| 75鞍目 万馬券始め・禍福あっても好発進 (2006.1.8) |
去年の競馬は、年始の休み中に園田に行ってほんの少しマイナスでスタートしたが、今年は園田には行けず、3日目の淀で始動することになった。前日の熊ちゃんは9番人気のランイズマネーで激走して06年の初勝利を飾った。さらに人気薄を2着に引き連れて馬単配当史上2位のおまけつき。続く3Rでも、メンバー中唯一の牝馬・マチカネタマカズラで勝つなど、大活躍していた。こう言う日に行っておけばよかった・・と言いたいところだが、この日は9時から歯医者に行っていたから、それから駆けつけていても祭りの後だったが(^_^;これは勝てる!と言うメンバーはいないものの、きっと熊ちゃんならどこかで見せ場を作ってくれるはずだ。淀だとさすがに1Rから行くのは辛いので、遅くとも4Rのパドックには間に合うようにと、8時に自宅を出発。三ノ宮駅でちょと買うものがあって足を止めたが、それでも10時50分には到着したので、3Rの馬券を買うことができた。これが、私の06年初馬券だ。 レース前のウイナーズサークルの方に行ってみると、「京都競馬場ファンクラブ」でやっている「マニアックツアー」の一行なのか、一般の人がウイナーズサークルに入っていた。「勝利騎手」の台上で記念写真を撮ったり、楽しそうに過ごしている。毎週何らかの形で、普段は入れないところに連れて行ってくれる「マニアックツアー」は、私も興味津々なのだが、当選者があまりに少ないので、応募しても当たることはない。毎週行けたら、そのうち当たるかも知れないが、淀に来られるのは年に10回もないから・・。この手の企画って、淀に限らず、どこの競馬場でも需要がありそうで、いっそ有料でやっても面白いのではなかろうか。淀の馬場内の池に屋形舟を浮かべて、そこから酒を飲みながらレースを観るツアーなんてあったら、1万円出しても参加してみたいけどね(^_^;話が横道に逸れたが、馬券の方は、素直に1番人気のユタカから流す。人気上位に加え、今年から日本で乗るようになったモンテリーゾ騎手も印は薄いが押えておいた。これが激走して2着入線。ユタカのキャプテンベガが勝ち、3着は2番人気だったのに、3連複で7,170円も付いて見事ゲット!馬連より安いのがちょっと悔しいが、嬉しい嬉しい06年初馬券・初的中となった。ありがとう!モンテリーゾさん! 4Rの障害未勝利は、休み明けのマルノウエスタン。休養前は結構安定した成績だったので、頑張ってほしいところ。でも、馬券は1番人気のノボリハウツーを軸にした。いくら熊ちゃんが乗る馬でも、5ヶ月のブランクで3番人気の背負っては、かえって軸にはしにくいので(^_^;パドックを見て馬券を買ってからゴール板に近いシートで座っていると、テッキンさんが近くにやって来た。やはり、熊沢ファンたる者、障害に騎乗があればここに照準を合わせるものである(^_^;テッキンさんとは熊ちゃんの1万回騎乗以来の再会で、これから最終レースまで、一緒に観戦することになる。ひとりでいると、レースとレースの間が長いのだが、あれこれ話して過ごしていると、いつの間にかレースが始まる。サンエムタロウが逃げてマルノウエスタンも前の方で競馬をするのだが、2週目には早々にヘタれてどちらも後退。どちらもプラス12キロのおデブ状態では当然の結果か(^_^;直線では人気薄のコネクトフォーとカネトシプロスパーが先頭で競っていてビックリしたが、最後は2番人気のタガジョーシャトルが差して突き放し圧勝。2着はモガリブエで、3着に12番人気カネトシプロスパーが粘ったので3連複が15万円近い大波乱。軸のノボリハウツーが5着では仕方がない。熊ちゃんは8着に終った。 昼休み中にスナックコーナーでカレーを買って、パドックに持って行った。5Rの騎乗はマーブルチーフの半弟・マーブルボストンだ。そこそこ人気になりそうで、この日一番の期待馬だったが、どうにも落ち着きがない様子で、やけにうるさい面を見せていた。2人でカレーを食べながらパドックを見ていたのだが、ふと顔を上げたらパドックからマーブルボストンが消えていた。あれれ?とテッキンさんと顔を見合わせて首をひねった。しばらくすると、また気づかないうちにマーブルボストンが戻って来たのだが、助手が馬にまたがって周回していた。「2人引き」はごく普通のことだが、10年以上競馬場に通っていて「1人引き・1人乗り」なんて初めて見る光景だった(^_^;馬はこれで多少はおとなしくなったみたいだが、大丈夫なのかな・・?馬が止まると、助手らしき人が下馬して熊ちゃんと交代し、地下馬道へ消えて行った。