ゲーム語り〜「アルファ」
 
開発・発売:スクウェア 発売日:1986年7月??日 

  ●ストーリィ紹介●
 

 風が吹く丘。
 ここからはすぐ目の下に街並みが見渡せる。地球から惑星アルファへの移民を乗せた巨大な宇宙船ダイダロスの居住区域。

 わたし……わたしの名前はクリス。
 でも。
 わたしの家は? 家族は? ……判らない。わたし、自分の名前以外のことは覚えてない。どこから来たのか、どこへ行くつもりだったのかも。

 不意に、目の前の街の中で爆発が起こった。
 何があったの?
 考えるまもなく、わたしはそっちへと駆け出した。
 わたしはそこに行かなければならない、何故かそんな気がしたから……

 
 
 
  ●感想●
 
FFシリーズで今をときめくスクウェアが、10年以上昔にこういうパソコンゲームを出していたってご存知の方は、どのくらいいらっしゃるんでしょうね(^^;。FF、ロマサガ、聖剣伝説、クロノトリガーと有名タイトルてんこもりなスクウェアですけど、私にとって未だにスクウェアと聞いて懐かしく、そして印象深く思い出すのはこの『α』だったりします。

プレイしたことがあるという方はあまりいらっしゃらないでしょうから、ざっとしたストーリィ紹介をしておきますね。

 
 
 
 
 地球からの移民を乗せ、長い長い旅をしつつ新しい移住先惑星アルファへ向かう巨大宇宙船ダイダロス。住民達の生活はメインコンピュータに制御されたポリスロボットが管理しており、人々は数世代に渡る旅の間にすっかり無気力になってしまっていた。

 物語はその居住区域が見渡せる丘の上で、主人公の少女クリスが不意に気づくところから始まる。クリスという名前以外、彼女は自分に関する全ての記憶を失っていた。

 そんな彼女の目の前で突然起こる爆発。現場に行ってみるとスタジアムが燃えている。通行人によると、「コンピュータによる管理・支配」に反発した一派が革命と称して爆発を起こしたらしい。
 行く当ても無いクリス。うろついているとうっかり変なところに迷い込み、ポリスロボットにつかまってしまう。ところが、すぐに「おまえは住民リストに載っていない」とあっさり釈放される……。何故?

 やがて、クリスは元の丘の近くに戻ってくる。そこで彼女は革命派の副リーダーに出会い、彼らの革命の目的等について聞かされる。ところがそこにポリスの襲撃が。一度はつかまったものの再び釈放され、やっとの思いでそこに戻ってみると、ポリスに壊されたアジトがむなしく残るのみ……
 その中で瀕死の革命派の人間から、「ポリスにとらわれているリーダーを助け出してくれ」と頼まれる。

 ポリスに侵入し、ロボットを倒しつつ、リーダー・キースを助け出すクリス。
 キースによると、この船を送り出した人々は、数世代の旅の間に人々が無気力になること、そのような状態では新しい環境に適応していくことは出来ないだろうということを予想していたのだという。そこで彼らは、人々に自分の意志をとり戻させるため、自分から革命を起こし、コンピュータの支配から脱さねば目的地の惑星に降り立つことが出来ないようにプログラムしたのだとか。
 が、そこに再度ポリスがやってきて、キースまでも撃たれてしまう。
 ところが……、彼の胸からは火花のとぶ電線、機械の部品などが覗いていた。
 「そう、俺は革命を起こすために作られていたアンドロイドなんだ。頼む、メインコンピュータを破壊し、人々を惑星アルファに降ろしてくれ」と語り、息絶えるキース。

 キースの遺志を継ぎ、クリスは様々な障害を乗り越えてなんとかメインコンピュータを爆破する。そして船をアルファに降ろそうとブリッジへ。
 ブリッジに入った時、不意にメッセージが流れ出した。その内容は……

 
 
 
 
この『α』は、『DEATH TRAP』というAVGシリーズの第3作目として作られたもので(ただし1・2と3の間につながりは無し)、第2作目の『WILL』ではヒロインの目覚めの場面の目パチアニメーションが売りだったりしたんですが、3作目の『α』ではさらにそれが進んで、クリスが戦闘する場面で、銃を構え、撃つアニメーションが挿入されていたりしました。当時はアニメーションが取り入れられたAVG自体が珍しくて、それだけでも「おおー、動いてる」と思った覚えがあります。
また、オープニングとエンディングで流れるテーマ音楽が結構好きで、当時そのメロディを自分でアレンジしてピアノで弾いてたりもしました(^^)。
 

