みん”の本棚

なななんと!オタワの図書館に日本語の書籍が。。。(感動ー(T_T)
普通の本屋には日本語の本は売っていません。どうやら滞在者が寄付していったようです)
読書家ではないのですが、日本語の本がめずらしくて借りてきましたので、メモしてみます。
私が覗きに行くのは、Ottawa Public Library の Main Library です。
最近オタワ市の図書館を3つ閉鎖すると問題になっていたりします。
→閉鎖候補Sunnyside,Vanier,Blackburn Hamletは存続となった模様。2004.3.27

No.19
(07.8.28)
ニューヨークの24時間
(評論・エッセイ)
千葉敦子 彩古書房
1986.11.20初版
1987.10.20第19刷
(単行本)
感想等 ニューヨークに暮すジャーナリストとして、1日を時間で6つに区切り、それぞれの時間ですることとより良く生きるためを関連付けて書いた軽快なエッセイ。

著者の「ニュー・ウーマン」に似ているが、驚いたのは当時(1980年代半ば)でオンラインデータベースを使いこなしていた事。米国のダイアローグがサービスしていたデータベース(ノリッジ・インデックス)の種類が延々と書いてある。やはりジャーナリストは情報収集能力が高い。「手紙のテンプレートを作って売る商売、だれかやってくれないかしら」などと今なら当たり前の事だけれど当時としては画期的なビジネスのアイディアもそこここにちりばめられている。

「誰にとっても有限である時間をよりよく使うには、というテーマを考えるとき、自分自身を良く知っていることは、大前提です。(185ページ)」「いくら学校の試験の点数なんかよくても、自分の人生の方向を見出せないようでは、一人前の人間とはいえないでしょう。そして、こればかりは、親や教師が「教える」ことはできず、本人が見出すのを「助ける」ことしかできません。結局は本人の決断の問題です。」(190ページ)など、ニュー・ウーマンにはなかった部分があるように思う。

そういう意味でこの本は後半の方が得るものがあったというのが今回の感想。
オススメ度:★★★  オススメ読者:キャリアとよりよい人生を考える人に Y氏からの拝借物

No.18
(07.8.28)
夕凪の街 桜の国 
(漫画)
 こうの史代 双葉社
2004.10.(単行本)
感想等 広島の被爆から10年後の様子を主人公の若い女性を中心に淡々と描いた作品。

短すぎて、消化する前に終わってしまった感じがした。 いろいろなことが曖昧なのは、そこは読み手が考えてくれということなのでしょうけれど、一回読んだだけでは汲み取れないことも多くあるのは自分が未熟なせなのかなぁ?

やさしい絵で、辛い事がサラッと描いてある。 「生きていてもいいですか」と問いたい被爆者達。残酷なシーン、後遺症を含め受け止めきれない事実を口に出さないことで見ない振りをしているのに、辛い記憶は一番幸せな一瞬に襲ってくる。

ひどく被爆した人が早く死ぬとも限らず、予測のつかない命におびえる。 死ななかった、と安心した途端に死が襲ってくる。

問いかけたいことが込められた作品なのだが、それが広大で掴みかねた感じ。
いつかこれを読み直して傑作!と絶賛できる日が来るといいな。
オススメ度:★★★  オススメ読者:広島、長崎について考えたい人  M氏からの拝借物