このレースの馬券は3連複6頭ボックスにしてみた。12頭立てでこの買い方は多すぎる気もするが(^_^;ところが・・である。 「第5レースの出走除外馬についてお知らせいたします」 ・・の後に続いた馬の名は「マーブルボストン号」であった(-_-;図らずも、6頭ボックスの馬券は普段どおりの5頭ボックスに化け、熊ちゃん抜きのレースで馬券を買ったことになった。1人気は2着馬に譲っていても、ここで勝ったのはまたもや武豊。3着に3番人気をアタマ差押えて7番人気のポラリスシチーが突っ込んだおかげで、3,040円プラス返還金500円ゲット!何だろう、この好調さは?この日の予算は1万円と決めていたので、それに従えば本日のプラス決定〜!しかし、間もなくその浮かれ気分も暗転する。これで、前の馬券と合わせて1万円を超えたから換金しようかな・・と思ったら、札入れに入れたと思った3Rの馬券が見当たらない。小銭入れやら、ポーチやら、色々探したけどやっぱりない。せっかく、なかなかの高配当で発進して喜んでいたのに・・(-_-;まあ、5Rの分だけでも今夜の食事代は十分出るから、と自分を励まし、6Rの馬券を買う。このレースは熊ちゃんの出番はないが、注目の1頭が。父・サンデーサイレンス、母・ゴールデンサッシュの新馬ギュリル。そう、ステイゴールドの全弟だ。こんな馬に武豊乗せちゃったら、そりゃぁ人気被るわな(^_^;そこで、単勝200円だけ買って、あとはギュリルの外枠3頭の馬連ボックスで遊んでみた。 いくら人気でもステイの弟。デビュー勝ちなんて、らしくないで〜とか言っていると、やってくれたぞ、人気でズッコケ。2番人気のトーホウライアンに離され、3番人気のマイネルスパーダにもハナ差やられて兄ちゃんと同じ3着に終った。これで馬連2,450円だったから、素直に2番人気から流してもよかったか。勝った藤田騎手は、圧倒的人気の注目馬に勝ったのがよほど嬉しかったのか、ウイナーズサークルは臨時サイン会となっていた。藤田君も結構サービスしてくれるねんな〜(^_^;ギュリルは大きな体は似ていないけど、道中フラフラだし、追ってもビュッと伸びないし、気性の方は兄ちゃんそっくりなのかな(^_^;そして、当たり馬券紛失で動揺していたのか、馬連の馬券のレース番号を間違えたみたいで、7Rが敗者復活戦になった。3頭の中の1頭が2番人気・武豊のダイショウリュウだったので、ひょっとして・・と思ったが、新聞で印ツルツルのあと2頭とともに下位に沈んでやっぱり外れ。ここで奇跡の逆転なんて都合のいいネタには当然ならなかった。8Rはタイグレートで熊ちゃん出陣。後方待機から少々順位を上げたものの8着と見せ場なし。減量の効果もあるのだろうが、新人鮫島騎手のイアオニードルが楽々逃げ切っての大差勝ちだった。思い切りよすぎて馬券では切っちゃっただけに、余計に自分が惨めになる。 9Rも熊ちゃんの出番はなくとも、武豊が注目馬に騎乗。あの3億3千万円馬フサイチジャンクの登場だ。翌日のシンザン記念に出してもよさそうなものだが、500万条件の福寿草特別で必勝態勢のようだ。でも単勝は2.2倍と案外ついている。馬券はパスしたが、儲けたいと言うこと以外の私情をはさまなければ大きく勝負してもよさそう。でも、注目の超高額馬が負けるのを楽しむのがひねくれ者の真髄(^_^;軽快にメイショウゲンジとエイシンチョウテンが前を走り、フサイチジャンクが差し届かない結果を望みながらレースを見ていたが、わざとそうなるように走っていたのではないか?と思えるほど遅い仕掛けでゴール手前で前を捉え、4分の3馬身離してゴールイン。やっぱり、勝っちゃうのね・・。ついでに、ユタカは通算2,700勝達成。そしてゴール後、ファンの目は頭上に集まる。関西の条件戦だからどうかと思っていたのだが、関口オーナーが馬主席から身を乗り出して何かを振ってファンにアピールしていた。フサローさん、来てたんや。もちろん、表彰式にも出てきて、ウイナーズサークルは3歳の条件戦とは思えない人だかりになった。多分、テイエムプリキュアの阪神JFのときより多かったと思う(^_^;ユタカにフサローさんと、業界の名物がそろうと違うな〜と思っていたら、 「プレゼンテーターは内田恭子さんです」 そう言うことだったのか・・。私はジャンクスポーツ見てないんでよく分からないけど、フジテレビの人気女子アナがわざわざ京都競馬場に来たと言うことは、このレースも番組の取材対象になっていたと言うことだろう。これで、忙しいはずのフサローさんが条件戦のために京都に来ていた理由も分かった。