水野 俊哉の新刊インタビュー Vol .4 
3秒で盛り上げて 30秒で話が弾む会話術」
日時 2010101日(金)
 
◆「3秒で盛り上げて 30秒で話が弾む会話術」(徳間書店) 三橋 泰介 さん
http://amzn.to/eAZN2A
 
【プロフィール】 
 
テレビ朝日系列アナウンスコンテスト全国1位の経歴を持つアナウンサー&スピーチコンサルタント。学習院大学法学部卒業。
18年間彼女ゼロだったため「トーク技術を学ばなければモテない!」と大学の4年間でパーティを300回主催し、そのすべてで司会を担当。場を盛り上げるためのスピーチ能力とマッチング能力を身につける。
その能力を生かし、三越百貨店に就職するも「さらにスピーチ能力を磨きたい!」とアナウンサーに転職。
岩手朝日テレビアナウンサー、東北放送アナウンサーとなる。
「東北楽天ゴールデンイーグルス」の試合実況中継を担当。局アナ暦は11年。
楽天イーグルスの観客2万人の前でヒーローインタビューや本田健氏の講演で2000人の司会などを担当。
入社3年目でテレビ朝日系列コンテストで実況部門全国1位、TBS系列コンテストでナレーション部門全国2位になる。
20104月に独立。「ビジネスSP」を設立。
人前で話す機会の多い経営者・リーダーに対してスピーチトレーニングや企業研修を実施。独自のスピーチトレーニングでは、大手コンサルタントやM-1王者サンドイッチマンまでが「1日でスピーチが上手くなる」と評価している。
初の著書「初の著書「話術!虎の穴」はAmazon総合3位 話し方・プレゼン部門1位を獲得。その他の著書に「話し方の裏ワザ」(青春出版社)がある
 
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≪水野≫ 三橋さんは、現在、スピーチコンサルタントとして活躍されていますが、元々は三越百貨店に勤務、その後、テレビ朝日系列のアナウンサー、東北放送アナウンサーとなり、東北楽天ゴールデンイーグルスの実況を担当されていらっしゃいました。
私の出版セミナーの1期生ですが、受講後に出版された「話し方の裏ワザ」(青春出版社)に続き、本書「3秒で盛り上げて30秒で話が弾む会話術」(徳間書店)まで1年弱で2冊も出版されました。初著書、「話術! 虎の穴」(源)を含めて、通算単著では3冊目です。「3秒で盛り上げて30秒で話が弾む会話術」も順調に売れていらっしゃるようで、おめでとうございます。表紙も内容もタイトルもとても良いですね。
 
≪三橋≫ 有難うございます。
装丁も手にとって頂きやすいように、軽めの装丁にしました。
 
≪水野≫ この本のテーマで執筆しようと思われたきっかけは何ですか?
 
≪三橋≫ 今までの本は、一人しゃべりというか、話芸がテーマでした。
今回は、会話術をテーマにして、相手との会話をどうやって盛り上げるかに着眼しました。ビジネスチックなノリから離れて、本書では人との会話を楽しんだり、人間関係を良くしたり、女の子にもてるにはどうしたらいいか、という部分も含めて書きました。
 
≪水野≫ その辺りの工夫が、構成にも出ていますね。
 
PART1 「会話は最初のひと言で盛り上げる」 では、自己紹介や、初対面の人との会話術など、最初の掴みについて詳しく法則で教えてくれています。
 
PART2 「話をどんどん面白くする技術」 は、相手をあきさせない「つめ将棋話法」や、「頭がいいと思われるための3つの方法」などが面白いですね。
 
PART3 「誰からでも好かれるためのトーク法」 は、エラい人に話しかけられた時の返し方や、敬語からタメぐちに変える方法などが興味深いです。
 
PART4 「大勢の場を盛り上げるスピーチの極意」ではレベルがあがって、1対多になります。スピーチや司会、パーティを盛り上げる方法などがとても役に立ちます。
 
話のプロの方のトーク術を、普通の人が会話で生かせるように、構成がかなり工夫されていて、本当に感心しました。
 
≪三橋≫ 構成としては、会話の難易度の順に、徐々に緩やかに坂を登っていく感じに意識しました。
 
≪水野≫ 今までの本はすべて読ませて頂いていますが、今回、一皮むけたと感じています。
というのも、アナウンサーで長身(187p)、学習院出身。とても格好いい方で普通は近寄りがたいと思われてしまいますよね。
でも、この「はじめに」で、もてなかった過去を暴露していて、親しみがもてた方も多いのではないでしょうか。三橋さんだからできるんじゃないかではなく、「自分にもできるかもしれない、やってみようかな」と感じてもらえるような本になりましたね。
 