No.17
(06.5.5)
シニア留学のすすめ
 −カナダの大学院で学ぶ六四歳−
(評論・エッセイ)
青木泰司 文芸社
2006.4.15初版第1刷
(単行本)
感想等 オタワに修士号取得のため留学しているTed氏64歳。仕事、家庭など社会的な義務にひととおり区切りがついた年齢。そして老化を意識せずにはいられない世代だからこそ見える、留学生活における様々なことが詳細にかつストレートに書いてある本。2年半かけて英検1級を取ってからカナダに来ても、大学における勉強のハードルは高く、言葉の壁は厚い。類似の経験をした人から見ると「痛々しい」とも言えるほど。そう、留学は甘くない。でも短期語学留学以外であれば大なり小なり確実に誰もが経験すること。(全ての短期語学留学がラクだと言っているのではなく、短期語学留学ではそのストレスにどっぷりつかる前に帰国日が来てしまうだろう、という意味です)
終章の「夢と目的」では健康管理や現実受容の重要さについて触れてあります。この章はこれから留学を考えている人、本人とその家族に是非読んでいただきたい。やりたくてはじめる海外留学だけれど、続けていくにはそれなりの苦難があり、乗り越えられるのが当たり前ではないのです。また海外生活においてはストレスとの付き合い方、健康管理が日本以上に重要になると思います。不思議なのはTed氏がカナダでは「心臓の雑音、冠状動脈にコレステロールがたまり、血管が細くなり、心臓の肥大を呼んでいる」と言われたのに、日本では「心臓に雑音はあるが、深刻なことは何もない」と結果が出たこと。正直、カナダの医師がアジア人に慣れている保証はなく、いざというときは日本に帰って必要な検査をしたり、ストレスのため状態が悪くなった場合、一端日本に帰って心身を回復させてから再度渡加ということも長い目で見たら一番の近道だったりもします。これは留学する本人(留学中の人も含めて)、家族にはそのことを頭の隅においておいていただきたい。また健康管理の面、コミュニケーションの面からも自炊は多少できる状態で留学することをお勧めします。
オススメ度:★★★★  オススメ読者:どなたでも(特に留学を考える人とその家族) 友人からの拝借物

No.16
(06.2.25)
ファザーファッカー
(小説・文芸・フィクション)
内田春菊 文藝春秋
1993.9.15初版
1996.3.15第31刷
(単行本)
感想等 著者の私小説といわれている話。2時間くらいで読み終えられたので最後まで読みましたが、読んでいて気持ち悪くなりました。中学生で妊娠、中絶、それも堕胎のところが克明に書かれていてヘビーだなと思いました。妊娠中絶はありうる話、と思えるとしても、主人公の家庭環境のひどさにゾッとしました。(養父が彼女の妊娠をきっかけに性交にもっていくあたり、あまりのひどさに「この養父ってどこまでバカ?」とあきれました)
全体を通じて彼女を取り巻く大人たち(つまりは母親と養父)に救いがないのです。彼女は他者(家族)から守ってもらうことを知らずに育ち、その過程が冷めた口調で書いてあるので、さらに冷たいものが背筋に走りました。世の中の何パーセントの子供かは崩壊した家庭環境で育って、人に対する信頼も自信もなかったりするのか、と思うと悲しくなります。最後に主人公は家を出て自由になるわけですが、果たして、そこに救いがあるのか?
オススメ度:★★  オススメ読者:なし(オススメしません) (オタワ市立図書館蔵書)

No.15
(06.2.25)
おじさん、語学する
(語学・フィクション・ハウツー)
塩田勉 集英社新書
2001.6.20 第1刷 (新書)
感想等 林家常雄という妙な名前の、どこにでもいるフツーのおじさんが、フランス人と娘との間にできた孫に会いたい、話したいという一心でフランス語を始め、1年半後には目出度くパリで孫娘と会うというフィクション+各章の終わりに語学のハウツー、という珍しい方式。(筆者は<フィクション方式>と<ノウハウ方式>の折衷と称してます。(本文213ページ))
語学学習に必要なノウハウが、段階別に軽妙なお話に仕立ててあり、記憶に残りやすいと思います。最初はNHKの語学講座を4月からスタート。そして翌年の8月にはパリへ!”一文一文の訳ではなく、場面と使われ方が大事。無心な反復により頭の中にフランス語の配線が出来上がる。文法事項や単語はそれから整理すればよろしい。”という日本の語学学習ではとくになおざりにされがちな「語感」を「反復」により身につけることから始めるようにと書いてあります。また途中で迫ってくる「飽き」(怠け心?)や、「ママゴト会話卒業」さらに語学学習にまつわる差別(フランス語や英語を話す人=白人、という刷り込みや思い込みに起因すると思います)やメディアリテラシーなど、語学するときに必要な情報が網羅的に書いてあります。語学は語学だけをやることではない、というところでしょうか。
語学は生涯学習ですから、この本は何度も繰り返して読むことになると思います。何度も始めて何度も挫折しているフランス語をまたやろうかな、という気分になりました。
オススメ度:★★★★  オススメ読者:どなたでも(社会人経験がある人には特にオススメ) (友人G氏よりの頂きもの)