シンザン記念は日刊スポーツの冠レースだから出る幕はない。自己条件ならまず勝つだろうと言うことで、番組的に一番良かったのが福寿草特別だったと。ついつい、そんな嫌らしい推理をしてしまった(^_^;「ウッチー」が来ていると分かると、ウイナーズサークルに集まるギャラリーはさらに増えた。ユタカよりもフサローさんよりも人気があったのは、やはりフジの女子アナだったとさ(^_^;でも、もし他の馬が勝ってても、ウッチーが表彰式に出て来たのだろうか?10R深草特別は、ファンドリワールドで熊ちゃんが出て来るが、15頭立てブービー人気。他に、ナリタフロンテアー、エイシンニュートン、リーサムウェポンと、熊ちゃんが乗ったことがある馬が結構並んでいる。そこで、熊ちゃんの隣枠であるエイシンニュートンを軸にして、先に上げた2頭と熊ちゃん、そして1・2番人気を相手にした3連複を買ってみた。 すると、ナリタフロンテアーが粘ること、粘ること。1着こそスリーアベニューに譲ったが、2番人気のパレスエースは競り落として2着に残った。う〜ん、素直にユタカを軸にしてたら取れてたのに・・。やはり、馬券を落としてツキも果てたのだろうか?このまま馬券が当たらずに終る予感に満たされてきた。次は中山の重賞ガーネットSだ。去年は最低人気エンゲルグレーセの大激走で大荒れとなった。今年も何やら難解なメンバーで、どう買うか思案していた。結局、3連複でコパノフウジン1頭軸に7頭流そうと考えていたのだが、思考力が低下して、いつの間にか「7頭ボックス」に変わっていて、金額不足で機械に注意された(^_^;貧すれば鈍するで、締切が迫って焦っていたせいもあり、ほとんど何も考えず適当に1頭削って6頭ボックスにしてしまった。その辺のおっちゃんの新聞をのぞき見て確認すると、切ってしまったのは5番のケイアイメルヘン。この馬、熊ちゃんが乗ってたこともあって結構買う気になってたのになぁ・・。一抹の不安は拭い切れないが、この馬と買った馬2頭が来て外すようなら、今年は早くも終わりやな・・と思いながらターフビジョンに注目していた。去年は最低人気にビビってしまい、「マツケン」をサインに買ってみることも頭によぎったエンゲルグレーセを結局は買えずに泣きを見た。さて、今年はどうなるか? おおっ?シルヴァーゼットが逃げて頑張ってるぞ。もし除外にならなければCBC賞で熊ちゃんが乗っていたと言う理由だけで買ってみたのだが、距離さえ合えば芝もダートも関係ないのか?おおっ!コパノフウジンも出て来たぞ!本来はこの馬の軸のつもりだったんだから、これぐらいはやってくれないとね。おおおっ!リミットレズビッドがすごい勢いで突き抜けて来たぞ!行け!そのまま前3頭で決まれ!アツくなれた直線の攻防。最初にゴールを過ぎたのはリミットレスビッド。そのわずか後方では、シルヴァーゼットとコパノフウジンが2・3着の写真判定になったが、4着のサイモンセッズまでは差が開いており、どっちに転んでも3連複は的中〜!今年の競馬の神様は、私に優しくなってくれてるのかな(^_^;新年早々、当たり馬券紛失事件の憂き目に遭ったが、それを吹き飛ばす11,250円の配当で、初日から万馬券ゲ〜ット!しかも、「3連複では初めて」のおまけつき。これまで、9千円台は2回ほど当てていたのだが、なぜか3連複では万馬券を当てたことがなかったのだ。おかげで、「数字の上では」の注釈付きのプラスが、実際、財布の中身でもプラスに転化した(^_^; こうなったら、目の前のメインも・・と、ここで「熊ちゃん激走」に賭けた行動に出る。最低人気にひるんで一時はやめようと思ったが、ええいっ!ここでやらんとどこでやるねん。ショーストッパーからワイド総流しと言う冒険に出た(^_^;これが決まるようなら「神」だけど、さすがにそんなにうまくは・・。ショーストッパーは11着に敗れ、この日見た熊ちゃんは馬券に絡むどころか掲示板にも乗らない状況で、去年の中央初打ちをコピーしたようなものだった。勝ったのは、この日6勝目の武豊。2着は人気どころのニシノデュー。そして、3着が10番人気のシンデレラボーイだった。この馬、熊ちゃんが乗ったこともあるし、一緒にいたテッキンさんがよく叫ぶ「上村ぁ〜!」が乗っていたので、普通に買っていればユタカ軸の3連複で簡単に取っていた馬券だ。2万円以上付いていただけに、ちょっと残念な結果だった。これで、予定の1万円は使い切ったのだが、結構プラスになったので最終も参加することにした。