≪三橋≫ そう言ってもらえると、思い切ってコンプレックスを開示して良かったです。ちなみに、「はじめに」は≪水野≫さんの「ビジネス書のトリセツ」(徳間書店)を参考にさせていただきました。前書き(はじめに)の大切さをすごく感じています。
 
≪水野≫ この本を読んでいて、トークに対する並々ならぬこだわりを感じました。理詰めのトーク術で説得力があります。
 
≪三橋≫ 一般的なトークの本は、抽象的で分かりにくいものも多いのですが、具体的に説明しているのが本書の特徴です。
 
≪水野≫「3秒で盛り上げて30秒で話が弾む会話術」というタイトルも、かなりキャッチーですね。
 
≪三橋≫ タイトルも具体的にピンとくるものにしました。
 
≪水野≫ トークは才能じゃないと言われても、「プロのアナウンサーだからできるんじゃないか」と思われがちですが、本書は、「プロが話し方について理詰めでつきつめた技」を分かりやすく教えてくれていて、それが良く伝わってくる本だと思いました。
 
≪三橋≫ 有難うございます。
 
≪水野≫ 執筆でどこが一番苦労しましたか?
 
≪三橋≫ 1、2冊目も法則を多く使ったので、新しい法則を考えるのに苦心しました。
やはり、切り口を変えたいと思ったので。
 
≪水野≫ 前の本は、プロの技の解説の印象が強かったのですが、今回は、身近なシチュエーションで使えるテクニックが多く、すぐに使えそうでとてもいいですね。
そして、この本には沢山のノウハウが詰まっていて参考になります。
 
≪三橋≫ 会話本は、抽象概念が多くなりがちなので、なるべく具体的に、「携帯の待ち受けをネタにする」「質問されたことは、その人が聞かれたいことでもある」など、例題、例文を意識して書きました。
 
≪水野≫ トークを法則でまとめようと思ったきっかけがあるそうですが。
 
≪三橋≫ 実は後輩たちにトークのノウハウを質問されることが続いたんです。
例えば「フリートークはどうやったらうまくいくのか」という抽象的な質問に対して、一般的な先輩アナウンサーは、「カメラの向こうに自分のおじいちゃん、おばあちゃんがいると思って話すんだよ」と的な言い方で濁すんです。
そこで、もう一声、二声分かりやすく説明してあげないと、新人アナウンサーは感覚で教えてもらっても混乱すると思うんですね。
法則化は私がアナウンサーの一年生、二年生に、勉強会をした時の経験が原点になっています。
 
≪水野≫ 後輩たちも具体的に理解できて、成長出来たと思います。喜んでくれたでしょう。
 
≪三橋≫ はい。皆、具体的ですごく参考になると喜んでくれました。
「心の支えになる」「背骨になる」と言ってもらえて、私も勉強会をした甲斐がありました。これは沢山作れば誰でもできるという手ごたえを感じたんです。そこで私はトークのコツを抽象概念ではなく、法則に落とし込みました。
 
≪水野≫ 抽象概念でないから、とても身につきやすいというのは納得です。
法則で面白いなと思ったのは、「キケンニシゴト流」や「すしうまい法」「グチュグチュ法」「ポリポサンド法」など、覚えやすいネーミングを法則にしているところです。
トークの初心者の方にも親しみやすく、覚えやすいでしょうね。
 
≪三橋≫ そうですね。覚えやすいネーミングをつけて、とっさの時にゴロで内容を思い出してもらえるように作りました。
初対面の人には、「ダブルS」の法則がお勧めです。
ダブルSとは、シンパシー(共感)とサービスです。
そして、 キ(気候)ケン(健康)ニ(ニュース)シ(仕事)ゴ(娯楽)ト(特技)流(流行)で、話を広げていけます。
 
≪水野≫ 是非、参考までに「キケンニシゴト流」で今、話を振ってもらってもいいですか?
 
