|
|
|
|
![]()
|
◎アニメ批評 CASE:ヒロイックエイジ |
|
20071021 ちょっとSFよりの内容で萌え主体の今の深夜アニメとは一線を隔す かなり硬派なお話なのであまり人気はないようであるが。 人類と異星人という種族間の存亡を賭けた戦いの物語という宇宙的な 規模の壮大な物語であり、今のアニメ界ではかなり珍しい大規模な観 点のドラマである。 ただ、真に残念ながら、海外ハードSF小説大好き人間の私からする と一部にあまりにもバカすぎる内容があるので悲しみを禁じえない。 根本的なお話や人間ドラマはとても面白いのだが、それらを演出する 様々な仕掛けが、物理法則を無視した著しく合理性を欠く極めて頭の 悪いご都合主義ばかり・・・ やはり、アニメは知識が乏しいものが見るものなので、しっかりした 考証を元に説得力のある展開ではつまらないので、その場のノリと勢 いのみのご都合主義の展開の方が萌えるんでしょうか? なんか、とびっきりの新鮮な食材をダメな料理人に不味い飯にされて 目の前に出された気分です・・・ 例えて言うなら、ついさっき大島沖で釣れた1kg10万円の近海物最高級 黒マグロを食材としていながらシーフードカレーにされた気分ですよ。 国民食であるカレーならばみんなのお口に合って良いのですが、食材 の特性を引き出せていないのはクリエイタとしてダメすぎです。 具体的に物語がどんな感じかと言うと・・・ 簡単に内容を解説すると、この世界には何種族もの宇宙人がいて其々 に派閥を形成していていざこざが絶えない、という世界観です。 で、この宇宙には特出した5つの種族がいます。 ほぼ“神”と言って差支えが無いような何でも出来ちゃう超絶高度文 明を持つ“黄金の種族” それに次ぐ力を持ち、機械文明を持たず精神力が突出して高く念動力 で何でも出来ちゃう“銀の種族” その“銀の種族”の擁護を受けて発展した、やはり機械文明を持たず 強靭な肉体をもって宇宙進出をなし得た巨大な芋虫のような外観の “青銅の種族” 単体で惑星を破壊出来ちゃう天体規模の桁外れに強い戦闘種族である “英雄の種族” そして我等が人類たる機械文明の申し子“鉄の種族”の5種族です。 ちなみに“銀の種族”は“気合”で宇宙船を動かし“青銅の種族”は “根性”で宇宙を泳ぎます。いや、マジで。 この宇宙はかつて“黄金の種族”に支配されていたけど、今は何処か 別の宇宙に去ってしまい各種族間で争いが起こったと言う状況。 そして戦闘力では宇宙最強の“英雄の種族”は、あまりにも争いをし すぎたために今では5体しか残っておらず、更に、“黄金の種族”に オシオキされて「自分よりも劣る未成熟の種族の手助けをする」とい う罰を与えられて、他の種族の人間の中に封印されてその人間に支配 されており、この“英雄の種族”を身に宿した者たちを“ノドス”と 呼ぶ。 そして“黄金の種族”が去った今、正統後継者と自ら標榜する“銀の 種族”が「全ての種族は“銀の種族”の元に統治される事により真の 幸福と繁栄を得られる」というお題目で全宇宙制覇の戦いを始めた。 で人類文明は“銀の種族”“青銅の種族”連合に攻められて母星であ る地球を奪われてしまったと言う悲しい状況。 “銀の種族”とその傘下の種族はとても強く、更に単体でも戦局を一 気に変える程の強大な力を持つ“ノドス”のうち4人は“銀の種族” 側にあり、人類とそれに味方する人理連合は極めて旗色が悪く遠から ず“銀の種族”に征服されてしまうかもしれないと言う状況。 しかし“黄金の種族”が残した伝説に「この宇宙に1体だけ人類の味 方をするノドスが存在する」というものがあり、人類の一部のものは この確証の無い不確かな伝説に一縷の望みをかけてこの宇宙の何処か にいるであろう只一人のノドスを見出す為に宇宙に旅に出る・・・ という実に壮大な浪漫がこの作品の初期のお話。 この設定だけでご飯何杯でもイケルってくらいカッチョエエのだが、 これは最初の4話位までであとはなんか変な展開になっていく・・・ で、その後はノドスを無事発見し人類生存圏に連れてきて、しかも人 類に味方する確約を取り付けてみんな大喜び。 