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◎アニメ批評 CASE:トップをねらえ! |
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20070531 まあ、アニメマニアなら誰でも知っている様な有名な作品だ。 そして、このOVAの巻末には「科学講座」なるオマケがついており、作品に登場する事柄を科学的に解説するという演出がなされている。 だがしかし、この科学講座の内容が驚愕に値するとんでもないものなのだ! その第1回講座は「エーテル宇宙」という題名で「宇宙」について解説しているのだが・・・ なんと、宇宙は“エーテル”で満たされていると言うのだ。それと、宇宙の温度は「絶対零度ではなく黒体輻射の3度」だと言うのだ。 さらに、ワープについて解説している。 「20世紀末にタンホイザー博士によって提唱された“タンホイザーゲート”によるもので、通常物質が光速を越えられる唯一の方法。 互いにシヴァルシルト半径を共有する複数のブラックホールはその公転角運動の制御によって特異点がむき出しになりエルゴ領域をその外側へうつす事が出来る。」と言うものである・・・ もうお判りですね、これは・・・思いっきり大嘘である! “エーテル”と言う物質は19世紀以前に考えられた宇宙構造の仮説内で考え出された架空物質であり、20世紀にその存在が否定されたものである。 しかし、一部のスペースオペラ等の娯楽作品などには、この古めかしい仮説をシャレでわざと使っているものなどがある。 それらの御伽噺を読んだ知識が乏しい人が本気にする事などがあったりするのだが・・・ シャレなので真に受けないで頂きたい・・・ あと、宇宙の温度は正確には黒体放射2.7Kであり「度」という尺度で言うこと自体が間違いである。 社会通念上「度」という尺度を使用する場合は摂氏であるセルシウス度の事を言うのであり、この場合は通常、単位はケルビンを使用するのである。 無理やり摂氏で表すと-270.45℃と言う事になるので、どうしても「度」を使いたかったらこう表記した方がよい。 だって、トップをねらえ!を見ている人で「黒体輻射の3度」とか言われても判る人なんかほぼいないのだから。 それと、ワープ理論のタンホイザーゲートだが、特異点をシヴァルシルト半径の外側に移すとはなんか変な理屈である。 何故ならば、ブラックホールの構造とは、その中心核に重力縮退による縮退物質を形成し特異点とし、それが光などの電磁波をも吸い 込むほどの重力を伴う現象のことを“ブラックホール”と言うからである。 そして、その領域の事をシヴァルシルト半径と呼んでいるに過ぎないのだ。 つまり、極大質量の特異点の周りに超重力場が発生し光をも吸い込み、その領域の事をシヴァルシルト半径と呼び、これらの現象の事を総称してブラックホールと呼んでいるのである。 そもそもタンホイザー博士と言うのが実在しない架空の人物であり、タンホイザー理論そのものがこの世に実在していない。 もっとも、ブラックホール自体が現在の人類の科学力では解明できない未知の領域であり、一言で言うと「良く判らない」という領域の話なので、ブラックホールを持ち出すという事は突っ込まれないようにする為の実に姑息な理論である。 だって公式な科学的見解が「良く判らない」なんだもん! 仮に、これらの理論が全て正しいとして、複数のブラックホールによるタンホイザーゲートを作ったとしよう。 だが、ブラックホールと言うのは太陽の20倍の質量が無いと出来ないとされている。 つまり、ブラックホール1つの質量は、約40ヨッタtと言う事になる。2つでは80ヨッタtになるわけだ。 平で表すと、80,000,000,000,000,000,000,000,000tとなる・・・ 別の表記を使うと、8×10の25乗tである・・・ そしてこれだけの大質量をシヴァルシルト半径が崩壊する程の超高速で回転させるエネルギーをいったいどこから持ってくるのであろうか? これだけのエネルギーがあるならば、余裕で太陽系全体を亜光速まで加速して尚且つおつりが来る・・・ 勿論、最近惑星から除外された冥王星を含んだどころか、その外側の小惑星帯までひっくるめた太陽系外縁まで含めてである。 