≪三橋≫ 水野さん、今日は秋晴れで気持ちいいですね。(気候)
最近、痩せましたね。何かされているんですか。(健康)
そういえば、中国が大変ですね。(ニュース)
出版の発売日が近いですけれど、調子はどうですか?(仕事)
水野さんとフットサルやってみたいです。僕も結構サッカーが好きで。サッカーっていいですよね。(娯楽)
それから、私はインターネットが得意なので、良かったら教えてあげられますよ。(特技)
そういえば、今、白ジャケットが流行っているそうですね。(流行) 
 
こんな感じです。
 
≪水野≫ さすがですね! これなら初対面で話に困ることはありませんね。
 
≪三橋≫ みんな実は自然にやっているんですよね。そこを、意識してやるかどうかが大事です。初対面の人と何を話したらいいか分からない時に、この「キケンニシゴト流」の頭文字さえ思い出してもらえればと思います。
法則を意識して繰り返すと誰でもできるようになりますよ。
会話が上手くないと思われる方は、意識する癖がないことと、法則を知らないだけなので、本書を読んで、是非、法則を使ってほしいです。
 
≪水野≫ 本書に書いてあるノウハウで、パーティ、交流会に参加した時に、「一緒に写真を撮りませんか?」というのが良いアイディアで感心しました。仲良くなる効果がありますね。「ブログに紹介してもいいですか?」というのも有効な一言ですね。これは使えますね。
 
≪三橋≫ 私がデジカメを持ち歩くのは会話のためです。
ただ漠然と持っている訳ではなく、ちゃんと目的があって持っているんですよ。
 
≪水野≫ 携帯電話に出る時のテンションも大事だと書いてありますね
 
≪三橋≫ はい。電話に出る時は、「機嫌よく!」ということをお勧めします。
テンションが高い方が絶対にいいです。何事も出だしで掴むのが秘訣です。
 
≪水野≫ 印象良く出るというのは確かに大事でしょうね。
 
≪三橋≫ はい。不機嫌に出ると相手に気を使わせるでしょう。今、電話して悪かったかなとか、私が電話して迷惑だったかなとか。
 
≪水野≫ 確かに。電話して相手が不機嫌だと、顔が見えない分、ドキッとしますよね。
 
≪三橋≫ もし寝ていたとしても、寝ていたことに気づかれないのがマナーだと思うんですよ。「あ、ごめん、寝てた」というところで、向こうのテンションが下がると思います。それじゃあ、会話が盛り上がる訳ないですよね。
 
≪水野≫ その通りですね。特にこういう本を買ってトークが上手くなりたい人であれば、余計意識してそういう風にする必要があるでしょうね。 
他に、私は誰からも好かれるトークの技の「2つのK」に惹かれました。
 
≪三橋≫ 2つのKは「苦労」と「輝き」ですね。
「社長、こんなに成功されるまで、いろんな苦労があったんじゃないですか?」
という質問は、かなり効きますよ。
 
≪水野≫ 成功した人だからこそ、昔の苦労話は誰でも語りたい部分でしょうね。
 
≪三橋≫ そうなんです。今、社長さんはセーフティゾーンにいるでしょう。今ハッピーだから惜しみなく苦労話しをしてくれて、それをきっかけに親しくなれます。
一流な人ほど、良いことを教えてくれるし、勉強にもなるんですよ。
そして、輝きですが、「今の仕事でどんな時が一番楽しいですか?」という質問で、嬉しいこと好きなことを語ってもらい、気持ちよくなってもらえるんです。
 
≪水野≫ なるほど。人の心理を良く分かっていらっしゃる≪三橋≫さんならではですね。
単に会話の本というより、人の心理をついていると感じます。
次に、中級向きですが、未来拡大話法も面白いですね。話をどんどん景気づけていくというのは、褒めるにしても、前向きでいいです。
 
≪三橋≫ 人を褒める時に漠然と褒めても、お世辞じゃないかとか、誰にでも言っているんじゃないかと思われたらもったいないですよね。
お世辞といっては何ですが、人を褒めるにもテクニックがあるんですよ。
 
≪水野≫ 是非、まだ本を読んでいない方のために教えてください。
 
≪三橋≫ はい。まず、数字を倍増させて褒める方法があります。「売上が10%あがったぞ」という言葉を聞いたら「さすが佐藤部長ですね。佐藤部長の教えを守れば、来年は20%増、そして3年後には40%増も見えますね」
というように、数字を倍にする。
 
つぎに出世させる方法です。
「娘が運動会の徒競争で1位だったんだよ」と上司とか、取引先の人に言われたら「将来はインターハイの選手になれるんじゃないですか!」と未来で出世させるんです。誰でも嬉しくなりますよね。
 
