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脳梗塞

  Q1:脳梗塞はどのような病気ですか?
  Q2:心原性脳梗塞とはどのような病気ですか?
  Q3:統計学的に見ると脳梗塞はどのような特徴がありますか?
  Q4:脳梗塞はどのような症状ですか?
  Q5:脳梗塞の前ぶれとなる症状にはどのようなものがありますか?
  Q6:脳梗塞の診断はどのようにしますか?
  Q7:脳梗塞の危険因子はどのようなものですか?
  Q8:脳梗塞の治療法はどうなっていますか?
  Q9:脳梗塞のリハビリテーションの目的は何ですか?
  Q10:脳梗塞の再発を防ぐにはどうしたらよいでしょうか?
  Q11:脳梗塞にならないための注意事項は何でしょうか?

Q1:脳梗塞はどのような病気ですか?

A1:脳の細動脈に血栓、凝固塊、脂肪塊、石灰片、腫瘍塊などが詰まって血流を止めてしまうため、脳細胞が死亡(壊死)する病気です。脳梗塞には脳血栓と脳塞栓の2通りがあります。動脈硬化などがあると詰まりやすく脳梗塞になりやすいのです。脳動脈から供給されていた酸素や栄養物が止まると脳神経が壊死になるのが脳梗塞発作で、脳梗塞は次の3タイプがあります。
 1)ラクナ梗塞(41%):高血圧の人に多く、脳の細い血管が詰まるタイプで特に睡眠時に多く発症します。梗塞部が小さいので症状が全くでないか、でても比較的軽いのが特徴です。
 2)アテローム血栓性脳梗塞(34%):生活習慣病の糖尿病、高血圧、高脂血症による動脈硬化で脳の太い動脈や頚動脈が詰まるタイプで特に睡眠時に多く発症します。
 3)心原性塞栓症(18%):心房細動、急性心筋梗塞、心臓弁膜症により心臓内にできた血栓が脳血管をふさいだ時に突然の発作としておこるタイプで日中活動時に多く発症します。

Q2:心原性脳梗塞とはどのような病気ですか?

A2:心原性脳梗塞は心臓にできた血栓が、血流に乗って脳に流れて行き、血管を詰まらせるタイプの脳梗塞です。脳梗塞患者の20%を占め、60〜70歳代の人に多くみられます。心房細動(心房が1分間に約300〜500回と正常の5倍以上の速さで不規則に細かくふるえて正常な拍動ができない状態)により心臓内の血液が停滞してできた血のかたまりや血栓が脳血管を詰まらせて、血流がストップし脳組織が壊死(死亡)した状態が心原性脳梗塞です。最近では、巨人軍の長島茂雄名誉監督が2004年3月5日に心原性脳梗塞で東京女子医大病院に入院しました。

Q3:統計学的に見ると脳梗塞はどのような特徴がありますか?

A3:脳血管疾患による死亡者数は1999年の統計で全死亡者数は138,989人で、死因順位はがん、心疾患、第3位が脳血管疾患(脳梗塞が7%で脳出血が30%)です。脳血管疾患は30年前には脳梗塞より多かった脳出血が減少し、脳梗塞が増加しております。

Q4:脳梗塞はどのような症状ですか?

A4:症状としては、半身不随、半身麻痺、しびれ、感覚の低下、手足の運動障害、意識障害、言語障害、昏睡などがみられます。脳血栓では症状が数日かけてゆっくり出現することが多いのに対し、脳塞栓では突然、意識障害がでてきます。

Q5:脳梗塞の前ぶれとなる症状にはどのようなものがありますか?

A5:脳梗塞の30%の人に一過性能虚血発作(TIA)と呼ばれる前触れ発作が見られます。TIAの症状としては、運動障害として、ふらふらしてまっすぐ歩けない、感覚障害として、片方の手足のしびれ、片足を引きずる、手足から急に力がぬける、ものにつまずき易い、知覚障害として、片方の目が一時的に見えなくなる、物が二重に見える、言語障害として、言葉がでなかったり・理解できない、バランス感覚の障害として、急にめまいがするようになったなどです。

Q6:脳梗塞の診断はどのようにしますか?

