| 鉄道に関することについて、局長がうんちくを垂れるコーナーです。鉄道ファンの方には分かり切ったようなことから、マニアックなネタまで、気が向いたときに更新します。 |
| 第13回 軌間の話 (07.1.9) |
当たり前のことだが、鉄道において、ひと続きの2本のレールの幅は、どこまで行っても一定である。途中で幅が変わったりしたら、脱線しちゃうもんね(^_^;ただし、「ひと続き」でなければ、その幅は全国統一ではなく、むしろ千差万別である。これが「軌間」である。(「ゲージ」とも呼ばれる。)一般的にはレールの内側の幅を計測した長さのことを言い、メートル法に則る我が国ではミリ単位で表記されるが、元々はイギリスで使われていた単位であるフィート・インチを基準に建設され、それをミリ単位に置き換えたものと思われる。 モノレール、ゴムタイヤで走行する新交通システム・札幌市営地下鉄等、2本のレールで走らない鉄道を除けば、我が国で正式に採用されている軌間は5種類しかない。もっとも多く採用されているのが1,067mmで、旧国鉄、現在のJRの新幹線を除く大部分の路線で採用されていることから、この幅を「標準軌」と呼んでいる。現在のように自動車交通が発達する前は、陸上での貨物輸送も鉄道が中心で、国鉄に接続して貨物輸送を行いたい私鉄は、必然と1,067mmで建設された。日本最初の鉄道がこの幅であり、それをどんどん全国に延ばして行ったのだから、日本の標準になったのは当然のことである。 これを踏まえて、「標準軌」より狭いのが「狭軌」、広いのが「広軌」と呼ばれている。我が国の「狭軌」は、762mmと983mmだけで、前者の旅客営業を路線は、全国で4路線しかない。有名なのは、黒部川沿いに宇奈月温泉駅と欅平駅を結ぶ黒部峡谷鉄道だ。元々は、関西電力が黒部第4ダムの建設資材を運ぶために建設されたもので、切符に「命の保証はしない」と断り書きをした上で、一般乗客を乗せていたこともあるそうだ(^_^;今でも貨物輸送があり、欅平駅の先に専用線が続いている。あとは、近鉄四日市から延びる近鉄内部線と、内部線から分岐する八王寺線、そして、近鉄から移譲された三岐鉄道北勢線が現存するのみだ。後者は、箱根登山鉄道のケーブルカー(強羅−早雲山)が唯一の存在だ。 「広軌」は1,435mmと1,372mmの2種類がある。後者は、京王線や、それに接続する都営新宿線、都電、函館市電等一部の路面電車で採用されているだけで、マイナーな存在だ。新幹線や、関西の大手私鉄、全国の地下鉄の多くの路線は1,435mmである。ただ、地下鉄の場合は、他の既存鉄道と相互乗り入れすることを目的に建設されることも多いので、同じ会社でも複数の軌間を持つことは珍しくない。東京メトロでは、JR、東武、小田急に乗り入れる路線は1,067mmだし、東急に乗り入れるのはだ。地下鉄ではないが、神戸高速鉄道は、全線わずか7.2kmなのに、2つの軌間が存在する。阪急・阪神・山陽の各社を結ぶ東西線は1,435mm、そして、神戸電鉄が乗り入れる南北線が標準軌だ。ただし、たった0.4kmだけだが(^_^;また、桑名は、近鉄大阪線の1,435mm、養老線の1,063mm、そして三岐鉄道北勢線(駅は西桑名)の762mmと、3種類の軌間が集まる唯一の場所だ。 ただし、1,067mmを「標準軌」と呼ぶのは、あくまで日本国内のことであり、世界的には欧米の多くの路線で採用されている1,345mmこそが「標準軌」なのだ。この基準で行くと、JR等は言うに及ばず、京王線も「狭軌」の中に入る。では、なぜ、イギリスの技術を導入した我が国の鉄道で、イギリスで標準的な軌間が採用されなかったのか。それは、乱暴な言い回しになるが、分りやすく要約すると「日本は国土が狭いから、線路幅も狭くて十分」と言うのが理由だった(^_^;一般的には、軌間が広い方が、スピードも出せるので、高速化には有利だ。新幹線が、旧来の「標準軌」を捨て、在来線とは独立した「広軌」を採用したことが、何よりの証拠である。最初から「世界的な標準軌」を採用していたら、我が国の鉄道の歴史は、大きく違っていたはずだ。 スピードアップには、軌間を広げるのが有利であるのは分っていても、実際には、簡単なことではない。軌間を変更する「改軌」は、相当期間、列車の運行を止めないと不可能な作業なので、大都市ではできないことだ。