3つ目は、自分を落として相手を持ち上げる方法。
「私はゴルフでシングル100を切れなくて。社長はシングルの腕前とか。是非、教えてください」と言う感じです。
このように、自分を落として、「教えてください」と飛び込む。これは効くと思います。
 
≪水野≫ これが使いこなせたら、上司に可愛がられるでしょうね。
  
≪三橋≫ はい。その通りです。他には上司や先輩に、駄目出しをください。というのもかなりお勧めです。
若い人の場合、仕事で頑張った時に、これだけやったとアピールしたくなるものなんです。実は、そう言い方は生意気だと思われてもったいないです。
だから、先に、自分から駄目だしを頼むんです。「僕はまだ駄目なので、できていないところを教えてもらえませんか?」そういって相手の胸を借りることで、上司から応援されやすくなります。
後で話しますが、私自身、目標の野球実況のチャンスを掴むためにとった方法なんです。
 
≪水野≫ 三橋さんのように引き出しを沢山持っていると、組み合わせて色々な状況に対応できるでしょうね。本書「3秒で盛り上げて 30秒で話が弾む会話術」では、その三橋さんのノウハウと、コミュニケーション力を惜しみなく教えてもらえてお得です。
さて、最終章はレベルが高くなりますね。1対1から1対多に対象が広がりました。
 
≪三橋≫ スピーチを制すれば怖いものはないですからね。
コツとしては、具体的な話と抽象的な話を交互に繰り出すことなんです。
これを「グチュグチュ法」と名付けました。
 
例えば「人間、笑顔だと幸せになれる」だけを言っても説得力ないですよね。
「人間笑顔だと幸せになれる。(抽象的)なぜなら、朝起きて家族が笑顔だと1日を良い気分で始められるから。(具体的)だから人間、笑顔が幸せの元だと思う(抽象的)」
といえば、なるほどと思うでしょう。
 
≪水野≫ 確かに「なんとかの絶対的な法則がある。例えば、こういう人がいて、こういうことだった。だから、この法則がなりたつ」という風に言うと伝わりやすいですね。
 
≪三橋≫ これは「ポリポサンド法」と名付けました。
理由(point)、根拠(Reazon)理由(point)、でサンドイッチにするんです。
これは使えると思いますよ。覚えてほしいです。
 
≪水野≫ 最後に愚痴の話も出てきますね。
 
≪三橋≫ はい。私は、愚痴ったっていいじゃないかと思うんですよ。
愚痴らない人間なんていないんだから。ただ、どうせ言うんだったら、こういう愚痴がいいよね、というコツを紹介してあります。
 
≪水野≫ 私が個人的にすごく良い情報をもらったと思ったのは、あなたの声が文字になる。録音できるソフトの「アミボイス」の紹介です。こういう情報を惜しみなく書いてくれていて嬉しいです。
 
≪三橋≫ これは便利ですよ。お勧めです。
 
≪水野≫ ところで、前書きに戻りますが、昔はコンプレックスがあったとか。驚きました。
 
≪三橋≫ コンプレックスは色々とありますよ。太っていたということもそうですし、
仕事では、アナウンサー学校から局アナになるという王道ではなく、三越から転職したことにコンプレックスがあったんです。
普通のアナウンサーは高校、大学から、アナウンサーになるための勉強をするために、予備校に通うとか、放送研究会に入っていた人が多いのです。
私は、そういうものに一切入っていなかったので、そこがコンプレックスでした。
エリートの人たちに勝つためには、独自の法則をつくって、ショートカットするしかないと思って、色々と研究して今があります。
 
≪水野≫ そんな苦労もあったんですね。
 
≪三橋≫ なので、私はサラリーマンの気持ちが分かるアナウンサーです。(笑)
 
≪水野≫ 三橋さんの向上心や勉強熱心な部分には本当に感心します。
ところで、プロの技術を持っているのに、理詰めで語れる方が少ないのは何故なんでしょうね。
 
≪三橋≫ 才能がある人は、感性というか、感覚で話している人が多いのではないかと思うんです。
先ほども申し上げましたが、私の場合、放送部にも所属しておらず、予備校にも通っていませんでした。しかも、放送局に新卒で入社していないハンデもあります。
何となくとか、感覚でやっていくのでは追いつけないので、必死で先輩たちのトークをリサーチして、自分なりの法則に落とし込んで行きました。そこが良かったんだと思います。
 
≪水野≫ ちなみに、野球の実況をやりたかった時に、音声を録音して上司に駄目出ししてほしいと言ったというエピソードは本当なんですか?
 