最終的に、宇宙怪獣の侵略から地球を守るのが目的の話だったので、ワープできる宇宙船なんか作って戦争などせずに、太陽系自体を移動させてどこか他の所まで逃げた方が手っ取り早いんじゃないの? 目的はあくまで地球と人類の存亡であり、敵性宇宙生物の根絶ではないはず・・・ 人類が滅びる間の何万年かの間逃げ回っていれば済む話・・・ あと、バスターマシン3号だが、木星をブラックホール化させたものと言う設定なのだが、前述の通りにそんなちっぽけな質量のモノはブラックホール化できない。 何故ならば、ブラックホールと言うものは光などの電磁波すら吸い込むほどの重力場のことなのだ。 万有引力は皆さんご存知だろう。 質量がある物質は等しくみな引き合う力を有しており、質量に応じて大きくなる、と言うものである。 なので、物がいっぱい集まるとそれだけ重力も大きくなる。 で、ある一定以上の量が集まると、物質が自重を支えきれずつぶれ始め圧縮される。これを重力縮退と呼ぶ。 そして重力縮退した天体の事を縮退星・クウェーサーと呼ぶ。 この時、縮退星の質量が一定以上あると、光などの電磁波すら吸い込むシヴァルシルト半径を形成し、この現象の事をブラックホールと呼ぶのだ。 そして、シヴァルシルト半径を形成するのに必要な質量が太陽の20倍の質量だといわれているのだ。 つまり、それだけの質量が無ければブラックホールは出来ない。 なので、木星の質量じゃブラックホールは作れない、いくら圧縮してもせいぜい縮退物質までしかできない・・・ 例えて言うなら、レンガ1個で5階建てのビルを作れといっているようなものである。 つまり・・・ムリ! そもそも、ブラックホールの近くに、というかエンジンにブラックホールを使ったら、船自体が吸い込まれて消滅してしまうんじゃないだろうか? いや、それ以前にどうやってエンジンにしたんだろうか? 太陽の80倍もの極大質量があると、エルトリウムを中心に太陽系が公転しちゃうんじゃないのか? 宇宙船の通常航行エンジンはロケット推進なのに、太陽の80倍もの質量を動かすだけの推進剤をどこに積んでいるのだろうか? ちなみに、アノ世界の推進剤は“アイスセカンド”という推進剤であると明言している。 アイスセカンドとは、常温で質量2倍の水の同位体結晶の事である。 つまり、質量は高々水の2倍程度・・・ おおまかに、作用反作用の法則に照らし合わせると、エルトリウムを動かすには4×10の25乗立方m必要になる・・・ つまり、太陽の大きさよりも全然でかくなるんだが、それだけの推進剤を高々全長70kmの船体のどこに積んでいるのであろうか・・・ 考えれば考えるほど謎は深まる・・・ まあ、理屈は突っ込まれないように変な理論武装をしたのはいいが、それを実用化する具体的な術が何一つ語られていない全くの机上の空論ばかりなので・・・ お判り頂けたであろうか? トップをねらえ!の中に出てくる科学的考証は大半が大嘘で、庵野がシャレで、若しくは良く判っていない人を煙に巻く為にでっち上げた大法螺なので真に受けないで頂きたい。 まあ、第1回講座でこれだけ見事な大法螺をぶちかますと言うのは、もしかしたら、この作品の中の科学的考証はみんな嘘なので信じないように、という製作者からのメッセージだったのかもね。 でも、そのメッセージを受け取れる人は殆どいないと思うよ・・・大部分の人が殆ど意味が判らず「ふ〜ん、そうなんだ」と真に受けたと思う・・・ では具体的にどうすればよかったかと言うと・・・ 無茶な科学的考証などせずに、普通に作品内の設定などを解説していればよかったし、そっちのがよっぽども面白くなったであろう。 たとえば、アノ世界と言うのは実は第3次世界大戦後の世界でしかも日本が勝ってしまい世界の公用語が日本語になっているので宇宙船の外壁にかかれる船名がひらがなやカタカナで「エクセリヲン」とか書かれている、と言うようなことを解説していた方がよっぽども面白いと思う。 |
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