近年の例では、「山形新幹線」と「秋田新幹線」で、新幹線の車両を直通させるため、一時奥羽線や田沢湖線の列車運行を取りやめ、新幹線と同じ1,435mmに改めている。古くは、近鉄名古屋線が同様の改軌を行い、同社大阪線との名阪直通運転を可能にして現在に至っている。近鉄については、伊勢湾台風で名古屋線全体が大きなダメージを受け、どっちみち大規模な補修が必要となったことを機に、長距離に及ぶ改軌に踏み切ったのだ。 改軌の他にも、軌間の違いを克服する方法はある。「三線軌条」がそのひとつで、1本の共用レールと、内側に1,067mm、外側に1,435mmのの計3本で線路が構成されている。現在、一般旅客で両方の軌間を体験できる三線軌条は、秋田新幹線(奥羽線)の神宮寺−峰吉川のみで、複線の一方を新幹線と奥羽線で共用している。あとは、京浜急行逗子線の金沢八景−神武寺間と箱根登山鉄道の入生田−箱根湯本間に例があるが、京急の1,067mmは車両工場の引込み線であり、箱根登山鉄道の1,435mmは回送列車しか走らないので、一般人は利用できない。箱根登山は、かつては自社車両による小田原−強羅間直通列車を頻発させていたが、次第に縮小され、06年3月に直通の営業列車は全廃された。残った区間は、車両基地が入生田駅にあるからに過ぎない。変な感じだが、小田原−箱根湯本間は、小田急の車両にしか乗れないけど、小田急の路線ではなく、あくまで箱根登山鉄道の路線なのだ。 三線軌条は、共用部分のレールが磨耗しやすく、ポイントも複雑になるなど、保守面でデメリットが多いことから、あまり普及していない。しかし、新幹線が北海道まで延びるときには、かなり長い区間で三線軌条が新設されることになるだろう。ここ10年でのフル規格新幹線の開業時には、並行在来線は第3セクター化されてきたが、貨物輸送を他に振り替えられない青函トンネルだけはどうしようもないから(^_^;将来的な技術としては、「フリーゲージトレイン」がすでに試験運転の段階にある。これは、可変式の車軸を登載した車両が、軌間可変装置を通過することで、旅客の乗り換えなしに異なる軌間を直通できると言うものだ。この技術が実用できれば、山形や秋田のように改軌を伴わずに新幹線を在来線に直通させることができる。ただし、現在の技術では軌間の変更に極めて時間がかかるので、まだまだ実用には至らないようだ。 世界的に見ると、もっとも広いのが、インド、パキスタンの1,676mmで、狭いのは、イギリスのロムニー・ハイス&ダイムチャーチ鉄道で、その軌間はたったの381mmだ。「保存鉄道」ではあるが、21km余りの延長を誇り、観光客のみならず、地元客の足にもなっているので、「世界最小の営業路線」と言ってもいいだろう。(これ以上狭いのは、完全に遊園地の遊具扱いになる(^_^;)遊園地等の施設として鉄道であれば、日本国内でも例があり、異色なのが、大阪府豊能町にある「桜谷軽便鉄道」だ。これは、個人の趣味で作られた鉄道であり、線路、、施設、車両全てがオーナーの手作りで、第1日曜日には「運転会」も催されているそうだ。私はまだ行ったことはないが、是非とも、実物を見に行って、当サイトでもご紹介したいところだ。 さて、思い出したように「軌間」をお題にして、2年ぶりに更新したのは、競馬部門につながって来るが、ばんえい競馬に絡んでのことだ。「競馬・喜怒哀楽」でも紹介したように、ばんえい競馬場にはレースに使う橇を運搬するためのトロッコがコースの脇に設置されている。その軌間は、広い順に岩見沢の1,067mm、帯広の1,000mm、旭川の762mm、そして北見の705mmとなっており、4場それぞれで軌間が違っていたのだ。北見の705mmは、世界にも例を見ない特殊な軌間だが、機関車をそれに合わせて作成するから、特に問題はなかったのだろう(^_^;残念ながら、ばんえい競馬の再編で、今では帯広競馬場に残るのみとなったが、日本唯一と思われる「メーターゲージ」が残ったのは幸いなことだ。ちなみに、1,000mmと言うのは、タイ、マレーシア等で採用されており、私が生まれて初めて乗った海外の鉄道が、タイ国鉄のメーターゲージだった。 |
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