武豊の場合、こう言う連チャンモードに入れば確実に上位をキープするので、素直に軸にすればいい。ハシルジョウオー軸の3連複。連チャン中のユタカは強い。またもや勝って特別戦独占の、この日7勝目。いつもなら嫌気がさすところだが、かなり馬券を取らせてもらっているので、今回は許す(^_^; 2・3着とも人気どおりの結果だったので、取りガミも覚悟したが、かなり人気が割れていたらしく、1,790円もついてプラス金額がさらに増えた。結局、3連複が4本的中と言う、恐らくかつてない好調ぶりで1日を終えた。幸運と不運が複雑に入り混じっためまぐるしい1日だったが、プラス12,750円と、06年はなかなかいいスタートを切ることができた。失くした馬券は残念と言えば残念だが、果たして、どうなったのだろう。誰かが拾って飲み代にでもしたのだろうか?誰にも気づかれずにゴミになったのなら、やがてはJRAの懐に戻って来る。いずれにしても誰かの役に立っている、と思うことにしよう(^_^;ちなみに、1週間後、競馬とは関係なしに上京していて、空いた時間で中山競馬場に行って馬券を買ったのだが、マーブルチーフで勝負と見た京都の日経新春杯こそ不発に終ったが、京成杯は3連単5,410円を当てて、外した9Rと合わせても少しのマイナスで済んだ。「スーパー哀愁モード」で始まり、2月になってやっとショボい馬券を当てただけの去年とはえらい違いだ。年明けからパチンコは絶好調で、これを書いている時点(1月21日)までのギャンブル収支は大幅プラス。一体私の身に何が起こったのかは知らないが、多分、これが1年続くことはないはずなので、今だけは自慢させてくださいね(^_^; |
| 76鞍目 冬の十勝は、ばん馬が走る (2006.1.29) |
性懲りもなく、今年も優駿エッセイ賞に挑戦しようと思っている。原点に戻って熊沢ネタで行くつもりなら、現時点でも大きなネタがある訳だが、「優駿」については、もう熊沢ネタを卒業したいと思っている。では、何を書くのかと考えたとき、う〜ん、これと言ってないなぁ・・(^_^;しかし、競馬の楽しみ方は無限。ネタがなけれ作ればいい。そこで思いついたのが、「極寒のもとで行われる競馬」の存在だ。95年9月に旭川競馬場で観戦して以来、ばんえい競馬の再訪は心に留めていたのだが、北海道に行く機会そのものがほとんどなくなり、叶うことはなかった。かと言って、ばんえいを見るだけのために遠征すると言うことは考えなかったのだが、いつか国内の全競馬場訪問を達成しようと思えば、冬の帯広もいつかは訪ねなければならない。そこで、飛行機のバーゲン運賃も後押しして、2泊3日の「取材旅行」と相成った。 28日は、伊丹15時発の便で予約していたのだが、8時半発の便に空席があって変更できたので、午前中には北海道入りすることができた。この空いた時間に、小樽築港の駅前にある「ウイングベイ小樽」と言うショッピングセンターに寄ってみたら、場外馬券売場「Aiba小樽」があって、帯広競馬場の発売もしていた。ここで予行演習でもしようかとも思ったが、来た目的は別のことだし、ここはグッと堪えておいた。18時過ぎには帯広に到着。この駅に降り立つのは、十数年ぶりになるが、高架駅になって、かつて訪れたときの面影はまったくなかった。駅前の「十勝ガーデンズホテル」を予約しており、ここが拠点となる。当初は「東横イン帯広駅前店」を当たっていたのだが、目当てのインターネット端末がロビーにはなかったようで、ほぼ同じ値段で温泉大浴場があるガーデンズホテルを選んだ。何となく泊まらなくてよかったかも(^_^; 翌朝は早起きして、まずは事前に見つけたインターネットカフェで当サイトの「業務日誌」を更新。連続更新を続けるに当たって、2泊以上の行程で家を空ける場合、ネット環境の確保が必要となる。極力は、あらゆる手段を講じて更新を続けたいが、それが途絶えるのは、田舎や海外で2泊以上したときだろう。2ちゃんねるのテイエムプリキュア・スレで話題でなっていたので、テレビも見られるパソコンで「ふたりはプリキュア マックスハート」の最終回を見てしまった(^_^;プリキュア・シリーズ自体はまだ続くのだが、テイエムプリキュアの人気の一部を支えてくれたキャラクターが入れ替わるのは、何となく寂しくもある(^_^;まあ、アニメのキャラは変わっても、馬のプリキュアの快進撃が続くことを祈るばかりだ。駅前のバスターミナルから三条高校行のバスに乗り込み、帯広競馬場を目指す。 車内を見渡す限り、競馬新聞を広げるとか、ご同輩らしき挙動の人はいなかった。しかし、「西11条9丁目」のバス停で、ほとんどの乗客が降りてしまった。