水野俊哉の新刊インタビュー Vol .8 
「「資料を送っておいて」と言われたらチャンスと思え!」」
日時 201011月24日(水)
 
◆「「資料を送っておいて」と言われたらチャンスと思え!」(双葉新書)大塚 寿さん
    http://amzn.to/gCPbER
 
【プロフィール】 
1962年群馬県生まれ。
株式会社リクルートを経て、アメリカ国際経営大学院(サンダーバード校)MBAを所得。現在、オーダーメイド型営業研修および法人営業コンサルティングを展開するエマメイコーポレーション代表取締役。また、株式会社宣伝会議の講師としても活躍中。
著書に「リクルート流」「リクルート式」「売れる営業、売れない営業」「職場活性化の「すごい!」手法」「オーラの営業」「バイトでも億稼ぐ」「25歳からの社会人力」共著に「伝わる化」「法人営業バイブル」「部下のやる気を2倍にする法」などがある。
 
エマメイコーポレーション http://www.emamay.net/
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≪水野≫ 今日は「「資料を送っておいて」と言われたらチャンスと思え!」の大塚寿さんにインタビューをさせていただきます。大塚さんは「リクルート流」(PHP研究所)「法人営業バイブル」(PHP研究所 井坂 智博氏との共著)などの名著を書かれていらっしゃいます。本書も素晴らしい本でした。今日はどうぞよろしくお願いします。
 
≪大塚≫ こちらこそよろしくお願いします。
 
≪水野≫ 何を隠そう、私は大塚チルドレンなんです。私が事業をしていた時に、大塚さんの営業の本を沢山拝読いたしました。営業の本では間違いなくナンバー1です。
 
≪大塚≫ 恐縮です。
 
≪水野≫ 奇しくも双葉社新書という新しいレーベルで、私の「ビジネス用語の常識・非常識」が大塚さんの「「資料を送っておいて」と言われたらチャンスと思え」と同時発売というご縁があり光栄です。
 
私が会社を経営していた頃に、大塚さんの本を読んで数億円売上があがったことがあり、ずっと神様のように感じていました。私が本を出してからご面識頂くようになり、時々お酒を飲むようになりました。
 
≪大塚≫ 水野さんとの飲み会のお陰で編集者さんとご縁が出来、2冊出版いたしました。
 
≪水野≫ そう言っていただけると、せめてもの恩返しが出来たようで嬉しいです。 大塚さんの「リクルート流」は法人営業本の金字塔ですが、本書も日本一の営業の本だと感じています。ご覧の通り、読んで付箋だらけになっています。
さて、あとがきにも書かれていますが、大塚さんは著書を13冊出されていますが、営業の本としては久々ですね。
 
≪大塚≫ 営業小説「オーラの営業」(Nanaブックス)を出していますが、純粋な営業の本としては「法人営業バイブル」から4年半ぶりです。
 
≪水野≫ 「リクルート流」「リクルート式」も現場の事例が沢山のっていて素晴らしい本ですが、それらを体系的にまとめた「法人営業バイブル」まで出してしまうと、さすがに4年半出さなかったというのも分かります。本書はまたさらに上をいっていると思っても良いいでしょうか。
 
≪大塚≫ はい。営業の環境がご存じのように、ものすごく変わってきています。一番大きいのは、インターネットがゲームのルールを変えてしまったということです。
広告の世界に例えると、企業のテレビCM、雑誌の広告に出していた費用(コスト)がネットに流れています。ネット広告は費用対効果が高いですから。同じように営業についても旧来のやり方がネット時代によって変わってしまいました。
 
≪水野≫ 「はじめに」でも新規開拓の営業がやりにくくなった理由があげられています。
1、組織のフラット化
2、個人情報保護法、コンプライアンス
3、セキュリティオフィス 
4、ネット社会
5、バラエティに富む営業法
 
私がこの本を読んで意外だったのは、ネット時代をマイナスにとらえるのではなく、「ものすごく大きなチャンス」という言葉でした。法人営業にとっても、インターネットの時代はチャンスですか?
 