そこで人類連合は一気に活気付き、ノドスの助力の下、地球奪還一大 反攻作戦を発動し、太陽系木製圏上にて“銀の種族”“青銅の種族” 連合勢力と、“人類のノドス”を先頭に押し立てた人類連合艦隊と史 上最大の戦いが・・・と言うところなのだが・・・ この物語のヒロインのディアネイラ姫とその取巻き連中が、まあ視聴 者側と言うスタンスで、お姫様には2人のバカ兄がいて上の兄が人類 連合でも強い発言力を持つユーノス王という王様で、王弟といつも一 緒に仲良くバカな漫才をやって周囲にバカさ加減を披露して、更にお 姫様を苛めて視聴者にムカつかれるいると言う演出なのだが・・・ 困った事にユーノス王はバカでも偉いので権力があり、人類連合艦隊 の総司令官に着任し、アホな指揮を遺憾なく振るうと言う状況・・・ で、1クール目辺りの放送の「木星域会戦」のエピソードで・・・ ユーノス王は後世にまで残る伝説の王になりたいが為に、この戦いで 人類連合艦隊は無傷で戦闘に勝つという無茶な夢を見て、自ら「戦闘 はノドスに任せて艦隊は一切手出ししない」って明言していたのに・・・ 次週の放送の冒頭部分から艦隊が思いっきり戦闘してますけど? あ、あれ? ついさっき言った事を忘れた? この世界の人たちはみな痴呆ですか? しかも非常に困った事に、お姫様の味方で視聴者側に立つキャラで艦 隊の主席参謀にニルバールって巨乳の女将軍がいるんですが、この人 もなんかアホな事を言い出す始末。 最前線での戦闘が不利になったのを見て取ったユーノス王が、全艦隊 を突撃させて最大戦力を戦線に投入するように指令したのだが、その 命令の直後に勝手にニルバールが命令を取り消して「最優先は戦力の 拮抗」ってアホな進言を・・・意味判らんです。 戦闘を行う場合、持てる戦力をすべて投入し最大戦力で望むのが最良 の策なのに、最も愚かな戦術であるところの消耗戦をやろうとする ニルバールの意図が全く判りません。 戦力が拮抗した状態である消耗戦は、被害のみが拡大して双方共に何 の利益も無い、戦力を徒に消費するだけの愚策中の愚策です。 更に言うなら、前回の放送の中で人類連合には艦隊に充分な物資を供 給するだけの国力が無いと言う事が言われていたりする・・・ つまり、この艦隊は短期決戦で無いと艦隊を維持できないと言うこと です。無駄にだらだら消耗戦をしていたら戦えなくなると言う事です。 この人も痴呆のなのでしょうか? やはりちちのでかい女はバカなのか? まあ、先週の放送の中で、人類の命運をかけた地球奪還一大反攻作戦 の戦略会で可決した基本戦術要項が「行き当たりばったり」という、 実に驚愕に値するものだったりするのだ! あ、あのぉ・・・この世界の軍人さんはこんな作戦を指示されて納得 しちゃうんでしょうかね? つーか、どう考えても「皇国の興廃この一戦にあり」って戦いなんだ から誰もが納得できるような絶対勝てそうな作戦を練りに練ってから 始めるべきなんじゃないでしょうかね? と言うよりも、この作戦会議に本当に軍人さんが出席しているのかさ え疑問になってくる・・・ そういえば、ニルバールはこの会議に出席していたのに、こんな作戦 を聞かされてもその後、公的立場では何をするわけでもなくそのまま 流れに流されるまま戦場まで行ってしまいましたが・・・ やはりこのでかちちねぇちゃンはバカなんだろう・・・ その後“青銅の種族”によって要塞化された敵戦力の中心である木星 の衛星“イオ”をバカ王子ズが総旗艦の超巨大戦艦の主砲で攻撃。 衛星イオは火達磨になって木星へ落下・・・なんで? 一体どういう原理で衛星イオが木星に落下するのでしょうか? 鳥じゃないんだから鉄砲で撃たれただけで落っこちるわけないと思う んですが・・・ 全く意味が判らん・・・ だがしかしこれで終わらず、更に今度は木星全体が炎上! そしてそして、何故か燃え上がった木星のプロミネンスを“銀の種族” “青銅の種族”連合が作った巨大バリアで押し戻し、これに煽られて 木星が爆発!! アオリを受けて人類連合艦隊に大損害・・・ もう呆れ果てて・・・ 何故、木星が燃えたのでしょうか? 木星の組成はほぼ水素8割ヘリウム2割ですが殆ど酸素がありません。 水素は酸素が無ければ火をつけられても燃え(酸化)ません。 燃えない物質が天体規模で燃える意味が判りません。 もしかして、アニメ製作スタッフは物が燃える(酸化する)という現 象の仕組みを知らないのでしょうか? まさかヘリウムと酸素を間違えてるんじゃないでしょうか・・・ それに、衛星イオを落下させずとも、今現在でも衛星イオの火山活動 によりプラズマ流が木星に降り注いでいます。 つまり、もう既に木星はマッチで火をつけられている状態ですが、燃 える気配は微塵もありませんね。 それに、天体衝突として見ても、つい数年前に木星には実際に巨大な 天体が幾つも衝突してますが、表面にちょっと穴が開いてきのこ雲が 出来た程度で天体自体には大した影響は無かったですよ。 ほら、シューメーカーレビー彗星ってのがあったでしょ? つまり、木星は天体衝突があった位じゃ燃えないと言う事が既に証明 されているんです。 もし、木星が恒星のように水素-ヘリウム核融合反応を起こした、と 言う事ならば、これも大きな間違いです。 何故ならば、木星が核融合反応を起こすためには最低でも今の質量の 70倍の質量が必要とされているからです。