ここに何があるの?と思ったが、ふと左手を見ると競馬場が。その次が「競馬場前」だったが、降りたのは私だけ。確かに、スタンドまでの直線距離はこちらの方が近いのだが、入口となる門までは、手前の停留所とほぼ同じだった。しかも、運賃は、競馬場まで190円だったのが、手前までなら170円。たかだか20円とは言え、えらく損したように思えた。と言うことなので、帯広競馬場へお越しの方は、「西11条9丁目」を利用するとちょっぴりお得なのを覚えておいてね(^_^;道路沿いの門から、しばらく駐車場の中を歩いて入場門へ。100円払って中に入ろうとすると、抽選券をもらった。何かグッズが当たるようだ。中に入ると、20mも歩けばスタンドに着く。 目前にあったのは、見るからに古くて痛んだ建物だった。スタンドに入ってすぐの左手に、割と広いファンルームがあった。窓口らしきものがいくつも並んでいたので、そこがかつての発券事務所であったことは容易に分かる。元窓口が途切れたところに、モニターや案内所(テントだけど)を置く広い場所があった。この場所を始め、スタンド内の何箇所かで石油ストーブの親玉のようなのから赤々と炎が発せられており、これがスタンド内の暖気の素となっているようだ。さらに先が発券スペースで、それも、並んだ窓口の一部だけにおばちゃんたちが控えていた。全盛期には、ファンルームのスペースとかも含めて、ズラリと人がいて馬券を売っていたのだと想像すると、何やらもの悲しくなってきた。機械は払戻機だけで、発券用の機械はないようだった。地元の雇用と言う点では、できる限り人の手で売った方がいいのだろうが、コスト面を考えれば、どこかから中古機を譲ってもらった方がよさそうにも思う。私は遊びで競馬場を使わせてもらっている身分だけど、それを続けられるのも、競馬がある程度ビジネスとして成り立っていてこその話。どうなればいいのか、答えが出せないのがもどかしい。 ばんえい競馬の将来の話は、考えれば考えるほど頭が痛くなるので、とりあえずは目の前の競馬を楽しもう。以前、旭川では見なかったパドックを観察してみる。周回中の馬たちは、見るからにでかい。どこの部分もサラブレッドのふた回りはでかいのだが、とくに圧倒されるのが首の太さ。スラッとしてて美しいイメージがあるのが馬の首なのだが、ばん馬のごつい首は、大人が全体重をかけてぶら下がっても大丈夫そうな感じだった。馬もでかけりゃ騎手もでかい。普段見慣れた、一般的な成人男子よりは小柄な人たちではなく、多くは一般人と変わらない体格だった。馬に乗って走る訳ではないので、馬はゼッケンを付けただけなのだが、その上に騎手が乗って本馬場入場に向う。どう言う意味があるのか、騎手が乗った後の馬は、歩くと言うより、小走りの感じでパドックを周回していた。1トンにも及ぶ馬が人を乗せて小走りする様は、それだけでも迫力がある。いっそ、ばん馬による平地競走をしたら面白いのではないかと、ふと思った。 コースの方へ移動する。スタンドが北向きなので、日当たりはすこぶる悪い。それでも、かつて平地競走があった頃の直線部分と思われる場所は日当たりがよく、そこにいるとある程度寒さがしのげた。とんでもない寒さを覚悟、ある意味楽しみにすら思って乗り込んだのだが、日中の最高気温が0度を上回るような予報で、実感としては「すごく寒い日の淀」程度だった。1日競馬場にいる身にはその方がいいのだが、ちょっとガッカリした(^_^;見たことがなくても、ある程度競馬をしている方ならご存知だろうが、ばんえい競馬のレースとは、馬がソリを曳いて、200mの直線コースを2つの山(障害)を越えながら競うものだ。帯広・旭川・岩見沢・北見と巡回しながら、1年中、道内のどこかで見ることができる。冬季は帯広での開催時期で、これは、帯広が道内でも比較的積雪量が少ない地であることと、コースの下にヒーターが設置されており、少々の雪なら解かすことができるからだ。もっとも、この日はヒーターなんて使う必要はなさそうで、観戦スペースの一部に、氷と化した雪が張り付いている程度だった。 10時40分に第1Rスタート。勢いよく全馬が第1障害(以下、「小山」と表現)に向う。これは休むことなく一気に越えてしまう。ここから第2障害(以下「大山」)までの間が、ばんえいならではの駆け引きだ。先頭を走っていると思ったら、ソリの上の騎手が体重をかけて手綱の先の馬の首を引っ張り、馬を止める。しばらく休んだ後、また進み、止まる。これから挑む大山越えに備えて、仕掛けるタイミングを計っているのだ。