Rooms A
星の散歩道・2000年10月掲載分
10月6日号 「水星を見る日」
10月6日(金)から8日(日)まで、かわべ天文公
園では、特別観望会「水星を見る日」を行う予定である。
もちろん晴れていれば。
水星は言わずとしれた、太陽系の一番内側をまわって
いる惑星である。太陽がまぶしいため、日没の直後もし
くは日の出の直前にしか水星を肉眼で見ることができな
い。それでも、この「水星を見る日」では、1m望遠鏡
を使うことで、昼間に水星の観望を行う。つまり昼間に
行う観望会。ぜひご覧あれ。
水星の直径は約4千km。地球の約3分の1と非常に
小さい惑星である。その大きさと太陽に近過ぎるために
水星の詳しいことがわかってきたのは、マリナー10号
が水星に接近するようになってからである。水星を惑星
探査機から見ると、月を見ているかのように錯覚される。
その表面はたくさんのクレーターにおおわれているから
である。水星のクレーターには、画家、作家、作曲家な
どの名前が数多くつけられていて、その中には、日本人
の名前もたくさんある。例えば、源氏物語で知られる
「紫式部」などである。また、水星の公転周期は88日。
ところが自転周期はなんと59日ある。そこで、水星表
面から太陽が昇るのを見ていると、途中で太陽が引き返
すように見えるんだそうな。われわれの地球からはとて
も見えないが、そんなことを思い浮かべながら、ぜひ「水
星を見る日」に参加してほしい。
10月13日号 「天文ひとり旅〜紀伊勝浦編〜」
先日まとまった休みが取れたので、3泊4日で南紀か
ら東海地方をめぐるちょっとしたひとり旅をしてきた。
夏の繁忙期を終え、温泉に浸かりながら、仕事を忘れて
リフレッシュしようという目論見だった。だが、根っか
らの天文好きがたたってか、行く先々で星からどうして
も離れられない。悲しい性(さが)である。そこで、今
回から4回続けて「天文ひとり旅」と題して、(なんか
演歌の題名みたいやな)、そのあたりの話をお届けしよ
う。
まず、初日に泊まったのが、紀伊勝浦のホテル浦島。
有名なホテルなので知ってる人もいるかと思うが、いや、
ほんとにいいホテルだった。ここには、標高100mに
位置する展望台がある。夕食後、長い長いエレベータに
乗って、この展望台に出かけてみた。展望台からは夜景
を眺められるが、人工のあかりにははっきり言って興味
はない。まわりの明かりを手で遮断して、空を見上げる
と、見える見える、夏の大三角に天の川。思わず、通り
かかった人に声をかけては即席の星座教室。その人たち
も旅先で星を眺めるのが大好きらしく盛り上がってしまっ
た。
この温泉には洞穴をそのまま利用した露天風呂「忘帰
洞」というのがある。「思わず帰るのを忘れてしまう」
とはなかなかいいネーミング。この露天風呂、すぐ海に
面していて、波の音がここちよい。さらに低空の空には
星が見えているではないか。ところが、何の星かよくわ
からない。一度脱衣所に戻り、眼鏡をかけてくる。なー
んと、木星と土星が昇っているではないか。すでに夜1
0時を回っているのだが、早くも昇っているとは。とな
ると、あとは職業病、「あれはアークツルス、あれはカ
ペラ、あれはカシオペア座」だなと次々、星座を探しは
じめる。おかげで日頃、早風呂のわたしも星を眺めなが
ら、ゆっくり温泉に浸かることができた。さらに「あの
明るい星なんだろ?」とつぶやいた客を聞きのがさず
「あれはね、木星なんですよ」と、ここでも星空解説。
何はともあれ、こんなところでも星に関心を持ってくれ
るのはうれしい、うれしい。
そんなかんなで、翌朝。朝はゆっくり寝ようと思った
のだが、テレビの番組表に「日の出は午前5時42分」
とメモが書いている。これは見ないといけないだろうと
いうわけで、気合いで5時起き。上で紹介した展望台
の温泉に浸かってくる。ただこっちの方は、日の出まで
浸かる前にゆだってしまい、屋外で日の出を見物。水平
線から昇る日の出というは非常に味わい深い。朝早くか
ら大勢の人が日の出見物を興じていた。
来週は、尾鷲編をお届けする予定である。
10月20日号 「天文ひとり旅〜尾鷲編〜」
電車旅が好きである。しかも、各駅停車で外の景色を
眺めながら読書にいそしむのが好きである。学生時代は
青春18切符を使って、東京と大阪の間を各駅停車で行
き来したものだが、忙しい日々を送っているとそいうい
