◎アニメ批評 CASE:怪物王女

20070531
今期の新作深夜アニメに「怪物王女」というのがある。
簡単に言うと、現代解釈版「怪物くん」である。
藤子不二雄氏版との大きな違いは、物語の構成員がほぼ全ておにゃのこになっていると言うことだろう。
昔のものは、ちびっ子たちに向けて発信された「こんなお友達がいたら面白いな」と言うようなコンセプトだったのに対し、本作は大きなお友達の心胆を萌えさしめん事を第一義に考えたるを知るべし。
うむ、実に現代らしい解釈を行っておる。

まあ、それで、先日の放送の中でちょっと気になる表現があった。
怪物くんのフランケンの役割に相当するキャラで、台詞が「がが〜、ふがが〜」としかしゃべれないちっこい女の子の形をした人造人間のフランドルというキャラがいるのだが、その子の体重が数トンあるというのだ・・・えっえええ〜〜〜!
なんで?

見た目では、他のキャラとの比率を考えると身長が1m前後のちびっ子キャラだ。
もし仮に、この子の容積が30Lで重量3tとした場合、比重は約100・・・
なんすか、このありえない密度は?
私の乗っている自動車の3倍以上の重さだ・・・
これだけの密度をもった物質は、元素周期表の終わりの方にあるウランとかそれ以降の放射性同位元素でもありえない密度になっている。
ちなみに、比重が高い事で知られる大変重い金属の金の比重は19.30である。
自然界に存在する重金属元素として知られるウランでは19.05、それよりも重いプルトニウムでは19.84、更に重いαネプツニウムでは20.25となっている・・・
ちなみに、重い金属の代名詞的に使われる鉛はなんと11.34しかない。
これがどういうことかと言うと、フランドルはこの世に存在する世界で最も重たい物質の5倍以上の比重と密度を持っている、と言う事になる・・・ハッキリ言うと、そんなものありえない・・・
いったいどんな素材で出来ているんだ?

人造人間と言う設定からすると、多分、機械的なものだと思うんだが、そうなるとこれまたおかしな話になってくる。
機械工学に詳しい人なら判るのだが、通常、何かしら動く機械を作る場合、必要な強度が得られれば軽量化を考えるのだ。
ノートパソコンでも、同じ性能なら軽い方がいいと言うのは誰にでもわかる事だと思う。
何故ならば、必要もないのに重くすると、燃費、部品の損耗率、機体の疲労度などあらゆる面で運用に多大な不都合が出てくるからだ。
で、技術者がこれらを加味した結果こうなったのなら仕方ないが、そうなるとフランドルはほぼ全て隙間なくぎっちり詰まったウランの5倍以上の比重の大きい物質で構成されている事になる・・・
単純に計算すると、フランドルが秒速1mで10m歩いたとすると、これに必要となるエネルギーは約3万ジュールである。
只歩くだけでこの膨大なエネルギー消費が行われるのである・・・
もしフランドルが電気で動いているならば、体の大きさからしてバッテリーは大した大きさじゃなさそうなので、多分1回の充電で10分くらいしか動かないと思う・・・電気ラジコン並だな・・・
でも、2次電池を使用するとそんな感じになる・・・
しかし、劇中ではかなり長時間の連続稼動をしているので多分パワーソースは別なものだろう・・・

だがしかし、それ以上に衝撃の事実を発見してしまった・・・
この作品の設定ではフランドルのエネルギー源として使用される電気の使用料金は1ヶ月30万円弱という設定があるのだ!
ちなみに、東京電力のおおまかなな電気料金は、家の場合を例にして言うと大体\23.3/kwhとなっている。
電気料金1ヶ月30万円弱では、約12876kwhの電力消費となる。
ジュールに換算すると、約46353600ジュールと言う事になる・・・
つまり、フランドルが秒速1mで歩くと1ヶ月の間に・・・
15451.2m、約15.45km歩くと言う事になる・・・
勿論これは、電気エネルギーが全く何の無駄もなく完璧に運動エネルギーに変換された場合である。
更に言えば、秒速1mの等速運動をした場合に限っての事であり、もしこれ以上の速いスピードで動いたら、エネルギー消費量は速度の2条倍と格段に燃費が悪くなる。
更に更に、単純に移動するだけの機械ではなく、自ら考え判断すると言う事もしているので、CPUやハードディスクに相当する電子部品や各種センサー類が搭載されていると思われ、これらが消費する電力も必要となる・・・
アニメを見ているとフランドルは頻繁に走り回っているので、実際には非常にエネルギー効率が悪く、1ヶ月間に10kmの移動も出来ないと思う・・・
そう言えば、第1話で敵と戦う時に丸太を振り回していたっけか・・・
もし仮にこの丸太が500kgとして、秒速10mの速度で5m程の距離の移動に相当するスイングをした場合、これだけで消費されるエネルギーは約25万ジュールとなる・・・
1スイングする毎に83mずつ歩ける距離が短くなる計算だ・・・
でも、本人が移動するのが最もエネルギーを消費する行為なので、立ち止まって何かを振り回していた方が遥かに燃費がよくなると言う不可思議現象・・・

それと、この小さな体で数トンあると言う設定には相当な無理がある。
フランドルがご主人様と住んでいるお屋敷は相当なオンボロで、更に襲撃者との戦闘のアオリでいたるところが破損したりする。
で、屋根とか損傷するとそれを修理すると言うシーンがあるのだが、ここでフランドルが屋根に乗っていたりする・・・
いやあの、身長1m程度のちっちゃい女の子の形をして3tもあるものが屋根に乗ったら間違いなく抜け落ちると思いますが・・・
屋根に開いた穴を直そうと思ったら、屋根そのものが崩れ落ちるとい事になると思いますけど・・・
それ以前にどうやってそこまで登ったんだ?
日本のホームセンターで売っているキャタツは、t単位の重量に耐えられるものはありません。
フランドルを屋根に上げる為には、そのためだけに工事現場で使われる重機が必要になります・・・金の5倍以上重たいんですから・・・

いったい何の必要があってそんな重い素材で出来ているのだろうか?

ノリとその場の勢いだけで作った設定と言うのがありありとわかる、実に頭の悪い設定なりね・・・
ちっちゃいのにすごく重い、というコントラストが面白いと言う設定なんだろうケド、重量はせめてもう1桁小さくすれば良かったのに・・・
小学校低学年くらいの女の子が数百キロある、という設定でも充分面白いし、無いとはいえない微妙な数値になると思うけどな。
600万ドルの男だって体重は数百キロだったのにねぇ・・・