サラブレッドの競走にも「息を入れる」と言うのはあるが、もちろん、止まってしまうことはない。動と静が入り混じった攻防こそ、ばんえいならではの面白さである。大山の手前では、ほとんど例外なく一旦止まり、しばらくの沈黙の後、クライマックスに挑む。坂の途中で止まってしまえば余計に力を要して時間がかかる。手前で十分に息を整え、一気に大山を駆け上ることこそ、ばん馬のレースで最も重要な要素なのだ。このレースでは、7番の馬が最初に大山を越え、そのまま逃げ切った。もちろん、ここで力を使い切って、ゴールまでの平地で失速する馬もいるが、概ね、最初に大山を越えた馬が、そのまま上位に残る傾向が強いみたいだった。 ちなみに、馬券の方は、買った競馬新聞で印の多い馬4番を軸に買ってみたのだが、間違って2Rの印を見て軸を決めてしまった(^_^;1Rの4番は全然人気がなく、馬券も当然外れ。まあ、2Rでも4番は来なかったからどうしようもない。ついでなので、ここでまとめて馬券の総括をすると、11Rまで買い続けて、当たったのが7Rと8Rのみ、しかも、どちらも取りガミで、得た配当金はたったの1,350円(-_-;全スカよりはマシなのだが、実質的に哀愁モードですな、これは(^_^;レースが終ると、スタンド前は見事なほどに人がいなくなる。いくら晴れて穏やかとは言っても、氷点下の寒さでは、無用に外にいられない。しかし、私は残って、コースの向こうの作業を見守っていた。レースを終えた馬たちには、もうひと仕事残っている。ゴール後、ソリを所定の位置に引っ張ってから、重いソリから解放される。実は、ゴール地点で小さな機関車のようなものが控えており、それでレース用のソリを引っ張って、スタート地点に戻すのだ。ちょっとした「鉄道」みたいなもので、鉄ちゃんとしての血が騒ぐのは当然だ(^_^;一連のソリの回想作業を遠目に見てから、暖かいスタンドに戻って行った。 その後のレースは、スタンドの上から見下ろすこともあったが、基本的にはレースを追いかけながら見た。200mのコースで、勝ちタイムは早くても1分半を越えるから、十分に人の足で追えるのだ。これが、ばんえいの醍醐味でもある。応援している馬が10枠なら、コース長の3分の2の間、数メートルの近さで、声援を送り続けることができる。もっとも、それがヤジばかりなら、ヤジを聞き続けながらレースをしないといけない騎手はいい迷惑だろうが(^_^;3R後、スタンド内の食堂で昼食。「食堂」と言っても、丼ものや麺類を出すスタンドがあって、それをその辺のテーブルで食べるだけのことだが、550円の大盛りカレーは、本当に大盛りで、結構腹が膨れた。4Rが終ると、さっさと5Rの馬券を買って、案内所前に集合した。この日のイベントで、「バックヤードツアー」と言うのをやっていて、普段見られない場所をいろいろ見せてくれると言うので、早々に申し込んでおいたのだ。10人ほどが集まって、係の人の引率で事務所の方から外に出た。5R出走馬がパドックで周回しているところだが、我々はさらにその奥、6Rを控える馬たちがいる場所に案内された。ばん馬は「鞍」は付けないのだが、呼び方はやはり「装鞍所」みたいだ。 ばんえい競馬では、騎手の重量は冬場は77キロ、夏場は75キロと決められており、それは「弁当箱」と呼ばれる箱の中に錘を入れることで調整するらしい。つまり、体重だけ言えば、67キロぐらいの私でも騎手になれる訳だ(^_^;さらに、馬によってそれぞれ違う馬具の重量が20〜30キロ。ずいぶんとごつい馬具だが、すごい重量を引っ張っても耐えられる馬具となると、必然とそのくらい重さになるのだろう。騎手分と合わせて100キロ前後になるが、これは出馬表で馬の負担重量とは別らしい。だから、斤量が700と表示されていたら、馬は800キロを引きずっていることになる。重賞なら合計1トンにも及ぶそうで、まさしく、サラブレッドとは対極の、力の世界である。係の人が説明していると、調教師らしい人が声をかけてきて、「触ってもいいよ」と言うことになった。馬房内でしっかりとつなぎとめられている10番の馬の鼻先を、順番に撫でてみた。普段面倒を見てくれている人とは違う手に何回も触られても、馬は暴れることなくジッとしていた。見かけはごつくても、鼻先の感触は柔らかかった。 「こんな風に関わったら、皆さん、6Rでは10番の馬券を買ってみたくなるでしょ」 「馬券だったら、こっちを買いな」 係の人の話に、側にいた調教師が割り込んできた。調教師が指したのは9番の馬で、10番と同厩舎のだったのだ。