≪三橋≫ 事実です。
どうやって上司にアピールするかを必死で考えました。ただ黙って練習していても、目に留まらないと思ったんです。
せっかくアナウンサーになったのですから、どんどん使ってもらわなければならない。
だからといって、練習しているとアピールするのはいやらしいと思いました。
 
そこで、「僕は全然できないので聞いてもらってもいいですか?」といって個別に報道部の人全員に聞いてもらったんです。
そうしたら、三橋は高校野球の実況をやりたがっているというムーブメントというか、噂がたってチャンスを与えてもらえました。
 
≪水野≫ 若い人がチャンスを掴むには、頭脳も必要だということですね。私は三橋さんにビジネスマンとしての背骨を感じます。
今のお話を聞くと、プロ野球の実況をしたい人は多いでしょうし、花型なので先輩も仕事を渡したくないこともあるでしょうね。後輩にチャンスを与えないタイプの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
その中で、三橋さんは、頭を使ってアプローチを考えたというところがすごいです。
ビジネスマンの方に、「その手があったのか!」と思ってもらえるエピソードです。是非、本書を読んで盗んでほしいですね。
 
≪三橋≫ 水野さんにそう言ってもらえると嬉しいです。会話はすべて、相手がいますよね。その相手の気持ちをきちんと想像した上で、こういう言い方をした方がいいのではないか、と仕事を通じて強く感じました。
何も考えないで話していると危険だなと感じることも多々ありました。
 
≪水野≫ プロの方は技術は勿論のこと、目的をもって話しているんですよね。
私が「3秒で盛り上げて30秒で話が弾む会話術」を読んで思ったのは、トークが苦手な人は何も考えないで話すから、失敗するんだなということです。 
 
≪三橋≫ 例えば野球中継のアナウンスをラジオで話している時に、リスナーからメールが来ます。
パッと下読みした時に、瞬時に56個のリアクション、回答を考えて、その中でいいものを1つ選んで言葉にするという頭の動きをするんです。
普通の人は、1番最初に思い浮かんだものを、そのまま口にするから失敗すると思うんですよ。
 
≪水野≫ なるほど。面白いことを言う人は、たまたま面白いことを言う訳ではなく、面白いことを言おうと理詰めで考えているということですね。
物を売ろうとしているのであれば、当然相手に購入してもらえるように話す必要がありますし、説得しようとしている場合には、説得しようとして話す必要がありますよね。
トークの上手な人を傍から見ると、全部適当に話しているように見えるかもしれませんが、実際はいつも頭の中で良い回答を選んで口にしているから、的を得た言葉が出るということなんですね。
 
≪三橋≫ そうです。思い浮かんだ最初の言葉を、ただ口にするというのは、結構危険だと思います。本書には、過去の私の失敗も書いてありますので、読んでください。
 
≪水野≫ ところで、三橋さんは、今年、4月にスピーチ・コンサルタントとして独立されて、引く手あまたのようですね。クライアントさんはどのような方が多いんですか?
 
≪三橋≫ まず、技術や知識や実力はあるけれど、職人肌というか、食えない職人といっては語弊がありますが、プロの職人さんが増えていますね。
話し方を教えてくれというのではなく、ダンサーの人が、教える側に回るにはどうすればいいかとか、イラストレーターとして頑張っていて、技術があるが、どうしたらフリーランスとして生きていけるのか。どうらしたら仕事がとれるのか。など、そういう独立して生きるノウハウを、私も伝授しています。
皆さん、スペシャリストと言うと聞こえがいいですが、マーケティング、営業の技術が弱いんですよね。
 
≪水野≫ やはり実力だけではビジネスは成り立たないですからね。営業力は必要ですし、そうなるとしゃべる技術も必須でしょうね。
何のプロでもいいですが、プロフェッショナルなスキルを持っている人が、教える側に回るためのノウハウは、広くニーズを感じますね。
 
≪三橋≫ 僕はまだまだですが、もうちょっと結果を出せば、局アナ出身から社長になって経営者になった人が語る、職人が生きる道ということを語れるようになるのでは、と思って頑張っています。
 