≪大塚≫ 基本的にはやりようです。チャンスはあります。
ネットを使うことによって、情報が誰でもとりやすくなりました。
今までブラックボックスに隠れていた情報や極意を、誰もが見られるようになっています。
 
つまり、ネット社会になったことで、限られた少数だけが知っている情報や、隠されてきた営業法の極意がオープンになったと言えます。ネット上では、こういう業種にはこういう営業法がいいなどのノウハウから、下手をするとキーマンの名前が表に出てしまうこともあるくらいです。
 
≪水野≫ なるほど。誰もがノウハウや情報を入手しやすくなり、即営業に生かせる時代になったということですね。
以前の大塚さんの著書の中で、インターネットの普及によって職場の環境が変わり、職場の人間関係が希薄になっていると書かれていました。
 
希薄化という観点でいうと、営業も対面法ではなく、インターネットのメールで完結してしまう時代になっていく可能性もあると言う意見もあり、私もそれは違うと心のどこかで引っかかりを感じていたのですが、本書を読むと逆にインターネットが普及しているからこそ、きちんと対面での営業をすることが大事だということが分かります。 
 
≪大塚≫ おっしゃる通り、個人ブランディングによって、ネットビジネスが展開されている時代ですが、個人営業の世界も法人営業の世界も同じです。
本書は訪問アポにはじまりクロージングまで持っていく法人営業の体系化したものを、ネット時代、セキュリティオフィス化した時代にあわせてアップデートした内容となっています。
 
≪水野≫ ツールが広く普及して情報がオープンになったからこそ、個人の営業力が大事になっていくのだと感じました。
 
≪大塚≫ 生かすも殺すも、その人次第になります。プラスに働けば掛け算で効果がありますが、マイナスでも同じように大きく負に作用してしまう時代です。
 
≪水野≫ なるほど。最近、山崎将志著「残念な人の思考法」(日経プレミアシリーズ)が流行っています。ネットの時代だからこそ、残念な営業の人が増えてしまっているのではないでしょうか。本書のような、本質的な営業の本を読んでいるかどうかが、営業マンの成績に差をつけるのではないかと感じています。
それでは、順を追ってご紹介させてください。
 
まず 第1章 「最初に知っておきたい“営業の本質”」
大塚さんがおっしゃるからこそ、説得力があると感じたのが「営業に向き・不向きなどない」という部分です。
 
≪大塚≫ ええ、ないです。
 
≪水野≫ トップ営業の方が必ずしも喋るのが上手い訳ではない。
人見知りする人でも強い営業はいるということは、大塚さんの経験から間違いはないですか?
 
≪大塚≫ 間違いないです。一見「え? この人がトップセールス?」と思う方もいらっしゃいます。トップの人とそうでないという人が隣に並んでいても、見た目では分からないでしょう。
 
≪水野≫ どの会社の営業マンでも、営業に対してコンプレックスを持つ方は多いと思います。「自分はどうせ出来ない」と、入口で諦めてしまう方もいらっしゃいますが、決して諦める必要はないということですね。
 
≪大塚≫ はい。
 
≪水野≫ すごいトップ営業の方と、そうでない人を分けているポイントを本書から紹介します。
 1、部長用の企画書と経営者用の企画書を分けて書く配慮が出来る。
2、アポ取り電話、訪問件数でも「もう1件だけ」を欠かさない。
3、顧客に「おみやげ」となる情報や提案を欠かさない。
 4、顧客のために自社を動かすことを厭わない。
5、とにかく初動が速い
このポイントに気をつけて改善していくと、まさにいい営業マンになれると感じます。
 
≪大塚≫ 間違いないです。「もう、1件」「あとこれだけ」と続けるか、「今日はこのくらいにしておこう」と諦める気持ちで行動するかで、1年後に大きな差を生みだします。
 
≪水野≫ 営業マインドですね。これが出来るかどうかで数字の額が変わってくるでしょう。
第2章 「営業する前の事前準備。ここを押さえればあと10%業績がアップする」
 
このあたりも「リクルート流」「法人営業バイブル」を読んで当時感動した部分ですが、営業は「科学×武道」だとあり、秀でた分析力に感銘を受けました。
どうしてここまで営業をロジカルに整理して説明できるのか驚いています。
 
