Topページへ
 
乳がん

  Q1:乳がんはどのような病気ですか?
  Q2:乳がんの患者数は増えていますか?
  Q3:乳がんの症状はどのようなものですか?
  Q4:乳がんの診断はどのように行いますか?
  Q5:マンモグラフィーとはどのようなものですか?
  Q6:乳がんの治療はどのようにしますか?
  Q7:乳がんの予後(病気の見通し)はどうですか?

Q1:乳がんはどのような病気ですか?

A1:乳がんは、乳腺や乳房の中にできる悪性腫瘍です。この腫瘍に、微少の石灰を含んでいることがありますのでマンモグラフィーが診断に有効です。

Q2:乳がんの患者数は増えていますか?

A2:日本の女性における人口10万あたりのがん死亡率(1999年の統計資料)は1)胃がん27.9人、2)大腸がん24.9人、3)肺がん22.2人、4)肝臓がん16.1人、5)乳がん13.9人、と5番目に死亡率が高いがんです。世界的に見ると、人口10万あたりの乳がんの死亡率の高い国はイギリス44.6人、ドイツ43.7人、オーストラリア39.0人、イタリア38.4人、アメリカ30.7人などです。これに対し、わが国では人口10万あたりの乳がんの死亡率は欧米に比較して少ないのですが、1994年は11.3人、1995年は12.2人、1996年は12.4人、1997年は13.4人、1999年は13.9人と年々増加しております。1999年の乳がんの死亡者数は8,949人(男性67人、女性8,882人)です。乳がんが増えた原因としては、晩婚化、少子化、肥満、高カロリー・高脂肪食というライフスタイルの変化が考えられております。

Q3:乳がんの症状はどのようなものですか?

A3:乳房に無痛性の腫瘤(大半は乳房の外側上部)やしこりをふれる、乳房の表面の皮膚が陥凹(へこむ)する、わきの下のリンパ腺がしこりとなってふれる、乳頭から分泌液(血液の混ざる場合もある)が出ることもあります。

Q4:乳がんの診断はどのように行いますか?

A4:早期発見のための乳がんの自己チェックが必要です。早期乳がんは気づくことが困難ですので、定期的な乳がん検診や乳房の自己チェックが非常に重要です。乳がん検診は法律で義務づけられておりますが主に問診と医師が見て触って診断する「視触診」で実施されてきましたが不十分でした。乳房X線撮影(マンモグラフィー)の導入が推奨されております。30歳を過ぎた女性は、月1回の自己検診と年1回の専門医による定期検診を受けて下さい。
 50歳以上の女性については、2年に1回の視触診とマンモグラフィー併用法による検診を行うのがよいでしょう。乳がん検診で異常が見つかった場合、精密検査としてマンモグラフィー検査の追加撮影、超音波検査(エコー)、穿刺吸引細胞診、腫瘤の生検などがあります。転移巣を発見するためには骨スキャン、肝スキャン、脳スキャン、胸部X線などの検査を行います。またエストロジェン、プロジェストロレセプターも測定します。

Q5:マンモグラフィーとはどのようなものですか?

A5:乳房は脂肪と乳腺という柔らかい組織のため、専用のマンモグラフィー装置を使って撮影します。マンモグラフィーは触知不能な乳がんでも検出できる感度の高い方法です。無症状な女性を対象にしたスクリーニングと、腫瘤が認められた女性を対象に精密な検診として行う場合があります。実際には乳房を約4〜5cmに圧迫し、マンモグラフィーX線撮影装置で乳腺組織内部をフィルムに撮影します。

Q6:乳がんの治療はどのようにしますか?

A6:乳がんの治療方法には、外科療法、放射線療法、ホルモン療法、化学療法があります。

1)外科療法
 乳房にできたがんを切除するために行いますが種々の方法があります。すなわち、(1)乳房の腫瘤やしこりのみを切除する腫瘍核出術、(2)腫瘤やしこりを含め、乳頭を中心にした乳房の約1/4を切除する乳房部分切除術、(3)腫瘤のできた側の乳房を全部切除すると同時に脇下(わきの下)のリンパ節を部分切除する単純乳房切除術、(4)乳房と脇下(わきの下)のリンパ節を切除し、胸の筋肉の一部分を切除と同時に脇下(わきの下)のリンパ節の一部分を切除する非定型乳房切除術、(5)乳房と胸の筋肉、脇下(わきの下)のリンパ節全部を切除する定型乳房切除術(ハルステッド法)、(6)がんを切除する手術で失われた乳房を自分の筋肉または人工物を使用し形成する乳房再建術などがあります。

2)放射線療法
 放射線でがん細胞の分裂を阻害し死滅させる方法です。乳がんの原発病巣と転移部位にも放射線治療が行われます。外科療法を行った後にも放射線療法が利用されます。

3)ホルモン療法
 乳がんは女性ホルモンに影響されやすいがんのひとつです。ホルモンの感受性のある約3割の乳がんを「ホルモン依存性(感受性)乳がん」と呼びます。ホルモン感受性乳がんの場合では、ノルバデックス(タモキシフェン)はホルモン剤により女性ホルモンの働きが抑え、がんの増殖を抑えます。しかしノルバデックスの長期間使用者に子宮がんの発生が高くなるとの報告もあります。
 パーセプチン(トラスツズマブ):2001年6月1日に保険収載された新薬のパーセプチンは、乳がん細胞の表面にあるHER2というホルモン受容体にくっついてピンポイントでがん細胞だけを攻撃し、増殖させずに死滅させるという新しいタイプの薬剤です。副作用も従来の抗がん剤よりも少ないといわれております。パーセプチン治療を受けるには、金コロイド免疫測定法を用いた免疫組織化学的染色法で乳がん細胞中にあるHER2/neu蛋白を染色(染まり具合で0,+1,+2,+3と顕微鏡で見て専門医が判定する)して、2+,3+の場合にパーセプチンの治療の対象となります。HER2が強陽性の転移性乳がんに用いられ、効果をあげております。ハーセプチンは他の抗がん剤に比べ副作用は軽度ですが、それでも高熱、寒気、関節痛、脱力感、吐き気、嘔吐、頭痛などがおこります。

4)化学療法
 抗がん剤には、内服薬または点滴静脈注射薬があります。化学療法はがん細胞を死滅させる効果がありますが、がん細胞以外の骨髄細胞や正常の細胞の一部も死滅させる作用もあります。
 タキソール(パクリタキセル):セイヨウイチイの樹皮から発見された抗がん剤で、1993年に合成できるようになりました。日本では1999年に認可されました。乳がんを始め、胃がん、卵巣がん、非小細胞肺がんに用いられます。

Q7:乳がんの予後(病気の見通し)はどうですか?

A7:岐阜市民病院におけるステージ分類による5年生存率は、0期 100%、I期 96.5%、II期 86.1%、III期 56.5%、IV期 8.3%です。(乳がんの病期分類の詳細はこちら