニットを、ごっそりと交換する手段もある。それは4ポット対向ピストン+べンチレイテット・ディスクというような最新の装備なのだが、「費用:性能」と考えた場合、ハイスピード・サーキットで台頭するようなエンジン出力でないなら、パッドの材質=高いヒート・レンジを持つ「フェロード」や「ミンテックス」などの銘柄を装着するだけで対処できる。これらのパッドがフェードを起こすほどの熱量なら、ディスク・ローターがイカれるだろう。
- リアはコンベンショナルなドラム・ブレーキで、こちらも同銘柄のシューに交換するだけで足りる。またホイール・シリンダーは内径の小さい(細い)モノがあるので、アップレートが期待できる。ただし、バッキング・プレートの穴に加工が必要。
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- b)ディスク・ローター
- 標準キャリパーのサイズに合わせたローターがある。パッドのカスを掃き出す溝を掘った「グルーブド・ディスク」と、冷却孔を設けた「ドリルド・ディスク」がそれで、どちらも簡単な作業で交換可能。
- しかし品質の問題はクリアしたとは言い切れず、いずれの板も歪みやクラックの懸念は捨てきれない。とくに通常走行では感じられない症状が、加熱による膨張で現れるケースもあり、酷いときにはパッドがロックすることもあるので、試走を重ねるべき部品だろう。
- #編集部注)ランチャデルタオーナーから聞いた話ですが、ドリルドロータは、高熱時に、水たまり突入などによって、クラックが発生する物があるのでご注意とのこと。
c)フルード・ホース
- ゴム製の純正から「ステンレス・メッシュ」のホースに交換すると、ペダルを踏んだ直後のタッチが改善される。しかし、ゴムに比べて小石などの衝突に対して脆弱なので、保護パイプと定期点検は必須。
3.冷却・潤滑


気温にもよるが、長時間の高速走行の場合ヒート対策は欠かせない。熱ダレによるパワーダウンは、エンジンを著しく劣化させてしまう。
- Mk-1の持つ冷却キャパシティは以外に大きいのだが、さらに余念をいれるなら、サーモスタットを取り去り、ラジエターへの流動抵抗を減らす「ブランキング・スリーブ」を挿入する。同時に必ずオイルクーラーを装着。
- ラジエターも含めコア増しも効果的だし、ケースによっては国産の高効率コアを移植することも可能だが、エンジンの圧縮比が標準なら、そこまでの必要性は感じられない。むしろ、ラジエターの劣化を改善すべきだろう。
- オイル・プレッシャーは標準で充分。心配される向きには、リリーフ・バルブにアップレート部品がある。オイルポンプの容量も、余程のカムなどを使わない限りは問題ない。
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m(^0^)m_ 1963 MGB Tourer, NavyBlue, S/No.G-HN/3-13033
[*岩ぞう*] IWAKUNI,YAMAGUCHI <<QWR07454>>
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