≪大塚≫ 実は営業の事前準備はやるべきことが決まっています。事前準備に関してはケース・バイ・ケースだとか、業界によって違うということはないというセオリーがあります。「うちの業界は特殊だ」というのは言い訳です。業績が高い人はどの業界によってもやっていることは同じだと断言できます。
 
≪水野≫ 本書の「アプローチ履歴シート」もコピーして使いたいくらい実用的だと思います。私が唸ったのは、「随意契約化ネゴの極意」これはすごいですね。
 
≪大塚≫ そこまで触れてはいけないというギリギリまで触れました。賄賂を求められるなどは本としては書きにくいのですが、随時契約化などは良くある話なので書かせていただきました。
 
≪水野≫ 実は私もやられたことがあります。まさにこの本は先の先まで考えていらっしゃると感じました。トッププロの世界が垣間見えます。
ここまでいくと、数億、数十億を受注する方の手中の方法というか、ここまでやっているんだということが、本書を通じて見えてくるのではないでしょうか。
 
≪大塚≫ はい。ポイントとしては、事実をどれだけ知っているかで決まってきます。世の中には真の営業を知っているかいないかで、大きく差がつくのが現実です。
 
≪水野≫ 詳しくは読んでいただきたいですね。談合は良くないことですが、随意契約の仕組みについて、あくまで合法の中で圧倒的に受注してしまうやり方があるということを知って頂きたいです。
 
≪大塚≫ 談合はいけませんので、随意契約化ということで読んで頂ければと思います。
 
≪水野≫ 大塚さんの過去の著書で、営業の段位を競うという、ある意味修業的な営業道を極める部分がありました。営業を前向きに極める方たちのリストづくりの秘訣についても、細かく紹介してあり参考になります。
 
≪大塚≫ 新規開拓の業績の高低はリストで決まると言っても過言ではありません。
新聞広告や日経4紙の記事、電車の中刷り広告や額面広告もリストになります。
ハローワークやマンモス大学の求人票すらリストになります。
とにかく、リストは誰かが与えてくれるのを待っているのではなく、自分から能動的に探し求めるのが基本です。目にとまったものをどう営業リストに出来るかが、一級かそうでないかの違いだと思います。
 
≪水野≫ リストが作れたら初段ですね。
 
≪大塚≫ 営業マンなら、このくらいのことはやって欲しいです。
 
≪水野≫ 社長さんは自社の営業マンに読ませたいでしょうね。ここまでやるのが営業なんだと。
 
≪大塚≫ 立場を変えて頂ければ分かりやすいですが、「日経産業新聞を拝見しました。このことについてご連絡を差し上げたのですが」と言われたら代表電話で断れられることはないでしょう。そのように、相手の立場にたって電話をかけることも大事です。
 
≪水野≫ 営業マンというより経済紙の記者のようなことをするということですね。
 
≪大塚≫ 営業トークで100件かけて20何件断われる時に、気の利いたフレーズを言って、まず受付を突破するんです。新聞記事をフックにして、「私は御社に対してこのくらい興味を持って電話をかけました」と切り込んでいきます。今はそのくらいしないと警戒が厳しくて突破が難しいです。
 
≪水野≫ なるほど。そして新規だからこそ、キーパーソンにアプローチするという部分にも納得しました。担当者に営業するのも、決済者に営業をするのも確かに労力は同じです。
 
≪大塚≫ この部分はこれから営業を頑張ろうと言う人たちには、是非読んでいただきたいです。
誰もが気持ち的に担当者に提案したくなりますが、受注に至る確率が高いのはやはりトップの人との交渉です。
決済者というのは、大手企業では部長クラスですし、従業員100人以下の企業なら社長です。もしこの方法を自社でやっている人が少なければ、圧倒的に成績を上げられるチャンスです。
同じ100人に営業をかけても3人しかアポが取れないのなら、担当者にアプローチするのも、決済者にアプローチするのも同じです。
 
≪水野≫ なるほど。極意ですね。 
そして 第3章 「「ガチャン!」と切られない、電話でアポをとるための秘訣」
 
避けては通れないテレアポですが、興味深いのは、「50%以上、トークスクリプトには頼るな」という部分です。いよいよ奥義の世界に入って来た、ここからが真骨頂だと感じさせます。
 
