◎ゲーム批評 CASE:戦闘妖精雪風

世の中には通称「クソゲー」と言われるどうしようもなく出来の悪いゲームが存在する・・・

X-BOX用ゲーム「戦闘妖精雪風」と言うのがある・・・

そしてこれはクソゲーだ・・・

このゲームには原作があり、同名のタイトルのオリジナルビデオアニメのゲーム化である。

更に、アニメにも原作となる小説が存在している。

自分は大本の小説「戦闘妖精 雪風」のファンである。初めて活字だけの本を読んで“おもしろい”と思えた傑作小説だ。

その観点からこのゲームを評価すると、ただ一言、最悪である。

もともとの小説は日本屈指の傑作ハードSF小説で、一部に熱狂的なファンが存在するほどの非常にコアな内容なのだが、どうにもそれが災いしたらしく、アニメ化、更にはゲーム化のときに、その内容を製作者が理解できず、作品の雰囲気を履き違えてトチ狂ったものを作ってしまったらしい。

更に、メディアミックス展開作品の版権元が複数ある場合にありがちな、なんともえもいわれぬ歯切れの悪い作風と、明らかに製作者側の都合だけで、一般のファンの事をまるで考えていない内容に仕上がっているのがヒシヒシと感じられる。

 

メインゲーム自体は結構良く出来ているのだが、見た目は世界最強のコンシューマゲームマシーンとは思えないほど、ものすごくショボイのがなんとも哀愁を誘う…

ここら辺は、開発会社の技術不足なのか、納期がタイト過ぎたのか、版権もとの担当がゲーム製作の事をまるで理解していなかったのかは判らないが…

それに、とてもじゃないがユーザーフレンドリーとは言い難い、いやユーザーのことをまるで考慮していない、ものすごくやり辛い不親切極まりないゲーム設計。

HUDとう、飛行に必要な情報を投影する装置なんだが、水平儀が奇妙な図形をしていて全く持って水平がわからない・・・

これはアニメに忠実なんだが、アニメはなんとなくカッコイイっぽいデザイン重視なので使う側の事など考慮されていないのだ。それをそのまんまゲームにしたら使い辛いったりゃありゃしない!

戦闘機において、飛行中の自機の向きを知るのは最重要事項なのに、これでは水平がわからないし自機がどれくらい傾いているかのピッチさえもわからない、実にお粗末なものだ・・・アホ過ぎる・・・

メインゲームであるところのドッグファイトだが、ミサイルの性能がすごすぎてドッグファイトにならないほどゲームとして成立していない。

ロックオンしたら、チャフ(撹乱装置)を使わない限り絶対に当たるのだ・・・

回避運動など全く無意味! いかに頑張ろうと、飛行機よりもミサイルの旋回性能の方が上なのでどうにもならない・・・

そして敵機はチャフを使わないからミサイルを撃てば絶対に撃墜できるのだ。つまり、敵よりも射程の長い遠距離ミサイルで武装していればドッグファイトになる前に勝敗が決する・・・って、ゲームとしてどうなのよ?

それと、なぜ自分が零(原作、アニメの主人公)になんなきゃなんないんだ?

主人公が属する組織のフェアリ空軍特殊5戦には他にもシルフがあるだろうに。原作の主人公と同じ組織の別の人間を主人公にすれば、ゲームオリジナルのミッションを作る事が出来、ゲームとしての自由度が高くなって面白いのに。

それに、原作の主人公機である「雪風」はファンにとっては一種の聖域なので安易にイジってはならないのだ。その聖域を原作の登場人物とは別の視点で表現すれば面白くなったろうし、原作を読んでると先が読めるストーリー展開しかないゲームシナリオじゃなくなる。

「原作付だから原作のとおりでなければならない」というあまりにも短絡的な発想と固定概念と冒険心のなさのせいで、ゲームとしての自由度と面白味がなくなっている。

そのくせ意味もなく毎回テイクオフからやらせたりして、訳のわからん余分な演出をしている。しかも、管制塔の誘導を全く無視して勝手にテイクオフしても、飛び立てばそのフェイズはクリア、ってなんじゃそりゃ! リアルでもなんでもない・・・アホなだけだ・・・

「原作がマニアックでリアル調だから、リアルにテイクオフから」とか思ったのだろうが、だったら海外のPCゲームのシミュレイターの様に、テイクオフからランディングまで行い生還したらクリアとすべきだし、管制塔の誘導と違った事をすればミッションインコンプリートとすべき。もしくは、ゲーム進行に支障が出る形でのペナルティを与えるべきである。

それなら、原作中の命題である「至上命令は手段を問わず生還すべし」という設定も再現できるし、ハードな原作に忠実にゲーム性もハードだと思えるのだが…

最悪なのが、声優がまるっきりのど素人で棒読みのボイスがダラダラ流れる事だ!

せめてこれさえなければ何とか我慢して遊べるし、もう少し評価が上がるのだが…(もしかして、原作者とかアニメータとか製作者側の人間を声優として使うなんて、一部のオタクしか判らないし嬉しくもないような事をしているのか?)

せっかく雪風の世界に没頭しようと努力しているのに、一気に興醒めしてしまう…

ハッキリ言って、こんなんだったら無い方がまだマシなソフトだ。

原作の雰囲気を思いっきりぶち壊した挙句に、ファンを馬鹿にしたようなゲームだ!

販売会社は、金額と内容のバランスが取れていると思って流通させているのか?

なんだか分んない内に開発費がかさんで、おまけに版権料もあって、だけど販売本数が見込めないからこの定価になっただけだろ!しかも、作ちゃったからしょうがなくリリースしたんじゃないのか?

 

評価できる事と言ったら「フェアリー星の空を雪風に乗って飛びたい」というファンの夢を一応は叶えた事と、20年近くその存在を忘れられていた「戦闘妖精 雪風」の名をそれなりに世間に知らしめた事ぐらいか…

コレクターアイテムとして「雪風」の名が付いてるものは何でも買う、という事なら良いだろう。