確かに、新聞ではこちらの方が印が多く、厩舎としても勝負がかっているとか。これで6Rの軸は決まったようなものだが、それが「聞かなければよかった余分な情報」になるのは数十分後のことだった(^_^;続いて、騎手の検量室を見せてもらった。ここで、先ほど聞いた「弁当箱」の実物を見せてもらった。確かに、それらしい形をしている。規定の重量に足りない分を補うための物だから、「弁当箱」は体が小さい人ほど、逆に大きくなる。「弁当箱」はソリの所定の場所に置く決まりになっている。電光掲示板の裏を通って、スタート地点へ向う。先に通ったゴール地点には、1R終了後に見たミニ機関車が控えていて、スタート地点に向って、細くて弱々しいけど一人前の線路が延びていた。スタート地点では、馬たちが出走態勢に入るところだった。ゲート入りのときには、厩務員がゲートの中にまで入り、馬が落ち着いたところでゲートから出る。これは、もし馬が暴れて態勢が崩れたとき、前で誰かが補助しないと、後ろのソリの上にいる騎手だけでは態勢を直せないかららしい。厩務員が全員退避すると出走態勢完了でスタートだ。 普通にスタンドにいると、スタートから小山の先までは近くで見られないのだが、バックヤードツアーなら、スタートからゴールまで間近でレースが追えるので、より迫力がある。何を言っているのか分からないけど、騎手は大声で馬に気合をつけ、また、厩務員たちも、レースを追いながら自分の馬に声援を送る。馬とスタッフとが一体になってレースをしているようで、すごくいい感じだ。内から観戦したレースは、8番が勝って、目の前で頑張っていた1番が2着だった。レース終了後は、ゴール付近で係の人からコースのこととかの説明を受けた。帯広は他の3場に比べて坂が急で、先行有利らしい。一方で、北見は最後の平地が軽く坂になっていて、先行馬がバテやすいそうだ。見た目は、200mの直線に大小2つの坂があるだけのコースなのにレースの展開に大きな違いが出るのが面白い。ゴール地点にいる間に、馬がソリを「貨車」に載せる作業も目の前で見られた。本当は、ボソっと「これ、乗りたいな〜」みたいなことを漏らして、あわよくば乗せてくれたらラッキーと思っていたが、さらに係の人の説明が続く間に、機関車はスタート地点に向けて出発してしまい、密かな鉄ちゃん的計画はタイミングを逸して未遂に終ってしまった(^_^; 6Rからは、普通にスタンド前での観戦に戻る。元平地コースの上で馬を追いかけるパターンは変わらない。ただ、気温がプラスになったようで、足元は氷が解けて緩くなって、少々歩きにくくなっていた。冬の北海道の日は短く、14時を過ぎると影がずいぶん長くなっていた。先述のように、馬券は当たっても取りガミと言う惨状。平地の地方競馬と違って、ばんえいでは専門誌の印も結構アテにならないことがよく分かったが、それが分かったところで馬券がどうなるものでもない(^_^;何か打開策はないか。そう思ったところで、ふと思いついた。この日は、帯広競馬場を舞台とした映画「雪に願うこと」が、05年の東京国際映画祭でグランプリを受賞したことを記念して、監督の根岸吉太郎氏、原作「挽馬」(本当は「挽」は車偏なんだけど、変換できない)の作者の鳴海章氏らが来場しており、メインレース「北海道新聞社杯」には「『雪に願うこと』メモリアルカップ」の副題がつけられている。折りしも、この日は東京競馬場で「根岸ステークス」をやっている。よし、このレースの勝ち馬の番号を軸にしよう。時間を見計らって現地にいるKANKANさんに電話を入れ、7番のリミットレスビッドが勝ったことを確認した。よし、軸はライジングサン、と。名前もなかなかいい。 スタンドに戻ると、スタッフらしい人が、根岸監督に、リミットレスビッドがどうのと耳打ちしているように聞こえた。同じようなこと考える人は他にもいるものだ(^_^;レースの前には、根岸監督、鳴海氏、出演者たちがあいさつし、ロケに協力してくれた市民に礼を尽くすように、映画が高い評価を得たことを喜んでいた。監督は、映画祭で4つの賞をもらったことを受けて、 「ディープインパクトもできなかった4冠を達成することができました。(佐藤浩市が受賞した)主演男優賞は、マルニシュウカンにあげてもよかったのでは?」 と言って周囲を沸かせた。作中に出て来るばん馬「ウンリュウ」役は、帯広の現役馬が担当したそうだ。馬に計算したような演技ができるとは思えないが、相当心を打つレースぶりを見せてくれたのだろう。多くの映画関係者が見守る中、16時を過ぎてナイターのような感じになったコースで、映画にちなんだレースが行われた。