Topページへ 胃がん
Q1: 統計的に胃がんはどんな特徴をもっていますか?
Q2: 胃がんの症状はどのようなものですか?
Q3: 胃がんの危険因子を教えて下さい?
Q4: 早期胃がんと進行がんはどのようにちがうのですか?
Q5: 胃がんの診断はどのようにしますか?
Q6: 胃がんの治療はどのようにしますか?
Q7: 胃がんの新薬にはどのようなものがありますか?
Q8:胃がんにならないようにするにはどのようなことに気をつけますか?
Q9: 胃を手術でとるとどのような副作用がありますか?
Q10: 胃がんや大腸がんの診断や治療でなにか新しい進歩がありますか?
Q11: 胃がんの5年生存率と予後(病気の見通し)はどうですか?
Q1:統計的に胃がんはどんな特徴をもっていますか?
A1:日本人の食生活の変化、がん検診の普及、早期発見・治療の進歩により、胃がんの死亡率は年々減少し、男性のがん死亡率の中では肺がんに次いで2位になりましたが、女性では1位です。患者さんの総数は2005年には男性で32,643人、女性で17,668人です。胃がんは全がんの17.4%を占めております。
Q2:胃がんの症状はどのようなものですか?
A2:早期胃がんでは殆んど症状がありませんが、消化不良、胃部不快感、膨満感、嘔気、食欲不振、胸焼けなどがみられることもあります。進行すると血便、嘔吐、体重減少、胃痛、腹部腫瘤の触知などがみられます。
Q3:胃がんの危険因子を教えて下さい?
A3:ヘリコバクター・ピロリ菌の感染、高齢者、男性、喫煙者、塩分の多い食べ物、萎縮性胃炎などが胃がんの危険因子です。
Q4:早期胃がんと進行がんはどのようにちがうのですか?
A4:胃の粘膜は内側から、粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜の5層に分類されます。早期がんは胃壁の中でがんの浸潤が浅く、内側から2層目の粘膜下層にとどまっている場合をいいます。進行がんはそれより深く浸潤し、胃壁の固有筋層や漿膜に達している場合をいいます。
Q5:胃がんの診断はどのようにしますか?
A5:胃内視鏡検査や胃レントゲン検査で疑わしい部分の胃生検を行い病理学的に確定診断を行います。胃内視鏡の先端に超音波探触子をつけると胃がんの浸潤の程度(拡がりと深さ)やリンパ節転移の有無がわかります。
Q6:胃がんの治療はどのようにしますか?
A6:検診で内視鏡検査を積極的に受け、早期発見・早期治療に努めましょう。胃がんの治療の基本は手術です。直径2cm以下の早期がんでは、内視鏡下粘膜切除術で簡単に済ますことができます。粘膜下層に広がっている早期胃がんでリンパ節転移のない場合は、がんとリンパ節を小さめに切除する縮小手術を行います。進行している場合には、胃の3分の2以上または全体を切除し、周囲のリンパ節も切除する定型手術を行います。最近は、腹腔鏡下手術により、おなかを大きく切開せずに行う方法が普及してきました。手術後には補助的に放射線療法や化学療法を行うこともあります。
Q7:胃がんの新薬にはどのようなものがありますか?
A7: 慢性骨髄性白血病の治療薬として承認されているチロシンキナーゼ阻害剤である「メシル酸イマチニブ(商品名:グリベック)」が、消化管間葉系腫瘍(GIST)という極めてまれな胃、小腸、大腸などの粘膜下腫瘍(悪性、境界型、良性の3種類あり)に対して有効であると欧米で報告され、使用されております。特に、末期状態にある悪性のGIST患者さんに著明な効果があるとのことです。残念ながら大多数を占める胃がんや大腸がんには効果はありません。現時点ではわが国において、この薬を悪性GIST患者に保険薬として使用することはできません。
Q8:胃がんにならないようにするにはどのようなことに気をつけますか?
A8:塩分の摂取量を1日10g以下(理想的には7 g以下)にします。塩分高濃度の食品を習慣的にとると胃の粘膜を保護している粘液を破壊し、炎症が起こります。そこにヘリコバクターピロリ菌が繁殖し、持続感染すると慢性胃炎から胃がんになりやすい状態になります。塩分高濃度の食品としては、漬物、味噌汁、魚の干物、たらこ、いくら、塩辛、練りウニ、塩昆布などのことで、これらの摂取を減らしましょう。塩分を控えると、高血圧、脳卒中、心筋梗塞などの予防にもなります。新鮮な野菜や果物をとりましょう。
Q9:胃を手術でとるとどのような副作用がありますか?
A8:胃を部分的または全部切除すると無胃症候群として3種類の副作用がおこります。ひとつはダンピング症候群と呼ばれるもので、食事のあと、悪心、嘔吐、腹部膨満感、下痢、腹痛、めまいなどがおこります。食事の回数を増やして、ゆっくりと時間をかけて食事をすると良くなります。次は逆流性食道炎と呼ばれ、胃を全部とったときにおこりやすく、強塩酸を含む胃液が食道に逆流して炎症がおこります。この他、無胃性貧血と呼ばれる悪性貧血も、術後7〜8年で発症することがあります。この場合は不足しているビタミンB12とか葉酸を摂取すると良くなります。カルシウムの吸収不良による骨代謝障害もおこります。 (胃切除症候群はこちら)
Q10:胃がんや大腸がんの診断や治療でなにか新しい進歩がありますか?
A9:レーザー光線を照射し胃や腸の細胞ががんかどうかを瞬時に判別できる新型内視鏡を、昭和大の工藤進英教授とオリンパス光学工業の研究チームが開発しました。新しい内視鏡では粘膜に傷をつけずにその場ですぐに診断がつき、早期のがんと分かれば、その場で内視鏡手術となり、診断し手術しても日帰りすることも可能となります。先端に組み込んだ特殊なレーザー顕微鏡でみると、正常な細胞は核や細胞壁が白っぽく映るのに対し、がん細胞は核が黒く映り、形も崩れているので鑑別できるとのことです。残念ながら、実用化には3年ほどかかる見通しとのことです。
Q11:胃がんの5年生存率と予後(病気の見通し)はどうですか?
A10:胃がんの病期は病期0、病期I、病期II、病期III、病期IVに分類します。病期0は早期胃がんで胃の粘膜下層までにとどまる浅いがんで、5年生存率はほぼ100%です。国立がんセンター中央病院の統計によると5年生存率は、I期では91.6%、II期では77.1%、III期では46.1%、IV期では8.6%です。日本胃がん研究会によると胃がんの5年生存率はI期90.3%、II期70.8%、III期43.1%、IV期12.5%です。毎年、胃がんの5年生存率は1%程度上昇しております。
(胃がんの病期分類の詳細はこちら)