う楽しみもままならない。そこで、今回の旅では御坊か
ら紀伊勝浦までは各駅停車を乗り継いで約3時間かけて
移動。紀伊半島をぐるっと列車で一周というわけだが、
紀伊半島をめぐるのは実はこれが初めて。かわべに来た
ときからいつか敢行したいと思ったがようやく実現でき
た。外の景色を楽しみながら紀伊半島の広さを実感。紀
伊勝浦での1泊は前回お話しした通り。
2日目は紀伊勝浦から特急「ワイドビュー南紀」で尾
鷲へ移動。「おい、各駅停車じゃないのか」という突っ
込みが入りそうだが、旅程の都合で特急を利用。それで
も1時間かかった。
尾鷲と言えば日本有数の豪雨地帯。ここに「尾鷲市立
天文科学館」という天文台がある。前から一度ぜひとも
訪れかった天文台である。JR尾鷲駅から徒歩10分と
割と近い場所に位置している。ここには口径81cmの
望遠鏡がある。まずはここの館長さんにあいさつ。以前
にも電話で一度ほど話したことがある。1階は展示室に
なっていて、太陽系の展示物があった。2階へと進む階
段には地元の天文ファンが撮影したという天体写真が飾っ
てある。日の出とともに見えたという部分日食の写真が
圧巻。2階は集会室になっていて、1室には、双眼鏡や
望遠鏡が並べてあって、実際にのぞけるようになってい
た。この天文台ちょっとした高台にあって、見晴らしが
いい。少し離れて海が見えている。海の見える天文台と
いうのも珍しい。そして、3階が天文台のドーム。昼間
ではあったが、ドームを開けて81cmの反射望遠鏡に
同架された屈折望遠鏡で太陽の観望を行っていた。かわ
べ天文公園ではビデオモニター上で太陽観望を行ってい
るが、ここでは実際に望遠鏡をのぞいて、太陽を見るこ
とができた。この日は空気が安定していて、太陽黒点や
プロミネンスを細かいところまで見ることができた。で
も、普段はこんなに太陽像が安定しないんだそうだ。
この天文台で3時間ほどゆっくりさせてもらった。職
員の方たちも非常に気さくな人ばかりで、突然の訪問に
も関わらず、いろいろ話をさせてもらった。
このあと、また特急で2時間かけて名古屋に移動、新
幹線で浜松へ。目指すは、浜松湖にある館山寺温泉。来
週は、浜松湖編をお届けする予定である。
10月27日号 「天文ひとり旅〜浜名湖編〜」
紀伊勝浦、尾鷲と来て一気に静岡県の浜名湖へと移動。
浜名湖の館山寺温泉で一泊。今回の旅行で苦労したのが、
ひとりで泊まれる温泉宿の少ないこと、少ないこと。予
約段階でいろいろ調べてなんとか一人で泊まれるところ
を見つけることができた。食事の方も、うなぎやあじの
塩焼きなどに舌鼓をうち、温泉にもゆっくりつかって満
足満足。
さて、翌日。これまで新幹線から浜名湖をながめるこ
とはあったが、浜名湖そのものを観光するのは全くの初
めて。泊まった旅館のすぐそばから遊覧船が出ているの
で午前中は、遊覧船に乗って浜名湖観光。遊覧時間は約
1時間。船の上から湖面をながめたり、遠くの景色をな
がめたり。湖面にはなんと魚がはねていて、びっくり。
水切りする魚なんかもいた。とにかくもう気分はゆった
り。それでもついつい湖岸付近の岩石や地形を観察して
しまうのは悲しい性(さが)。「この湖って、どうやっ
てできたんだろう」とかね。
さあ、昼どき。浜松湖といえばなんといっても「うな
ぎ」、今回の旅の楽しみの一つ!だったのだが…、なん
とあたり一円うなぎ屋さんの定休日。昨晩、夕食に出た
とはいえ、思いきりくやしーい。ひつまぶし、食べたか
ったです。仕方がないので浜松駅で売ってたうなぎ弁当
でがまん。
浜松では、駆け足で、楽器博物館なるものと浜松市科
学館を見学。特に科学館の方は知人の学芸員がいるので、
寄らないと何を言われるかわかったもんではない。あい
さつ程度に立ち寄って、天文関係の展示を急いで見学。
あと、浜松天文台というところにも寄りたかったが、地
理的事情により今回は見送り。
午後は、ローカル線の旅。まずは浜松駅から遠州鉄道
で北上。単線ながら雰囲気は都会の街中を移動する。終
点の西鹿島駅を経て、浜名湖天竜鉄道に乗り換え。こち
らは文字どおりのローカル線。列車から眺める景色がこ
こちよい。左手には浜名湖も見える。この晩は、愛知県
豊川市の某研究所に勤める先輩と落ち合ったあと、蒲郡
の宿泊先へと向かった。
次回は、「天文ひとり旅」最終回「蒲郡・名古屋編」
である。
Rooms Aに戻る
Rooms 緑軌跡 トップページに戻る