けれど、私にとって『α』で一番懐かしいのは、このゲームで初めて原作つきのノベライズ(小説化)というものをしてみたということだったりします。
私が普通の二次小説じゃなく、原作そのもののノベライズをしようとする時って、原作に強い魅力を感じ、かつ、途中の展開に納得いかなかったり書き込み不足を感じたりした時にそれを自分なりに少しでも補ってみたくて……という時が多いんですが、『α』はまさにその典型でした。
『α』のストーリィをプレイしてて、クリスとキースの関係にすごくドラマを感じてしまったのにゲーム中ではそれがほとんど描かれてなかったのでさみしかったのと(^^;、……そして何より、ゲームのラストの展開が納得いかなかったので。

 
 
 
 
 ブリッジに入った時、流れ出したメッセージ。それはダイダロスを送り出した人々が残したメッセージでした。

 ダイダロスを送り出す時、彼らは2体のアンドロイドを乗せたのだそうです。
 1体は、無気力になった住民達を革命を起こして目覚めさせるためのアンドロイド、コードネーム“キース”。
 そしてもう1体は、ダイダロスの人々を惑星アルファに導き、降り立たせるためのアンドロイド、コードネーム“クリス”…………そう、クリスこそ、その2体目のアンドロイドなのだと。

 そう告げた後、彼女に着陸システムを作動させるよう命じてメッセージは切れます。そして彼女は着陸システムのボタンを押し、エンディングテーマが流れ出す……

 
 
 
 
プレイした当時、私は最後のこれを見た直後、「どうしてこんなところで終わるの?」と唖然としたのを覚えてます。
だって、そうじゃないですか。自分は人間だと思っていたクリスが、いきなり自分はアンドロイドだったと知らされてショックを受けない筈は無いですよね。しかも、ダイダロスに着陸させるためのアンドロイドだったのなら、彼女はゲーム内の行動で自らの役目を全て終えてしまった訳で。
 

ダイダロスの人達はこれから目的地に降り立って新しい生活を始めるんでしょう。けれど、これから先、クリスはいったいどうするんだろう。お役ごめんになってしまったアンドロイドは、これから先何を思って何のために生きていけばいいんだろう。
ゲームはクリスがダイダロスを着陸させるところで終わってるけれど、その後こそが彼女にとっての本当のドラマである筈じゃないのか、なのにどうしてここで終わってしまうんだろう……
(また、エンディングがむちゃくちゃあっさりしてたんですよね。最後のコマンドを入力したら即、アルファに降り立つクリスの1枚絵が出てきてEDテーマが流れたんです。エピローグみたいなものが全く何も無かった)

それがなんだか凄く納得出来なくて。

クリスのその後が気になって、役目を終えた途端に殺されてしまったキースが可哀相で……ついに、あるべきその後のドラマを補うためにこのゲームの後日談を書き始めてしまったんです。(確か、クリスがブリッジのメッセージにショックを受け、一度は使命を放棄して街へ戻るけれど、そこで生き延びた革命の副リーダーに出会って……みたいな話にしたような気がする。捜してみたんだけど、この時の原稿は見つかりませんでした(^^;)

 
 
 
 
そういえば……このゲームが出た頃、パソコンゲーム雑誌(「テクノポリス」じゃなかったかと思うんだけど、はっきり覚えてない……)でクリスのその後について触れたエッセイがありまして。現物が手元にもう無いんで記憶のみになりますが、確かこんな感じのものだったと思います。
 

こういうパターンだろうか。
人々がアルファに定住した遙か先。おばあさんと女のコがガラスケースの前で会話を交わす。「この人、どうしていつもここで眠ってるの?」「この方は、昔人々をこの惑星に導いた方で、守り神としていつまでもここで皆を見守っていてくれるんだよ」……ガラスケースの中には、眠りについたクリスの身体が安置されている……。
いや、これではあまりにクリスが可哀相だ。彼女なら、さらに新しい冒険に乗り出す方が似合うような気がする。
ダイダロスの前で会話を交わす人類代表とクリス。「本当に行ってしまうのですか」「ええ、アルファへの移住が成功したということを地球に知らせたいから」そしてクリスは旅立つ。自分で見つけ出した新たな目標を追って……
 

自分が疑問に感じた部分を、なんだかこのエッセイが出したエピソードが補ってくれたように感じられて、凄く嬉しくなったのを覚えています。

 
 
 
 
考えてみると、私が今はまり倒してる『ワイルドアームズ』って、ある意味、当時私がこの『α』ですり抜けられてしまって不満に感じていたテーマを、きっちり描いた作品のような気がします。うーむ、そりゃあ、ハマる訳だな……(^^;。

でも、不満はあったけれど、ゲーム中のキャラクターにここまで強く思い入れしたのってこの時が初めてでしたし、なんだかんだ言ってやはり私にとっては懐かしいゲームです……。

(しかし、グラフィックは最先端を行き、シナリオの基本プロットも面白いが、後半からエンディングにかけて腰砕けになる傾向があり、キャラの扱いも意外と詰めが甘い……うーむ、もしかしてスクウェアって10年前から変わってないんだろーか(^^;)

 
 
 

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