≪大塚≫ 大事なのはトークに関しては、語りかけるように話すということです。
営業トークの天才が隣にいたらそのトークの真似をすればいいのですが、新規営業のプロはそこまで多くないのが現実です。
テレアポは100%アドリブの世界です。トークのキモとなるキーワードと、想定する相手の反応をあらかじめ準備して、その対応をキーワードにまとめて、何かあればそれを見てフリートークするする方法を提案しています。
 
≪水野≫ 丸暗記ではなく、キーワードを見てフリートークするのなら、とても自然で的を得た会話ができると思います。本書を読んで知ったのは、出来る人のトークは日本語としておかしいことがあっても、それでいいということです。
 
≪大塚≫ はい。この年になったからやっと書けることだと思っています。
文章は格調高い文章が書きたいですが、格調高い言葉では営業は取れない。息継ぎが違うからです。
ショップチャンネルや、ジャパネットたかたのCMトークを文章で書いたら、幼稚っぽく感じるかもしれませんが、聞くだけなら耳当たりのいい音色になり購買意欲をあげます。営業トークも基本的には一緒です。いかにも営業っぽい声は当然警戒されます。
 
≪水野≫ 私がとても面白く感じたのは、アポ取りでプロっぽすぎるのは駄目だという部分です。具体的にプロっぽすぎるというのはどう感じですか。
 
≪大塚≫ いかにも売り込みっぽい、洗練されたよそ行きの声のことです。例にあげると、駅のホームの駅員さんのアナウンスや、デパートのエレベーターガールの独特の言い回しがあるでしょう。
やはり、営業マンも独特の言いまわしがあります。
1日100本電話をすると、4か月で1万件になります。そのあたりで営業マンの声が変わってきます。これがまたこれで胡散臭い言い回しになっていて、自分を客観視できないから起こることだと思います。
 
≪水野≫ それを修正してオリジナルの型になっていくんですね。
他にも「居留守との戦い」についてですが、「残念な人の思考法」にもありましたが、飛び込み営業は迷惑でしかないから、「話を聞いて欲しかったら1000円払え」と張り紙をしたところ、それを払ってでも営業しにきた人間は3人しかいなかった。
でも確かにその人たちの話は聞く価値があったそうです。ハードルが設けられてもそれを突破できるスキルがあれば、逆にチャンスになると感じました。 
 
≪大塚≫ そうですね。新規営業の問題はとても大きいと感じます。誰もが新規営業を避けたいのが本音でしょう。
多くの企業で1人の人がルートセールスと新規開拓の双方を兼ねていることが多いのですが、ルートセールスで手一杯になり、新規開拓が手つかずになるという問題に直面していると思います。本書では新規開拓に費やす日程を固定化するなど、幾つかの方法を提案しています。
 
≪水野≫ 第4章 「もうこれ以上商談のチャンスを無駄にしたくないあなたへ」
 
クロージングのトークの極意が、かなり厳選されて入っていると感じました。大塚さんがリクルートで先輩方から教わって来た極意を本書で披露してくださっています。営業の神さまでもある大塚さんのノウハウは、営業マンの人なら必ず役にたつと思います。
 
≪大塚≫ 有難うございます。本当に様々な、ありとあらゆる方法を試した上で、この方法が一番受注率、案件率が一番高かったというノウハウを本書に入れました。
 
≪水野≫ 大塚さんがリクルートで学んだことは何でしょうか。読者の方も興味があるかと思います。
 
≪大塚≫ リクルートではコテコテの方法論を教わりました。それこそ、箸の上げ下ろし、椅子に座る順序、まばたきの仕方まで、手取り足とり、落語家の世界のように弟子入りして育てもらっている感覚でした。まさに、一挙手一投足うるさく言われたというと先輩方に失礼ですが、そのくらい細かく面倒を見て頂きました。
 
≪水野≫ 伝統芸能のようですね。現在の日本のビジネスではそういう雰囲気が段々と消えていっています。大塚さんがコンサルする会社は、日本を代表するような企業で10兆円規模から、規模的には小さいところまで受けていらっしゃいます。大塚さんのような一流の方が来て教えて頂かないと会社が成り立たないでしょうね。
 
