|
その2 近所のボス猫
クロはオス猫だったので、当然近所の縄張り争いに参加していた。
そのころ近所のボス猫は、Yさんというお宅の四角い顔をしたクロより一回り大きい
これまた白黒のいかつい感じの猫だった。
家は少し離れていたが、オス猫の行動範囲は広く、よくけんかをしているのを見か
けたがクロには到底勝てる相手ではなかった。
ある日、クロが血相を変えて家の中に跳び込んできたのだが、なんとその後ろにはあのいかついボス猫がいたのである。
興奮しているクロとボス猫は周りが見えないのか、家の中で唸り声をあげ大喧嘩を始めた。こうなったらもう手の付けようがない位に恐い。
普通、よその家なら遠慮というものがありそうなものだが、そのボス猫は平気なのであった。私と姉たちは恐くて飛んで逃げ、クロを遠巻きに見ていたのだが、さすがに『母は強し』だ。
母はほうきでそのボス猫をなんなく追っ払ってのけたのである。その一件はそれで何とかおさまったが、その後も何度かボス猫はクロを追っかけて家の中に入ってきた。
そしてその度にそのほうきが大活躍したことは言うまでもない。
それからしばらく経ったある日、私はその家の前を通りかかった。
そして次の瞬間とんでもないものを見てしまった。
なんとそのボス猫は飼主のおばちゃんに抱っこされてゴロゴロ甘えていたのである。
まあそのかわいらしさといったら・・・
『なによあのボス猫・・・・まったく信じられない・・・』
私にとってははとても信じ難い強烈な出来事だった。子供心に、その
ボス猫を『なんとか組』の大親分位に思っていたのである。
一緒に遊んだり、一緒に寝たり、楽しいねこライフだったが、終わりはあっけなくやって来た。
クロがいなくなってしまったのだ。
いつかは帰ってくると信じていたが、いつまでたってもクロは帰ってこなかった・・
小学6年生の春頃の話である。
|