つまり、絶対ムリ! なんか、今回の放送は色々な意味でショックでかいですね・・・ バカ殿がバカだって事には全く文句はないんですが・・・ なんすか、この展開? バカ殿がバカだと言う事を表現したいのはよくわかるんですが、私に はバカなのはバカ殿ではなくアニメ製作スタッフだとしか思えません。 本当にこんな説得力の欠片も無い展開で誰一人としておかしいと思わ なかったんでしょうかね? というか、話の辻褄さえも合ってないですよ? もしかして、アニメ製作現場でもユーノス王みたいなバカ殿が全権を 握っていて、回りの人はダメだと思っても口出しできないんでしょう か・・・ 魅力的な題材のお話の作品を作っているんだから、是非とも、もっと 説得力のあるお話を造っていただきたいですね。 ただ1つ、今回のバカすぎるお話の中でも救いはありました。 ヒロインのディアネイラ姫を神輿に担いでいる取巻き連中と、バカな 兄王の艦隊主席参謀であり王様を助ける立場にあるはずのニルバール はお姫様のシンパで、直接上官の王様を助けずに個人的な好みで好き な姫様の事しか考えていない職務怠慢のひでーヤツで、なんと、戦闘 が始まり艦隊が混乱し始めたら、ニルバールが密約を交わしているお 姫様の御座船の艦長のモビードと結託してクーデターの準備をしてい ると言うバカッぷり! 影でこそこそクーデターの協力関係を結んだ艦隊の船団をまとめてお 姫様に「クーデターの準備を整えておいたのでお兄さんを謀殺してお 姫様が指揮官になってください」って進言する呆れた連中! だがしかし、お姫様の方はこのバカどもの甘言に惑わされる事無く、 「今はそんなバカな事をしている場合じゃない、そんなアホな事を考 えている暇があったら戦場で傷ついた人たちを救出する準備をしろ」 って一喝! 偉いよお姫様!このお話の中で冷静且つ合理的な行動をしたのはあん ただけだよ! 私はこういう「優しくて聡明で美しい」ってスカしたキャラはキライ なんだがこのディアネイラ姫だけは別格だね。 そもそも姫様がクーデターを起こして兄王達から実権を奪いたいって 思っているという表現は一切なされていない。 クーデターを起こしたがっているのは取巻き連中であってお姫様本人 じゃないわけだ。 第一、お姫様がお兄さん達が嫌いかどうかもハッキリしていないのだ。 本人は兄たちに疎まれているのを理解していて悲しく思っているのは 間違いないのだが、もしかしたらお姫様本人はお兄さんたちの事が好 きで優しくしてもらいたいから喜ばれそうな事を一生懸命しているか もしれないわけで、そうなるとその兄達を謀殺しろとけしかけている 取巻き連中は、身勝手にもお姫様の心を無視して政戦の道具に利用し ているだけの人でなしと言う事になる。 と言うのも、お姫様が兄王のために尽くしていると解釈できる行動が あるのだ。 「伝説のノドス」探索に行き、実際にこれを発見し連れ帰ったのはお 姫様本人の功績なのだが、この功績を兄王に奪われてもお姫様は文句 一つ言ってない。 ノドスであるエイジと言う少年に対し「自分の都合で・・・」と言う ような事を度々言っているのは、実は、お姫様本人が密かにお兄さん に気に入られる為の道具としてエイジを利用しようと考えており、根 が真面目なので自責の念に駆られて口を突いて出た、と解釈する事も 出来る。 それに、人類連合の中でもお姫様を指揮官にしたいと言う声があるの を知っていながら自ら退いて兄たちに譲っている。 その気になれば自分が兄王達の上に立てる状況であるにも拘らずそれ をしないのはそうしたくないからに他ならない。 それに、お姫様本人が度々劇中で言っていた事なのだが、自分は人の 上に立って命令するのが好きじゃないし出来ればやりたくない、って ご本人が言ってます。 どっち道、お姫様の取巻き連中はお姫様の心を無視して自分達の都合 がいいように勝手に使おうとしている様な人たちです。 まあ、権力の中に入ると人の心は歪んでいく、と言う生生しいところ は実によく表現できていますが、視聴者にそういう為政者をまるで良 い人のように見せる表現をしているのはおかしいと思うよ。 とりあえず、ニルバールとモビードは反逆罪で重禁固刑は確定なんで すが、物語中で処分される気配が無い・・・ まあ、雰囲気からしてお咎めナシっぽかったのはアレですが、偉い人 が悪い事をしても裁かれないのはどうかと思うよ・・・ 銀英伝の世界なら間違いなく死刑だけどね♪ まあ、作品全体としてはこの「木星域会戦」のエピソードと全体的に 作画レベルがイマイチ低かったという欠点はあったものの、近年稀に 見るとても素晴らしいアニメだったと思います。 だからこそ余計このアホな部分が悔やまれる・・・ |
![]()
|
|
|
|