≪大塚≫ それこそ、1人1人ビデオで撮って、見本と比べてどこが足りないのかを見比べて指導します。まさに、箸の上げ下ろしではないですが、お辞儀の仕方など丁寧に指導しないとなかなか成長していきません。まさに方法論につきます。
 
≪水野≫ なるほど。そのノウハウが詰まった本書は、どれもこれも本当に感心するばかりです。「主語は御社にして話せ」「成約しそうな時に効く最後の一言」「クロージングでなかなか決めきれない人のキラーフレーズ」など、これらを知っているだけでだいぶ違いますね。
 
≪大塚≫ 是非、活用してください。
 
≪水野≫ 第5章 「凄腕営業マンはみんな知っている“成功のツボ”」
 
これは虎の巻ですね。中でも今この時代にあえてこれを言うかという感覚でしたが、御用聞き営業こそ最強だというくだりには本当に感心しました。
 
≪大塚≫ みなさん誤解されていますが、御用聞き営業の凄さについて本書を読んで欲しいです。
難易度からいったら御用聞き営業の方が新規営業よりも上です。
なぜなら御用聞きとは顧客の信頼を勝ち取り、相談役になったということです。そのような信頼関係を作れたという御用聞き営業こそ、営業マンの最終的な極意と言えるでしょう。
 
≪水野≫ 私も驚きました。さすがだなと。
 
≪大塚≫ ちなみにリクルートでは「賢い」御用聞き営業と言っていました。
御用聞き営業になるには、顧客の明らかではない課題をキャッチして問題解決についての提案をしていくうちに、信頼関係が出来、相談役になっていくというステップがあります。賢くないと御用聞き営業にはなれません。
 
≪水野≫ なるほど。納得です。そしてインセンティブやリベートを求められた時の対処法も紹介されています。これを知らずに一歩間違うと大変なことになります。非常にスマートな対処法が書かれています。
 
≪大塚≫ コンプライアンスがあって、お客さんからおっしゃられたことであっても、それを受けてしまうことで自分も犯罪者になるし、対処次第でお客さんの将来も台無しにしてしまいます。うまく対処するのが、お客さんのためにもなります。
 
≪水野≫ インセンティブやリベートについては世間的にもタブーとなっているようで、どの本にも触れてありません。確かに本書に書いてある通りに実行すれば、スマートに解決するでしょう。先方の申し出に同意も否定もしない方法が具体的に書いてあり、大人の対処法を教えていただきました。
 
≪大塚≫ 読者のお役に立てれば嬉しいです。
 
≪水野≫ 圧迫クライアントを引き継いでしまったらどうしたらいいかについても、虎の巻のように詳しく書いてあります。圧迫クライアントというのは、とりつくしまがない人ですね。
 
≪大塚≫ そうです。高圧的な態度をとるクライアントについては、新規営業なら関係を絶ってしまう方法もありますが、ルート営業の場合にはそうもいきません。
 
例えば前々任者のまずいトラブル対応がずっと尾をひいて、圧迫に更に拍車がかかることもあります。その時の対処の方法を詳しく具体的に書きました。とにかく、クライアントの「メンツを立てること」に尽きます。他にも相手が困っていることがあれば親身になって助けるなど、極意も入れました。
 
≪水野≫ 営業の基本は相手のことを考えるということですね。
「主語を御社にする」という部分にも通じています。とても参考になる内容です。そして営業の人ならではのストレスの解消法です。
 
≪大塚≫ 「オーラの営業」でも書かせていただきましたが、本書では進化させて書きました。
1、目先を変える
2、没頭する
3、周りの人に相談する
4、神頼み
5、ストレスの原因自体が、ちっぽけなことだと思えるようにする
6、カウンセリング、心療内科、精神科の門をたたく
 
営業という仕事は本当にストレスが溜まる仕事です。顧客と自社の板挟みになり、日々ノルマに追われ、業績が低迷しようものなら上司から厳しく叱責され、昨今の日本経済状況においては明るい兆しも見えず、しかも給料はあがっていきません。
こんな大変な営業の仕事で頑張っている方に、できるだけ良い状態を保って頂くためにも、辛い時期を早く抜け切って頂くためにも、本書を活用していただきたいです。 
 