No.14
(05.7.8)
ニューヨーク女三代記

(評論・エッセイ)
宮本美智子 文春文庫
1984.9.25 第1刷
(文庫本)
感想等 娘(著者ミチコさん=二代目)が産んだ孫(理奈:リーナちゃん=三代目)のベビーシッターという口実でアメリカニューヨークまで呼び寄せられた母親(美喜:ミッキーさん=一代目)、合計三人、女三代の暮らしぶりが痛快にのびのびと描かれています。お母様は大正生まれ、本が書かれた時点(1981年)で米滞在が9年だったようです。娘さんはもともと日本で大学を卒業後アメリカの大学院に留学されたので、この本の中には適応の苦労話は就職当初の話程度しかないのですが、お母様の奮闘ぶりが非常に面白いです。日本人的なつつましい面があるかと思うと、言葉が不自由な割にはケチなお店のおじさんからしっかり値切って買い物をしてきたり。一方、「マミィ、アイムナメリカン!」(Mammy, I'm an American!ママ、アタシはアメリカ人なの!)と言っていた三代目が、10歳の夏に日本への渡航を果たした話も逆カルチャーショックが面白かったです。本の中で実際の会話の中の英語と日本語のちゃんぽんが出てきて、英語部分はカタカナ(英語でルビ有)で書かれているのですが、それが発音する音そのものに近いんです。例えばアン アメリカン でなくて「ナメリカン」(an Americanの最初のaは前のI'mにくっついて発音されるので、音としては nAmericanに聞こえる)それに気づき、いかに実際とは違う、言葉のつながりを無視したカタカナ発音に自分のアタマが毒されているか、とほほ、とちょいとだけ思ったのでした。一気に読み終わった後は気分爽快。海外生活の醍醐味って今も昔も基本的には変らないかも、と思った次第。
オススメ度:★★★★ オススメ読者:どなたでも。海外生活の面白さを垣間見たい人や再発見したい人に (オタワ市立図書館蔵書)

No.13
(05.1.2)
日本の証言

(評論・エッセイ)
瀬島龍三 フジテレビ出版
2003.2.28 第1刷
(単行本)
感想等 第二次世界大戦の軍の参謀、その後11年ものシベリア抑留生活を経て日本に帰国、伊藤忠に勤め、日韓国交正常化や各種公社の民営化計画に携わり、と波乱の人生を送ってきた、まさに昭和の生き証人(なんと、東京裁判に参考人として自ら出廷・証言!)が、率直に、正確に、当時を語っています。テレビ番組から発端を経て書籍化されたそうですが、戦前の教育の実態、戦争の政治的・外交的な観点からの経緯、シベリアの抑留、そして戦後伊藤忠という商社でのこと、はては現代日本における歴史的な事項(日韓国交正常化、公社民営化など)など、インタビュー形式で書かれています。タイトルは「本当の日本を知る(そしてご本人も日本の一部である)生き証人の証言」という意味なのかな、と思いました。

驚いたのは何年何月何日、誰がこう言った、特攻隊戦没者数などものすごい量の情報がとても正確。著者は現代の新聞から得た国際情勢(政治、経済、軍事など)の情報だけで、軍事面についての正確な予測ができてしまう。様々な軍事教育と経験から得た知識と「情報は目的を持って読め」「自ら大局観を立てよ」を自ら実践した洞察力、本当に恐れ入ります。

東郷首相が軍事畑から首相に任命された経緯、日韓併合、特攻隊の起こり、など一般に言われている(と自分が認識していた)こととは全く違うことが書かれていて、ショックでした。”戦後の贖罪意識”のためか、何でも「日本が悪かった」と片付け、なかったことまであったこととして刷り込まれている(自分にも!)、史実として表に出ているものが真実ではない、ということに愕然としました