≪水野≫ 私個人としては、アナウンサーとしての三橋さんの姿を見たいという希望があるんですけれど、三橋さんは、経営者というか、ビジネスの方にシフトしているんですね。
 
≪三橋≫ アナウンサーの仕事も楽しいんですけれど、それだけをしていると他のことが出来なくなるので、時間と収入のバランスがとれなくなります。
経営の方で成果を出せば、好きなアナウンスメントに出来る。順序でいうとそちらですね。
 
アナウンサーも結構、厳しい現実があるんです。
お会いしたことのない現役のアナウンサーから、内緒で僕のところに問い合わせが来ることもあるんですよ。
同業者からも、企業からもオファーがあり、個人の顧客も増えています。
 
最近、面白いオファーでは、選挙の戦略会社からのオファーです。
アメリカでは選挙にスピーチトレーナーは当たり前です。ようやく日本でも、政治家がスピーチにお金をかけつつあるので一緒にやらないかと言われました。
そういう多様なニーズが増えています。
 
≪水野≫ 三橋さんには、すごい勢いを感じます。
これから結果を出したい、成功したい人には参考になるでしょうね。社長業としての成果が出れば、ブランディングができますね。
ますます、これからが楽しみです。ステップアップしていく姿を見守りたい気持ちもありますし、それを読者に伝えていってほしいと願っています。
 
≪三橋≫ 有難うございます。
 
≪水野≫ 今後、どういうものが書きたいですか?
 
≪三橋≫ 会話本以外も書きたいと思ってます。
今、水野さんと話す中で、ヒントをいただいたのですが、駄目出しをしてくださいという一言を言うのは会話術ですが、見方を変えれば社内政治、人脈、仕事をゲットする方法にもなります。私は意識して行動していましたので、若手の方の参考になるものが書けると思います。
 
≪水野≫ 社内で抜きんでる本をテーマにすれば、読んでみたい人は多いのではないでしょうか。需要があるでしょうし、とても興味深いです。
では、最後になりますが、本書はどのような方に読んでほしいですか?
 
≪三橋≫ 会話は才能によるところが大きいと言われていますが、決してそんなことはありません。話すのが子どもの頃から苦手だったという人にこそ、読んでほしいです。
法則を知って、失敗してもらって、繰り返すことで一定レベルまで必ずいきます。
何も、お笑い芸人や落語家レベルまで行く必要はないんです。
ビジネス上、プライベート上で豊かに話せることは誰にでもできるということを分かってほしい。
まえがきを読んでくださったら、私のことを分かってもらえると思います。
 
≪水野≫ 読者の方へのひと言をお願いします。
 
≪三橋≫ 例えば、20年前メールはなかったですよね。そう考えると、10年後メール、ツイッターがあるかは分からない。別のツールが生まれている可能性もある訳です。
今は、インターネットのスキルに注目が集まっていますし、新しいツールも生まれてきていますから、毎年更新していかなければならないでしょう。
でも、話すスキルは500年くらいはなくならない。一度身につければ、一生使えます。
 
必ずビジネスでも高額商品、大事な商談は対面を避けて通らないと感じています。
インターネットスキルばかりあがっていっても、最終的には対面スキルは避けられません。真剣に対面コミュニケーションについて勉強する機会は、誰でも持った方がいいと思います。
そして、人前で話すことは、みんなが出来ることじゃないので、参入商品としては高いので、それが出来るようになると強みになる。そんな人が増えてほしいですね。
 
≪水野≫ 話すことの大切さがとても伝わるメッセージでした。
三橋さんからは本当に良い刺激をいただけて、私も楽しかったです。今日はトークのノウハウから、人の心を掴む方法まで、色々と聞かせていだき、有難うございました。
 
≪三橋≫ こちらこそ有難うございました。
 
(構成 金子美子)
 
◆インタビュアー 水野 俊哉
 
【プロフィール】1973年生まれ。ビジネス書著者。
著書一覧 「成功本50冊勝ち抜け案内」(光文社)「成功本51冊もっと勝ち抜け案内」(光文社)「お金持ちになるマネー本厳選50冊」(講談社)「知っているようで知らない 法則のトリセツ」(徳間書店)「「ビジネス書」のトリセツ」(徳間書店)「モテ本案内51」(ディスカヴァートゥエンティワン)「誰もが無理なく夢を引き寄せる365日の法則」(きこ書房)「ビジネス本作家の値打ち」(扶桑社)「マトリックス図解思考」(徳間書店)
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