≪水野≫ 営業の仕事は数字を作れる醍醐味もありますが、並々ならぬプレッシャーがかかります。ストレスもかなりのものでしょう。誰もが避けられない所ですね。
 
≪大塚≫ そうですね。営業は売れない辛さもありますが、売れている方が仕事が多くなるわけですから、売れっこならではの辛さもあります。クリアすればするほど、前の数字が基準になるからです。右肩あがりの業績をあげ続けるのは企業でも大変なように、個人でも疲弊してしまいます。
 
≪水野≫ 営業のノルマのイメージとしては、高跳びの選手が1つクリアするたびに、バーの高さをあげていきますよね。
以前、オリンピックである選手がバーを1pずつあげていったのを思い出しました。10pずつあげると後がなくなります。少しずつハードルをあげていくのが、一番良いのでしょう。
 
≪大塚≫ 確かに同じイメージです。
 
≪水野≫ 心構えとしてなるほどと思ったのは、「営業マンは一人では何もできない」というくだりです。これも究極ですね。
 
≪大塚≫ 今まで書いたことがなかったのですが、真実を書きました。
長い目で見ると、社内、社外に味方の多い人の方が息の長い良い仕事をします。逆に人を蹴落とす営業マン、裏表のある営業マン、売り逃げする営業マンは10年もっても20年先はもたないでしょう。
短期的にメリットがあるやりかたに心惹かれてしまうかもしれませんが、実は長持ちする人は味方を作れる人だとお伝えしたいです。
 
≪水野≫ 良く分かりました。ところで、本書の執筆に当たってご苦労はありましたか? 
 
≪大塚≫ この本は苦労しました。編集者さんから、「この角度から書いてください」「リベートを求められた時の対処法や、新規営業で受付を突破する方法、海外営業などのテーマで書いてください」という数々の期待を寄せられたのですが、最大公約数で書くと薄っぺらになってつまらないでしょう。
どれだけリアル感が出せるかを模索しました。事項探し、グローバル対応についても、ケース・バイ・ケースの事例を平準化する軸探しに苦労しました。
 
バックグラウンドが違う様々な業種の方が読んでも、「そうだよね」と納得してくださるように書きたいと思い苦心しました。
他には、賄賂や談合をどのように対処するかという、本に書きにくいけれどみなさんが知りたいと思うことについて、文章にする際の切り口を考えるのも難しかったです。
 
≪水野≫ なぜ、そのような難しいオーダーにも対処して、体系化して解説できたのでしょう。
 
≪大塚≫ やはり、営業マンのみなさんの役に立ちたいという気持ちが一番強かったです。そして、最前線の現場のリアルタイムな実務を知っていることと、それらを体系化する論理のフレームをアメリカのビジネススクールで学んだことが生きて、書きあげることが出来ました
 
≪水野≫ 本書ではじめて大塚さんの本を読むという読者の方もいらっしゃるかもしれませんので簡単にご紹介しますが、大塚さんはリクルートを退職し、ヤマメの養殖をして貯めた資金でアメリカに留学。帰国後は法人営業コンサルタントをされ、活躍されています。 
 
≪大塚≫ ヤマメの養殖は大変でした。(笑)
 
≪水野≫ 私が本書を読んで痛感したのは、営業を極めれば食いっぱぐれはないということです。商売でも、コンサルタントをするのでも、自分の物を売るのでも、全て営業に繋がっていきます。営業は自分には関係ないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これは営業マンでない方でも、是非読んでいただきたい本です。
 
≪大塚≫ はい。起業し個人でやる方でも、どうやって売り込むのかという部分で役にたつと思っています。 
 
≪水野≫ 私の周囲にも起業したばかりの人が沢山いるのですが、圧倒的に営業マインドの欠けている方が多いと感じています。
 
≪大塚≫ お客さんは自分から寄ってきてくれません。独立起業したいという希望を持っていたり、社内で内勤になったとしても、営業の極意を読むことによって絶対に生きてきます。
 