戦後占領下で憲法の制定(昭和20年)と教育基本法の制定(昭和21年)がなされ、修身・歴史・地理の授業が禁止。日本弱体化が巧みに織り込まれ、今日まで来ている、ということにぞっとしました。(ちなみに占領中に相手国の憲法や教育基本法をつくるのは、国際法違反だそうです)このことは未だ明確に意識されていないと思います。占領当時の教育基本法のため、若い人たちの国家への帰属意識や道徳の意識が薄まっていくというのは、国を作っていく上では好ましくないと思います。

国家への帰属意識、というと軍国主義調な雰囲気を連想させられるのはおかしいなぁとは思っていました。自分がどこに根を張って育ってきたか忘れてしまっては、どこであろうが自立して生活できないと思います。(なお、「国家への帰属意識」は自国と他国を優劣をつけて比べる、という次元の話とは違います。どこの国でもその国で生まれ育った人にとっては一番好きな国、暮しやすい国なのですから)

著者は社会の重鎮的な活動をしながら、常に戦没者への慰霊活動は生き残ったものの本分として行い、ロシアにシベリア抑留者の慰霊碑を立てるなどされています。90歳すぎてなお、国のため、戦没者慰霊のための活動を積極的に続けられる、生涯現役の生き方に非常に心を打たれました。

「正しく昭和時代を知る為には良い本です」という言葉とともに父から贈られた本ですが、それ以上の価値のある本だと思っています。(星5つ、自信をもってつけました)
オススメ度:★★★★★ オススメ読者:高校生以上。必ず得るものがあります!(父親からの頂戴品)

No.12
(04.11.19)
韓国が死んでも日本に追いつけない18の理由

(評論・エッセイ)
百瀬格(ももせ・ただし) 金重明(キム・チュンミョン)訳 文春文庫
2001.4.10 第1刷
(文庫本)
感想等 韓国在住28年という総合商社勤務経験のある著者が、もともと韓国語で書き、97年に発売されるとベストセラーになった本の日本語版。「ラーメンから人工衛星まで」の総合商社という企業形態が日本と韓国にしかないとは知りませんでした(^^;)。しかし、ビジネスマンなら皆、この方のように大きな視点で未来思考の提案ができる、、、とも限らないかもしれません。著者は総合商社という、日常生活用品から製鉄所まで取り扱い、そのための多種多様な情報が集まる組織で、長年トップとして韓国社会と日本社会を見渡すということをしていたからなのだと思います。

ビジネスの側面を中心に、精神論、経済や政治まで含めての韓国観と日本との対比が項目ごとに簡潔にまとめられています。著者の提案だけが絶対的に正しいとは言えないとしても、現実的かつスケールが大きな提案(この分野は一度国営にして統合し、海外への競争力をつけるべきだ、etc)というのは、実際に検討の価値があるように思うのですが、お役所の人はこの本にあるさまざまな提案をどう読むのでしょうか。

情熱的な韓国で、建設的ならがも真っ向から韓国(人)を批判するというのは相当勇気が要ったと思いますし、日本(人)に対するネガティブなイメージからしても、叩かれるのは覚悟されていたそうです。ところが発売されたらベストセラー。それについて産経新聞ソウル支局長:黒田勝弘氏は以下のように巻末の解説に書いています。 「しかし、韓国人を批判はしているが、民族の本質や一族の歴史(といった韓国の<理>の中核)を批判したのではなく、経済という<気>の領域を通して韓国人の現状を批判したものだったがゆえに、韓国人たちは素直に受け入れることができたのです。」 ちなみに、<気>は物質性・身体性を指すのだそうです。これと対比する<理(道徳性=理念や理論、心理など)>は、韓国において全的に善なのだとか。

韓国人は歴史の話をすると感情的になる、という印象が自分にもあります。実際、韓国人と歴史の話をしたことはないので、あくまでも思い込み・刷り込みにすぎません。ただ、歴史の話をすることで相手の道徳観を否定したことになってしまうとしたら、ちゃんと日韓歴史に関する自分の価値観を育ててからでないと、実際に話してみるには至りませんね。
オススメ度:★★★★  オススメ読者:どなたでも。経済に興味がなくても面白く読めます (I嬢から拝借)