根岸Sを制した注目の7番は、根岸監督が来たと言う効果などまるでなく、大山の途中であえいでいた。勝ったのは1番で、続いて2着だったのは、根岸Sで3着の3番だった。そう来たか〜。ちなみに、2着は10頭立てでは買えない12番だったから、分解すれば1と2だと言うことで買い目に入れていた。なんで、肝心の勝ち馬がぶっ飛ぶかね。軸で買ってもダメ、ボックスで買ってもダメ、専門誌も勘も役に立たない。そして、これはグッドアイデアと思ったサイン馬券も見事玉砕。うまく行かんときは、こんなもんですわ(^_^; まだ最終レースが残っているのだが、馬券は11Rまで。と言うのも、最終レースが終る直後ぐらいにスタートする、もうひとつのイベントに参加するためだ。映画に登場する場所を案内してくれるとのことで、ヘタに最終レースを買って当たっても換金できなくなるから見送ったのだ。こう言う悪い流れだと、買っていたら得てして当たってしまったかも知れない(^_^;バックヤードツアーでは、装鞍所から右に逸れてコースに入って行ったが、そのまま真っ直ぐ進むと厩舎エリアになる。昼間に緩くなった地面はまた凍っているようで、やはり十勝の冬の寒さは厳しいのだ。厩舎にたどり着く途中で食堂があったが、ここもロケで撮影に利用した場所らしい。厩舎エリアの入口に近い建物に、「矢崎厩舎」の看板があった。ここが、映画に出て来る厩舎らしい。もちろん、「矢崎厩舎」とは映画の舞台となる架空の厩舎で、実際には現役の某厩舎である。(実際には何厩舎だったのかは聞き損なった)希望すれば、女性騎手役の吹石一恵や調教師役の佐藤浩市が実際に着たジャンパーを着て記念撮影もできたが、私はカメラを持って来なかったし、ケータイも持ってないから見てるだけ。せっかくのばんえいレポートも、写真を撮ることすら面倒になってきたズボラな管理人のせいで、拙い文章だけでの報告になってしまった(^_^; レースが終って、関係者はホッとしたところだろうが、車が何台も外へ向けて出発していた。映画は、5月から全国ロードショーになるそうだが、前日から市民向けに先行上映会が行われていた。「ロケ地ツアー」参加者の中にもすでに映画を見たと言う人がいた。私は映画館なんて、数年に1回しか行かないほど、映画に興味のない人間だが、「雪に願うこと」は是非とも見に行きたいと思った。先ほどの車の列は、18時からの上映会に向う競馬場関係者だとの話だった。翌日も開催があり、本当なら騎手は調整ルームにいないといけない時間なのだが、映画のために、特別に外出を許可されているそうだ。外部との接触を絶った特別席で、組合の職員の監視付きと言う条件とは言え、そこまでするのは、やはり、自分たちが協力して出来上がった映画が高い評価を得て、そして、それがばんえい競馬を広く色々な人たちにアピールするチャンスになるとの大きな期待からだろう。確かに、低迷する売り上げを何とかするには、まず、競馬ファンにすらあまり認知されているとは思えないばんえい競馬の存在を多くの人に知ってもらうことが不可欠だろう。それをどう売り上げ増につながげるかは、関係者の智恵と努力次第だが、映画のヒットがばんえい競馬の強力な宣伝になってくれれば嬉しいことだ。 ツアーが終ってスタンドに戻ると、もう人気はほとんどなかった。最終レースが終って30分以上経っているから当然だ。バスで駅に戻ろうとしたら、何と、バスは40分以上先まで来ない。平日ならよかったのだが、土日のこの時間帯は1時間に1本程度の頻度しかない。ツアーに参加していた人が先にバス停で待っており、仕方がないのでタクシーを捕まえようとの話になった。競馬場から駅までは案外近く、金額にして700円前後。2人だとバスよりは高いが、寒いバス停で40分も待つよりはマシだ。4人で乗れば、ひとり当たりはバスとほぼ同じぐらいか。同乗の人と別れると、食事とかのために街をブラついてからホテルに戻った。翌日も開催はあるが、さすがに、北海道での約7年ぶりの局回りをやめてまで競馬に行こうとまでは思えなかった(^_^;局回りを終え、千歳へ向う車窓の左手に見た競馬場の遠景が、ばんえい競馬とのとりあえずのお別れだった。しかし、全競馬場制覇のためには、少なくとも岩見沢と北見に1度ずつ行くことになる。ばんえいのキャッチフレーズは「世界でたったひとつだけの競馬」。この、世界で北海道でしか見られないレースが末永く続けられるためにも、私もほんの少しでも、ばんえい競馬のPRに役立ちたい。そのためには、エッセイ賞も頑張らないとね(^_^; |