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B型肝炎 |
Q1:B型肝炎ウイルス感染様式は?
A1:B型肝炎ウイルス(HBV)感染によって引き起こされる疾患には、急性肝炎・劇症肝炎・慢性肝炎・肝硬変・肝癌などがありますが、ウイルスの感染様式としては「一過性感染」と「持続感染」の2つに大きく分類されます。一過性感染の場合には不顕性感染と肝炎発症の2通り、持続感染の場合にも無症候性キャリアと症候性キャリアの2通りの宿主が存在します。
Q2:B型肝炎ウイルスキャリアとは?
A2:B型肝炎ウイルス保持者、いわゆるHBVキャリアは世界中で2億人以上存在すると推定されています。HBVキャリアは、肝機能異常および黄疸などの症状を有する症候性キャリアと、肝機能正常の無症候性キャリアに分類されます。症候性キャリアは慢性肝炎、肝硬変などHBVを起因とする肝臓の炎症で肝機能異常を呈しています。一方、無症候性キャリアはキャリア成立後、肝障害がまったく起きないいわゆる健康キャリアと、肝障害が消退したあと、肝臓の病的所見は有しているものの、肝機能あるいは自覚症状になんら異常が認められない無症候性キャリアに区分されます。HBVキャリアの成立は、HBe抗原陽性の母親より出産した児がHBワクチンなどによる予防を行わなかった場合、キャリアに移行します。わが国ではこの母子感染以外のキャリア成立ルートはほとんどないものと考えられています。
B型肝炎ウイルスのキャリア率は、欧米で0.1%、アジア・アフリカは3〜10%、台湾15〜20%、日本(全人口)1〜2%、日本の献血者はほぼ0%、日本の妊婦0.9%です。B型肝炎ウイルスの感染経路は母子感染が25%、血液透析が2〜3%、針刺し事故は1〜60%であります。そのうち、患者血がHBe抗原陽性でHBe抗体陰性の場合は22〜60%ですが、患者血がHBe抗原陰性でHBe抗体が陽性の場合は1〜6%です。
Q3:HBVの検査(ウイルスマーカー)は?
A3:B型肝炎を起こすHBVに関連してHB抗原・抗体系の検査が、B型肝炎の診断に用いられます。HBVのマーカーは、健康保険で認められたものだけでも7種類あります。
・HBs抗原 陽性:HBVに感染していることを示します。
・HBs抗体 陽性:HBV感染の既往があったことを示します。中和抗体としてHBVの感染防御に役立ちます。
・HBc抗体 陽性:HBV感染の既往があったことを示します。とくにHBc抗体の著増は現在HBVに感染していることを示します。
・IgM型HBc抗体 陽性:低抗体価は、B型急性肝炎の回復期、あるいはB型慢性肝炎の増悪期を示します。高抗体価は、B型急性肝炎の発症期を示します。
・HBe抗原 陽性:血清HBV濃度が高いとされ、感染力が高いことを示します。
・HBe抗体 陽性:感染性は低いか、あるいはほとんどありません。HBs抗原陽性でHBe抗体陽性の場合は、血中にはHBVがほとんど認められなく、感染性は低くなります。
・HBV-DNAとHBV関連DNAポリメラーゼ:HBV増殖のマーカーで、血中HBV量を示します。また、抗ウイルス剤投与後の効果の指標です。
Q4:B型肝炎の治療は?
A4:1985年より、HBVキャリアの発生ルートである母子感染がg-グロブリン(HBIG)およびHBワクチンで予防されるようになりました。B型慢性肝炎の治療は、その薬効から3種類に分けられます。第1群はtransaminaseの改善を目的としたもので、グリチルリチン製剤などがありますが、抗ウイルス作用はありません。第2群はウイルス抑制・排除を目的としたもので、インターフェロンa、bなどがあります。第3群は免疫調整あるいは賦活を目的としたもので、副腎皮質ホルモン剤や漢方薬の小柴胡湯などがあります。
ラミブジンという薬剤を経口投与すると投与後4週後にHBV-DNAが陰性化して、肝機能も正常化する患者さんが多数みられています。ラミブジン治療は1年以上の長期投与が必要です。35歳未満では、ウイルスが排除されることがあるので、治療は行わずに経過観察します。35歳以上の患者では、治療を行います。ラブミジンは1日1回、1年以上投与します。ラブミジン投与後に、耐性ウイルスが服用開始後1年で20〜30%出現します。耐性ウイルスに有効な「アディフォル」が2004年12月に保険の使用が認められましたのでラブミジンと併用できます。
Q5:B型肝炎の予後は?
A5:わが国には、現在でも100万人以上のHBVキャリアが存在すると考えられています。しかし、B型肝炎は臨床的治癒へ移行する例が多く、HBV関連疾患の予後不良の最終段階である肝癌あるいは肝不全への移行は、20%程度と推定されています。とくに1990年以降は、HBV関連肝癌よりもHCV関連肝癌のほうがはるかに増加しています。
Q6: B型肝炎の最近の問題点は何ですか?
A6: B型肝炎ウイルスには、A〜Hまでの遺伝子があり、日本では慢性化しないCタイプのウイルスが大半でした。しかし、近年、わが国でも、性行為で感染し慢性化し易い欧米型のAタイプのウイルスが増加し、3割を占めるようになりました。Aタイプウイルス感染のB型肝炎では、慢性化して肝硬変や肝がんに移行し易いので、慢性化の可能性を考慮して治療する必要があります。
Q7:B型肝炎やC型肝炎に感染するリスクのある職場や職業は何ですか?
A7:病院・診療所、助産所、介護老人保健福祉施設、老人保健施設、身体障害者福祉施設、はり師施術所、医療に付帯する清掃・洗濯等の事業場、臨床検査所、医学・歯学・薬学研究所、保険医療教育施設、医療廃棄物収集・処理業の事業場、理容業・美容業、入れ墨施術所、格闘技等の興行所、救命救急措置を行った職場、出血事故処理を行った職場、非合法的に血液や感染性体液と接触する職場(性風俗関連事業場、ピアスの施術所等)です。
Q8:B型肝炎やC型肝炎のハイリスク者で、肝炎ウイルス検査を受けるべき人は誰ですか?
A8:1)1992年以前に輸血を受けた者
2)長期に亘って血液透析を受けている者
3)血液製剤を投与された者
4)肝炎ウイルス感染ないし、キャリアの母親から生まれた子供
5)大きな手術を受けた者
6)臓器移植を受けた者
7)薬物乱用者、入れ墨、はり治療、ボディピアスを受けた者
8)医療関係者
9)性乱交者
10)肝炎多発地住民、肝機能異常者がいて肝炎ウイルス検査
などが検査を受けるべき人達です。