No.11
(04.11.19)
日本外交官、韓国奮闘記
(評論・エッセイ)
道上尚史
(みちがみ・ひさし)
文春新書
2001.6.25 第2刷
(文庫本)
感想等

外交官が韓国滞在の中で、韓国人との壮絶なディベートを経て韓国の現在像と日本との歴史観の違いを掘り下げています。韓国に長期滞在し、韓国語で韓国人と議論をたたかわせた、韓国、日本の両方を理解している人でなければできない分析だと思います。また大抵の場合は、戦後の話をするとイキオイで負けてしまう、(日本は戦後補償を何もしていない無責任な国だという誤った思い込みのある)韓国人に真っ向からひとつひとつ事実を挙げて反論を述べる、こういう人こそ外交官だな、と思いますし、この情熱は韓国への愛着からくるものだと思います。ただ、太平洋戦争そのものに対する解釈が比較的教科書的な印象なのは、やはりお役人だからなのか、とちょっと思ったりして。

「韓国のことを語るのであれば、韓国に実際に住んだ人の言うことでないと信用できない」と本を貸してくれたI嬢(日韓カップル)は言っていました。確かにその土地の人と意見を交わし、身をもって自分と相手の個人同士の違い、共有できることを理解し、それを積み重ねた結果、その国の人々に対する自分自身の概念ができてくるのだと思います。書籍に一般論が書いてあっても、それが個々のケースにあてはまるかどうか、自分にとっての事実になるか、自分自身で確かめなければわかりませんので。

自分の韓国と日本への知識が不十分なので、今回はやや消化不良気味のようにも思います。何年か経ったら、また読んでみたいです。その時、今よりピンとくるものが増えていると良いのですが。それからP41と129に”国・正義・安保を忘れた「世界市民」気取り(ウルトラモダニズム)”というような表現があり、強く印象に残りました。現実を省みない理想は、実現するのが難しいということでしょうか。世界はひとつ、人類は兄弟、かもしれませんが、自分の立っているところを知ることなしに前進はできない?と解釈したのですが。

オススメ度:★★★★  オススメ読者:どなたでも。歴史に興味がなくても、知っておくべきことはあると思います。  (I嬢から拝借)

No.10
(04.7.25)
キッチン
(小説)
吉本ばなな 福武文庫
1993年9月第15刷
(文庫本)
感想等

いまさらながら、という感は否めませんが、ついに読みました!吉本ばなな作品。
デビュー作キッチンとその続編である満月−キッチン2-、それに大学時代に書いたムーンライト・シャドウ。23歳くらいで「海燕」新人文学賞を受賞、という当時としては若くして賞に輝いた、という印象でした。単にきっかけがなくて読まなかっただけなのですが、オタワ市の図書館にて見つけたので、手に取ったわけです。読んでよかったと思いました。物語の共通しているのは、身近な人の死を経験した若き主人公たちが、戸惑いながらそれを受け止めていくという日常です。設定が多少変わっているところもありますが、全く不自然という感じがしないのは、著者の優しい視点のせいでしょうか。人の死に直面した後の話というのに、気持ちがちょっとほぉっこりとするような、ちょっと寂しいような、きれいな話だと思います。

オススメ度:★★★★  オススメ読者:やさしい話が好きな方に   (オタワ市立図書館蔵書)