≪水野≫ この本を読むとどのような効用があるでしょうか。
 
≪大塚≫ 業績があがります。具体的に言うと、案件化があがります。
 
≪水野≫ なるほど。お金にならないまま流れてしまう話は非常に多いですが、いかにキャッシュにするか、成約率があがるかというのは大事です。
 
≪大塚≫ 成約率は打率のようなもので、2割5分だとします。打席に立つ回数が多くなればなるほど、ヒットの数も多くなります。
 
≪水野≫ 案件化というのはというのはサッカーでいうところの、PKやフリーキックのようなものですね。フォワードがどれだけ入れられるかは分かりませんが、フォワードがゴールに向けてキックする回数とゴールに入る数は、比例してあがっていくのが理想です。営業も同じでしょう。闇雲に蹴っても案件化しませんから。
 
≪大塚≫ はい。おっしゃる通りです。
 
≪水野≫ この「「資料を送っておいて」と言われたらチャンスと思え」というタイトルの意味については、是非、本書を読んで頂きたいです。
 
≪大塚≫ そうですね。本書を読めば、タイトルの意味に含まれた真意について、理解していただけると思います。新規を開拓する営業マンは、それが例え断り文句だったとしても、本書の方法論を突破口にして、肯定的に受け取って案件に変えていってほしいです。
 
≪水野≫ 本書はどんな人に読んで欲しいですか。
 
≪大塚≫ 営業について困っているけれど、良い先輩の見本がいない。何とかしたけれど、身の回りに指導してくれる人がいない。こういう時にどうしたらいいんだろうと、藁をも縋る思いの人に読んでいただきたいです。苦しくても、まだ投げ出すなという気持ちをこめました。
営業の世界で諸先輩から育てられた私が、後進の皆さんに引き継いでいくのが私のミッションですし、そうすることで私自身も進化していきたいと思っています。
 
≪水野≫ とても温かい視点で後進の方たちを見守っていらっしゃるのを感じました。今後、どのような本を書いていこうと思われているのですか。
 
≪大塚≫ 提案営業とプレゼンの本を別々に書いていきたいと考えていますそれぞれに伝えたい伝統芸があります。
 
≪水野≫ 是非読んでみたいですね。それでは最後に読者にひと言お願いします。
 
≪大塚≫ 何より、みなさんに元気を出して欲しいです。
こういう経済環境ですから元気がなくなって当然ですが、閉塞した日本経済を打ち破り、方法論を武器にして営業に取り組んでいただきたいです。
閉塞した時代は、逆に新しい知識を身につけることによって切り開けます。営業のスキルを身につければ、どんな時代でも生き残っていけます。
 
カラ元気でもいいので、なんとかこの停滞した日本経済に、風穴を開けて欲しいと願っています。方法さえ分かれば「なんだ。これをやれば良かったんだ!」と気づいて頂けると思います。
本書を読んで方法論を身につけ、元気を蓄積して突破口を探して、そこにエネルギーを集中して「どん!」と壁をぶち破って欲しいです。
 
≪水野≫ 大塚さんの言葉を聞いているだけで元気が出てきました。まさに読めば元気になる本です。
 
ネット化、セキュリティ化、オートメーション化することで、大事なものが忘れ去られている時代に、やはり営業の本質はこれだという真髄が、大塚さんの本に書かれています。方法論、極意が満載で、必ず役に立つでしょう。
根底には大塚さんの営業マンへの愛情が溢れていると感じます。
 
この本を入口に元気が出て興味を持たれたら、「リクルート流」「リクルート式」「オーラの営業」などの名著を読んで大塚ワールドを味わって欲しいと思います。大塚さん、今日は有難うございました。
 
≪大塚≫ こちらこそ有難うございました。
(構成 金子美子)
 
◆インタビュアー 水野俊哉
 
【プロフィール】1973年生まれ。ビジネス書著者。
著書一覧 「成功本50冊勝ち抜け案内」(光文社)「成功本51冊もっと勝ち抜け案内」(光文社)「お金持ちになるマネー本厳選50冊」(講談社)「知っているようで知らない 法則のトリセツ」(徳間書店)「「ビジネス書」のトリセツ」(徳間書店)「モテ本案内51」(ディスカヴァートゥエンティワン)「誰もが無理なく夢を引き寄せる365日の法則」(きこ書房)「ビジネス本作家の値打ち」(扶桑社)「マトリックス図解思考」(徳間書店)「徹底網羅お金儲けのトリセツ」(PHP研究所)「ビジネス用語の常識・非常識」(双葉社)
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