採点作業は大変だけど・・・

  テストの採点ほど単調で退屈なものはありません。
  その中で、オアシスとも言えるのが珍解答です。
  Q「宮沢賢治の作品名を答えよ」A 「宮沢賢治全集」とか
  Q「『永訣の朝』の詩形を書け」A 「五言絶句」といった
  愉快な解答たちが、採点に疲れた心を癒してくれます。
  しかし、そういう珍解答にのまれてはいけません。
  前任校で一緒だったS先生は、公立を定年退職したあと
  その高校に非常勤としてきていらした 超ベテラン教師 でしたが、
  逸話に事欠かない方でいらっしゃいました。
  その中でも秀逸なのが、採点ものの話。
  彼はテストとなると必ず、出題される文章の作者のことを
  こと細かく出題するのです。
  それも、その内容たるや教科書にも便覧にもない出身校の名前
  (しかも小中高大学全て)など常軌を逸したものなのです。
  しかし、採点基準は大甘。
  たとえば福岡出身の作者ならば 「福岡第一中学校」などと
  適当に書いておけばマル なのです。
  そ・れ・だ・け・な・ら・ば・ま・だ・い・い・が・・・
  とある作者の代表作を書けとの問題に考えあぐねて、「もういいやぁ」と
  ある男子が書いた 「超人戦隊グリッドマン」という解答にまでマル
  ついていたのです(-_-;)
  それぐらいですから、漢字の書き取りで「うばう」という問題が出たときに
  思い浮かばなかったMくんが一発ギャグで書いた
  「乳母う」という答えにマルが付いていた なんてことは大した話ではないのですが、
  同じく「乳母う」と書いたHくんはバツだったことは不思議です。
  もっとも、彼らは「Mの解答に思わず笑ってマルをつけてしまったんだけど
  Hのでもう一度見たら、 笑った自分が許せなくてバツにしたのではないか?」
  という、もっともな見解を述べておりました(^-^;)
  でも、これって、定期考査であって、お笑いスター誕生 ではないハズなんだけど・・・
  S先生の逸話はひとコーナー設けられるくらいあるので、
  追々書いていきたいなぁ、と思っています。
  あ、ちなみに、S先生は今でも私の前任校に元気で勤めていらっしゃいます。
  (一応そこって、我が県きっての進学校なんですけどねぇ・・・)

希望はいろいろあるけれど・・・

  授業中、当てられるのはもちろんイヤなものですが、
  当てるのだってなかなか大変なものです。
  思い通りの答えが帰ってこないときなどは、誘導尋問するしかありません。
  助動詞の穴埋め問題をUくんに当てたところ、
  入れるべき、希望の助動詞「たし」 がどうしても出てきません。
  古文には「たし」と「まほし」という二種類の希望の助動詞があって、
  上に来る動詞の活用形でどちらが入るのかを見極めるのですが、
  彼はどうしても「まほし」しか思い出せないのです。
  「たし」は現在の「たい」につながる形なので、
  私は現代語から思い出してもらおうと思い 、
  「Uくん、学校に行くことを望んでるとき、君はなんて言う?学校に・・・?」
  と質問しました。
  すると彼は、「学校に行きもがな」と元気に答えてくれました(^-^;)
  いや、「もがな」も確かに希望を表すんだけどさぁ・・・
  生徒が普段から古語を話してくれてるなんて、嬉しいやら困るやら・・・(^-^;)
  ・・・ちなみに「もがな」は他者に対する希望を表す助詞なので
  正確に言うとやっぱり、不正解だったりします(笑)

ギャグのGradeはなかなかでは?

  私が現在勤務している学校は、中高一貫教育の私立の (一応)進学校です。
  で、進学校なので、高校生になると成績順にクラス分けされます。
  特に高校三年生は、理系文系に分けて、 完全習熟度別。(と呼んでいる)
  1学年10クラスもあるマンモス校なので、下の方のクラスになるともう大変。
  大学合格より先に、卒業を目指す生徒の波だったりします。
  それでも、成績は一律に出さなければいけないので、使うテキストは全クラス同じ。
   「こんなの分かるわけないよなぁ・・・」と、私が思うんだから、
  もちろん、彼らはわかりません。
  ある日、文系の一番下のクラスに行くと、一人の男子に呼び止められました。
  「先生、こんなの俺達にできるわけないだろ〜!
   グレードって言ったら、オニって意味だろ!
  しかも、オニの3だぜ!むちゃくちゃむずいんじゃない?」
  一瞬、なんのことだかわからなかった私は、彼が手にしたテキストをまじまじと見て
  軽いめまいを覚えました。
  「Mくん・・・それ、Greatじゃなくて、Gradeなんだけど・・・(-_-;)」
  ・・・そう、彼は、某書店の「古文の演習 Grade3(3級)」を、
  「古文の演習 Great3(すごくむずかしい 3)」だ と読んでいたのでした。
  ♪地球はま〜わ〜る〜簡単なことさ♪・・・頭の中を流れる Great3の片寄くんの声に
  「こいつらの相手は簡単じゃない・・・」と
  独りごちてしまった木曜の昼下がりでした。

漢字は意味を考えてね(^-^;)

  高校古文では、文語文法なるものを教えます。
  これを読んでくださってる方の中にも、
  未だに 「せ・○・き・し・しか・○」 とか、
  「あり・をり・侍り・いまそかり」 とか
  謎の呪文が頭をよぎる方がいらっしゃるかと思います。
  たぶん日常生活ではほとんど役に立たない
  (論理的にものを考える訓練にはなると思うけど)
  文語文法ですが、受験で得点をあげるには早道なので
  高校の古文の授業では、とても重要視されています。
  先日、使役の助動詞の講座を終えたあと、女生徒が二人やってきました。
  A「先生、Cちゃんってばね、二年の時にテストで
    使役のこと私益って書いて
怒られたんだって!」
  私「自分の利益って?(^-^;)」
  C「そう、勉強してて、ちゃんと覚えていったのに・・・」
  私「漢字には意味があるんだから、考えて書かなきゃだめだよぉ」
  C「そう、だから、考えたんだよ。 人にさせることは自分の利益になる じゃん」
  私「・・・・・・(^-^;)(^-^;)(^-^;)」
  ・・・一体なんと言って理解してもらえばいいんでしょう・・・(-_-;)