No.9
(04.7.25)
Gems of Japanized English (英語) 
(語学・英語)
Miranda Kenrick  YENBOOKS
1996年 第10刷
(単行本)
感想等 英語の本ですが、「日本語化された英語の逸品(宝石?)」というタイトルのごとく、日本国内にあるヘンな英語が一杯です。読んで笑える人は英語中級以上かと。私も全部はわかっていないと思いますが、大笑いしたものをひとつ挙げます。
"fresh milk squeezed daily from female oxen" どうでしょ、笑えますか?
正しい日本語は書けませんがsqueez(絞る)というのは、レモンとか果物ならいざしらず、それに乳搾りってmilkという動詞があるようです。ということは、この文だとウシの体全体をぎゅーっと絞ったようです。(ウシが死んでしまう(--;)また、ox(複数形がoxen)というのはウシではなく雄牛。雌(female)の雄牛って、、、オカマのウシ?そりゃ乳搾りは無理でしょ。もう論理的におかしいことだらけ。単語の選択、語順、表現(内容)、どれをとっても英語的なものからかけ離れている=日本語からの置き換え、がいかにヘンかよーくわかりました。(でも自分もいまだに正しい英語が書ける自信なし、です)
オススメ度:★★★★  オススメ読者:英語学習者  (オタワ市立図書館蔵書)

No.8
(04.7.16)
「死への準備」日記 
(評論・エッセイ)
千葉敦子  文春文庫
1991年5月第1刷
(文庫本)
感想等

No.7と同じ著者の本。
86年11月から87年7月まで、朝日ジャーナルに掲載された連載を集めたものです。
驚くべきことは、著者が癌について著名な英語の専門文献は自ら読み、医師とも単刀直入に話をし、自分の体を人任せにしない(例えば、疲労が激しいから、次の化学療法は1週間伸ばしてもらう、など自分から医師に言う)ところなど、死後15年以上経った今日でも先進的な(よく考えれば当然な)、そしてがん患者としての自立と人の手助けを上手にバランスを取って最後まで自分の意思を明確にし、死の数日前まで仕事をし、と超人的な精神力が、病気によってますます強靭に鍛えられる様子がよくわかります。著者の場合、最後は脳にまで癌が転移し、以前の手術のため点滴や注射は右腕(利き腕)にしかできず、腫れて痛いのを無理して、なんとかワープロを使い、その状態で亡くなる2日前に日本の編集者にfaxで「原稿書けなくなりました。申し訳ありません」と連絡するという、聞くだけで涙が出そうな話が最後にありました。
癌の場合、著者のように進行度合いによっては養生して治ると言いがたいケースもありうることで、「だったら生きている間に何をしよう」と考えるのはとても共感できます。タイトルは「死への準備」ですが、「(薬のせいか、何を食べても吐いてしまう、という状況の中でモノを食べようとしつつ)どうぞ吐きませんように  とにかく生きなければならないのだから」という文面通り「生きている間、何をするか」にこだわった著者の生き方を鮮やかに見せつけられます。
今度は著者の経済や政治、軍事に関する記事を読みたくなりました。(しっかし、守備範囲が広い!)

オススメ度:★★★★  オススメ読者:どなたでも。病人に関係する方には特にオススメ!   
(オタワ市立図書館蔵書)

No.7
(04.7.16)
昨日と違う今日を生きる
 (評論・エッセイ)
千葉敦子  角川文庫
1988年5月第四版
(文庫本)
感想等 大学卒業後、東京新聞経済部貴社、67年ハーバード大学大学院留学、74年からアジア・ウォールストリートジャーナル、フォーブスなど海外紙誌の東京特派員を歴任。81年に乳ガンの手術を受け、再発したが83年からニューヨークを拠点に日英両語による国際ジャーナリストとして活躍、という当時としては非常に稀な経歴を持つ著者が、87年7月に永眠するまで、雑誌や新聞に掲載された6つのエッセイを集めたもの。自分の病状やニューヨークでの生活について、客観的で緻密に書いてあります。さらっと読みやすい、歯切れの良い文章で、読む人の興味を引きつけます。世界最高水準とはいえ、医療費の高いアメリカで、かつ癌の治療というお金のかかることをやりくりするには非常に苦労があったと思います。具体的にどう解決したのか、は書いてありませんが、保険のことにもふれてあり、その面でも日米の比較をしています。
「どうも最近は「健康至上主義」が横行しているが、私は病気というのは大変に貴重な経験だと考えているので、病気にかかったことのない人を羨ましいと思わない。」という著者の潔さ、現実を直視する強さ、周囲への気遣い、(&周囲からの気遣い)等々、オトナの人にも勉強になる本です。巻末のインタビューは癌の転移で声が出なかったため、Faxでしたそうですが、日本の病院について「患者にはウソをつくな」「病室にトイレとシャワーを」「信じられない食事のまずさ」「医療費も保険料も安すぎる」など、医療関係の方に是非ご一読いただきたい内容です。
オススメ度:★★★★  オススメ読者:どなたでも。病人に関係する方には特にオススメ!
(オタワ市立図書館蔵書)