A6:脳梗塞が脳血栓によるものか、脳塞栓によるものかを正確に診断するのは困難です。脳梗塞が疑われる場合、病変の起きた部位を確認するために、CT、MRI、脳血管撮影などの検査を行います。心源性脳梗塞症の場合は、心房細動が原因となるのでホルター心電図(24時間心電図)をとって調べます。

Q7:脳梗塞の危険因子はどのようなものですか?

A7:脳梗塞の危険因子としては、60才以上の人、脳卒中の家族歴のある人、動脈硬化、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病をもっている人、喫煙、大量飲酒、ストレスなどです。血栓が心臓弁膜症、急性心筋梗塞、心筋症、不整脈などの病気の際にでき、脳まで運ばれると脳血栓が発症します。

Q8:脳梗塞の治療法はどうなっていますか?

A8:急性期には抗血栓療法、脳保護療法、抗脳浮腫療法があります。抗血栓療法には、血小板の働きを抑えて血栓ができるのを防止する抗血小板療法とフィブリンができるのを防止する抗凝固療法があります。近年、組織プラスミノーゲンアクチベータ(tPA)という血栓溶解剤を用いた血栓溶解療法が欧米では実施され、わが国でも2005年10月より健康保険に導入されました。脳保護療法には活性酸素の働きを防止するエダラボンという薬剤を発症後24時間以内に使用すると後遺症が軽減されます。
 脳梗塞を起こした部位が1〜2日するとむくみが起こるので、抗脳浮腫療法により脳浮腫の原因となる水分を取り除きます。脳梗塞になって3時間以内の場合は血栓や塞栓を溶かす薬を使って治療します。薬が効いた場合には詰まった脳動脈が再度開通し、血流が流れます。脳循環の改善薬や血栓・塞栓を予防する薬を使います。発症時にカテーテルを使い血管の血流を再開通させることも可能です。頚動脈の血栓内膜剥離術とバイパス手術により脳血流を改善させる手術も行います。いずれの治療法も脳の血管が詰まって死かけている脳細胞(ケナンブラ)を助けることを目的としております。

Q9:脳梗塞のリハビリテーションの目的は何ですか?

A9:社会復帰するまでの間にいろいろな訓練が必要になります。これがリハビリテーションです。リハビリテーションの目的は残された機能を最大限に引き上げて、家庭復帰や職場復帰をさせるために行います。

Q10:脳梗塞の再発を防ぐにはどうしたらよいでしょうか?

A10:再発を防ぐには血液をサラサラにして血栓を作らないようにすることが重要です。そのために抗血小板薬としてアスピリン、塩酸チクロピジン、シロスタゾールなどを用います。またフィブリンができるのを防ぐためにワルファリンカルシウムを用います。ただし納豆を食べると薬の効果が弱くなるので、注意しましょう。この他、肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病を管理しましょう。食べ過ぎないよう注意し、適度な運動、禁煙、禁酒が必要です。再発の兆候を見つけるために、1年に1回MRIやMRA、頚動脈エコーなどの検査をして画像診断で脳血管や頚動脈の状態を調べましょう。

Q11:脳梗塞にならないための注意事項は何でしょうか?

A11:生活習慣を改善しましょう。塩分を控えめに(1日に10g以内)、ナトリウムの排泄を促す食品(りんご、枝豆、バナナ、カボチャなど)を積極的に摂取しましょう。血圧を下げる作用がある食品(乳製品など)やマグネシウムを含む食品(焼きのり、昆布、ごま)などを食べましょう。動物性脂肪やコレステロールを多く含む食品は控えましょう。アジ、サバ、イワシなどに多く含まれるEPA、DHAなどの不飽和脂肪酸を積極的にとりましょう。
 適度な運動で積極的にからだを動かし、太り過ぎないように注意しましょう。十分な睡眠、休養、禁煙、節酒をしましょう。夏は脱水症や夏カゼから脳梗塞になる人が多いので、水分を十分補給しましょう。

「参考文献」NHK きょうの健康. P. 31〜51, 2004年12月号