No.6
(04.7.16)
日本の驕慢(おごり)韓国の傲慢(たかぶり)
 (歴史・評論)
渡部昇一
呉善花(お・そんふぁ)
徳間書店
1993年7月第7刷
(単行本)
感想等

自分には歴史の知識が乏しいので、どうして日本が朝鮮半島の国と外交上の話をすると、いつまでたっても「過去の清算」の話が出るのか、不思議には思っていました。この本は日本人と韓国人の著者が率直に語り合い、考え方の違いとその原因が明らかになっています。呉女史は韓国の大学を卒業後、日本の大学も卒業し、韓国と日本の考え方の違いをよく理解し、かつ日本の考え方にも影響を受けている方なので、こういう対談が成り立ったのでしょう。そうでなければ、渡部氏の発言に怒って席を立っていたかもしれません。
「日本には三国時代に文化を伝え、教えてあげた恩がある」とか「中国は父、日本は弟なので、父は何をしても父として尊敬に値するが、兄弟の上下関係ははっきりさせなくてはならず、弟が兄に悪いことをしたのは許せない」という韓国の考え方は、頭で理解はできますが、同意しかねます。韓国の反日教育と日本の自己否定的な近代史教育は、不思議と同じ方向に向いていますが、教科書に書いてあることだけが真実ではない前提で、お互いが違うことを認識しながら理解し合うことができればいいのかな、と思いました。
難しい問題に勇気を持って鋭く切り込んだ著者に敬意を表して、初めて星5つ!

(2004.11.19記)
と思ったのですが、No.11とNo.12を読んで、評価しかねましたので、「評価を控える」としました

オススメ度:評価を控える  オススメ読者:コメントを控える   (オタワ市立図書館蔵書)

No.5
(04.6.7)
私の英語体験
 (語学・英語)
聞き手:西山千 プレジデント社
1980年9月第一刷
(単行本)
感想等

米国生まれで日本に帰化、アポロ宇宙中継の同時通訳者、かつ元ソニー顧問でもある国際コミュニケーターの聞き手が、評論家、茶人、作家、経営者、政治家として一流の人々に自分の専門をもちつつ英語を「クロスオーバー型」に習得していった過程について行ったインタビュー。
1940年以前生まれ、つまり今と違って英語情報の乏しい時代に成長した人たちが、それぞれの方法(環境もあり、何より努力あり)で英語を身につけてきた様子が、率直な言葉で語られています。ある意味、余分な情報がない時代のほうが、実用的な英語を身につけやすかったのかも?と錯覚しそうになりました。意思あるところに道は開けるということでしょうか。(桐島氏いはく「背伸びをすれば背は伸びる」のだそうです。)ここでは英語そのものではなく、英語を使って「○○についての情報を得たい」「この人とコミュニケートしたい」「仕事でどうしても使わなければならない」など、英語以外の目的のために道具としての英語を身につけたい、というのが何よりの英語習得のモチベーションになったわけですね。
桐島洋子、千登三子、曾野綾子、松本道弘、盛田昭夫、宮沢喜一、各氏のインタビュー
英語学習に関する本とも、非凡な各氏の生き様を伝えるインタビュー記事ともとらえられる本。

オススメ度:★★★★  オススメ読者:どなたでも   (オタワ市立図書館蔵書)

  
No.4
(04.4.5)
英会話あと一歩 −とにかく話せちゃうのよ−
 (語学・英語)
マーシャ・クラッカワー 光文社 カッパブックス
1980年8月
(単行本)
感想等 「NHK英語会話」で長年講師をしている著者の代表作らしいです。80年6月に初版、8月にはもう第6刷というスピードから、当時のベストセラーだったことが伺えます。もう20年以上前の書籍ですが、”ヒッピー“という言葉や時事関係の話題をのぞき、古くさい感じはありません。お嬢さん大学卒の著者ですが、スラングやちょっと荒っぽい言い回しまでカバーしていて、完全な日英のバイリンガルかつ日米という二文化を背景に持つ著者ならではの解説や日常生活の話題が面白いです。英語と日本語の言い回しが併記してありますが、対訳にありがちな「もとの英文から一単語づつ置き換えたために起こる日本語としての不自然さ」が日本語表記に全く無いため、英語の語感を養うにも良い本だと思います。読んだらすぐに”とにかく話せちゃうのよ”とはいきませんが、この本に出てきた言い回しを一つでも二つでも使ってみると、日常会話の幅がぐっと広がりそうです。
オススメ度:★★★★  オススメ読者:英会話学習者(初心者から中級程度) (オタワ市立図書館蔵書)

No.3
(04.3.28)
「超」勉強法
 (学習・ハウツー)
野口悠紀雄 講談社
1995年12月
(ハードカバー)
感想等 恥ずかしながら、ベストセラーのこの本(1995年12月11日に第1刷、12月20日に第2刷!)を読んだのも初めてなら、この著者の本を読んだのも初めて。要は勉強(特に受験)についての、著者独自なアプローチが展開されています。(試験を通り抜けるだけなら)「勉強法が適切で意欲があれば、かなりの程度まで能力差を克服することができる。」(213頁)と言い切っているのは、やはり著者自身が努力をしてきた経験と自信からだと思いますが、勉強に要領というものがあるのも事実。既成概念にとらわれない著者自らの経験を通じたノウハウは、自分には割とすんなり共感できるものでした。ノウハウがあるとはいえ、必要なこと(暗記など)にはしっかり時間をかける、というあたり、学問に王道なし、といったところでしょうか。巻末のオススメの書籍や辞書類へのコメントも熱が入っていて、著者から若者達への熱いメッセージとも言える1冊。
オススメ度:★★★     オススメ読者:中学生以上    (オタワ市立図書館蔵書)

No.2
(04.3.16)
女ざかりからの出発
 (評論・エッセイ)
桐島洋子 角川文庫
1984年11月再版
(文庫本)
感想等 著者らしい伸び伸び、さばさばした本音エッセイ。元気が出ます。
彼女のエッセイは、どれを読んでも(というほど冊数を読んではないですが)このような良い歳の取り方をしたいなと思えます。1話が短いのも息抜きにちょっと読むのに良いです。著者40代前半の時に雑誌「ミセス」に連載したもので、この後、確か著者は結婚されたと思います。不倫(という言葉遣いはしていなかったように思いますが)に対する考え、子育て、家事、信頼できる友人、年を重ねる愉しみ、など。私は「エレガンスについて」という章が気に入りました。本当の意味で品がある人(女性)というのはこういうもので、心の強さと誇りを兼ね備えている、と。著者自身もその一人でしょう。
オススメ度:★★★★     オススメ読者:女性(30代以上)    (オタワ市立図書館蔵書)
※1979年12月文化出版局から出版された単行本を1984年3月角川文庫に収録

No.1
(04.3.16)
にっぽん料理大全
 (評論・エッセイ)
小松左京
石毛直道
潮出版社
1982年11月初版
(ハードカバー)
感想等 対談形式で、あんぱん、すきやきから、お茶漬け、カレーまで合計42品目。
片っ端からうんちくを傾けあっています。読むと言うより眺める程度の気楽さでドンドン進みます。小松氏、石毛氏、両氏の博識さには驚かされます。石毛氏は文化人類学者で元国立民族博物館館長。食文化の研究もされているようです。
現在日本に残っている食文化というのは、比較的歴史が浅い(戦後、明治以降、江戸以降)がほとんどだな、という感じ。1000年受け継がれた食べ物というのはかなり少ないみたいですね。もしかして、豆腐くらい?
オススメ度:★★★★     オススメ読者:どなたでも      (オタワ市図書館蔵書)


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